ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』

2009-05-29 21:52:50 | 新作映画
(原題:I Come with the Rain)

※ネタバレとまではいかないかもしれませんが、
チラシよりもストーリーを詳しく書いています。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方が安心かも。



-----これって最近、急に話題となってきた映画だよね。
主演がジョシュ・ハーネット
それに、木村拓也イ・ビョンホン
出ているっていうじゃニャい。
びっくりするほど国際的な顔ぶれだよね。
「それだけじゃないよ。
監督が最近、新作『1Q84』
予約注文の新記録を樹立したと言われている
あの村上春樹の代表作
『ノルウェイの森』を次回作に控えているトラン・アン・ユン
これまで『青いパパイヤの香り』だの『シクロ』だのといった、
どちらかというとアート的香りを放つ作品を手掛けてきただけに、
本作は製作発表と同時に世界中を驚かせたんだ。
なにせ、これはハードボイルド・タッチのサスペンス。
しかも目を背けたくなるような強烈なバイオレンス描写もふんだんに散りばめられている。
冒頭からして、ジョシュ・ハートネット扮する主人公クラインが、
猟奇連続殺人気に痛めつけられるシーンだしね」

----へぇ~っ。でも、それだけの映画を手掛けてきた監督だとしたら、
普通のアクションでは終わりそうにない気がするニャあ。
「それは当たっているね。
この物語は、キリスト教がベースとなっている。
もう、すでに知れ渡っていることでもあるから、
思い切って言っちゃうけど、
木村拓也が演じるシタオという青年は現代の救世主。
キリストのイメージで描かれるんだ。
ある資産家の息子シタオは、
フィリピンのある島で恵まれない子供たちの施設を運営していた。
ところがやがて親からの仕送りが尽きたことから、
土地の人たちに寄付を募ってもらうべく一軒一軒回り始める。
だが、そのことで疎まれた彼は、暴漢に襲われ命を失ってしまう。
しかし不思議なことに思いもよらぬ奇跡が起きる。
激しい雨の中、キリストのごとく甦ったシタオは香港へ渡り、
そこで他人の痛みを身代わりとなって引き受け始める」

----スゴイ大胆な話だね。
でも、それを聞くと、主役はキムタクでいいんじゃないの?
ジョシュ・ハートネットの役は?
「彼は、ロスの元刑事クライン役。
彼は、猟奇殺人鬼を逮捕するべく犯人と自分の精神を同一化しようとして、
自らの精神も破綻させ、
施設に収容された過去を持っている。
そんなクラインにシタオの父から息子の捜索依頼が舞い込む。
刑事時代の仲間メンジー(ショーン・ユー)の協力で、
彼はシタオがリリ(トラン・ヌー・イェン・ケー)という女性と一緒にいることを突き止める。
一方、リリを溺愛する香港マフィアのボス、ス・ドンポも
行方不明となったリリを探していた。
ここに、3人の男の運命が交錯する」

----ニャるほど。そのボスを演じるのがイ・ビョンホンだね。
でも、なぜリリはシタオと一緒だったの?
「それはね。彼女がドラッグ中毒だったから。
そう、シタオは、彼女を救おうとするんだ。
ここは日本映画で言えば、石井隆『夜がまたくる』だね」

----また、スタイリッシュな映画を例に出してきたニャあ。
「確かに。
でも、この映画も同じく映像が凝っているんだね。
舞台が香港ということもあるけど、夜のシーンが実に多い。
で、これがまた、香港の街の持つ魔界的な雰囲気を
見事に映像に焼き付けているんだ。
香港と言ったら、
まばゆいイルミネーションとともに暗闇に聳え立つ近未来的な超高層ビルをイメージしがち。
ところがこの映画はそれに加えて
ハイウェイのすぐそばに隣接する、古びた高層アパートを見上げるように写しだす。
あれは、香港を訪れたトラン・アン・ユン監督の素直な驚きの表れだろうね。
超高密度の人口。そしてその窓の一つひとつに生活がある」

----そうか“異邦人”の目ってことだね。
でも、キリスト教との関係が今一つ分からないニャあ。
「実はね。
さっき話した猟奇連続殺人鬼。
彼は、なんと人間を生かしたまま体のパーツを切り取り、
それによって、本人言うところの“芸術”を作っているんだ。
このオブジェがまた凄まじい。
サルバトーレ・ダリの絵なんかには似たような形のがあるけど、
これを立体、しかも実際の人間の体を使うんだから…」

----そ、それはmmm……。
「で、この殺人鬼いわく。
『完全な裸体はゴルゴダの丘の上にあった』。
そう、これはキリストのことだね。
で、その完全な姿は人間たちの苦しみの上に成り立っているというのが彼の論旨。
つまり、その美を再現するには人間の苦しみが必要」

----それは無茶苦茶だ。
「で、ここに
キムタクの物語との同根が…。
でも、
キリスト教を外面的にしか知らないぼくにとっては、
だから何?って感じ。
でも、そうとしか言えないのがつらいよね」



フォーンの一言「しっかし、美しい男たちばかりだニャ」身を乗り出す


※珍しくウェブでキムタクの顔が出ている度(チラシのメインビジュアルだけど)


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『ターミネーター4』

2009-05-27 23:47:56 | 新作映画
(原題:Terminator Salvation)


----これぞまさに待望の一作。
海外での評価は、すこぶるいいようだね。
今回は審判の日の後を描いているんだよね。
「そう。さて、この映画のお話をする前に、
こそっと言っておきたいのが
“世間で評判のいい『ターミネーター2』
ぼくはあまり好きではない”ということ」

----えっ、どうして?
シリーズで一番の人気のような気がするけど。
あれでジェームズ・キャメロンの人気も固定したし。
「うん。でもそれはね。
逆に言うと、ぼくはその前の『ターミネーター』が大好きだということでもあるんだ。
『ターミネーター』の登場は、本当に衝撃的だった。
いきなり未来から裸の男が現れ、
ある女性を“殺す目的”で探し求めていく。
その理由というのが、彼女サラ・コナー
核戦争の後、機械軍<スカイネット>の支配する世界で
“人類の救世主”と予言された ジョン・コナーの母親だから。
母親を殺してしまえば、ジョン・コナーも生まれない。
凝っているようでシンプルなこのストーリーは、
凄まじいカー・バトルのさなか、
未来から彼女を守るために現れたカイル・リースの口で語られ、無駄がない。
そのテンポのよさもさることながら、
“不死身の体を持つ”ターミネーターという設定や、
一度聞いただけで相手の声をまねすることができるその能力など、
もうアイデアがいっぱい。
これは“もう一つのエイリアン”と思ったな。
ところが『2』はいきなりの超大作。
いい意味での手作り感がなくなってしまった。
『3』は、なんだか『続・猿の惑星』という趣だったし…」

