ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『クレアモントホテル』

2010-11-29 17:10:02 | 新作映画
(原題:The Claremont)


「今日は、ちっちゃいけど、
とても心温まる映画のお話」

----ふうん。
そうは言っても、
ちょっと見ただけで想像ついちゃうよ。
これって、お年の女性が
若い青年に恋する物語でしょ。
以前、『ラヴェンダーの咲く庭で』というのもあったよね。
「うん。
でも、あそこまで生っぽくない。
確かに男女だから、
恋というのもあるだろうけど、
その根底に流れるのは、
人と人のつながりだね。
舞台はロンドン。
このクレアモントは長期滞在型のホテル。
人生の終着点に近づいた人たちが
引き寄せられるようにやってくる。
主人公のパルフリー夫人もそのひとり。
老いてからの人生を自立しようとここにやってきた」

----ははあ~。どこかで聞いたような…。
「集まる人たちの年齢設定はともかくとして、
確かに、同じ趣向を求めてある場所に集まるというのは、
『つむじ風食堂の夜』を始め、よくある設定かも。
さて、このホテルの住人たちにとって、
他の人の人生というのはとても興味深いもの。
なにかと詮索を始める。
ある日、パルフリー夫人は、
おつかいで図書館に行った帰り、
つまずいて転んでしまう。
そこを助けてくれたのが青年ルード。
手にしているのは『チャタレー夫人の恋人』
それは自分のじゃないという気もあったと思うけど、
再会を機に、彼をホテルへ招待する夫人。
ところが、彼女はルードを孫と紹介してしまう」

----あらら。
「ここから映画は一気にオモシロくなる。
ほんとうの孫が訪ねてきたり、
うまくその場を切り抜けたら、
こんどは孫の母、つまり彼女の娘がやってきたり。
そのたびに、あわてる夫人。
この映画のオモシロさはまずここにある。
そう、嘘をいかにしてごまかすか?
そこから生まれるスリルだね。
そして、その嘘をついているのが
一見、とても上品な、嘘とは縁遠い感じの
パルフリー夫人であるところがいい。
つまり、さらにはユーモアが加わるってわけ」

----ということは、キャスティングも大事だね。
だれが演じているの?
ジョーン・プロウライト
亡くなったローレンス・オリヴィエの奥さん。
で、ルードにはルパート・フレンドが扮している」

----ルパート・フレンドだったら、
普通に恋人がいてもおかしくなさそうだけど…?
「彼は恋人に振られたばかり。
で、そんな彼が新しく出会う女性が、
実はこのパルフリー夫人がきっかけと言うのがいい。
彼女が最も好きな映画、
それは『逢びき』
の映画を観てみようと、
彼はレンタルショップに行く。
そこで同じDVDに手を伸ばしたのが
のちにルードの彼女となるグウェドリンというわけ。
もとより、自分と同じ映画の趣味を持つ女性だから、
グウェドリンは
パルフリー夫人が嫌うようなタイプじゃない」

----とはいえ、
きっと心は複雑。
どうなるんだろう?
「それも含めて
実は、この映画、
ラストがいいんだ。
最期に、夫人が口にする言葉がね。
そこで思わずぼくは涙。
そして、ここまで言っていいのか、
エンディングに流れるのは懐かしのローズマリー・クルーニー『フォー・オール・ウィ・ノウ.』

----だれ、それ?
「アメリカの有名なジャズ・シンガー。
実は彼女の甥がジョージ・クルーニー
そうそう、重要な位置を占めるのがワーズワース
以来、
久しぶりに映画で耳にした気がする」




           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「『日だまりの場所をだれもが求めている。』――このキャッチコピーがまたいいのニャ。」
いいねぇ


※コットンのような手触りの映画だ度


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画像はアメリカ・オフィ
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『シュレック フォーエバー』

2010-11-25 22:49:05 | 新作映画
(英題:Shrek Forever After)



