ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『人生万歳!』(ウディ・アレンならではのコメディ)

2010-10-31 18:07:44 | 新作映画
(原題:Whatever Works)

----これってウディ・アレンの映画だよね。
舞台がニューヨークに戻ったんだって?
「うん。
それもあってか、なんとも懐かしいタッチの映画だったね。
描かれているのは、
あいもかわらずの
スノッブなオヤジのグダグダとした自虐的よた話。
何かと言えば、すぐ悲観的になって自殺しようとしたり、
それでいて若い女性にときめいちゃう。
まあ、そういう意味では、
あんまりストーリーを説明しても新味はないかも」

----あらあら。ずいぶんと辛口。
「あっ、ヤバいヤバい。そんな風に聞こえたか。
でも、この映画は最近のウディ・アレンの中では、
もっとも楽しめた作品。
実は彼が1970年中ごろに執筆しながら、
ある事情でお蔵入りになっていた幻の脚本を
持ち出してきての映画。
それもあってか、作風があの頃流行った手法。
たとえば、出演者がスクリーンに向かって観客に話しかける。
60年代に、
ベケットの異化効果とやらを映画に引用した映画が
数多く作られたけど、
そういう感じ。
で、アレン映画らしく
とにかく喋って喋って喋りまくる。
それも毒舌いっぱいにね」

----で、その役をまたまたウディ・アレンがやるわけ?
「いや。そうじゃないんだ。
ラリー・デヴィッドというアメリカのコメディアン。
これが功を奏したね。
アレンよりガタイがいいし、
神経質的な感じが和らいでいる。
同じ皮肉っぽい男を演じても
役者によってこうも変わるのか?
という感じだね。
ぼくは少しミシェル・ピコリを思い出したけどね。
で、その主人公ボリスが都会に出てきた
若い女性メロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)にあれやこれや、
世の中の真実(?)について教える。
そうそう、このボリスというのが、
ノーベル賞候補にもなった天才物理学者という設定。
いわば、現代のピグマリオン。
アレン風『マイ・フェア・レディ』
あるいは『プリティ・ウーマン』
さて、そこにメロディの母親マリエッタが現れ、
物語は混とんとして行く…」

----楽しそうじゃニャい。
「うん。
このマリエッタを演じるパトリシア・クラークソンがいいんだ。
最初からボリスに対して敵愾心むき出し。
そのため、ふたりが離れるようにあの手この手。
ついには、ハンサムな男との偶然の出会いまでセッティング。
一方では、写真の才能を開花させ、
ふたりの男と同居するという刺激的な暮らしまで始めちゃう。
まあ、後は観てもらった方がいいかな」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ウディ・アレンでこんなにほめるのは珍しいのニャ」気持ちいいニャ

※アレンのよさが出た映画だ度

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『ロビン・フッド』(リドリー・スコット&ラッセル・クロウ)

2010-10-30 00:09:45 | 新作映画
(原題:Robin Hood)

----リドリー・スコット&ラッセル・クロウ
この顔合わせって多いよね。
「そうだね。
ふたりの代表作は
アカデミー作品賞に輝いた『グラディエーター』
あの映画は、その後の歴史劇ブームに火を付けた。
そんな彼が、この作品で脚本に迎えたのが
『L.A.コンフィデンシャル』ブライアン・ヘルゲランド

----へぇ~っ。それはオモシロそうだ。
「でしょ。
リドリー・スコットと言えば、
光と影のビジュアリスト。
そこに、脚色の名手が加わり、
誰もが知っている英雄を描くわけだから、
期待するなという方が無理」

----そうか。安心して観られるって感じニャんだね。
「ところがところが…。
この映画は、ある変化球を用意している。
フォーンは、ロビン・フッドと聞いて何を思い浮かべる?」

---- 金持ちからモノを盗み、
貧しい者に分け与える森に住む義賊かな…。
でも、これってちょっと童話っぽい…。
「だよね。
この物語、アプローチとしては
うんと子供よりにすることもできた違いない。
でも、ここで描かれるロビン。
それは、
“自分は何者か?”の自己発見の旅を続ける男。
実はロビンは5歳のとき、父親の処刑に立ち会っていて、
その記憶は彼の中から消えている」

----なぜ彼の父親は処刑されたの?
「万人の平等な権利を求める自由憲章を創案した…
と、もちろんこの映画の中での話だけどね。
その血はロビンにも流れていて、
彼は、領地を奪い、重税を取りたてるイングランド王に対して
自由憲章の発行を約束させるんだ。
これにより、王に反旗を翻そうとしていた貴族たちの心は一つに。
折しもドーバー海峡から攻め入ろうとしていた
フランス軍に対しても力を合わせて立ち向かう。
こういう、リーダーというか、カリスマ的な役をやらせたら
やはりラッセル・クロウはピカイチだね」

----ということは、映画のクライマックスはそのフランス軍との戦いだね。
「そういうこと。
その迫力は推して知るべし。
さて、この映画によると、
ロビンは獅子心王リチャード1世の十字軍遠征に参加し、
命を落とした王の王冠をイングランドへ持ち帰ったという。
で、そのときに
ノッティンガムの騎士ロクスリーから
領主である彼の父に剣を届けてほしいと頼まれる。
で、そのロクスリーの妻が、
かのマリアン(ケイト・ブランシェット)だった、
と、こういう流れになっている」

----なんだか、できすぎた話だニャあ。
「うん。
これらはすべて元からある伝説なのか、
それともヘルゲランドによる創作なのか?
いずれにしろ、これは『ロビン・フッド ビギニング』。
伝説の始まりとして観るには、なかなか楽しめる。
ただ、これがシリーズ化されるとは思えないけどね」

----それはだれも最初から考えてニャいと思うよ。
「あらら」


                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「男の子は、だれもが憧れる英雄なのニャ」いいねぇ

※まるで分厚いステーキのような映画だ度

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画像はオフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

『エクスペリメント』(『es [エス]』のハリウッド版)