----いやあ、長い前振りだ。ご苦労さん(笑)。
で、この作品は?
「『2』『3』が未来の戦いを自分たちに有利に働かせるべく、
<スカイネット>が未来からT-1000、T-Xを現代に送ってきたのに対して、
『4』では、これまでカットイン程度でしか描かれていなかった
未来、2018年での戦いを全編にわたって見せてくれる。
これが最大のポイントだね」

----ということはジョン・コナーも姿を見せるわけだ。
「もちろん。
その役を演じるのがクリスチャン・ベイル
これは個人的にはイメージがあっていたと思う。
彼は、自分の父親となる男、
カイル・リースを探すことに全力を注ぐ。
というのも、彼がこの時代で殺されてしまえば
自分は生まれてこないわけだから」

----ニャんだか、無茶苦茶なストーリーって気がするニャあ。
「まあね。ここをつっついてしまえば、
この作品は終わり。
矛盾に次ぐ矛盾でどうしようもなくなるからね。
でも、時間旅行にタイムパラドックスはつきものと割り切り、
目をつむってしまえば、けっこう、この映画はオモシロい。
というのも、本作には映画の記憶がいっぱいに詰めこまれているから。
まず、石油が涸れ果てた荒涼とした未来世界、
これはぼくの好きな『マッドマックス』
一人の少年が強く関わってくるところは『2』かな。
ターミネーターの造形のオリジンは『エイリアン』の『3』『4』。
スネーク型エイリアンハイドロボットは、水中から現れるしね。
また、人間を捕獲するハーヴェスターは、
まるで 『トランスフォーマー』のよう。
でも、その動きには意味がある。
獲物をとらえて<スカイネット>に連れていくための
トランスポートに入れるんだ。
また、 『ダークナイト』バットポッドじゃないけど、
ハーヴェスターから2台のバイクのような
モトターミネーターが放たれる」。
ここでのスリリングなチェイスは、
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』スピーダー・バイクを思い出したね」

----また古いニャあ。
物語の方はどうニャの?
謎の男マーカスとやらが出てくるんでしょ?
「うん。彼の腕や脚は金属だけど、
脳や心臓は人間のまま。
マーカス自身は自分が人間だと思っているけど、
周囲は彼を敵だと思っている。
マーカスは死刑囚でね。
一度死んだはずなのに、なぜか目覚め、
気付いたら世界は機械が支配していたというわけなんだ。
映画の冒頭で、マーカスは刑執行の直前、献体の書類にサインする。
そのサインを迫るセレーナ・コーガン医師にヘレナ・ボナム・カーター
実は、彼女の位置づけがよくわからないんだけど、
これは、次回作以降で徐々に明らかにされるのかなあ」

----えっ。まだ続くの?
「そうだよ。
だって、まだT-800(シュワルツェネッガー)
過去に送り込んでいないもの。
そうそう。もうニュースで知っていると思うけど、
今回は、アーノルド・シュワルツェネッガーが
若い時の姿、しかも全裸で出演。
もちろんCGとボディダブルを使ってだけどね。
この映画は、彼、T-800が生まれる過程を描いた作品でもあるんだ。
だから、さっき言ったお楽しみ=
別人の声色を使うシーンも出てくるよ」

----へぇ~っ。それは楽しみ。
じゃあ、次回作は、金属が溶けていろんな形になるんだ(笑)。
「おっ、マニアックだね(笑)。
その可能性、無きにしも非ずだね」



 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「カイル・リース役、マイケル・ビーンと比較するとアントン・イェルチンはちょっと軽いニャ」もう寝る

※マーカスを演じるサム・ワーシントンはキャメロンの次回作『James Cameron‘s アバター』の主演だ度

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画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

『ガマの油』(@「シネマのすき間」)

2009-05-26 10:52:41 | 新作映画
-----一週間って早いニャあ。
えいは、昨夜『ターミネーター4』に行ってきて
帰りが遅かったというのに、
今朝は早くからぼくを連れて
カタログハウス「シネマのすき間」に。
タイトルが『ガマの油』。だって。
ガマってカエルのことニャんだよ。

で、そのガマを鏡張りの部屋に閉じ込めて
醜い自分の姿を見て、ガマが油汗をたら~っ。
そうそう。このガマ、足の指の本数が普通とは違うらしい。
と言っても、フォーンは、
カエルの指が何本かなんて知らないけど…。
あっ、そんなこと向こうで話したわけじゃニャいよ。
いや、話してたかな。
これはね、日本が世界に誇る名優・役所広司の初監督作品。
彼も主演していて息子役を瑛太
どんな映画かは、向こうで喋っているので、
そっちを読んでね。


          (byフォーン)

「ガマの油売りは時空を超えるのニャ」2009.4.7フォーン


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『サンシャイン・クリーニング』

2009-05-24 23:51:20 | 新作映画
(原題:Sunshine Cleaning)


----『サンシャイン・クリーニング』?
どこかで聞いたようなタイトルだニャあ。
確かアラン・アーキンも出ていたような…。
「おそらくフォーンが言っているのは『リトル・ミス・サンシャイン』のことだね。
でも、それ当たらずとも遠からず。
監督こそ違うもののスタッフは一部かぶっているんだ。
だからだろうね。
あの映画と、キャラも似ていればテイストも似ている」

----へぇ~っ。どんなお話ニャの?
「主人公はローズ(エイミー・アダムス)とノラ(エミリー・ブラント)ふたりの姉妹。
姉ローズの方は、高校時代、チアリーダーでアイドル。
ところが30代の今はシングルマザーで、仕事はハウスキーパー。
しかも学生時代の同級生と不倫中。
妹ノラの方は、いまだ自立できず、父親ジョー(アラン・アーキン)と二人暮らし。
バイト先で逆ギレしてクビになってしまう。
しかも父親は、
なんでも「ナメる」癖がエスカレートして小学校を退学になったローズの息子オスカーと一緒に
へんてこなお菓子の訪問販売に夢中。
この家族のピンチを乗り切るべくノラは
“事件現場のハウスクリーニング”を始める!」

----ニャに?その“事件現場のハウスクリーニング”って?
「分かりやすく言えば、
未遂を含む自殺や他殺で、
血や肉片が飛び散った部屋をきれいにすること。
もし、そこがお店だったら
そのままだと営業はできないわけだからね」

----それって、まるで 『おくりびと』だね。
「うん。でも警察が処理した後だから、
死体そのものは片付いているけどね。
さて、きつい仕事だけあって、この報酬が想像以上にいい。
これまで生活苦にあえいでいた姉妹は、
これで浮上してやろうと、一生懸命頑張るわけだ。
その甲斐あって、仕事は大繁盛。
これまで同級生に会っても見栄を張るしかなかったローズは、
自信に満ちた姿を見せたくて
かねてより誘われていた同級生の出産祝いに出かけるが…」