----こんどの『シュレック』って
<おとぎの国>が消滅するとか…。
それってどういうこと?
「そうだね。
でも“消滅”といっても、
なにも世界がブラックホールに吸いこまれて
無になるとか、
そういうことじゃないんだ。
ある時点まで過去に遡ることによって、
もうひとつの世界が生まれるという設定。
そして
はからずもそのきっかけを作ってしまったのが、
シュレック自身。
で、さらにオモシロいことに、
新しく生まれ変わった世界が
元の世界とは違っていることに気づいているのは、
ただひとりシュレックだけ。
あっ、もうひとり魔法使いランプルスティルスキンもね」

----どういうこと?。
「ランプルスティルスキンは、
この世界を自分のモノにしたくてたまらない。
でも、目の上のたんこぶなのがシュレック。
そこで彼は一計を案じる。
それは、シュレックの生まれた日を取りあげること。
誕生しなかったシュレックに邪魔されることなく、
ランプルスティルスキンは、
魔女たちを手下に広大な城でぜいたくに暮らし始める。
そう、ここはシュレックとドンキーとの友情も、
フィオナとの愛も、
彼女との間にできた子供たちも存在しない。
それどころか、契約で手に入れた一日が終われば、
シュレックそのものも消えてしまう。
さあ、果たして彼はどうやってこの危機を乗り越えるか?」

----へぇ~。オモシロそうだけど、
ちょっと難解な気も…。
「そう。ぼくもそれは気になった。
この映画、冒頭なんて
押井守『うる星やるら2★ビューティフル・ドリーマー★』そっくり。
毎日、毎日、同じ日が繰り返されるんだ。
もっとも『ビューティフル・ドリーマー』は
学園祭前の、この楽しい一日が終わらないようにと願う、
あるひとりの思いから生まれたもの。
ところが、こちらシュレックは、
この繰り返しの毎日に、もうあきあき。
子供はうるさいし、
村の人間たちは自分になれなれしすぎる。
もっと自由気ままな怪物の暮らしに戻りたい。
ランプルスティルスキンは、
そんな心のすき間につけいったわけだ」

----そういう設定って、
子供には少し難しくニャい?
「う~ん。それはどうだろう。
いまの子供たちを
そんなに見くびってはいけないかも…。
と、それはさておき
各キャラの設定がその難解さを打ち消すほど楽しい。
さっきのドンキーがシュレックを知らないことにしてもそうだし、
ぼくがこのシリーズで一番好きな
長靴をはいた猫がメタボ腹という設定もそう。
だいいち、太りすぎて長靴が履けない。
でも、“お願い猫さん”のウルウルお目目は相変わらず。
これには場内大爆笑。
このシーンだけでも、観る価値ありだね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「この映画も3Dなのニャ」ぱっちり

※CGアニメには、3Dは向いている気がする度

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シンプルだけど分かりやすい「光の道」構想。

2010-11-23 14:34:17 | Weblog



----広告っていうと、
凝ったビジュアルが普通だよね。おっ。いつもと音が違う。
でも、これって文字だけ。
しかも言いたいことだけポンポンと書いてある。

で、かえって目に付いたってわけ。

問題の中身はと言うと、
ソフトバンクの孫正義代表取締役社長が支持する「光の道」構想。

孫社長の試算では、
・税金の投入ゼロ
・今より安く
・日本全国どこでも
・2016年を目途に
日本国内に光回線を引く道筋があるんだって。

興味がある人は、ちょっと覗いてみて。





                    (byフォーン)

フォーンの一言。2009.4.7フォーン
「そういえば
「光の道」に関して孫正義社長は
「ニコニコ生放送」でのアルファブロガーの池田信夫氏と対談をしたり、
「USTREAM」でジャーナリストの佐々木俊尚氏と対談をしたりもしているのニャ」



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『ベストセラー』

2010-11-17 17:52:38 | 新作映画
(英題:Bestseller)