2010-10-28 21:17:44 | 新作映画
(原題:The Experiment)

----これって、ドイツ映画の『es [エス]』と同じって聞いたけど?
「うん。アメリカのスタンフォード大学心理学部で、
心理学者フィリップ・ジンバルドーの指導の下に行われた、
ある有名な実験を基にしている」

----それって、どんな実験?
「刑務所を舞台にし、
実験者が看守と囚人に分かれてその役割を演じる。
そのことで、ジンバルドーは
普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、
その役割に合わせて行動してしまうということを証明しようとしたんだ。
なんでも、被験者には高額の謝礼が用意されたらしい」

----あまり、品のいい話じゃなさそう。
いやな結末が待っていそうだ。
「そうなんだよね。
彼の思惑通り、
看守役は誰かに指示されるわけでもなく、
自ら囚人役に罰則を与え始める。
耐えかねた囚人のひとりは…
というのが、実際の実験のお話。
これを基に、今回のアメリカ版では
いくつかの新しい意匠を加えることで、
さらなる緊張感を出している。
その最たるものが“監視者”と呼ばれる赤いランプ。
被験者にルール違反があったら監獄内の赤いランプが点滅するという仕組み。
つまり、彼らは常に監視されている。
その監視の目を気にしながら、
看守側は、自分のサディスティックな行為をエスカレートさせていく」

----サディスティック?
「看守側に回った被験者の中には、
性欲異常者やふだんは抑圧されている者など、
日常に何らかの問題を抱えている者が多く配置されている。
彼らは、その欲望やストレスを発散させていくんだ。
でも、やりすぎたら実験は中止。
分かりやすく言うと、なんらかの暴力行為が行われたらそこで終わり。
謝礼は彼らの手には渡らない。
というわけで、
看守側の被験者たちは、
その行為が“非暴力”の範囲内かどうか、
それを推し測りながら、懲罰をエスカレートさせていく。
ところがいつの間にか、
自らをを正当化しつつ暴力本能が暴発!
このさまがなんとも凄まじい。
さて、こちら、看守のリーダー、バリスを演じるのはフォレスト・ウィテカー
最初は、きちっとスーツを着ていただけに彼の豹変ぶりは鮮烈。
片や受刑者側のリーダーを演じているのが失業したばかりのトラヴィス。
彼は反戦主義者で、少し時代遅れの感がないでもないヒッピー風のヤサ男。
演じるのはエイドリアン・ブロディ

----受刑者にもリーダーはいるの?
「うん。トラヴィスは看守側の攻撃に屈せず理性を保とうとする。
自分たちの尊厳を守ろうというわけだ。
ところがそれが彼ら看守側の怒りに火をつけて、
彼は、ここにはとても書けないような辱めを次々と受けてしまう。
さあ、極限まで追い詰められたトラヴィスがどのような行動に出るか?」

----ゴクっ。
「ヒントは、次のセリフに出ている。
囚人側の仲間のひとりが、
今回の体験を基に、
“人間とサルは変わらない”という考えに同意を求めたとき、
彼はこう答える。
『いや、人間は行動を起こせる』。
他の動物とはそこが違うというんだね」

----なんだか、耳に痛いニャあ(汗)。
「実を言うと、
この映画、最初はそんなに期待はしていなかったんだ。
でも、やはり、映画は俳優の力って大きいね。
この主演ふたりに関わらず、
ほかにも印象的な役者が大挙して出演。
クリストフ・コリンズ・Jr、そしてイーサン・コーン
なかでもTV『OC』のキャム・ギガンデットの異常ぶりは強烈。
監督はポール・シェアリング
TVドラマ『プリズン・ブレイク』の企画・製作総指揮ということらしいけど、
実にそつのない演出だったね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「役者がうまいと安心して観られるのニャ」もう寝る


※囚人側が立ち上がるとき、興奮なクライマックスに達した度

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『マチェーテ』(肉食系女たちがカッコいい!)

2010-10-26 23:28:14 | 新作映画
※ちょっとネタバレ部分も。
あっと驚きたい人は、
本篇をご覧になってからお読みになることを、
おススメいたします。


(原題:Machete)

----おおっ。
これって確か『プラネット・テラーinグラインドハウス』のとき話題になった
フェイクの予告編『マチェーテ』から生まれた作品だよね?
「そう。そうなんだ。
で、結論から言うと、
これが予告編なんかはるかにしのぐオモシロさ。
個人的には、いま大ヒットしているあの映画なんか目じゃない。
ぼくの求めるアクション映画は、まさにこれだね」

----へぇ~っ。そこまで誉めるなんて信じられニャい。
どこがそんなにハマったの?
「一つひとつのカットに魂がこもっている。
なんて、いきなりスピリチュアルな言い方をしてしまったけど、
分かりやすく言えば、画つくりが丁寧なんだ。
でも、それは何も、はっきりくっきり見せているということじゃない。
たとえば、この映画ではナイフで切られて首がすぱすぱ飛ぶし、
体に釘だか杭だかを打ちつけるような、
本来なら目を開けていられないような残酷なシーンが次々と登場。
でも、それが“映画の中の嘘=約束事”として節度を持った描き方がなされている。
だから、純粋にアクションとして楽しめちゃうんだ」

