ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アイ アム ア ヒーロー』

2016-04-24 22:14:49 | 映画
『アイ アム ア ヒーロー』、ヒット祈願。
ゾンビ映画の範疇を超えた、
これは本気のアクション・バイオレンス。(4月23日のTweetより)


『アイ アム ア ヒーロー』
ある意味、今年一番の衝撃。
ゴア描写はハンパなく、一撃必殺の銃弾の前に、次々とゾンビの頭がぶっ飛んでいく。
エンドクレジットに流れる曲も安易にタイアップに逃げはしない。
佐藤信介監督の本気度100%のゾンビ映画。
しかしこの血の海地獄、本当にシネコン大丈夫?
(3月28日のTweetより)

----これ、いまTwitterで話題になっている映画だよね。
ゾンビ映画って嫌いなはずじゃなかったっけ?
「うん。
確かにぼくの好きなジャンルとは言えない。
でも、この映画はその範疇を超えているんだ。
ゾンビという枠で観るんじゃなくって、
そのジャンルにのっとりながら、
佐藤信介監督は
従来の日本映画の壁を壊そうとしているんだ」

----それって、
血のりドバ~ッみたいなこと?
「それもある。
クライマックスでは
ゾンビ相手に100発近くの銃弾が浴びせられ、
そのたびに
ゾンビの頭が次々と破壊されていく。
あの『キングスマン』を観ても分かるように、
ハリウッド映画でさえも
流血描写を避けるべく、
いかにして他の方法に置き換えるかで苦心惨憺」

----う~ん。
分からない気がしないでもないけど、
なんか納得いかないニャあ。
「もちろん、
直截的表現さえあればいいてわけじゃない。
でもね、今の日本映画ってね、
自分で自分を縛りすぎている。
世論の突き上げを恐れて
小さく小さくまとまっていってる。
そのいい例が『風立ちぬ』に始まる“タバコ”論争」

----あ~あ。
子供たちに悪影響を及ぼすって、
禁煙団体がクレームをつけたあれ?
「うん。
それってスゴクおかしくない?
だってそれだったら、
まず“銃”規制からはじめなくちゃならない。
でもそうなると、
かっこいいガンマンなんて
もう映画では望めなくなる。
ヤクザのドスもね。
危険な刃物だからダメ(笑)。
ぼくは佐藤信介監督はこの問題に極めて意識的だと思う。
だからこそ、
闘いがすんだ後に、
長澤まさみに
おいしそうに深くタバコを喫わせるんだ。
これなんて、昔の映画では当たり前の表現。
でも、昔の映画だからよくて
今の映画じゃダメなんて言っていたら、
映画の中における伝統さえ引き継がれなくなる。
ぼくは、あの人体破壊が意識的なものであるということを
このタバコのシーンによって確信したね。
そうそう、観てすぐに
ノラネコさんの『無伴奏』でのタバコのシーンについてのtweetにコメントしたことが…。

まあ、あれはそういう時代でしたからね。
実は『アイ アム ア ヒーロー』では長澤まさみが、深々と喫うのですが、
映画≠煙草の風潮に敢えて逆らったかのような、
監督の「負けるものか精神」に痛く感服しました
(3月29日のTweetより)」

----う~ん。
「もちろん。
それだけじゃないよ。
『ブラインドネス』を想起させる
グループ内の覇権争いを始め、
物語的なオモシロさもある。
ラストワンとして登場する
モンスター・ゾンビとの死闘も、
伏線が上手く張られていて
なるほどここでこう使うかって感じ。
そしてもうひとつ、
ゾンビ映画としてのユニークさも捨てがたいものが…」

----“走るゾンビ”でしょ?
でも、それ
ザック・ズナイダーがやっているよね。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』で。
「もちろん。
でもそれだけじゃないんだ。
もうひとつのtweetを紹介。

『アイ アム ア ヒーロー』。
この映画のユニークなところは、
ZQN=ゾンビに人間時代の属性による言動、行動の差異を付けたところ。
映画はそれに応じた動き、攻撃(嚙みつき)を丁寧に描いていき、
そこに恐怖、あるいは笑いが生まれてくる。
カメラアングル、照明が決まりに決まるラストはゾクッ!


