【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「プラネット・テラーinグラインドハウス」:千駄ヶ谷五丁目バス停付近の会話

2007-09-26 | ★池86系統(東池袋四丁目~渋谷駅)

ギョギョ、東京のこんなところにエンパイヤステートビルが・・・。
ニセモノだよ、ニセモノ。
やっぱりね。どんな懸命に真似したってしょせんは真似。本物の風格にはかなわないわね。
ところがどっこい、昔グラインドハウスというアメリカの三流映画館で上映していた映画を真似した「プラネット・テラー」は本物以上の風格がある。
そんなこと言って、あなた、本物のグラインドハウス映画、見たことあるの?
ないけど、三流映画がこんなにおもしろかったら、アメリカだって三流映画のままにしてはおかないんじゃないか。
画面に傷をつけたり、わざとピントをぼやかしたり、薄汚い色を再現したり、三流感を一生懸命出してるんだけど、たしかにおもしろすぎるわね。
失った右足の代わりにマシンガンをつけてぶっ放す女なんて、画としてあまりにも決まりすぎだろう。オリジナリティありすぎだぜ。
って、ほめてるの、けなしてるの?
ほめてるんだよ。全篇、血わき、肉踊る映画だ。
比喩じゃなく、ほんとに、血がわいて、肉が踊るのよね。これでもか、これでもかって調子で、ドバドバ、ビロビロ。まいった、まいった。
同じグラインドハウス映画の「デス・プルーフ」もおもしろかったが、あっちが映画オタク丸出しの映画だとすれば、こっちはプロ根性丸出しの映画だったな。
そうね、「デス・プルーフ」はタランティーノの趣味丸出し、やりたい放題、小ネタも満載っていう映画だったけど、ロバート・ロドリゲスの「プラネット・テラー」はぶっ飛んでるわりに、話としてちゃんとまとまりがあったもんね。
アメリカじゃあ、この二つの映画を二本立てで公開したっていうんだから、ごちそうだよなあ。
日本でいえば、「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」と「女王陛下の草刈正雄」を二本立てて公開するようなものかしら。
おいおい、「女王陛下の草刈正雄」はまだ観てないぞ。観てない映画の話は厳禁だ。
はい。
それにしても、毛色の違った一流の三流映画を二本続けて観られるなんて、アメリカの映画ファンにはたまらなかっただろうな。
一流の三流映画なんて、形容矛盾もいいとこだけど、そうとしか表現しようがないもんね。
たとえば、エンパイヤステートビルに登った「キングコング」はもともと三流映画だったのに「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが再現した新しい「キングコング」なんて一流映画に成り下がってしまった。それに比べて、タランティーノとロバート・ロドリゲスの映画には三流映画の精神が流れていてみごととしか言いようがない。
彼らに「キングコング」をつくらせたら、この東京のニセ・エンパイヤステートビルに登らせるかもね。
なるほど、それも一興だな。タラちゃんなんか、日本に来たくてしょうがないみたいだしな。
登れ、っていえば、アゴでこのビル登っちゃいそう。
たしかに。娯楽映画監督の鑑だな。


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千駄ヶ谷五丁目バス停



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