----丁寧でいて節度あり?
それは難しそう。
だけど、お話自体は荒唐無稽ニャんでしょ?。
「そう。しかも
複雑なようで単純。
フライヤーの裏に書いてある文言を引用すると
こうなる。
『罠にはめられ失職した一匹狼の元メキシコ連邦捜査官、マチェーテ(ダニー・トレホ)。
国境を越え、アメリカに渡った彼は
不法移民嫌いの米政治家の暗殺を依頼されるが、
それもまた新たな罠だった…』。
で、そのマチェーテの前に現れる女たちがみんなエロカッコいい。
移民関税執行局(ICE)職員にジェシカ・アルバ
母親と裸で戯れるマフィアの娘にリンジー・ローハン
そして筋肉隆々、表向きはタコス売りの女戦士にミシェル・ロドリゲス
ここまで肉食系の戦う女が出てきたのは、
もしかして『アマゾネス』以来かも。
一方でまた、悪役が魅力的。
いつもは、なぜか風貌とは似合わない正義の観方に扮しているスティーブン・セガールがメキシコの非情な麻薬王。
一説では、『エクスペンダブルズ』への出演を断ったとも言われているけど、
こっちに出るためだったらそれは大正解。
刀を振り回し、最後は切腹まで見せてくれる。
で、移民を嫌う人種差別の米上院議員にロバート・デ・ニーロ
彼がまたおかしい。
命ほしさに、さっさと自分の立場を変えちゃう。
他にも、チーチ・マリンがマチェーテの兄貴で牧師の役。
ドン・ジョンソンが自警軍の兵士。
と、俳優だけでも見ごたえ十分。
しかも監督ロバート・ロドリゲスが目指したのが、
ラテン・フレーバーを持ったアクション映画。
彼はジョン・ウー監督の
『ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌』『狼/男たちの挽歌・最終章』に刺戟を受けたというんだ」

----ニャるほど。納得。
えいは、ああいうの好きだもんね。
「そういうこと。
一見、派手にドンパチやっているように見えても、
そこには様式的な美学がある。
あと、忘れてはならないのがユーモア。
『マチェーテ、メールしない』を始めとする
マチェーテのセリフのいくつかは、
それこそ名セリフとして、この後、長く語り継がれるだろうね。
そうそう、『腸の長さは身長の10倍』らしいよ」

----ニャんだ、それ。


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「興奮して帰ってきたのニャ」おっ、これは


ジョン・ウー+サム・ペキンパーだ度

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『信さん 炭鉱町のセレナーデ』

2010-10-24 13:28:47 | Weblog
----“信さん”、炭鉱町。
もしかして、これって『青春の門』?
「いや。そうじゃないよ。
確かに舞台は同じ福岡ではあるけどね。
これは『愛を乞うひと』平山秀幸監督作品。
11月公開の中の、ぼくの大のおススメ作品」

----どういうところが?
分かった。生まれ育った場所と時代が同じなんだ。
「まあ、それもあるには違いないけど、
これを観ると、
『ALWAYS 三丁目の夕日』が、
いまになると感動が薄らいで、
なぜ、しっくりこなくなったかがよく分かる」

----そういえば、ヒロインも同じ小雪
「そうなんだよね。
ただ、今回、彼女が演じているのは
“信さん”から見た年上の女性。
しかもそれは信さんの同級生、主人公である守の母親・美智代」

----ニャんだか、ややこしそうな設定だニャあ。
「いや、そんなことはないよ。
物語は故郷の炭鉱町に、東京から守が美智代とともに船でやってくるところから始まる。
突然都会から戻ってきたふたりに町の人々は好奇の眼を投げ、
守は悪ガキたちにいじめられる。
それを助けたのが信一。
偶然にそこを通りかかった美智代は『ありがとう』と声をかける。
親を早くに亡くし、親戚に引き取られや厄介者扱いされ、
学校でも誤解ばかり受けていた彼にとって、
それは思ってもいない言葉。
初めて触れる、人の優しさに大声で泣き出す信一。
それ以来、美智代は、信一の特別な存在となる。
―――と、まさか、話がこんな風に発展していくとは、
思いもしなかったから、もうほんとビックリ。
ぼくはジュゼッペ・トルナトーレ監督の
『マレーナ』を思い出したね」

----へぇ~っ。これってそんな話だったんだ。
「で、その基本、年上の女性への思いを軸に、
映画は、丁寧に時代を再現していく。
それは、町並み、服装、髪形に始まり、
隣人のおばさんたちの体型に至るまで、
『あ~あ、あの頃いたよな』と思わずうなずいてしまうことで
埋め尽くされている。
子供のころに、ぼくも見たことがあるボタ山の遠景、
そして『みどり牛乳』を始めとする小道具まで、
これはもう、時代交渉が完璧」

----でも時代交渉だったら、
『三丁目の夕日』もやっていたと思うけど。
「確かに。
でも、あの映画のときも少し話したと思うけど、
西岸良平の原作がコミックで発表されていたとき、
そこにはすでにノスタルジーが入りこんでいた。
で、それをさらに
その時代を知らない若い世代・山崎貴監督が
自分流の解釈で映画化したものだから、
もう、それは完全なファンタジーと化していたんだ。
でも平山秀幸監督は、この映画の舞台となっている時代の経験者。
ファンタジーに陥ることなく、
過ぎ去った時代を生き生きと活写する。
そのためCGに頼らずロケ重視。
俳優に空気を共有させ、のびのびと演技させる手法を取っている。
また、いろんな物語を幕の内弁当のように盛り込まず、
信さんというひとりの男の生きざま、美智代への思いに
絞り込んで描いたことも成功の一因と思うけどね」

----その“信さん”はだれが演じているの?
石田卓也
彼を含め、福岡弁がみんなうまい。
で、もちろんその演技も。
なかでも、背中を少し落としただけで
哀しみの感情をセリフなしに表現してしまう大竹しのぶには感服。
それと個人的には光石研
『悪人』『サッド ヴァケイション』など
今や、北九州の映画には欠かせない彼だけど、
これはデビューにして主演作だった
『博多っ子純情』を思い起こさせる内容。
彼も感慨深かったんじゃないかな」

----それ、
ちょっと失礼な言い方かも…。
「いや、ぼくは“光石研映画祭”をやりたいと
マジに思っているんだ」」


                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「えいの11月公開日本映画のベストなのニャ」いいねぇ

金澤美穂の「なん?」にやられた度

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「ソニッケアー イージークリーン」(音波式電動歯ブラシのお話)

