小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

プロレタリアート詩

2008-04-24 04:01:58 | Weblog
 ちょうどドーナッツの一ヶ所をナイフで切って、そこに十円玉ほどの薄い別のドーナッツを入れて、つなぎ合わせた感覚。自分は傍観者ではなく、自分が、社会、経済、を動かしている一部分であるという、まぎれも無い実感。この机の重みこそが、その実感なのだ。
あのよろよろの腰つきで誰に言われる事なく、一心に働く男達をみよ。その心がわからねばそれに加わってみるがよい。自分が社会の一員であるという実感。それは自分の命の実感なのだ。あのよろよろの腰つきで一心に荷物を運ぶ男達をみよ。人間の美しさは、あの中にあるのだ。荷物が来ると、わらわらと一斉に駆け寄り、トラックに運び込むあの男達の姿をみよ。器用、不器用、も一心に働くあの男達をみよ。その心がわからねばそれに加わってみるがよい。社会の一員であることの嬉しさは、あの箱の重さにあるのだ。
自分が必要な人間であることを実感したいなら、四人で重たい机を運ぶあの作業に加わってみよ。四人いなくてはあの机は運べないのだ。

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