----でも、好事魔多しってことだニャ。
「おっ。フォーン難しい言葉知っているね。、
まあ、後は実際に観てもらうことにして、
この映画のポイントは
『どっこい。私だって生きている』。
不器用ゆえに(使い古された、あるいは消えゆく言葉だけど)負け組となってしまったふたりが、
決して人生をあきらめることなく
ニッチな仕事の中に、人生を立て直そうとするところ。
気のおけない姉妹だから、本音で言いあうしケンカもする。
自分の納得のいかないことには決して妥協しない」

----そういう映画だと、
日常の描写が重要なポイントになりそうだニャあ。
「うん。それと演じる役者の力量が必要。
そういう意味では、
この映画は見事にバランスが取れている。
同じような姉妹ものでも
『イン・ハー・シューズ』だと、
役者が大物すぎて、映画もその分、深刻に。
実はこちらも設定としてはかなり深刻なはずなのに、
どことなくほっこりとするのは、
さっき話した『どっこい。私だって生きている』。
『このまま負けてるわけにはいかないのよ』という生きざまからきているんだろうな」

 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは心温まりそうだニャ」もう寝る


※ほっこりにっこりだ度

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『扉をたたく人』

2009-05-22 22:18:50 | 新作映画
(原題:The Visitor)


----これも2009年アカデミー賞絡みの映画。
リチャード・ジェンキンスが主演男優賞にノミネートなんでしょ。
この人、顔はよく見るけど、
あまり知らなかったニャあ。
「うん。でもだからこそ、
監督は彼を選んだらしいよ。
いかにもスター然としていないところがいいんだろうね。
日本で言ったら誰だろう?
有名になる前の笹野高史あたりかなあ。
しかし、これはほんとうに彼の演技で観る映画だね。
結論から言っちゃうけど、
静かに静かに感情を秘め、
それが爆発するクライマックスはほんとうに感動的。
久しぶりに記憶に残るラストシーンだったね」

----ふうん。チラシとかでは、
彼がベンチに座って太鼓たたいているビジュアルが載っているけど…。
「あれはジャンべというらしい。
この映画で教えられたけど、
クラシックの多くは4拍子。
アフリカの音楽は3拍子なんだって。
映画を観ながら、
一緒にリズムを取ってしまう、
これは、そういう手愛の映画だね」

----ふうん。
どういうお話ニャの?
「ジェンキンス演じる主人公は
妻を失って以来心を閉ざしてしまっている大学教師ウォルター。
講義も毎年同じ素材で同じことの繰り返し。
そんな彼に、ニューヨークの学会に代理出席せよとの業務命令が下る。
気乗りしないまま、借りたまま放置してあるアパートの部屋を開けると、
そこには見知らぬカップルが。
どうやら彼らは詐欺でこの部屋を紹介されたらしい。
これがジャンべ奏者、シリア人のタレク(ハーズ・スレイマン)と
ウォルターとの最初の出会い。
いつしかジャンべの魅力に取りつかれ、
タレクから奏法を習い始めたウォルターだったが、、
ある日、
地下鉄の改札でタレクが無賃乗車を疑われ、
そのまま逮捕されてしうまう。
実はタレクは難民申請が却下されたままこの地にとどまっていた」

----難民申請?
「うん。
タレクの父親は新聞記者で
その書いた記事が元で投獄され、
そこでそのまま死亡。
絶望した母親モーナは少年だったタレクを連れ、アメリカへ。
手続きに何らかの不備があったようだけど、
9.11以来、移民法が厳しくなったアメリカでは融通はきかない。
母国シリアへ強制送還されようとする彼を救うため、
ウォルターは弁護士を雇い、
自らも毎日、クイーンズにある収容施設へ面会に行くが…」

----ニャるほど。そういうお話だったんだ。
確か『シリアの花嫁』にでているヒアム・アッバスも出ているようだけど…。
「彼女はさっき話したタレクの母親モーナ役。
実はウォルターとの間には淡いロマンスらしきものも芽生えてくる。
ただ、ぼくとしては
彼が逮捕されてから映画の魅力が少し失われた気がした
なぜかなって考えたら、そこからはジャンべが出てこないんだ。
そう。この映画の魅力は、ジャンべに負うところも大きい。
あと、昨日のにつづいてこの映画の日本語タイトルのうまさにも言及。
原題はVisiter(訪問者)。
これは、アメリカへの移民とウォルターの部屋を訪れた人のダブル・ミーニングだと思うけど、
これを『扉をたたく人』。
この“扉”は閉ざされた彼の心を叩いたという意味でもあるだろうし、
閉ざされたこの国アメリカの“扉”でもあるんだろうな」

 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そのラストというの、スゴく観てみたいニャ」いいねぇ


※実にパワフル&ハートフルなラストだ度

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『それでも恋するバルセロナ』

2009-05-21 10:04:39 | 新作映画
(原題:Vicky Cristina Barcelona)


----これってぺネロぺ・クルスがアカデミー賞助演女優賞を受賞した映画だよね。
バルセロナが舞台なんて、最初聞いた時は
ウディ・アレンの監督作品とは思えなかったニャ。
「そうだね。映像もオレンジ色を帯びてあったかみがある。
ニューヨークで撮ったアレン映画とは趣がかなり違う。
撮影に『アザーズ』『トーク・トゥ・ハー』
ハビエル・アギーレサロベを迎えたこと大きい。
でも、その中で描かれているのは、
いかにもアレン好みの世界。
男と女の恋をめぐるひと騒動。
一時期のミア・ファローの的ポジションを占めた
スカーレット・ヨハンソンはともかくとして、
レベッカ・ホール(これはダイアン・キートンに近いのかな)、
それらの中心にいるのがラテン男風情のハビエル・バルデム

----そ、それはまた濃いメンツだニャあ。
そんな彼らが恋のさや当てを繰り広げるてわけだね?
「さや当てという言葉が適切なのかどうか。
みんな、とにかく積極的だからね。
お話は簡単で、
ひと夏を過ごすためバルセロナにやってきた
クリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)とヴィッキー(レベッカ・ホール)。
ヴィッキーは慎重派で、堅実な彼と婚約中。
一方のクリスティーナは恋愛体質な情熱家。
そんなふたりにアプローチしてきたのが、
画家のファン・アントニオ(ハビエル・バルデム)。
その誘い方がスゴい。
『週末を過ごして町を案内する。
食事とワインを楽しんでセックスする』」

----あらあ~。
当然、ヴィッキーは断るよね。
「うん。ところがクリスティーナがノリノリ。
彼女のお目付け役という感じで一緒に彼が運転する飛行機でオビエドへ。
ところがいざというときになってクリスティーナが胃潰瘍でダウン。
翌日、ベッドで休む彼女の代わりにファン・アントニオにつきあい、
街を散策するヴィッキー。
ところが、次第に彼の魅力に惹かれて…」