2010-10-23 17:38:48 | Weblog


----おっ。いつもと音が違う。
って、何の話かわかんニャいよね。
実は、待ちに待っていた電動歯ブラシがやっと届いたんだ。
もちろん、フォーンが使っているわけじゃニャいよ。
これは、フィリップスのサンプリングモニターに応募した
えいが使っているモノ。
その商品は、
「ソニッケアー イージークリーン(HX6511/02)」《参考価格8,000円》
http://www.sonicare.jp/brushes/easyclean/
これまでにも電動歯ブラシは使っていたから、
かえって、その違いが分かるんだとか…。
でもフォーンには、それは無理。
で、ズバリ聞いてみました。
それによると、
「隅々まで磨けている気がする」とのこと。
それって、気持ちの問題じゃニャいの?
と、さらに突っ込むと、
「歯間部や歯ぐきの境目に液体流動を起こしている」と、
まあ、これがどこかに書いてあるかのような、
お手本のような見事な答。
でも、実際に使ってみるとそうなんだって。
う~ん。
だけど、急にそんなスゴい歯磨きしたら、
歯や歯茎がビックリしちゃうよね。
と、さらに疑問をぶつけたら、
イージースタートという機能がついていて、
最初の14回目までは、ブラッシングパワーが低めに設定。
しかも磨き時間までタイマーが教えてくれるんだって。
最初は、くすぐったいらしく
なんか、変な笑い顔だったから、
慣れるまではこれ、いいかもね。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言。2009.4.7フォーン
「あっ、言い忘れるところだった。
フィリップスではツイッターでクイズに答えると
抽選でフィリップスの音波式電動歯ブラシ「ソニッケアー」が当たる
ツイッタークイズキャンペーンも実施中!
http://twitter.com/yamaburashi
毎週、月曜日にクイズがUPニャんだって」

※これで、もうホワイトニングに行かなくてもいいかもだ度

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『SP 野望篇』(岡田准一、堤真一共演、2部作の前篇)

2010-10-22 23:18:00 | 新作映画
----これって、またまたTVドラマの映画化だね。
「うん。監督の波多野貴文も劇場映画は初だというし、
正直言ってあまり期待はしていなかったんだ。
ところが、冒頭の襲撃未遂に続いて起こるフリーランニングのシーンで、
目はスクリーンにくぎ付け。
基本的には、ハリウッド映画のどこかで観たことがあるような
シーンの連続なんだけどね。
たとえば、車のボンネットの上を飛び乗って追いかける、
歩道橋の上で殴り合ってその下を通るトラックの上へ落下。
あるいは、地下鉄の改札を飛び越えてホームを追いかける。
挙句の果ては地下鉄の線路に飛び降りて格闘。
しかも、その間にも
主人公・井上(岡田准一)の
壁を使っての三角跳びがあったり
横転カ―クラッシュがあったり、と、ほんと息をつく暇もない」

----でも、それってSFX、あるいはCGだったりとか…。
「いや、それがけっこう実写も多いんだ。
たとえばそのカ―クラッシュ・シーン。
こんなの、日本の街中で撮影できるわけないと思ったら、
どうやら千葉の大型自動車教習所の跡地に
都内の交差点をそっくり再現したらしい」

----へぇ~っ。日本映画とは思えニャいスケール。
「そこがこの映画の最大のポイントだろうね。
物語は、政界の巨悪が陰謀を企むという、
いわゆるポリティカル・サスペンス・アクション。
それも確かにハリウッド的ではあるけど、
画作りに徹底したことが
この作品を、よりオモシロくしている。
VFXに『エイリアン2』『ターミネーター2』
2度のオスカーに輝くロバート・スタックを招聘。
照明は『ロスト・イン・トランスレーション』和田雄二
クランクアップ後もハリウッドで35mmをデジタルカラーグレーディング。
各カットの色調を徹底的に揃えたという。
あと、、
プレ・ビジュアリぜーションという手法も取られているんだ」

----ニャに。そのプレ…ニャんとかって?
「通称プレビズ。
各シーンのシミュレーション映像を
リアルなCGアニメーションでクランクイン前に作り上げること。
これによる最大のメリットとしては、
アクション撮影時の事故の予防策を考えることができるのだそうな」

----それは画期的。
でも、技術の話ばかりだニャあ。
「映画そのものとしては、
ぼくは後半の展開がオモシロかった。
緊急事態が深夜に持ち上がり、
井上たちSPは官房長官を官邸まで護衛していかなくてはならない。
そこに、わらわらと覆面の男たちが襲いかかる。
最初の男たちを撃破しても、第2波、第3波が…。
最初は4人いたSPたちも傷つき、
ふたり、次はひとりと、人が減っていく。
最後は井上だけが官房長官を保護。
で、短い距離なのに、なかなか目的地にたどり着かない。
これがその昔、
ウォルター・ヒル『ウォリアーズ』で味わった感覚にそっくり。
こんなオモシロいネタ、
どうして長い間、だれも使わなかったんだろう。
本音を言うと、
拳銃をなぜギリギリまで使わないのか?とか、
110番しろよとか、
ツッコミどころも多いんだけど、
まあ、この後半の映像だけで、ぼくは大満足だね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「最初は、エスパーのことかと思ったらしいニャあ」もう寝る

※あらら。それはともかく真木よう子がいい度


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『黒く濁る村』(韓国のミステリー)

2010-10-21 10:58:40 | 新作映画
----ニャんだか、タイトルから想像ついちゃうニャあ。
韓国映画ニャんでしょ?
「そうだね。
ある異常な村でのできごと。
でも、思ったほどにどろどろしてはいなかった。
日本映画の『奇談』のほうが、
もっとおぞましい怖さがあった」

