キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

新井恵美子「わたしの小田原」丸井図書出版 2001年6月15日

2017年05月03日 | Weblog
著者の新井恵美子は「平凡」(現マガジンハウス)を創刊した岩堀喜之助の長女。
神奈川県立小田原城内高等学校を卒業している。
岩堀喜之助は小田原中学から明治に行っているので、まさしく私の小田原高校の先輩にあたる。

疎開で父の実家である前川村に小学校入学の時にやって来た。
東海道線の二宮駅と国府津駅の間にあるところで、今は小田原市前川になっているが、二宮の隣村であった。
前川のことも小田原のこともよく知っている場所と人と事柄が出てくるので面白く読んだ。

家の裏の蘇峰堂道記念館のことも出てきたが、おさめられている手紙や文書に興味深い物が実に多くあるのが分かり、灯台下暗しというのはこの事だなあとなんだかがっかりした。

小田原のお城の南西に小田原文学館があり、二度ほど行っているが、そこの通りを西海子(さいかち)通りと云い、谷崎潤一郎、斎藤緑雨、岸田国士、小杉天外、三好達治、坂口安吾などが住んでいたらしい。
知りませんでしたね。
しかしこの辺りは、もっと前は武家屋敷があったところで、小田原藩士だった我が家の祖先もこのあたりに住んでいたと思う。
その後、平塚の在で寺子屋をやり、昭和になって二宮秦野間で軽便鉄道を経営したので、現在のところにいるが、一度正確な住所を調べてみよう。

前川の北に当たる山の上に沼代という所があり、戦争中そこに飛行機が墜落したと母に聞いていたが、その話も出てきた。
著者が墜落機を見たという片木さんからその様子を聴いている。
多数のグラマンに攻撃されて煙を出している友軍機が敵をかわそうとしたが、別のグラマンの編隊に攻撃され、パイロットはハッチを開けて立ち上がってバンザイをしながら蜜柑山に突っ込んだ。
陸軍が遺体を引き取って行ったが、頭と両手が無かった。
後で頭と腕を見つけて埋葬しプロペラを建てたが、昭和28年墓石を建てたとのことだ。

飛行機は「疾風」陸軍の新鋭機であった。
中島飛行機のことを調べたことがあり、この機は戦時中の最優秀機であった、しかし多勢に無勢、悔しいですね。
パイロットは鹿児島出身の上原重雄中佐26歳、前日可愛がっていた部下が未帰還となり、制止を振り切って単機仇討ちのため迎撃に出たとのこと。
遺族や親友は片木家を探し当て墓参しているのがせめてもの慰めだ。

この片木さんの娘は私の小田原高校時代の同級生、御父上のお顔も存じあげているが、こんなことがあったとは知らなかった。
母に話したら、片木さんはすでに亡くなっているとのこと、もう直接お話しを聞く機会が無いのが残念だ。
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野毛の昼酒

2017年05月03日 | Weblog
4時19分に目が覚めるが外は薄明かるい。
来月の夏至に向けて夜明けは未だ早くなるのだろう。
6日はいよいよ立夏だ、梅雨前の夏は如何にも陽射しが強く、草の勢いが激しい、生命の躍動を感じる季節だ。
山の樹の白い花が咲く季節で最も好きな季節に入る。

例のごとく7時過ぎまでベッドで読書をしてから起き出し、風呂に入る。
今日は知人と昼に福家で待ち合わせて酒を呑み、その後ににぎわい座で落語を聴く予定だ。
酒を呑んでいると詰まらない噺には居眠りをする、落語家の出来を測る丁度いいバロメーターになるんだな。
一月振りのの横浜なので、早めに出て伊勢佐木町のBOで本を眺め美濃屋で母の煎餅を買おうかと思っている。
ついこの間までは簡単に出来たことが、隠居生活となると大仕事の様相を呈するから面白い。

朝飯は、小松菜と卵炒め、とろろ昆布汁、薩摩揚、納豆、糠漬け胡瓜。

9時35分二宮発の東海道で出かける、日差しは出ていないが雨も降りそうになくお出かけ日和ではあるだろう。
知人は高齢なので足元が悪いと大変だなあと思っていたが、まずまずの天気に安心をした。

10時半に関内駅に降り立ったら、エレヴェーターとエスカレーターの工事が終わっていて、ようやく関内も人並みな駅になっていた。
折角だからエレベーターを使い改札階に下りて外に出た。

伊勢佐木町側の三井住友に行き通帳記載をする。
もう入金が無いので減ってゆくだけの数字を見るのは寂しいねえ。

伊勢佐木町はパレードがあるとかで、ロープが張られ皆さん場所取りをしていて歩き辛かった。
BOで1時間ばかり本を眺め、以下の4冊を買う。

辻邦生「海峡の霧」新潮社 2001年 1,800円
2009年いなくなっているので、死後、各紙に描いた雑文を集めて1刷にしたもので、「微光の道」と対をなすものであるが、そちらのほうは買わなかった。
家に帰ってから、買っておけばよかったなあと後悔している。
まあ、読まなきゃ後悔もくそもないんですがね。

「寺山修司少女詩集」角川文庫 昭和56年初版 平成15年改版17版 580円
詩集を買う癖があるんですね、40年以上前にカッパブックスで寺山修司の詩集のような、警句集のようなものを買っていて、割と繰り返し読んだ。
詩集はトイレの棚に置いて読んでるような読んでないような感じですが、二か所のトイレ、脱衣場の棚、台所、居間、縁側などになんとなく置いてあるので、同じものが何冊あってもいいんです。
それにしてもよく売れていますね、詩集でこんなに長く売れ続けているのは珍しいんじゃないですか。

原彬久「岸信介―県政の政治家―」岩波新書 1995年1刷 2014年14刷 800円
安部晋三の影響なんでしょうか、ロングセラーですね。
2014年の時点で14刷ですから大したものです。本来的な岩波新書の役割を果たしている本ですね。
今のところ政治家は好きな順に、田中角栄、野中広務、大平正芳ですね。

池谷裕二 中村うさぎ「脳はこんなに悩ましい」新潮文庫 平成27年を買う。
先日、佐藤優との対談で中村うさぎを見直したので購入しました。
「セックス放浪記」も買おうかと思ったのですが見当たりませんでした。

福家では、福寿純米吟醸2合を冷で、本醸造を燗で2合、空豆、水茄子、赤貝、青柳、帆立の刺身、奈良漬を肴に呑む、飯は鰻丼。

昼酒は効きますね、おかげで落語は居眠りをしてました。
もっとも、すごい噺はありませんでしたけどね、全体に低調でした。
古今亭始「やかん」 ものまね 江戸家まねきねこ 春風亭柳橋「お見立て」笑福亭里光「狸さい」
ジャグリング ストレート松浦 林家正雀「らくだ」
しかし、今日も僅かに席は空いてるものの、1年前の入りとは雲泥の差、いったいどうしたんでしょうか。
詰まらない噺に笑ったり拍手したりするのは嫌だね、聴き巧者が下手な噺の時には居眠りをしているようじゃないと、噺家も勘違いしちゃうよな。

 
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