----小説家が主人公のホラーというと、
スティ-ブン・キングとかの物語に多く出てきそうだけど、
これは韓国映画だよね。
「うん。
盗作疑惑をかけられたベストセラー作家ぺク・ヒスが、
彼女の娘のヨニと人里離れた別荘に引きこもる。
そこで新たな小説を…ってわけだけど、
なかなか筆がすすまない。
そうこうしているうちに、
娘が奇妙な言動を取り始める。
ふたりだけのはずのこの別荘に、
『お姉さんがいる』と言うんだね。
でも、ヒスにはその姿が見えない。
ところが、彼女はいつしか
娘がそのお姉さんから聞いたという奇妙な物語に執着。
それを小説に書きあげて、
再び、ベストセラー作家の座に舞い戻る。
しかし、それは10年前に発表された小説と同じだった…」

----お話はオモシロそう。
でも、どこかで聞いたことがあるような…。
「そうなんだよね。
まず、湖の側の家と言えば、
ずばり『ホワット・ライズ・ビニース』
ヒロインがオカルト的体験をするというところも似ている。
いや、それを言うならば『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』かな。
こちらは、娘にしか見えないわけだし…。
と、こうして考えてくると、
この映画が、ハリウッドリメイクされるのも
なるほど納得がいってくる。
いかにもハリウッド好み」

----でも、過去にいくつもあったんじゃ、
結末とか、すぐ読めちゃうのでは?
「うん。ある程度はね。
製作サイドも、それを分かっているようで、
ネタバレを早々に自らやっちゃう。
で、それを前提に、次の謎を仕掛け、
そこにサスペンスを生むという構造にしている。
実は、ツッコミたい部分もいくつかあるんだけど、
それでも観ていて飽きることはない…」

----じゃあ、脚本よりも演出がいいってこと?
だったら、なぜハリウッドリメイクされるのかニャあ。

                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもフォーンには謎が分からないのニャ」小首ニャ


※ほんとうに、倒錯しているのかどうかも、この映画のポイントだ度

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『冷たい熱帯魚』

2010-11-16 09:19:12 | 新作映画
----おっ。これはいま注目の作品だね。
「ヴェネチアが沸いた!
園子温、最高傑作にして金字塔的作品 誕生!」
…。
いったい、どんな映画ニャの?
「ひとことで言えば、
猟奇連続殺人と、その男に魅入られた
熱帯魚屋を営む主人公・社本と家族の話」

----へぇ~っ。主演が吹越満だよね。
とても、そんな話とは思えなかったニャあ。
「そこも巧いところだろうね。
このキャスティングからはとても想像つかない。
ぼくは、チラッと仮プレを読んでいたから準備はできていたけど、
その殺人鬼・村田を、
ふだんはお人よしの八百屋的イメージがあるでんでんが演じている。
で、その妻を黒沢あすか
彼と組む悪徳弁護士に渡辺哲というのも意表をつく。
物語は、さっき言ったプロットに集約される。
そこに、主人公の家族が崩壊していることを織り込み、
気の弱くて、後妻の妙子(神楽坂恵)にも
連れ子の娘・美津子(梶原ひかり)にも
毅然とした態度が取れないでいる。
そこに、村田はつけこむんだね。
この骨組みがしっかりしていて、
悪とはいえ、自分の腕だけで生き抜いてきた村田と、
負け犬のような人生を送ってきた社本の対比が、
この殺伐とした時代を映し出す。
タフでなければどころか、
狼にならなければこの世で生き抜くことはできないとでも
言われているかのようで、
なんとも複雑ではあったけどね。
ただ、映画としては、やはり惹かれるものはある。
日本映画で、ここまでのモンスターを登場させたのは、
ほんとうに珍しいんじゃないかな」

----園子温って、映像もエネルギッシュだよね…。
「うん。冒頭の暴力的なテロップの入れ方、
現在の時刻を表すタイムコードなど、
『愛のむきだし』のときも話したかもしれないけど、
ギャスパー・ノエを思い出した。
映像的に人体をバラバラに始末するシーンとか出てくるけど、
それが目をそむけるような感じでもないところもいい。
暴力的に見えて節度があるんだね」

----観客が目をそむけたら、
意味ニャいものね。
「そういうこと。あと、惨殺の舞台にマリア像など、
キリスト教イメージがあるのもこの人らしい。
ぼくは『チェイサー』(ナ・ホンジン監督版)などに代表される
韓国の殺人者映画を思い出したけど、
監督によると『上半身が深作欣二
下半身がポール・バーホーベン』らしいよ」



