散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

黒田バズーカ砲は華麗なる空砲か(2)~狙いは公共事業の正当化~

2013年04月26日 | 経済
アベノミクスの3本の矢は、3段式ロケットのように一連で密接に関係した政策「金融緩和―財政出動―成長戦略」として「期待醸成-キッカケ作り-経済成長」と進展させるイメージを与えている。しかし、三つの政策は独立であって、必須なのは成長戦略だけであることを述べた「黒田バズーカ砲は華麗なる空砲か(1)」。

財政出動は必須でもなく、消費増税も財政悪化を補う政策として民主党と自民党が合意したはずだ。自民党は野党時代に勢力回復を目指して「国土強靱化」の名のもとに公共事業を増やす政策を策定し、先の衆院選挙においても公約として掲げた。

政府の公共事業予算は1990年代には10兆円規模であったが、民主党政権になって「コンクリートから人へ」政策のもと、4兆円規模にまで縮減した。これを安倍政権は昨年度の補正予算と今年度予算で12兆円規模にまで再度拡大させる。

これは国債発行で賄われるが、黒田バズーカ砲では国債市場に大量の資金を投入して買い取ることになる。政府が先ず公共事業で景気回復の「キッカケ」を作るというのが、その間のストーリーである。しかし、このストーリーは「期待醸成」とは特に関係ない。それよりも国債を買い取る「資金投入」とだけ、密接に関係するのだ。

自民党時代の道路等の建設投資が土建国家を築き、挙げ句の果てに国の借金を膨らませたことを考えれば、政権を奪回したとは雖も、これまでと同じストーリーでは公共投資は国民的合意を得ることは難しい。そこで、デフレ脱却を旗印にし、金融緩和の枠組の中から地震対策を名目とした公共事業費を積み上げたのだ。そうしないと、公共事業予算は相当に叩かれていたはずだ。現状は一連の政策が異次元緩和から始まり、円安・株高の効果が出ていると考えられているため、次の公共事業の展開について、その効果を心配する声はあっても、正面から反対する論調はない。

しかし、黒田バズーカ砲から放たれた金融緩和の空砲は、国債を介して建設投資という“実弾”になって世の中に撃ち込まれる。

笹子トンネル天井板崩落事故(2012/12/2)に象徴されるように、旧い施設の老朽化への対応だけで、多くのリソースを必要とする時代である。効率の悪い施設の建設、無駄が多い費用の使い方が公共事業にはつきものである。これを克服しようとする意思も方法も政府・行政からは伝わってこない。従って、その結果は国民に対するツケとして跳ね返るだけであろう。


     
        

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