----確かにウディ・アレンらしいや。
また、会話がこじゃれてるんでしょ?
「そうなんだ。よくこんな言葉がポンポン出てくるなと、あきれ」るほど。
ここまで頭が回れば、ほんと実生活でも困らないだろうなあ。
まあ、それはともかく、
そこでふたりは関係を持ち、
ヴィッキーの心は急速にファン・アントニオに傾いていく。
ところが、これもよくあることで、
ファン・アントニオは、もう目的は達したとばかりに、
クリスティーナにアプローチ。
彼女は簡単に落ちて、ついには一緒に暮らし始める」

----それは相当な男だニャあ。
「ところがそんな彼でもどうにも頭が上がらないのが、
彼を刺したという元妻マリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)。
そんな彼女がアツアツのふたりの前に突然、現れたことから…」

----ニャんだか。隣のスキャンダルを聞いて楽しんでいるみたいだニャあ。
「ま、ウディ・アレンの映画って
もともとそういうところあるよね。
本人たちは深刻ぶっているのに、
周りから見たら、なにそんなことで悩んでいるの?みたいな。
ところがいま、話しながら気づいたんだけど、
この映画で、ウディ・アレンはアンナ・マレーナに対して
一種の女性賛歌をやっているね。
アンナ・マレーナが出番は少ないものの実に強烈。
それまでの空気を一変させてしまう。
彼女が最後に取った態度には、思わず心臓がどきっ」

----ニャるほど。それじゃオスカーも当然?
「正直言うと、
ぼくはマリアのパートから少し欠伸ぎみだったんだけど、
とにかく、その結末には目を見張らされた。
まあ、どうでもいいような痴話が続くとも言えるけど、
ウディ・アレンはどうやらこう言いたいらしい
『人生には偶然、物事がうまく運ぶこともある。
でもそれは事前にはわからない。
だからとにかく“愛”に関しては、
人は柔軟じゃないといけないんだ』。
オープニングの微妙に揺れるクレジット、大時代的なナレーションなど、
これは生活苦などとはまったく無縁のセレブな人たちのお話。
でもよ~く見ると、あいかわらずの
ウディ・アレンならではの自虐的な目線が秘められたりも。
アンナ・マレーナとは逆に、
クリスティーナについてはかなり辛辣。
おそらく自分に近づく若い女性たちに、
彼女に代表される、
“自分はみんなと違うのよ”の“自分探し女性”が多いとみているんじゃないかな。
クリエイティブな仕事の男にばかり近づいていく…」

----で、カウンセリングの話も出てくるんでしょ。
これ、間違いなさそうだニャ(笑)。
 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ガウディとかミロとか観たいニャ」いいねぇ


※タイトルがうまい。まさしく“それでも”だ度

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『チョコレート・ファイター』(@「シネマのすき間」)

2009-05-19 21:04:14 | 新作映画
-----今回、カタログハウス「シネマのすき間」で取り上げたのは、
ここでは初めてとなるアクション映画。
しかもタイの映画というんだから興味津津。
それってパン兄弟のようなスタイリッシュなものかと思ったら、
まったく逆で、
『マッハ!!!!!!!』の路線を継承した
ノーワイヤー、ノースタント、ノーCGを売りものにした作品ニャんだって。
ニャるほど、これならえいが紹介するのも分かる。
今回は、映画の起源にまで遡っての蘊蓄話。
じっくり聞いてきちゃった。
タイトルは『チョコレート・ファイター』
一見、甘口な感じだけど、映画は辛口だよ。

          (byフォーン)

「ニャんと、あの阿部寛も出演。日本も北九州が出てくるよ」2009.4.7フォーン


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『セブンデイズ』

2009-05-17 22:12:02 | 新作映画
(原題:Sevendays)


----これが、昨日ちょっと話していた映画だね。。
『シュリ』キム・ユンジンが出ているんでしょ?
「うん。
なんでも韓国のシナリオ作家が選ぶ『シナリオ・オブ・ザ・イヤー2007』に選ばれ、
すでにアメリカでのリメイクも決定しているらしいよ。
その権利価格たるやなんと100万ドル。
オモシロいシナリオには目ざといハリウッドらしい話だけど、
それにしてもスゴイ金額だ」

----どういうお話ニャの?
「じゃあ、簡単にそのシノプシスを。
8歳の娘と暮らす敏腕弁護士ユ・ジヨン(キム・ユンジン)
勝率99.9%を誇る彼女に思わぬできごとが起こる。
運動会の親子リレーの最中、娘が誘拐されてしまったのだ。
解放の条件は、有罪判決を受けた容疑者の無罪釈放。
だが、その最終判決の日は7日後。
あまりにも時間がない。
彼女は国選弁護士の代わりに彼の弁護を引き受ける。
だが、娘を誘拐したのはいったい誰なのか?
罪を受けた男はほんとうに容疑者なのか?
疑問と葛藤に苦悩しながら、ユ・ジヨンの戦いは始まった!」

----なるほど。よくできたストーリーだ。
つまりユ・ジヨンとしては、
その容疑者がもしほんとうに罪を犯していたとしても
娘を救うためには、
彼を無罪にしなくてはならないわけだ。
「そういうことだね。
観ている方もユ・ジヨンと同じく、
誘拐犯はだれ? 容疑者はほんとうに犯人なのか?を
常に自問しながらスクリーンを見つめ、
ストーリーの行方を追うこととなる。
そういう意味では、これはミステリーの王道。
先ほど話題になった『チェイサー』(ナ・ホンジン監督版)
とは似て非なるもの。
実を言うと、映画としても
<容疑者の事件>と<娘の誘拐>、
このふたつを欲張りすぎたため、
少し息切れがしている感もないでもないんだけどね」

----どういうこと?
「<容疑者の事件>においては
やがて<隠れた真実>が明るみに出てくる。
それはそれでオモシロいし、見ごたえがあるんだけど、
その間、<娘の誘拐>の方が止まってしまう。
もちろん、最後の最後にこのふたつは結びつき、
なるほどと、納得のいく落ち着きどころを見せる。
でも、その息切れがちょっと残念」

----監督は誰だっけ?
『鬘 かつら』のウォン・シニョン
ユ・ジヨンが娘を幻視する映像処理、
あるいは娘が発見されるときの超ロングに引いた画など、
気に入ったシーンも多いんだけど、
細かいところで、なぜという疑問もわいてくる」

----どういうところが?
「たとえば、娘が運動会の親子リレー中に誘拐なんて、まずありえない。
『マルサの女』じゃないけど、
ヒロインはその忙しさのあまり、
娘と一緒の時間がなかなか作れない。
だとしたら、わざわざこんな人目につく時でなく
娘を誘拐する機会はいつでもあったはず。
まあ、悲劇感と衝撃性をより強く出そうとしたんだろうけど…」

