フェルメールの透視画法
(1)フェルメールは、消失点と水平線を、特別なキャラクターとムードを構成する為に注意深く位置付けた。
例えば、「#08/笑う女と役人」では、消失点が2人の人物の中間にあり、2人の関係を示唆している。
(尚、「#02/マルサとマリアの家のキリスト」は、室内が正しく描かれていないので透視画法による絵ではない。)
(2)消失点
(a)下記の13作品の消失点にピン穴痕がある事が確認されている。
(#08) 「笑う女と役人」
(#09) 「牛乳を注ぐ女」
(#10) 「グラスのワイン」
(#14) 「ミュージック・レッスン」
(#16) 「天秤を持つ女」
(#24) 「画家のアトリエ」
(#27) 「天文学者」
(#28) 「地理学者」
(#30) 「ラブレター(恋文)」
(#31) 「メイドを傍らに待たせて手紙を書く婦人」
(#33) 「信仰の寓意」
(#34) 「ヴァージナルの前に立つ婦人」
(#35) 「ヴァージナルの前に座る婦人」
(b)フェルメールは全作品を通じて消失点を、描かれている人物の後方か、観賞者とシーンの間にある他のバリアーに置いている。
例えば、「#05/開けた窓辺で手紙を読む少女」(c.1657)では、消失点は、結局は消された壁にかけたキューピッドの絵の額縁の下側にあり、見る人の視線がキューピツドに行くので、キューピッドの絵を消したのである。