           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは実話が元になっているらしいのニャ」
ご不満

※「ボディを透明にする」は実際でも使われたという名セリフだ度



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『Ricky リッキー』(フランソワ・オゾン監督)

2010-11-09 22:41:06 | 新作映画


(原題:Ricky)


----これって、
フランソワ・オゾン監督の映画だよね。
翼の生えた赤ちゃんなんて、
あんまりこの監督のイメージじゃない気がするけど…。
「いやあ。結論から言うと、
これが一筋縄ではいかない。
よくここまでやるなっていうくらいシニカル。
普通、赤ちゃんに翼――とくると、
天使のイメージだよね。
ところがこの赤ちゃんの翼は
やたら生々しい。
鳥と同じで最初はむきだし。
羽毛がないんだ」

----それはちょっと不気味かも。
「しかも、どこまでが特撮なのか、
空を飛んだ赤ちゃんが、
なんどか壁にゴツン。
思わず笑ってしまうけど、
よくよく考えると、とてもヒドイ話。
おそらく、特撮でそう見せているだけで
実際にはぶつけてはいないんだろうけど、
観る者にそう思わせ、
現実に引き戻す、変な要素がこの映画にはある」

----ニャるほど。そういうことか…。
「じゃあ、そろそろ物語を話そうかな。
カティは郊外の団地で7歳の娘リザと暮らすシングルマザー。
ある日、彼女はスペイン人で新入りの工員パコと恋に落ち、
やがて赤ちゃんリッキーが生まれる。
ところが、仕事に疲れたふたりはいつも喧嘩続き。
そんな中、リッキーの背中にあざみたいなものが…。
パコが赤ちゃんをぶつけたのではないかという
カティの言葉がきっかけで彼は家を飛び出してしまう。
そんな中、リッキーの背中に翼が…。
やがてそれはニュースとなり、
吸い寄せられるかのようにパコも戻ってくる」

----めでたしめでたし。
「じゃ、ないんだな。
ここから、話はあちこちに広がっていく。
と、その描き方がいかにもフランソワ・オゾンなんだけどね。
ここはパコを演じたセルジ・ロペスの言葉を引用してみよう。
『不幸が存在しない安っぽい美しい話には、
全く中身がないと思うんですよ。
“人生に喜びを”という哲学には賛成するけど、
苦しみのない喜びなどありませんから』。
これって、それこそフランソワ・オゾンの映画そのものって気がする」

----監督の意図するところと一致しているわけだね。
「彼は、またこうも言う。
『みんなリッキーを天使に仕立てるのかもしれないけど、
フランソワはそういう象徴にしていないんです。
(中略)リッキーは天使でもあり怪物でもあるんですよ』。
まさに、そのとおりで、
彼はこの家族の望みを裏切るようなことばかりする。
翼で好きに飛び回っちゃうんだね。
で、カティとリザは
リッキーがベビーベッドから飛び出さないように
屋根を付けるんだけど、
それが虫籠みたいに見えちゃう」

----ほんとブラックだ。
「でもね。
このラスト近くに
とても美しいシーンがある。
ぼくは、フランソワ・オゾンはこのワンショットを撮るために、
この映画を撮ったんじゃないかと思ったほど。
ほんとうは、そこのところに触れたいんだけど…」

----でも、“これは観てのお楽しみ”ってわけだね。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「赤ちゃんに、演技付けたらしいのニャ」なにこれ?

