【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ぼくのエリ 200歳の少女」:国際医療センター前バス停付近の会話

2010-08-14 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

国際医療センターも新しい建物になったみたいね。設備も最新なんでしょうね。
じゃあ、万一ヴァンパイアに襲われたら、ここに駆け込めば助かるかな。
「ぼくのエリ 200歳の少女」みたいに?
そう、そう。永遠に年をとらないヴァンパイアの少女と、孤独な少年の交流を描いたトーマス・アルフレッドソン監督のスウェーデン映画。
スウェーデン映画っていうのがミソで、あくまでひんやりした感触は、ハリウッドあたりのにぎやかな映画とは明らかに一線を画す。
血の色までがなにやらひんやりとしているもんな。
人がボッと燃え上がる衝撃のシーンもあるんだけど、それも一瞬の描写で切り上げている。このストイックな姿勢。
主役を演じる少年、少女がまた、いかにも孤独を抱えている風情。
この二人が接近するのは必然としか思えない。
残酷なシーンも結構あるんだけど、心に残るのはやはり、孤独な魂のふれあいだ。
人間の少年のほうは学校でいじめに遭い、両親は離婚し、一方のヴァンパイアの少女のほうは、人間の血を吸わなければ生きていけないという悲しみを背負っている。二人は、たまたま人間とヴァンパイアの違いがあるだけで、心は通じ合うものを持っている。
けれど、二人の住む世界が違うことを思い知らされる出来事はいつか起きる。
君とぼくの血の契りだと言って少年が切った手から流れた血の匂いを前に、野生に帰った少女は、思わずずるずるとすすってしまう。
少女の意外な行動に愕然とする少年。
結局、異世界に住む二人は別れざるを得ないのかどうかは、自分の目で確かめてほしわね。
この映画、つまり、ラブ・ロマンスなの?と思うかもしれないけど、最初にも言ったようにスウェーデン映画。北欧の寒々とした風景の中で淡々と進行する物語を観ていると、なにかもっと奥深いものを感じてしまう。
スウェーデン映画といえば、イングマール・ベルイマンの世界だもんね。
そこまで巨匠と並べるのはオーバーだけど、どことなくつながるものがあるような気がするよな。
でも、いいわよね。スウェーデンならきっと200歳まで生きても、年金の心配しないでいいだろうし、国際医療センターみたいな立派な施設で医療を受けても、たぶん医療費の心配もいらないだろうし。
あ、結局最後の感想はそういうところに来る?
来る、来る。



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ふたりが乗ったのは、都バス<橋63系統>
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1 コメント

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Unknown (ぺろんぱ)
2010-08-23 23:59:51
こんばんは。

お伺いして「途中下車」の記事に驚いています。また再開されるのを楽しみにしています。

昨日お邪魔して、本作へのコメントを残さないままでしたので、ひとことだけ(以下)書かせて下さい。返信は不要ですうよ、読んで下さるだけで結構ですので。


ホラーは大の苦手の私ですが、不思議とこの映画はビジュアル的にもストーリー的にも怖くなかったです。
夜中に脳裏に甦ってくるのはむしろオスカーとエリの囁き合う密やかなシーンとかだったり。血の涙も何故か怖いというより哀しかったです。
(あの「炎上」のシーンはかなりびっくりしましたが。)

ハリウッドのリメイクだとこうはいかないのでしょうね、きっと。

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