----運動会と子供の誘拐。
阪本順治『トカレフ』も似たようなシーンがあった気が…。
「懐かしいね。
主演は大和武士
あれは、誘拐された息子の運動会の映像を
父親が観るシーンがせつなかった。
さて話をこの作品に戻して。
いろいろ注文つけたけど、
最近のミステリー・サスペンスの中では出色の出来だと思うよ。
ただ、くどいようだけど、
『チェイサー』には及ぶべくもない。
あそこには、その話法、映像の秀逸さに加えて
人間そのものの深淵を見つめていたからね。
それに比べてこの『セブンデイズ』に出てくる人間たちは類型的。
いずれもぼくのような凡人の頭で理解できてしまう」

----ニャるほど。異常さにもいろいろあるということだニャ。
 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「現実に続発している事件の方も怖いのニャ」いいねぇ


※頭を整理して臨んだ方がいい度

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『ROOKIES -卒業-』

2009-05-15 22:48:52 | 新作映画
※けっこう辛口です。
TVシリーズ『ROOKIES』がお好きな方は憤慨されるかも。
スルーしちゃってください。



----この映画、もとはTVドラマなんだって。
「花より男子」が持っていた国内ドラマのDVD初回出荷記録を上回っているとか。
「そうらしいね。
おそらく映画も記録的にヒットするんじゃないかな。
ただ、ぼくはいま興行成績トップを走っている
『余命1ヶ月の花嫁』とはまた違った意味で、
この作品にノレることができなかったな。
ぼくが考える“映画”とはあまりに違いすぎる」

----どういうところが?
まさか、主人公たちが高校生に見えないとか、
先生役の佐藤隆太と生徒役、
たとえば桐谷健太が同じ29歳だからとかじゃないよね。
「いや。それはまだ目をつぶれる。
『テニスの王子様』みたいな例もあるからね」

----じゃあ。どこだろう。
ストーリーかニャ。
熱血教師に惹かれたヤンキーたちが野球で引き起こす奇跡。
「それもまあ、いいかな。
野球をモチーフにしたら、
そんなに変化球は作れないしね。
『ひゃくはち』のような補欠目線の例の方が
うまくいきすぎていて怖いくらい。
大リーガーを目指す新入部員・赤星(山本裕典)が才能ありすぎて
甲子園に向かって一丸になるみんなを下に見て、部内に波風が起こり、
それが引き金となり主将の御子柴(小出圭介)が怪我をするとか、
試合中にキャッチャーの若菜(高岡蒼甫)が骨折して、
それをみんなに言わずに試合を続行するとか、
九回二死からミラクル大反撃とか、
まあ、こういうのもほとんどこれまでどこかで観てきた感じ。
いまさら、目くじら立てようとも思わないんだけど…」

----じゃあ、ニャにがノレなかったの?
「最初から最後まで一本調子なところ。
みんなハイテンション、ハイボルテージ。
大声で怒鳴っている。
受ける先生・川藤役の佐藤隆太もニコニコ笑って大声で訓示。
しかも、セリフがよく聞き取れない。
原作にあるキャラクターの個性を、
俳優それぞれが自分で解釈して演じている感じ。
背後にあるはずの演出がよく見えないんだ」

----そんな辛口言っちゃっていいの?
「だから最初に断ったでしょ。
でもプレス読んだら、
劇場版から新しく加入した濱中役の石田卓人でさえも、
TVシリーズを観た感想として『暑苦しいな』と思ったと言っているし、
ぼくみたいな門外漢の中には
同じように感じる者がいてもおかしくないんじゃないかな」

----じゃあ、なぜ喋っているの?
ノレない作品はスル―するはずでは?
「う~ん。
おそらく大ヒットするの間違いないし、
楽しみに公開を待っている人は多いだろうから、
断り書きにもかかわらず読んでくれた人のため、
ぼくなりに、劇場版の見どころを語ろうかと。
余計なお世話かもだけど…。
まずびっくりしたのは、これまで他の映画では見たことのない
安仁屋役・市原隼人のワイルドな魅力。
次に、これまで以上にユーモラスな桐谷健太。
石田卓人との名コンビぶりは、ほんと楽しい。
そうそう、湯舟役の五十嵐隼士
フォーンそっくりの言葉を使っているのもビックリなのニャ。
あれっ?」

 
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「それ、TVのファンはみんな知ってることなのかもニャ」もう寝る


※またまた、言いすぎてごめんなさいだ度


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『夏時間の庭』(@「シネマのすき間」)

2009-05-12 22:06:05 | 新作映画
-----2週間ぶりにお邪魔したカタログハウス「シネマのすき間」
今日、取り上げた映画『夏時間の庭』には、
普段は目にすることのできない絵画や器といった美術品がいっぱい。
なんでも、フランスのオルセー美術館が全面協力したのだとか。
えいは、どこからそんなことを思い出したのか、
TVの「進め!電波少年」なんかの話をし始めたけど、
帰り道に聞いたら、
お手伝いのおばあさんが、
庭のバラの花にそっと口付けしているシーンが
いちばん印象に残ったんだって。
ちょっと意外だよね。

          (byフォーン)

「そうそう。クリント・イーストウッドの息子カイル・イーストウッド
ジュリエット・ビノシュの恋人役として出演。
『センチメンタル・アドベンチャー』の少年も大きくなったものだニャあ」2009.4.7フォーン


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コトリ・ロゴお花屋さんも『夏時間の庭』がお気に入り。(こっそりプレゼント

『ハゲタカ』

2009-05-11 21:41:31 | 新作映画
-----ハゲタカという言葉、イメージがよくないニャあ。
一時期、ハゲタカ・ファンドとかいうのもなかった。
「うん。これはまさしくそれ。
現代社会の根底をなす経済構造を描いている。
ちょっと前にNHKでミニ・シリーズとして放映され、
世界でも権威のある国際番組コンクール『イタリア賞』を始め、
国内外で数々の賞を受賞したらしい」

----へぇ~っ。そうニャんだ。
でも経済の話って、ニャんだか難しそうな気がするニャあ。
それに監督がテレビ畑の人だと、あまり期待できそうにないし。
「観るまではぼくもそう思っていたんだけど、
これが実にオモシロい。
確かに経済に興味がないとついていけない部分もあるけど、
まあ、この映画は
敵対的買収であるTOB(株等の公開買い付け)と、
それを仕掛けられた対象会社を、買収社に対抗して友好的に買収または合併するホワイトナイト
このふたつを知っていれば、後はいいんじゃないかな。
映画の流れに身を任せるだけで、自然と分かってくる。
この映画版では、中国政府が『日本を買い叩け!』と、
劉一華(玉山鉄二)に指令を出すところから物語はスタート。
やがて“ハゲタカVS赤いハゲタカ”の壮絶な買収戦争が始まる。
このハゲタカ=天才ファンドマネージャー・鷲津政彦を演じるのが大森南朗
どうやら、彼は日本のマーケットに絶望して海外生活を送っているという設定。
このあたりはテレビを観ていないぼくでも分かるように作ってあるのが嬉しい。
その鷲津のもとに、
中国系巨大ファンドに狙われたアカマ自動車を救ってほしいと訪れたのが、
彼のかつての盟友・芝野(柴田恭兵)。
この柴田恭兵がなかなか泣かせる役で、
『こんな時代だからこそ、夢や希望を語るリーダーが必要』と、
アカマの社長・古谷(遠藤憲一)に訴える。
芝野は、子供のころからアカマの車に憧れていたんだね。
ところが古谷社長は
『憧れや夢。そんなもので飯が食えるほど生やさしい時代じゃない』と言い放つ」