今も、このラストカットは鮮やかに瞼に残っている。
実はこれらのtweetをしたとき、
スタッフの藤原カクセイさんからコメントを頂いた。
そのお返事のtweetに
この映画に対するぼくの思いは凝縮されている。

『こちらこそありがとうございました。
特撮、カークラッシュなど、すべてにおいて、日本映画にありがちな遠慮がなく、
撮影現場を覗き見たい気持ちでいっぱいでした。
』」

----ちょっと熱すぎニャい?
後で恥ずかしくならなきゃういいけど…。

「第一、主演はだれなのニャ?」身を乗り出す

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猫ニュー

『ディストラクション・ベイビーズ』(一部『シマウマ』)

2016-04-12 23:16:48 | 新作映画
通常映画は、カメラが主人公を捕えることによって骨格が固まり、土台が安定する。
ところがここでは柳楽優弥がフレームインしてくることで、
世界がざわめき落ち着かなくなってくる。
人にあらざる者がもたらす不穏な空気。そこにバイオレンスが呼応する。
それが『ディストラクション・ベイビーズ』だ。

映画『ディストラクション・ベイビーズ』(3月8日のTweetより)

----そう、これこれ。
『ディストラクション・ベイビーズ』
このツイートを聞かされたときから気になっていたのニャ。
もう少しフォーンにも分かるように説明してくれニャい?
「いやあ、
ここで言っている以上のことはないんだけどね。
この映画、最初から最後まで
主演の柳楽優弥はほとんどセリフを発することなく、
とにかく人を殴りまくる。
そこに理由があるかといえば、
『楽しければええけん』
それ以上の説明はつけようがない」

----へぇ~っ。
そんな映画のどこがいいの?
よく『ファイト・クラブ』と比べられたり、
『日本映画もようやく世界のレベルに追いついた』みたいなことまで
言われているみたいだけど?
「一言で言えば、
物語は二の次。
映画とは何か?
これは永遠の命題だけど、
なぜか文学でも語るかのように
言葉でそのテーマを解説する評論が主流。
ときにはその時代背景や政情、文化にまで言及したりしてね。
ところがこの映画はそうではない。
“主人公はなぜ暴力に走るのか”ではなく、
暴力そのもの”を描いていく」

----でも、暴力を描いた映画ってこれまでにもいっぱいあるよね。
思わず目をそむけたくなるようなものも…。
「うん。
今日観た『シマウマ』もそう。
バイオレンスの激しさ、そして残酷描写から言えば
圧倒的に『シマウマ』。
流血も半端じゃないからね。
ただ、そこには
“暴力を起こす理由”がキッチリと描かれている。
そういう意味では
こちらは従来のバイオレンス映画の枠内に収まる。
ついでだから、この『シマウマ』のtweetも紹介しよう」


映画『シマウマ』。
外の光に触れたときホッとした。
まるで韓国のバイオレンスたっぷりクライム・サスペンスを観た後のようなグッタリ感。
『花と蛇 ZERO』もそうだが、
橋本一監督は喜劇よりも、こういうアンダーグラウンド世界の方が本領を発揮する。

映画『シマウマ』(4月12日のTweetより)

----ふむふむ。
なあ~んとなく分かってきたような。
「いやいや。
こればかりは観てみないと分からないと思うよ。
それにしても瞠目すべきは柳楽優弥
映画評論家の樋口尚文さんの 3月7日のtweetに
そのすべてがある。

真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』は、
ふり切れてたなあ。いやーふり切れてた。


もう、これに尽きるね」


「ふむふむ。言葉では説明しづらいのだニャ」身を乗り出す

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『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』

