【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「月に囚われた男」:木場四丁目バス停付近の会話

2010-05-26 | ★業10系統(新橋~業平橋)

ずいぶん大きなアンテナね。
これくらい大きなアンテナなら、遠い月とも交信できるかな。
少なくとも、「月に囚われた男」に出てくるような月面基地とは無理ね。
あの映画に出てくる月面基地は、外部との交信が絶たれちゃってるからな。
ダンカン・ジョーンズ監督のSF映画「月に囚われた男」は、月のエネルギー資源を地球に送るため3年契約で月面基地に派遣された男の物語。
しかも、その基地には彼一人しかいない。
通信機器の故障で外部と連絡も取れない。
もうすぐ期限が来てようやく地球に帰れるっていう頃、自分と全く同じ顔をした人間と遭遇する。
さて、その正体は?
・・・なあんて言うと、タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」を思い出したりするけど、あそこまで哲学的な映画じゃない。
月面基地で孤独な男の相手をするスマイルマークのコンピュータもキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」を思い出したりするけど、あそこまで怜悧じゃない。
高邁な思想をSFで表現するっていうんじゃなくて、とにかくSF映画を撮ってみたかったっていう、なんとも無邪気な動機が見え隠れして、この映画、ほほえましいこと、この上ない。
特撮も、いまや行くところまでいってしまった感のあるCGじゃなくて、手作りのミニチュア感にあふれていて、ほっとするほど懐かしい。
ああ、ひたすらに懐かしい。
あの、月面車のぎこちない動き!
監督よ、お前は、ダグラス・トランブルか!
うん、この映画の感覚に一番近い映画を挙げるなら、ダグラス・トランブルの「サイレント・ランニング」かもしれないわね。
というより、「サイレント・ランニング」に憧れた映画。
まったく、この映画、70年代SFのチープな部分をいまさら集めたみたいな出来だもんね。
それだけに、観ていてどうにも少年時代に戻ってしまったようなワクワク感を抑えきれない。
自分と全く同じ顔をした人間の存在理由っていうのも、やたらわかりやすくて、21世紀も10年経ってるんだから、もっとなんか深い意味付けをしてよ、って言いたくなるけど、それは野暮っていうもんね。
そう、ただ童心に帰って、この愛すべき映画に囚われればいい。
「月に囚われた男」に囚われた男女・・・。







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