----どういうお話?
「主人公はヘグク(パク・ヘイル)という青年刑事。
彼は、長い間音信が途絶えていた父(ホ・ジュノ)の死を知り、
生前彼が暮らしていた村を訪れる。
そこでは村長(チョン・ジェヨン)が実権を握っていて、
彼を取り巻く村人たちは
父親の死因についてなぜか固く口を閉ざす。
不信も募り、村に残ろうとするヘグク。
そんな彼の命を村人たちが狙う。
このパク・ヘイルというのは、
あの『殺人の追憶』での容疑者をやった人だね。
ホ・ジュノ『シルミド/SILMIDO』などで知られる韓国の名優。
『チョン・ジェヨン』『トンマッコルへようこそ』が有名だ」

----そういえば監督のカン・ウソクって、
『シルミド/SILMIDO』の人だよね。
「うん。そういえば、
あの映画を見たときと感触が似ているなあ…。
確かに、見ごたえもあり、
尺が2時間41分もあるというのに時間も感じさせない。
でも、どこかいまひとつ決定打に欠けるんだよね。
まあ、ストーリーが原作ものだから、
そこを突いてもしょうがないけど、
閉ざされた村なのに、
血縁的なおどろおどろしさがここにはない。
もとより、この村が“新しく作られた村”だからね。
どちらかというと、オウム的な方の怖さ…。
でも、村の人たちで、ほんとうに恐怖を感じさせるのは、
尊重とその取り巻き、そしてひとりの警官くらい。
村人みんなで主人公を襲うというようなシーンもないしね。
もし、夜中に、懐中電灯でも頭に挿して
わらわら襲ってきたら、それはほんとうに怖いだろうけど…」

----それじゃあ、横溝正史だ(笑)。
「(笑)確かに。
物語の作りとしては
過去から始まり、いっきに現代へ飛ぶ。
そこはとても手際よく、
省略して語っているためミステリアス性が増した。
ここは本当に巧い。
それだけに少し残念だね。
そうそう、韓国映画お約束の演技オーバーの人の登場も
ぼくはついていけなかったな」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「で、いったいニャにが起こったのニャ」身を乗り出す

※それはヒミツ。ラストもちょっと謎だ度


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『デイブレイカー』(イーサン・ホーク主演のヴァンパイア映画)

2010-10-19 23:34:14 | 新作映画
(原題:Daybreakers)


----DAYBREAKって“夜明け”だよね?
それにersがつくってどういうこと?
「う~ん。
英語には弱いからなあ…。さて困った。
その前に、昼間は生活できない…って聞いて、
フォーンは何を思い浮かべる?」

----う~ん。吸血鬼、ドラキュラ、ヴァンパイアかな。
あっ、全部同じか…。
「だよね。
この映画は、
地球上の吸血鬼と人類が入れ替わって、
ほとんどがヴァンパイアとなってしまった世界を描いている」

----まるで『猿の惑星』のヴァンパイア・ヴァージョンだニャ。
「そういうこと。
人間は、そのヴァンパイアのために血液を供給する存在。
そのため飼育されているんだ。
で、ここがまたよく考えてあるところで、
ヴァンパイアに噛まれた人間は、またヴァンパイアになるわけだから、
人類の数はどんどん減っていく。
つまり、最終的には自分たちの栄養源がゼロになるわけだ。
さあ、どうする?っていう、
地球資源の枯渇が裏テーマ。(ほんとかな)
一方、この映画には
もし、ずっと人間の血を吸わなかった場合、
そのヴァンパイアはサブサイダーというモンスターになるという
ルールが作られている。
で、なかには、どうしても血が飲みたくなって自分の血を飲む者も。
すると、さらにおぞましいモンスターとなる」

----ヒドい話。
「まあ、そう言わない。
さて、物語は、巨大製薬カンパニーに勤める
エリート研究者エドワードを主人公に語られる。
イーサン・ホーク演じるエドワードは、
ヴァンパイアこそ人類の進化形だと考える冷徹な社長ブロムリー(サム・ニール)の下で働いている。
しかし、エドワードのほうは、
今や絶滅の危機に瀕している人間の未来を案じている良識派。
そんなある日、エドワードは人間のレジスタンスと遭遇。
彼らを、軍隊の手から守ったことである男に引きあわされる。
その男とは、ヴァンパイアから人間に戻ったコーマック(ウィレム・デフォー)。
かくしてエドワードは、軍の手から逃れながら、
ヴァンパイアを人間に戻す研究を始めるが…」

----なかなか、凝ったストーリーだニャ。
「でしょ。
実は、ここに社長の娘が父親に反抗し、
ヴァンパイアに同化することを拒んで失踪している話だとか、
エドワードの弟が人間を追う軍隊で、兄と対立しているだとか、
人物(?)の関係性においてもいくつもひねりを入れてある。
でも、それが混乱することもなく、物語と調和を見せてゆくんだ。
この映画を監督したピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟、
なかなかの手腕だと思うよ。
この脚本面だけでなく、
たとえば、血液が入ったコーヒーショップに人が列をなしたり、
少女が自殺するため、太陽の下に自ら進んで体をさらしたりと、
逆転した世界下の描写もかなり風刺的。
もちろん、ヴァンパイア映画の基本はしっかり守られていて、
昼間行動するためのシールド付きの車などが登場。
そこに銃弾で穴が開き、差し込む光を避けながら、
カーチェイスを繰り広げるなど、
アクション面でもユニークなヴィジュアルを見せてくれるんだ」

----へぇ~っ。評価、高いみたいだニャあ。
でも、これ、どうやってお話、終わるの?
「それも、きちんと整理はされている。
ちょっと強引ではあるけど、
あることがきっかけで、
人類の未来が開けてくるんだ。
まあ、さすがにそこを明かすわけはいかないけどね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも血が出てくる映画はいやだニャあ」もう寝る

※確かにグロい描写も。思わず目をそむけたくなる度>

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猫ニュー

画像はオフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

『ソーシャル・ネットワーク』(東京国際映画祭オープニング作品)

2010-10-18 22:36:26 | 新作映画
(原題:social network)