----へぇ~っ。シビアな話だニャあ。
モデルがありそうだね。
「おそらく。
赤いGTがポイントになるしね。
この映画、これに限らず、印象的なセリフがポンポンと飛び出してくる。
いま社会問題化している派遣労働者についても映画は言及。
この会社では彼ら派遣工員を担当しているのは人事部じゃなく調達部。
劉に巧みに言い寄られ、利用される派遣工員・守山に高良健吾
『自分たちは誰かになってはいけないんです』となかば斜に構えていた彼が
劉の言葉によって変貌を遂げる。
『誰かになるんだ!』とアジテーションするさまは、観ていてほんとうに辛い。
社長の守山に対する目線、これまた厳しい。
『信念を持っているヤツは正社員にすると必ず面倒なことになる』」

----その守山。つくづくイヤな男だね。
主人公の鷲津は彼のために一肌脱ぐんでしょ。
ニャんだかノレないニャあ。
「さあ。どうかな。
映画は、劉の攻勢の前に、
さすがの鷲津も後手後手に回る。
でも、もちろんこれで終わるはずはない。
そこに現代社会に大きな影を落としているリーマン・ショックを取り入れているんだから、
この映画の作りは実にうまい。
企画の最初の時点では、まだリーマン・ショックも世界同時不況も起きてはいず、
急遽、現実の経済状況の激変にあわせて脚本も変えていったようだ。
そうそう。鷲津の次の言葉も響いたね。
『強くならなきゃ人を殺してしまう。
それが資本主義だ』」

----うわあ。そこまで言う。。
「うん。この映画は小泉改革もはっきりと批判している。
『既得権者はいつだって弱者を食い物にする』とね。
映画は、この経済だけでなく、
もっと根底のところで、
“人間である限り、夢を持つのはごく当たり前のことであるし、
本来ならば、それを心に持ち続けてほしい……”と
言っているようにも聞こえる。
途中、テレビ『太陽にほえろ』を思わせる、
ちょっとやりすぎのシーンもあるけど、
それでもラストは泣けたね。
まさかこの映画で泣けるとは、ぼく自身予想外だったね」




フォーンの一言「松田龍平、栗山千明も含め、役者がいいらしいのニャ」身を乗り出す

※なかでも玉山鉄二と高良健吾はいい。高良は今年の新人賞候補だ度


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『天使と悪魔』

2009-05-07 22:07:57 | 新作映画
(原題:Angels and Demons)


-----この映画、あの『ダ・ヴィンチ・コード』
の続編ニャんだって。
「宣伝としては、そうしたいところなんだろうけど、
ダン・ブラウンが書いた原作はその順序が逆。
『ダ・ヴィンチ・コード』が大ヒットしたことだし、
それにあやかってということだろうね」

----でも、主人公は同じロバート・ラングドン教授ニャんでしょ?
「うん。演じているのも同じトム・ハンクス
監督も引き続きロン・ハワードが担当している」

----へぇ~っ。そうニャんだ。
確か、『ダ・ヴィンチ・コード』の方は、
あまり気に入ってはいなかったよね。
今回はどうだった?
「いつも言っていることだけど、
こういうベストセラーの映画化作品について語るのはほんとうに難しい。
まず、原作ものということで、
ストーリーを語ることの意味はなくなってくる。
映画化した以上は、映画としての特性、魅力について見ていかなくてはいけない。
ぼくは、この原作を読んだとき、
映画に向いているけど、まず映画化は無理と思っていた。
ところが、なんとやってのけた。
これには素直に敬意を表したいな」

----どうして映画化は無理と思ったの?
「だって、舞台がローマとヴァチカン。
しかも物語のカギとなるのが実在する教会や遺跡。
内容が内容だけにヴァチカンが許可するわけはないし…。
しかもそれに加えて前作『ダ・ヴィンチ・コード』で
ヴァチカンの高官の怒りを買ったという経緯があるからね。
本作(映画)では、そのことを逆手にとって
ラングドンの口からヴァチカンとは“冷戦状態”という内容のことを喋らせるなどの“遊び”も」

----へぇ~っ。ニャかニャかやるニャあ。
ところで今回もミステリーなの?
『ダ・ヴィンチ・コード』は駆け足で、
謎解きをじっくり描いていなかったと言っていなかった?
「ミステリはミステリーだよ。
原作を読んだとき、
ぼくは、
裏で糸を引く犯人が誰なのか、
最後まで見抜けなかったもの。
でも、この映画を初めて観た人はどうなんだろう?
写し方や会話などで
すぐ分かってしまうんじゃないかな。
もっとも、これはぼくがすでに真相を知っているからかもしれないけど…。
ただ、その<ミステリー>は横に置いても、
タイムリミット・サスペンスの方は
かなりうまくいっていたんじゃないかな。
狭い街中を右へ左へ。
時間と勝負しつつ車を駆使して動きまわる。
さすがロン・ハワード。
こういう映画的表現は手慣れたもの。
それと脚色の方も今回の方。
思い切った省略で
『ダ・ヴィンチ・コード』に観られた
“全部語ろう”からくるドタバタ感はなくなった。
ただ、省略しすぎの感もがなきにしもあらずだけど…」

----そもそも、これはどういうお話ニャの?
「じゃあ、かいつまんで。
“イルミナティ”と呼ばれる、
すでにこの世には存在しないはずの秘密結社が
ローマ教皇亡き後に行われる、
新しい教皇の選挙=コンクラーベに乗じて復活。
次の教皇の最有力と目されている枢機卿4人を誘拐。
一時間おきに“EARTH” “AIR”“FIRE”“WATER”にちなんだ方法で処刑。
しかも胸には、なんとそれらの文字が“アンビグラム”になった焼印を押す。
一方で、彼らはスイスにあるセルンの素粒子研究所から
究極の大量破壊兵器となる反物質を盗み、
ヴァチカンを消滅させてしまおうと企てる。
これを阻止するべく呼ばれたのがラングドンと
セルンの科学者ヴィットリア(アイェレット・ゾラー)
はたして彼らは時間までに4人の枢機卿が処刑される場所、
そして反物質が隠されている場所を探すことができるか……。
こういう話だね」

----ニャに?そのアンビグラムって?
「文字を180度回転させたり、
鏡に写したりしてできるデザインのこと。
実はこれは今回、初めて知ったんだけど、
ダン・ブラウンは1990年代にミュージシャンとして活躍していて、
『天使と悪魔(Angels&Demons)』というCDのジャケット・デザインを
アンビグラムが得意なグラフィック・アーチストに依頼。
そのアーチストの名が、なんとジョン・ラングドンというらしい」