2016-04-05 22:48:44 | 新作映画
(原題:The Eichmann Show)

『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』。
アイヒマンはモンスターではなく誰もがファシストになりうるとの信念の下、
ひたすら彼の顔を映し続けるテレビ製作者フルヴィッツ。果たして?
「一度でも自分が他者より優秀だと思ったことがある者は、アイヒマンと同じ地平に立っている」の結論が重い。

(Twitterより)

----あれっ。
これって今日観たばかりの映画、それも洋画って珍しくニャい?
「うん。
原稿に一段落がついたのと、
この映画が発するメッセージを喋っておきたくなった。
そんなところかな」

----ふうん。
それにしても渋い。
これってホロコーストを推進した元ナチス幹部のアイヒマンの話でしょ?
「そう。
彼は15年にも及ぶ逃亡生活の果て、
アルゼンチンで身柄を拘束される。
そして彼がせん滅を計画したユダヤ人たちが建国した
イスラエルに移送され、エルサレムで裁判を受けるんだ」

----でも、それじゃあ、
どう転んでも有罪、それも死刑というのは
最初から決まっているような…。
「うん。
映画でもそのことは少し言及される。
ユダヤ人によるニュルンベルク裁判”とね。
この映画は、そのことや
アラブの人たちを追い出して
そこにイスラエルが建国されたことなどにも一応は言及している。
しかし、本題はそれらよりも
その裁判を世界中にテレビ中継した人たち。
彼らの葛藤にスポットがあてられる。
その中心となったのはマーティ・フリーマン演じるTVプロデューサー、
ミルトン・フルックマン
彼は、この“世紀の裁判”の撮影に当たって、
アメリカのドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを招き寄せる。
ロシア移民のフルヴィッツはマルチカメラを用いたスタジオ撮影で名をあげながらも、
マッカーシズムの煽りを受け、
アメリカではブラックリストに上がっていた。
そんな彼にとって、これは大きな賭け。
さて、ここからが重要なんだけど、
彼はこの歴史的テレビ中継に当たって、
ある一つのことを自分の命題とする」

----裁判のドキュメンタリーを撮るのに、
命題なんてあるの?
「うん。
彼はスタッフの前でこう言う。
『誰もがファシストになりうる』
すると一人が激しく反応する。
『彼はモンスター。ぼくは絶対にファシストにはならない』。
しかしフルヴィッツは確信を持つ。
アイヒマンは、ひとりの人間。怪物ではない。
その瞬間をカメラに収める…と」

----ニャるほど。
それによって
カメラを向ける対象は違ってくるよね。。
「そういうこと。
プロデューサーのミルトンとしては視聴率が気になる。
初めこそキューバ危機やガガーリンの初宇宙飛行のニュースに負けていたこの裁判も
収容所を生き抜いたユダヤ人たちの衝撃的な証言により
世界の耳目を集め始める。
そういうとき、普通はその証人たちの方にカメラを向ける。
しかしフルヴィッツは、
あくまでアイヒマンの目にばかり注目し続ける。
ここに、ドキュメンタリーとは?という、
根源的な問いかけが生まれる。
あらかじめ自分の思い描くもの、それが生まれる瞬間を狙ってカメラを回すのか、
それとも先入観を捨て幅広く対象をとらえ、
その中から、真実を探り出していくのか…?」

----ニャるほど。
フォーンは、その瞬間が観てみたくなるニャあ。。
「フォーンはそっちか…。
この映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』、
実際のニュース映像や記録フィルムが
新たにドラマとして作られた部分と違和感なく融合。
この編集は驚異的。
そして導き出されたのが
Twitterでも紹介した最初の言葉。
繰り返し言おう。
『一度でも自分が他者より優秀だと思ったことがある者は、アイヒマンと同じ地平に立っている』

----気合入っているニャあ。

「ニャるほど。すぐにでも喋りたかったはずなのニャ」身を乗り出す

※ネットでもそういう人、よく見かける度

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