※まあ、とにかく変わった映画だ度

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『ザ・タウン』(ベン・アフレック監督・主演)

2010-11-03 17:55:23 | 新作映画
(原題:The Town)



「う~む。
噂には聞いていたけど、ここまでオモシロい映画とは…」

----えっ、珍しいニャ。
“オモシロい”という言葉を使うのって…。
「うん。とにかくよくできているんだ。
お話としては、犯罪の温床のような“町”に生まれ育った男が、
ある女性と知り合ったことで、
その“町”から出て、新しい自分に生まれ変わろうとするという、
どこかで聞いたことがないでもないような話なんだけど、
設定、キャスティング、映像の一つひとつに、
意匠が凝らされていて、最後まで
目がスクリーンに釘づけになってしまう」

----ということは、今日のお話は
この映画ならではの特徴だね。
「そういうこと。
まず設定から話そう。
舞台はチャールズタウンという、
マサチューセッツ州ボストンにある町。
そこは同じ広さの世界のどの一角よりも多い
銀行強盗、現金輸送車強盗を生みだしている。
タウンには、かつて凶悪犯罪者用の最重要警備刑務所があり、
家族の誰かが刑務所に入ると、家族はそこへ移転。
かくして刑務所を中心にコミュニティができ、
銀行強盗も父から息子へと受け継がれていったという。
映画は、そんな結束の固いコミュニティの中、
強い絆で結ばれた男たち4人の友情と犯罪、そして
主人公ダグの恋を軸に描いていく。
で、ここが他の映画と一線を画するんだけど、
一見、青春アウトローもののようなノリで描きながら、
彼らの犯罪は、プロフェッショナルそのもの。
たとえば、冒頭に描かれる銀行強盗では
指紋はおろかDNAひとつ残さないように、
犯罪後に漂白剤を撒いていく。
これはまた別の犯罪のときだけど、警備員の家族構成まで調べ上げ、
それを知っていることを口にすることで、
自分たちの要求に応じないと
家族に危険が及ぶぞという脅しをかける」

----それはたまらないニャあ。
「さて、ところが
仲間のひとり、ジェムが
その日の銀行強盗で無音警報発令に焦り、
副支店長に暴行を働いたばかりか
女性支店長の女性クレアを人質に取ったことから
彼らの中に亀裂が生じてくる。
逃走に成功した4人だったが、
奪った免許証から彼女がタウンの住民だと知ったジェムは、
クレアの口を封じようとする。
殺人は絶対に犯したくないと考えるダグは、
彼女が何を見たか探る役を買って出るが…」

----ニャるほど。
そこでクレアとダグの間に恋が芽生える…。
「まあ、
それは想像つくよね。
さて、実はクレアは犯人のひとり、ジェムのうなじに
ある刺青があるのを見ていた。
そのことをダグに言ってしまったものだから…」

----うわあ。大変だ。
もし、ダグと一緒のところにジェムが現れたら…。
「うん。
このサスペンスがひとつの見どころ。
一方、彼らの犯罪に目を付けたのがFBI特別捜査官フローリー。
彼は、クレアとダグの関係について知るや、
ダグが彼女の銀行を襲った襲撃犯であることを告げる。
そうとは知らず、
クレアと一緒にこのタウンを出ようという思いでいっぱいのダグ。
ところが、そんな彼に、
強盗グループの黒幕である花屋のファーギーが
次の仕事、スタジアム襲撃を受けなければ
クレアに危害を加えるぞと脅しをかける。
さあ、ここからが怒涛の展開。
アクション・シーンもふんだんに、見せ場に次ぐ見せ場の連続。
それまでにも、
骸骨のマスクやシスターの服装に仮面での襲撃という、
ショッキング・ビジュアルを見せてくれたこの映画、
クライマックスでは圧倒的な数の警官やFBIに囲まれた中から、
果たして脱出なるか?を
息も止まらぬ演出で見せてくれる。


と、襲撃の話を中心に喋ったけど、
ほかにも見どころはいっぱい。
警察はクレアを囮にダグをおびき寄せようとする。
ダグが襲撃犯という真実を知ったクレアは
果たして彼との関係にどういう決断を下すか?」

----ふ~む。これは観たくなるニャあ。
ところでキャスティングの方は?