----これって、いま全米でスゴく話題になっている映画だよね。
東京国際映画祭でもオープニングを飾るんでしょ。
いったい、どんなお話ニャの?
「いわゆる実話系。
主人公は“フェイスブック”の創始者マーク・ザッカーバーグ。
彼は、インターネット時代のビル・ゲイツと呼ばれ、
アメリカの経済誌フォーブスが発表した2010年版の長者番付では
『世界で最も若い億万長者』とされている」

----それはうらやましいや。
若くしてそこまで登りつめるってことは、
それだけ才能があったということだよね。
「うん。
ザッカ―バーグはハーバード大学でコンピュータサイエンスを専攻。
映画によると、修復できないほど彼女を怒らせたその夜、
彼はハーバード中の名簿をハッキング、
学生たちの写真を並べてランク付けするサイト作りに没頭するんだ」

----それって、悪趣味。
「だよね。
でも、そういうのってみんな興味があって、
フェイスマッシュという名のそのサイトは
たった2時間で22,000アクセスにも達し、
ザッカ―バーグの名前はハーバード中に知れ渡る。
そんな彼の才能を見抜いて近づいてきたのがウィンクルボス兄弟。
ふたりは資産家の家に育ち、
次期オリンピックにも出場が期待されるボート部のトップにして、
ハーバード最高峰のクラブ“ポーセリアン”のメンバー。
自分たちが企画している学内男女のインターネット上の出会いの場
“ハーバードコネクション”立ち上げのため、
優秀なプログラマーであるザッカ―バーグに協力を要請したんだ。
ところが、彼はのらりくらり交わし、
その間に、“フェイスブック”を立ち上げてしまう。
映画は、これは自分たちのパクリと憤慨する兄弟、
マークに裏切られたという創業時の共同経営者エドゥアルド、
そしてマークの3つの視点から
フラッシュバックを使って、
時間を行きつ戻りつしながら、物語を進行させていく」

----ニャんだ。それだけの話?
「うん。
それも映像が売りのデヴィッド・フィンチャーとは思えないほど、
会話を中心とした作り。
正直言って、最初はどうしてこの映画がそんなに話題になるのか分からなかった。
でも、これがあとになってジワジワと、
ボディブローのように効いてくる。
その理由のひとつは、
この物語の根底には
才能一つで巨大な富を築くという
昔ながらのアメリカン・ドリームがあるということ。
二つ目は、それが現代ならではのツールを使ったものであるということ。
そして決定的なのが、主人公マーク・ザッカーバーグのキャラ。
おそらく、この映画を見たほとんどの人は、
ザッカ―バーグをとんでもない男と思うに違いない。
でも、前から言っているように、
映画は、善悪を自分の良識に照らし合わせて語るものじゃないし、
それをで安心するものでもない。
見たこともない“怪物”を描くからこそオモシロい。

----それって、確か『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のときも言っていたよね。
「そう。
おそらくフィンチャーも、そこに惹かれたのだと思う。
そしてマーク・ザッカーバーグを演じるジェシー・アイゼンバーグ
もね。
ここまで、嫌な感じの男を演じきれるなんて、
アイゼンバーグの人間観察力、表現力は大したもの。
ぼくは、アカデミー主演男優賞には、ざひ彼を推したいね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ナップスターを作った人も出るらしいのニャ」身を乗り出す

※ハードボイルド、いやハーバードだ度

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『行きずりの街』

2010-10-16 23:57:58 | 新作映画
「今夜は『このミステリーがすごい!』について少し喋ってみるかな。
秋の夜長でもあるしね…」

----あれれ。そんな本読んでいないじゃニャい?
「あらら。バレたか。
いやなに、今日話す予定の『行きずりの街』というのが1990年の刊行。
ところが、大ブレイクしたのはそれから16年後の2006年。
なんでも文庫の帯で「92年このミステリーがすごい!第1位」と謳うや否や、
わずか1年で50万部近い売り上げを記録したんだって。
まあ、そういう話のレベル」

----へぇ~っ。その“このミス”なんとかって
そんなに効き目があるものニャの?
「だろうね。
ちょっと調べてみたんだけど、
この賞の一位に輝いた作品はほとんどが映画化されている。
『新宿鮫』『マークスの山』『ホワイトアウト』『不夜城』
『OUT』『レディ・ジョーカー』『模倣犯』『半落ち』
『容疑者Xの献身』『ゴールデンスランバー』
などがそう。
実は2002年からは新人作家の作品を募集した「このミステリーがすごい!大賞」というのもあって、
こちらの金賞、大賞からは『四日間の奇蹟』『チーム・バチスタの栄光』が映画化されている。
それだけ、ポピュラーな人気を誇っているということだろうね。
さて、今回、自分でこれはよかったなと思ったのは、
まったくプレスに目を通さなかったこと。
そのため、初めのうち、何が起こっているのかまったく分からない。
主人公は丹波篠山で塾講師をしている波多野(仲村トオル)。
その彼が、祖母が危篤に陥りながら連絡の取れない元教え子・ゆかり(南沢奈央)を探しに東京へ。
まずここで、なぜ彼がそこまでこのことに夢中になるか分からないし、
上京して、ゆかりが住んでいたマンションで
怪しい男(窪塚洋介)に追われるのも分からなければ、
彼女が働いていたクラブで彼を見かけた男にいきなり殴られるのも分からない。
で、どうやら波多野は過去に生徒となにやらスキャンダルを起こしているらしく、
その相手の女性というのが、
彼が駆け込んだバーのママ(小西真奈美)というのも、
ベールをはがすように、次第次第に分かってくるという作りになっている」

----おっとっと。じゃあ、それ以上は話さない方がいいんじゃニャい?
「そうなんだよね。
これは本来、ミステリー。
ところがプレスには懇切丁寧に波多野の過去が書いてある。
テレビ化もされたようだし、
すでに知っている人は仕方がないにしても、
これはミステリー映画の王道を行く作り。
あまり情報は仕入れない方がいいね」

