夕方畑に行くと、トウモロコシの株の根元近くに、白くクシャクシャっとしたものが落ちています。
あらっ?
ゴム手袋の内側にはめている白い木綿の手袋を丸めて落としたかしら?
でも最近はゴム手袋は使っていないのに。
レジ袋を丸めたにしてはマットな質感。
(最近寝違えてしまって首に貼っている)湿布が剥がれ落ちたとしても、ぺろん、としているし、ここまではクシャクシャにならないはず。
雨も降っているのに意外と綺麗ということは、もしや何か生きているもの・・・?
ドキドキ。
1分くらい考えて、もっと観察してみるべく、拾い上げようとしたところ、「ポキ」っと音が。
落ちているように見えましたが、どうやらこの物体は、トウモロコシの一部だったようです。
で、ひらめきました。
最近読んだ『ふしぎないきものカビ・キノコ』に出てきたトウモロコシ黒穂病ってやつでは。
トウモロコシの穂(食べるところ)が、モコモコとした変な形になってしまうものだそうで、本にイラストが載っていたのです。
これがそれか!
実物を見られるなんてラッキーかも。
根元近くから出た小さな穂に、黒穂菌がついたのだわ。
黒穂病について調べてみました。
植物体の奇形を伴う糸状菌病。梅雨明け頃から、外部は白色で中に黒い粉のつまったゴール(肥大組織)を形成し、葉、節、穂に発生する。ゴールは成熟すると表面が破れ、中の黒い粉(黒穂胞子)を飛散してまん延する。黒穂胞子は厚膜胞子でもあり、地面に落ちて翌年の伝染源となり、地中で5年位は生きているとされる。病原菌には多数のレースおよびバイオタイプがあるとされるが、日本では未確認である。
----畜産草地研究所によるデータベース「飼料作物病害図鑑」より
「飼料作物病害図鑑」の「トウモロコシの病害(2)」のページに、病気になったトウモロコシの雌穂(我々が食べる部分)の写真があります。これを見ると、病腫は最初は全体が白く、成熟するに従って内部が黒く(胞子が成熟して)いるように見えます。
何やら恐ろしい病気のようですが、黒穂菌は必ずしも悪いヤツ、という訳ではないようです。マコモという植物に黒穂菌を共生させて育てると、新芽(茎)が肥大し、それはマコモタケという食材になります。白くて、エリンギのような風味のある美味しい食べものです(食べたことあります)。
マコモタケは胞子が成熟する前に収穫するものですが、なんとトウモロコシのふるさと南米では、黒穂病に侵されたトウモロコシの、黒くなった段階のものをウィトラコチェ(もしくはウィトラコーチェHUITLACOCHE―アステカ語でトウモロコシのきのこ―、コーントリュフ、コーンマッシュルーム)などと呼んで、稀少な食材として珍重するそうです。
びっくりだ。
マコモタケまでは分かるけれど、黒いものを食べるとは。
マコモタケも、更に老熟させると黒い粉状のもの(胞子)が放出されるそうで、これはお歯黒や眉墨、漆器用の染料に使ったそうです。
お歯黒に使うくらいだから毒ではないのだろうけれど、食べるんだったら白い方が美味しそうよね?
ウイトラコチェについて調べてみました。
エイビーロードのメキシコシティーのグルメガイド記事にはウイトラコチェのスープやピザ、クレープの画像があります。
黒いです。
おでかけUSというサイトの、ミシガン州の話題にも黒穂病のことが書かれています。ほとんど正常なトウモロコシなのに、数粒だけ、この病気が発生した写真があります。
筑波大学総合科学博物館ニュースの「菌類による植物の奇形(2) とうもろこしのお化け」という記事(柿嶌,眞, 1999, Eureka, no.4, University Museum, University of Tsukuba)にも色々情報があります。
黒穂病は日本でもトウモロコシを育てている場所では昔からあり、蓮の花のよう、とか鶏の生まれ変わり、など怪異現象と結びつけて考えられたそうです。
同じ記事を引用したものが有限会社白金バイオ企画のHPのこちらにあり、メキシコで売られているウイトラコチェの缶詰(!)の写真があります。
私が畑で見付けたトウモロコシ黒穂菌は、トウモロコシ一粒分、なんて可愛いものではなく、穂全体が変形した、かなりぎょっとする感じのものでした。
なのでいつもより写真を小さめにしてみます。
クリックすると拡大します。
いやあ、面白いものを見ました。
鎌ですっぱり切ってみればよかったけれど、あまりに不気味でひるんでしまいました。
少し折ってみたら中が点々と黒くなっていました。
もしこれが、中まで真っ白だったら、多分(少しは)食べてたと思います。
(マコモタケは美味しかったし・・・)
お口直しに、綺麗なものの写真もどうぞ。
2009/7/28 スイカの台木、ユウガオの花
ユウガオというだけあって、夕闇にぽっと浮かび上がる綺麗な花でした。
でも、スイカを収穫したければ台木の蔓は伸ばしてはだめ、とのアドバイスを頂き、翌日には蔓も花も、全部片付けたのでした。
追記:
この翌年、またトウモロコシ黒穂病のトウモロコシをみつけました。
ほどよい若さだったので、試食してみました!
胞子が出るまでに落下してしまっていたようですが。成長中のものを発見されたらどうなさいますか?
1.他のコーンに感染しないよう排除する。
2.胞子を出すまで見守ってウイトラコチェ成金になる。
えーと、書き方が曖昧でしたが、落ちているように見えたけれど、実はトウモロコシにくっついていたのです。根元のごく近くから出た脇芽の穂が、こうなったのだと思います。
見付けた時にはもう黒っぽい胞子が透けて見えましたが、若いものは銀色かもしれませんね。
胞子が出るようなのは、どうも食指が動きません。5年も生き延びる胞子も怖いですよね。
中まで真っ白なのを見付けて、排除がてら食べてみたいです。
つまりこたえは、〈1〉(そのあと食べる)となりましょうか☆
普通のトウモロコシばかりでした。
マコモタケは100%の感染率だというのに、どうしてなんでしょう。
よく出る年とか、あるのでしょうか。
マコモタケ、美味しいですよね~。
苗は買ったのですよね?
どんな栽培方法なのか興味あります。調べてみよう。
マコモタケが感染源になると近所のトウモロコシに被害を与えてしまうし、伝染しにくいものなのでしょうか。
奥様はまだご実家でしょうか。さみしいですね~(うふふ)。
早く帰ってきて下さらないと、楽しいお買い物が増えてしまいますね。
黒穂病とか、「病」が付いていると食べていいのか心配になります。これが特別の効能などあれば、いろんな方におすすめできるので、早く追及し安心したいところdrす。
http://macomonokaze.eshizuoka.jp/
http://macomonokaze.eshizuoka.jp/
いろいろ教えてほしいです。よろしくお願いします。
マコモタケや、トウモロコシ黒穂菌の実(ウィトラコチェ)は(地域によっては)普通に食材として食べられているようですよね。「病」というのはトウモロコシにとって、であって、人間には害はないのだろうと思います。
マコモに特別の効能があるかは(私には)よく分かりませんが、きのこ系の味で食物繊維も豊富そうですし、美味しいし、好きな素材です。
カレー大好きなので、いつか伺う機会があればいいなと思っています。