ベン・アフレックが主人公ダグも兼ねて監督。
ジェムには『ハート・ロッカー』ジェレミー・レナー
個人的には『ハート・ロッカー』での彼よりもこちらの方が印象に残る。
タウンを出ていこうとするダグの前に立ちふさがる、
いわば嫌われ役だけど、
そういう生き方しかできない男の、奥に秘めた諦め。
それを自爆覚悟で周囲に暴発させる姿が哀れを誘う。
根底にはダグへの友情があるだけに、憎みきれないんだ。
このジェレミー・レナーは本年度の賞レースで助演男優賞候補に
あげられるんじゃないかな。
クレア役のレベッカ・ホール
絶世の美女という感じじゃないところがいい。
普通にキャリアを重ねていたのに、
思わぬ事件に巻き込まれ、トラウマが残ってしまった。
そんな女支店長役を
役を作っているという感じでなく自然に演じている。
役を作っていないと言えば
花屋のファーギ―を演じたピート・ポスルスウェイト
彼のフィルモグラフィでも、ここまでの“悪”はなかったんじゃないかな。
バラの棘を処理しながらの会話に凄味が漂う。
ジョン・ハムも昔からの FBI捜査官のイメージ。
正義は俺が守るって感じだね。
そうそう、ワンシーンしか出ないけど、
こちらもまた存在感たっぷりなのが
クリス・クーパー
ダグの父親役で刑務所の面会室に囚人用の赤い服を着て現れる。
その彼とファーギーの関係が分かったとき、
ぼくは昨日喋った『モンガに散る』が頭に浮かんだな」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「2月の公開が待ち遠しいのニャ」気持ちいいニャ

※花畑、花屋など、花の使い方が上手い度

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『モンガに散る』(台湾の傑作青春映画)

2010-11-02 14:15:31 | 新作映画
(英題:Monga)



「あらら。この映画についてまだ喋っていなかった。
10月に観た中では『信さん 炭鉱町のセレナーデ』『マチェーテ』
『ソーシャル・ネットワーク』
などと並ぶ屈指の作品なのに…」

----へぇ~っ。そうニャんだ。
これって確か台湾映画だよね。
フライヤーを見る限りでは
ヤクザ映画っぽいけど…。
「そうだね。
でも同じアジア圏でも香港映画のそれとは異なり、
むしろ韓国映画のテイストに近い。
ぼくは観ながら『友へ チング』を思い出したくらい」

----ニャるほど。
少年時代の友情が根底にあるわけだね。
そしてそれが敵味方に分かれ、悲惨な結末を迎える…。
「う~ん。ちょっと違うかな。
主人公たちは、みな同じサイドに属している。
ただ、そこにあることから裏切りが生まれていく。
この映画のうまいところは、
その脚本の妙にあって、
裏切りの<見せる部分>と<見せない部分>を使い分け、
観客の感情をかき乱していくところにあるんだ。
モンガというのは台北の中心地。
この街に越してきたモスキートは
転校初日からクラスを仕切る不良のドッグに絡まれる。
それを助けたのが、
幼いころから校内勢力を仕切っているドラゴンと彼が率いる一味。
ドラゴンの父親はモンガの街で
一番の権力を握る極道組織のボス、ゲタ親分。
モスキートは彼らの仲間に引き入れられ、
喧嘩に明け暮れる日々を過ごしていく」



----ちょっと、あり触れている気がしないでもないけど…。
「ココだけを話すとね。
でも、この映画は少年の友情を縦軸に、
大陸との関係、日本への複雑な思いなどを
隅々までちりばめることで映画の世界をふくよかにしていく。
そして、もっとも重要なのが
少年たちの父親に対する思い。
じつは、これが最大のキーポイントとなる。
映像的にも緩急に富んださまざまな手法を取りれているし、
ブラックなユーモアで笑いをとったりと、
一瞬たりとも息が休まることがない」

----へぇ~っ。監督は誰ニャの?
ホウ・シャオシェンの作品の中でも、
もっとも瑞々しい(とぼくは思っている)
『風櫃の少年』で主演を務めたニウ・チェンザー
ホウ・シャオシェンの直弟子と言われているけど、
その大作感やエンターテイメント性は、
彼とは全く違うものだね。
ぼくは、この映画はもう一度観たいな」



 
          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ヤクザになると、いいことないのニャ」
ご不満

※ラストの10分間はゾクゾクする度



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です。