近藤史恵著"賢者はベンチで思索する"を読みました。
3編から成る連作短編集です。
"ファミレスの老人は公園で賢者になる"
久里子はファミリーレストランで働いています。
家族は両親と弟です。
犬を飼うことになりました。
その犬が散歩中に毒を仕込まれた食べ物を食べて
死にかけます。
そのあたりでは毒入り餌でやられる犬が多発しています。
ファミレスの特定の場所に毎日座っている老人がいます。
ぼけているのだと皆に思われています。
公園のベンチに老人が座っている時に久里子が話しかけると
老人はぼけているどころか体も若々しく頭は聡明です。
犬の災難の問題を解決してくれます。
"ありがたくない神様"
ファミレスで味がおかしいと文句が出たり、子供が
食事後たおれてしまう事件が発生します。
何かがしこまれたようなのですが誰にもできるはずが
なく困っています。
この事件も老人が解決してくれます。
"その人の背負ったもの"
ファミレスの窓から見える向かいの家の子供が誘拐されます。
犯人は老人だと疑われます。
そして老人が、老人の家に昔から住んでいる人ではなく、
詐欺師であるということがわかってきました。
しばらくして子供は帰ってきました。
老人が家を出て行ってから数日後に本物の住人が帰ってきます。
どうして子供を連れ去ったのか、どうして他人の家で
他人に成りすましていたのか、それには理由があったのです。
この老人、かっこいいです。
とても頭脳明晰です。
犯罪者なんだけど、他人を助ける人です。
事件が二つ続き、三つ目で話が急展開しあれよあれよと
終了へとなだれ込みます。
そうだったのかとわかります。
ベンチの老人、いいですね。1/18