----でも、それじゃああんまり…。
「だよね。
ということで見どころをいくつか。
ひとつは、久しぶりに窪塚洋介の狂気が垣間見えたこと。
もうひとつは、照明の渡辺三雄
阿吽の呼吸を見せる仙元誠三の影を意識した映像。
脚本の丸山昇一も含めて、
これは懐かしい村川透の世界。
製作の黒澤満はその線を狙ったんだろうね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「監督の阪本順治もそれに応えているのニャ」身を乗り出す

※ハードボイルドだ度

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猫ニュー

『ノルウェイの森』

2010-10-15 22:52:11 | 新作映画
----ほほ~っ。ツイッターで呟いてはいたけど、
まさかこの映画から来るとは…。

「うん。原作があまりにも有名な大ベストセラー。
いまさら物語について語る必要はないし、
主人公の思考や行動がどうという話もしなくていい。
映画としての見どころを語ればいいからね」

----えっ、見どころ?
そんなことやっていいの?
村上春樹ファンからの抗議殺到しそう。

「“見どころ”というのは、ちょっと言いすぎかな。
この映画を観てぼくが感じたこと…と、少し引いちゃおう。
フォーンも知ってのとおり、
この原作は村上春樹を一躍有名にした作品。
ところが、それ以前から彼の作品の愛読者だったぼくにとっては
それまでとは全然違う純文学の王道的な世界に
ついていけなかった記憶がある。
もっとも、語られているのは“鼠シリーズ”に通じる喪失と再生。
ただ、寓話的だったそれまでの作品に比べ、
直截的性表現をも含む男女の愛が前面に押し出されていた。
で、まず一読して思ったのが
よく、この時代(1987年)にこんな“暗い”小説がヒットしたなということ。
主人公のワタナベの友人キヅチは自殺。
その恋人・直子はワタナベと再会して男女の関係になるが、
以後姿を消してしまう。
その間に、ワタナベの前には緑と言う女性が現れる。
直子は精神のバランスを崩して山奥の療養所に入っており、
それと対比されるかのように緑のいきいきとした姿が描かれる。
で、ぼくはといえば、当時、緑の方に惹かれていたんだけど、
その理由が、今回の映画を観てよく分かった。
自分のとった行動に誠実であろうとするワタナベは
直子のいる世界に、深く引きずり込まれていく。
そんな彼をこの現実に繋ぎとめているのが緑。
と、これはぼくの勝手な解釈だけどね。
もし、緑が現れなかったら、
ワタナベは直子と一緒に向こうの世界の住人となって帰ってこなかった可能性もある」

----あらら。結局、ストーリーを話している。
「う~ん。そういうつもりじゃないんだけどね。
この映画、途中まで、まるで韓国映画を観ているかのような肌触り。
あるいは、1960~70年代の日本映画といってもいいかな。
なんとも言えない懐かしさがある
昨今のベタ~っとしたデジタル映像とは趣を異にしているんだ。
撮影のマーク・リー・ビンビンはバイバーという
あまり日本映画には使用されていないキャメラを使ったようだけどね。
このことひとつとっても、監督トラン・ユン・アンの意気込みが
いかに凄かったかが分かる。
それは音楽にしてもそう。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でも他とは全く違う音楽のアプローチを見せた
ジョニー・グリーンウッドがギター・ソロから
オーケストラ・サウンドまでありとあらゆるサウンドで、
物語に、あるいは登場人物に寄り添っていく。
ある意味、音楽を聞いているだけで、
そのシーンが、いかに重要か、
あるいは、映画の中のどういう位置にあるかが分かってくる」

----つまり、計算されつくしているってことだニャ。
「そうだね。とても繊細に映画を紡いでいる。
もちろん、それは撮る上での心構えのこと。
手法と言う意味じゃない。
たとえば、クライマックスの草原における直子のセリフは1カットが5分5秒という、
大胆なアプローチをも見せる。
また、草原のふたりを包む風が印象的なシーン。
ここでは、わざわざヘリコプターで風を起こしているというんだ。
ワタナベを演じる松山ケンイチの抑えた演技も
原作のイメージにピッタリ」

----でも、
菊池凛子の直子は合わないような気も…。

「小説というのは、
読んだ人の数だけのイメージがある。
それは風景しかり登場人物しかり。
水原希子演じる緑、
そして彼女以上に直子のイメージは
ぼくの抱いていたそれとは違っていた。
でも、こんな解釈もありだなと思わせる、
その力が菊池凛子にはあったと思うよ」


            

 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これはヒットしそうだニャ」ぱっちり

※また、村上春樹ブームが巻き起こりそうだ度

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『クレイジーズ』

2010-10-14 00:55:07 | 新作映画
(原題:The Crazies)


----これってジョージ・A・ロメロが製作総指揮。
ということは。またゾンビものニャの?
「いや。似てて非なるってヤツだね。
ウイルスに感染するというシチュエーションは、
亜流も含めてゾンビによくあるものだけど、
その大きな特徴は“人肉を食らう”こと。
でもこれはそんなことまではしない。
ただ、狂暴になるだけ」

----じゃあ、それほど怖くはない?
「いやあ。
それが逆。
ぼくはかえってこっちの方が怖いと思ったね。
それは、死んだように見えて実は死んでいないというよな、
そんな瑣末なことではなく、
彼らが意思を持っているということ。
つまり、銃を含めあらゆる凶器を駆使して人々を襲い始めるんだ。
たとえば、感染した校長なんて
ベッドに縛られた女性を次々と串刺しにしていく。
それも大きなピッチフォークでね。
でも、この映画の見せ方はそれらを直截的な表現ではなく、
雰囲気というか、その醸成で高めていくところがいい。
人によってはそれを“古い”と言うかもしれないけど、
映画って、その恐怖のピークに至る過程を
観る方のイマジネーションを膨らませることまで考えながら描くものだと思う」