----へぇ~っ。それ聞いただけで得した気分だ。
今日はもういいや。
「あらあら。もう少し付き合ってよ。
ところが、前作のダ・ヴィンチに隠された謎の解き明かしと同じく、
今回も、それらアンビグラムはちらっとしか見せてくれない。
他にもラングドンと一緒に行動するヴィットリアのキャラ説明が思いっきり省略。
彼女と父親の物語が全く出てこない。
前教皇の侍従カメルレンゴ(ユアン・マクレガー)にしてもそう。
いきなり自らヘリを飛ばすけど、
原作を読んでいない人にとってはこれは唐突だろうなあ。
実は、この二つは
宗教と科学という、このお話のテーマに深くかかわる部分。
だからと言って、先に原作を読んだがいいよとも言えないし。
こういう映画の説明は本当に難しいや。
あっ、最後に一言。
群衆シーンは圧巻。
クライマックスはこの映画とそっくりな展開を見せる『20世紀少年<第2章>最後の希望』も、
この程度、しっかりとモブシーンをやってくれると、
現代の万博の狂熱が出せてよかったんだけどなあ」




フォーンの一言「ニャんと、ダン・ブラウンはシリーズ第3作目も執筆中らしいのニャ」身を乗り出す

※次も先に読むのか、これは迷うところだ度


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画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

ジョシュア・ベルのヴィオリンもおススメ。

『ディア・ドクター』

2009-05-06 22:42:34 | 新作映画
----これって『ゆれる』
で一躍時の人となった西川美和監督の新作だよね。
待ち望んでいた人も多そうだけど…。
「うん。彼女は処女作『蛇いちご』以来、
オリジナル脚本で勝負してきている。
原作ものが多いいまの日本映画界にあって、
それだけでも貴重な存在と言えるだろうね。
しかも、描かれる世界が
これまでの枠にハマった人間描写ではなく、
その奥にある“闇”をえぐり取っている。
それだけに今回も期待していたんだけど…」

----あれっ。その言い淀み方からすると、
期待ほどでもなかったのかな。
確かこの映画は「ニセ医者」の話。
しかも、あの鶴瓶が主演だよね。
絶対にオモシロくなりそうな予感がするけど…。
「うん。
ところがこれまでの2作ほどの衝撃はなかった。
なぜかなと考えてみたんだけど、
これは、設定自体が衝撃的で、
映画を説明しようとすると、そこだけですんでしまうことに
問題がある気がする。
ある医者が辺鄙な村にいて、
そこにやってきた研修医(瑛太)は、
あまりにも型破りなその医者をときおりいぶかしみながらも、
次第にこれぞあるべき医療の姿だと思っていく…。
さっきも言ったように、この枠組が衝撃的なため、
その余白と言うか、
“影”の部分がいくら描かれても、
これを超えることがないんだ」

----ニャるほど。少しわかってきた。
前の2作は、物語が進行していくにつれて、
人間の感情の「負」のパワーに引きずり込まれる感じがあったよね。
「そうなんだ。
これは一つには鶴瓶をキャスティングしたところに
問題があった気がする。
彼は日本中、だれからも親しまれているキャラクター。
そのイメージが強すぎて
さすがの西川美和も壊すことができなかったんじゃないかな。
もちろん、だれもが北野武である必要もないんだけど…」

----そうか。主人公を演じる人が“いいひと”すぎるんだね。
「そういうこと。
だから、本来ならば、
サプライズであるはずのエンディングも
あたたかくやさしい方に流れて、
西川美和監督ならではの“毒”が感じ取れないんだ。
あと、これはぼくの勝手な観方で申しわけないけど、
この手の“病院モノ”を観る時、
気になるのが“健康保険”の問題。
そこを考えると、
彼が長い間、ニセ医者だということがバレなかったというのが
どうにも分からなくなってくるんだ。
まあ、こう、いろいろ言いたくなるのも、
西川美和監督に期待するモノが多すぎるから。
彼女には、普通のヒューマニズム作家で終わってほしくないからなんだけどね」

  
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、やはり観てみるのニャ」いいねぇ


※言いすぎてごめんなさいだ度

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『重力ピエロ』

2009-05-05 22:22:51 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



-----これって人気の伊坂幸太郎の原作ニャんでしょ。
彼の小説って次々と映画化されているよね。
「そうだね。
やはりそれだけ人気が高いってことだろうね。
この映画を観ると、その理由もおぼろげながら分かる気もする。
間違っているかもしれないけど…」

----その理由って?
「ぼく自身は原作を読んでいないし、
これはあくまで『映画を観て』のカッコつきだけど、
彼の本は、
この困難な時代を生き抜くための一種のバイブル的な役割を果たしていると思うんだ」

----バイブル?それはまた大きく出たニャあ。
どういうところでそれを感じたの?
「『重力ピエロ』。実はこのタイトルにそれは、はっきりと表されている。
『空中ブランコ、ピエロは怖くないのかな?』と、問いかける子供。
それに対して彼らの両親は言う
『ピエロが空中ブランコから飛ぶとき、
重力のことを忘れてるんだ』
『地球の重力なんて消してしまえるんだよ』
『私たち、そのうち宙に浮かぶかもね』」

----ぷっ。脳天気な家族だニャあ。
「いや、そうじゃないよ。
この映画のスタッフは主人公のひとり
兄の泉水を演じた加瀬亮に、こう言ったらしい。
『これはアッパー家族の話じゃないか?』と。
ここに描かれているのは、
レイプ犯によってその幸せを壊された家族の物語。
ところが、そんな悲惨な中にあっても彼らは前向きに生きていく。
『本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ』。
『その場限りの安心感が人を救うこともあるんだよ』というのもその一つ」

----ニャるほど。だから、キャッチコピーが
「家族の愛は、重力を超える。」か。
でも、これってミステリーだとばかり思っていたけど…。
「それは確かにそう。
物語のアウトラインはこう。
仙台市内で連続放火事件が起こる。
弟の春(岡田将生)は、
その現場の近くに謎の落書きが出現していることに気づく。
この落書きを放火犯からのメッセージと考えた春は、
半信半疑の泉水を張り込みに誘う。
だがそれはやがて、24年前から今へとつながる家族の秘密を明らかにしてゆく」

----その秘密が、泉水がレイプ犯の子だったということか。
でもそんなこと、ここでバラしちゃっていいの?
「いや、いいみたいだよ。
ぼくもその“秘密”がクライマックスで明らかになるという映画かと思ったら、
なんと開始早々に、
すでに過去に起こった、近所の誰もが知っている事実として観客に提示される」

