怠け者

境内の雑草が伸びている。
ジャングルみたい。

草刈りをしないとね。

夕ご飯を食べながら
「ナオキチ、草刈りをお願い」と母ちゃんが言った。

「いやだよ」
いつも通りの返事です。

「草を刈ってよ」
負けないわよ、母ちゃんの顔がこわい。

「したくない」
顔がこわばっていますよ、ナオキチ君。

「草を刈れ！」
怒気・・・・恐ろしい。

「・・・・わかった」

「ちぇ、明日は朝寝坊しようと思ったのに・・・」
心の声がもれている。

しかし見事なありさまだよね。
雑草が生い茂っている。

誰も住んでいないお寺。
人からそう言われて幾年月。

電話が鳴っても出ない。
玄関のチャイムが鳴っても出ない。

「ナオキチ出てよ」

「父ちゃんが出なさい」

親が親なら、子も子だね。