----へぇ~っ。絶賛してる。
「いや。ツッコミどころも多いんだけどね。
たとえば、主人公たちが、
この事態が水によるものだと把握するまでが
あまりにもあっさりだし、
クレイジーズ(感染して狂気に陥った人々)が
どうやってお互いの意思を疎通させてるいのか、
そのあたりも観ていて、いまひとつ納得がいかない。
あと、ある重要な人物の犠牲的行為とかね。
何も銃を片手に突っ込んでいくことないじゃん。
ただ、相手片の目を自分に向けるためだけだったら…」

----(笑)そこ、観ないと分からないよ。
「あらら。そうだった。
思わず激してしまった。
実はこの映画、さっき話に出たジョージ・A・ロメロが昔作った映画のリメイク。
タイトルだけはその頃から話には登ってはいたけど、
結局、TV放映敷かなされなかった作品なんだ。
で、よく言われることだけど、
当時のロメロのゾンビ映画はベトナム戦争やブラックパワーが背景にある。
で、こんどは9.11。
しかし、結末の付け方が、これまたアメリカ人の甘さと言うか、
あることへの認識不足が現れていて
日本人にはちょっと許せない」

----う~ん。それってニャんだろう。
「ヒントは、
キューブリックのブラックコメディSF。
『We‘ll meet again』のフレーズで分かる人もいるかも…」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「確かにラストはやってはいけないことニャ」
ご不満
※ある意味おしい映画だ度



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画像はアメリカ・オフィ
シャル(壁紙ダウンロードサイト)
より。


『武士の家計簿』

2010-10-11 23:36:57 | 新作映画
----今日のお話は…
あれあれ、また時代劇…。
「うん。でもこれは
いつもとは違ってチャンバラものじゃないんだ。
あの森田芳光監督が
実在の人物をモチーフに描く、
もうひとつの『わたし出すわ』

----ん?どういうこと?
「一言で言えば、
これもまた、現代の経済構造を問いかけるもの。
主人公の猪山直之(堺雅人)という人は、
世の中の秩序も価値観も大きく変わってゆく幕末にあって、
加賀藩・前田家で算用者(会計係)を務めた才人。
当時、藩の財政は厳しかった。
そんな中、直之の父・信之(中村雅俊)は江戸詰に。
二重生活にもかかわらず、藩からの十分な手当てはない。
しかたなく、猪山家は町人、親類、役所からも含め
16ヶ所から借り入れていた。
その利息は消費者金融並みの年利18%」

----あらら。
「当然に、
そんなことを繰り返していても、
いまの暮らしから脱することはできない。
さあ、直之はどうしたか…というのが、この映画の内容。
答を先に言っちゃうと、彼は売れる家財をすべて売り払っちゃうんだ。
で、家計簿をつけ始める」

----ニャるほど。それで『武士の家計簿』。
「そういうことだね。
この6月からだっけ。
借入金の総量規制が行われたけど、
それに歩調を合わせたかのような話だね。
ぼくが大学の頃とかは、
カードローンなんて言葉なかったような気がする。
さあ、当時みんなはどうしたか。
月末にお金がなければ、
インスタントラーメンだけですますとか、
人によっては質屋にモノを預けるとかだね。
ところが、いつしか銀行のカードを作ったら、
自動的に借り入れる機能まで付き始めた」

----つまり、その人に返せる見込みがあるかないか分からないのに、
借りられる仕組みができていたってことだよね。
「そう。
経済が右肩上がりのときは、
おそらくそれでもボーナスとかで
なんとかなるという風に
日本社会そのものも、そう考えたんだろうね。
ところがこの不景気で、そんな気楽にはいかなくなった」

----で、この映画はそういう考え方を改めるにピッタリってこと?
「そう。映画では傍目から見ると、
やりすぎじゃないかと思えるようなことまで出てくる。
日々の買い物はもちろんのこと、
冠婚葬祭や親せきへのお披露目とかでの
信じられないような倹約ぶりでね。
でも、それを一時の恥と割り切って乗り越える精神力、
そして子供への教育といった
家族ぐるみの助け合いが彼ら猪山家を浮上させてゆく。
この原作となった古文書は古本屋で偶然に見つけられたというけど、
まさか、160年も経って、
こんな形で紹介されるとは
直之という人、ゆめゆめ思わなかっただろうね」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あまり映画にはなりそうにない話だニャ」
ぱっちり
仲間由紀恵、松坂慶子もいい度


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『どんぐりと山猫』(第3回 月夜の幻燈会)

2010-10-10 23:08:24 | 映画
----あれっ。これって映画とは思えないけど…。
「そう。厳密にはね。
これは昔懐かしの幻燈会。
小平の雑木林で不定期に行われているものなんだ。
ざっと見たところ300人くらい集まっていたみたい。
新月で月こそ見えなかったけど、
林の向こうに夜空と星が覗いて
とてもいい雰囲気だったよ」

----ちょっと待ってよ。
幻燈会って、そんなに大きなスクリーンに映せるものニャの?
フォーンが知っている限りでは、
個人のお家や、あるいは公民館なんかで
やるものでは?
「そこがこの企画の一つのポイント。
実は電力は自転車発電によるもの。
午前11時から午後5時まで
有志者が自転車を漕いで蓄電。
で、デジタル上映することで
この電力を少なくしているんだね」

----ふうん。そう言うのもありニャのかニャあ?
で、中身は?
宮澤賢治『どんぐりと山猫』
いまさら言うのもなんだけど、
やはり宮澤賢治と言う人は特異な作家だったんだね。
完全に時代を超越している。
よくぞこんな世界観を、あの時代に作りだしたものだ。
イラストは小林敏也で、
画本宮澤賢治シリーズをすでに15冊も出しているらしい。
で、朗読が鍵本景子
笛やパーカッションも入って臨場感抜群。
これで入場無料はスゴイよ」

----そうニャんだ。フォーンも観たいニャあ。
「でも、ここが都道になるという話が持ち上がっているらしい。
そうなると、この企画も経ち消えに」

----それは残念な話。
どうにか、残ってほしいよね。

                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも観たい。この林は残してほしいのニャ」ご不満

※イラストが羊男を思い出させた度

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