----えっ。近所の人まで知っているの。
それは暮らしていきにくいだろうね。
「そう。フォーンが想像した通り、周囲は彼らを白い目で見る。
それに対して、父が母が、そして兄が一致団結して立ち向かい、
まだ、レイプの意味を知らない弟を守る。
これもこの映画の重要なポイントだ」

----じゃあ、ミステリーの部分って?
「それは<放火>。
そしてもう一つのポイントとしては刑期を終えて戻ってきたレイプ犯だね。
あっ、でもさすがにこれ以上は喋らない方がいいだろうね。
しかし、この映画を観て感心したのは、至るところに張られた細かい伏線。
遺伝子の研究をしている泉水、
落書き消しをする春、
病と闘う父。
彼らの行動、言葉がすべて有機的に繋がってくる」

----ふうん。監督は誰だっけ?
『Lundry』森淳一
『CGは空気感を描くところまでは進歩していない』と言う彼だけあって、
CGに頼らない実にセンシティブな空間を作り上げている。
あ、あとこれは原作にもあるのかもしれないけど、
印象的だったのが次のガンジーの言葉。
『(見たいと思う)変化になりなさい』」

----ニャんだ。それ?
「いいの。フォーンは分からなくても。
でも、これネットで調べてもいろいろな訳があるみたい。
ちょっと本を買ってみようかな」




フォーンの一言「渡部篤郎がスゴく悪い男をやるらしいのニャ」ご不満


※人を作るのは遺伝か環境かもポイントだ度


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『消されたヘッドライン』

2009-05-04 13:01:54 | 新作映画
(原題:State of Play)

※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



「う~ん。
これは困ったなあ」

----えっ。どうしたの?
なにか問題でも?
「いや、実はこの映画、
観ている間はけっこう気に入っていて、
ある意味、感動すら覚えていたんだけど、
観終わった後、ある人に
『最初から、筋が読めちゃって
そうなったらもうオモシロくなくなった』と言われて…。
ぼくなんか、まったく予想がつかない展開だったからね」

----つまり、自分の意見なんて、
ちょっと人に水差されただけで変っちゃうものと、
自信がなくなっちゃったわけだ。
そりゃ、確かに困った(笑)。
「そう、決めつけないでよ(笑)。
それよりも、自分もそういう風に、
ほかの人の感動に水を差していることもあるのかもと…」

----でも竹中直人も言っていたじゃない。
「人の人生の価値観の数だけ評価の数がある」みたいなこと…。
まずは、そのストーリーを聞かせてよ。
「舞台はワシントンD.C.。
ドラッグ中毒の黒人少年が裏通りで何者かに射殺。
偶然に現場を通りかかったピザ配達の男も口封じのために撃たれ、
重傷を負ってしまう。
翌朝、議員コリンズ(ベン・アフレック)のもとで働く聡明な女性職員ソニアが地下鉄で自殺。
それを知らされたコリンズが動揺し、
テレビ中継中に涙を見せたことから、
実は彼女がコリンズの愛人であったことが白昼のもとにさらされてしまう。
このニュースを知ったベテラン記者のカル・マクフリー(ラッセル・クロウ)は、独自の捜査を始める。
コリンズはカルの大学時代の友人。
コリンズが、ある民間軍事企業と国家との癒着を追及していたことから、
カルはそこに、きな臭いにおいをかぎ取ったわけだ。
カルは前夜の黒人射殺事件と、
ソニアの死の間に、あるつながりがあることを発見。
やがて背後に横たわる大きな闇が姿を現す……」

----へぇ~っ。すっごく、オモシロそうじゃニャい。
「確かに。先の読めないストーリーに翻弄されっぱなし。
これまでにも『大統領の陰謀』を始め、
<真実>を追う記者の物語というのはいくつもあったけど、
この映画は、そこに現代ならではの視点を加えるんだ」

----現代ならではの視点?
「カルが勤める新聞社ワシントン・グローブ紙は経営陣が入れ替わったばかり。
彼の上司である編集局長キャメロンは言う。
『問題なのは、この新聞社の経営悪化よ』。
そう、彼女は特ダネのためには三流ネタも利用せざるを得ないという立場。
このキャメロンを演じるのはヘレン・ミレン
ジャーナリストでありながら、経営サイドに自分の身を移行しようとしている、
その<転身>過程にある上級管理職をこの上なく巧みに演じていたね。
もう一つの視点というのが
現代のジャーナリズムにおいてWEBの占める存在。
担当はデラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)という女性記者。
ゴシップ担当と軽んじられながらも購読者数が多いこともありプライドも高い。
そんな彼女がカルの相棒に。
こういうとき、よく二人の間には男女の感情が芽生えるものだけど、
この映画は、そんなのまったくなし。
そういう意味でも、これはバディ・ムービーとしてのオモシロさも併せ持つ」

----ニャるほど。現代的という意味が少し分かってきた。
でも、物語そのものは正義が巨大悪を追及するという
けっこう、ありふれたものだよね。
「ところが、かつてと違ってこの映画は、
<正義に対峙するのは悪しき体制>というような、
分かりやすい構図を選び取りはしない。
と、実はここからが書きにくいところなんだけどね。
途中、劇中の某人物が『あれっ?』と思わず目を疑ってしまう、
(これまでのこの手の映画ではありえない)感情的態度を取る。
『なるほど、これが今の時代か…』と、複雑な感想を抱いていたら、
映画は(少なくともぼくにとってはだけど)思わぬ落としどころを見せる。
そのどんでん返しも含め、
凝ったストーリーに感心しつつ素直に
『これは新聞記者たちにエールを送った映画』だと感心していたところに、
冒頭に紹介した『予想通りの展開』の言葉」

----(笑)。確かにそれは困っただね。
「でしょう。
でも、観ている間はほんとうに
手に汗を握る緊迫した時間が続くんだ。
ラッセル・クロウ扮する主人公も
新聞記者ってこんなに大変なの?とびっくりするほどの
危険なアクションを見せてくれるし、
スリルとサスペンスがふんだんにちりばめられている。
実はこの映画は、3人もの脚本家がクレジット。
一人が、最近、 『フィクサー』
『デュプリシティ スパイはスパイに嘘をつく』などで話題のトニー・ギルロイ
あとは 『キングダム 見えざる敵』 『大いなる陰謀』を手掛けているマシュー・マイケル・カーナハン
そして 『アメリカを売った男』の監督・脚本のビリー・レイ

----そんなにビッグ・ネームばかりがそろって脚本作りなんてできるの?
「ぼくもそれが不思議なところ。
だれかひとりが基本ラインを作って、
それを基に、他の人が膨らませていったのか、
それともスタジオ側が最初の脚本が気に入らずに、
次々と脚本家を変えていったのか? 」

----まさか黒澤明の時代みたいに、
旅館に何日も泊まり込んでみんなで仕上げたとか…。
それはないよね(笑)。
  
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ラッセル・クロウ、あいかわらず太ったままニャ」身を乗り出す

「監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』ケヴィン・マクドナルドだ度

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画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。