こたなたよりこんなこと

「登場人物」と「人物設定」は「フィクション」です。人物・企業・団体は実在のものとは関係ありません。

素人が「三角測量」をするとどれだけの誤差が出るのか?

2017年09月15日 | 自然観察

 先週の話ですが、「久喜天文自然クラブ」で「三角測量」をしてみる事になりました。

 今回は「講師」として、天体観望会のときにもお手伝いにくる「国立天文台」に勤務している方が指導してくれました。

 さて、「距離を測る」あまり意識していませんが、私たちは常に「距離を測って」いるのです。例えば「階段を上がる時」とか、「机に置いたペンを取る」時、「混雑している駅を人とぶつからずに歩く」時など、日常的に距離を測っているのです。

 では、「距離を測る」にはどのような方法があるでしょう?ちなみにここでの「距離」は「直線距離」、つまり「最短距離」のことです。一番よく使うのは「定規」や「巻尺」を使う方法ですね。コレなら一目瞭然で解りますが、定規や巻尺の長さ以上の物を測るとなるとなると大変ですし、手間もかかります。「km」単位なら物理的には無理に等しいです。クルマや自転車の「距離計」を使う。確かに測れますが、コレは「道のり」を測るには良いでしょうが、「距離」を測るにはむずかしい事が多いです。

 「レンズを通してピントを合わせて測る」。レンズの「焦点距離F」と「レンズから目標までの距離A」と「レンズから像までの距離B」との間に「レンズの公式」、「1/F=1/A+1/B」を使います。「焦点距離F」が解っているレンズを使ってBまでの長さをを物差しで測れば、Aが解ります。良い方法の一つで実際に「AFカメラ」はこの方式を使っていますが、焦点距離が短いと精度が悪く、「焦点距離100mm」のレンズを使えば、距離100mと200mとではピントが少しずれている事が解る程度。また、ピントの具合を人間が判断するとなると「個人差」が出てしまいます。

 「一定の速度で飛ぶ何かの飛んでいる時間を測る」。コレは良く「雷」の距離を測る時に使いますね。「雷」が「光って」から「音が聞こえる」までの時間を測って、雷が近いか遠いか判断するアレです。「音」は「1秒間に340m(気温20℃の時)」進みますから「速さX時間=距離」で測れますね。この方法は「レーダー」や「ソナー」が使用している方法です。ただし、コレは「目標が音や電波(光を含む)を出している」または「こちらから出した音や電波」が「キチンと反射して戻ってくる」事が条件で、対象が吸収してしまったり、乱反射して戻ってこないと測れません。

 「一定の大きさや明るさの物の、見かけの大きさ・明るさで測る」。コレはあまり使わない方法ですが、大きさの決まっている物を目標に置いて、「見かけの大きさがどれだけ小さくなるか」で測ります。この「見かけの大きさ」は「tanθ」がどれだけ小さくなるか。でして、「式」で言うと「tanθ=物体の大きさ/距離」なので「距離=物体の大きさ/tanθ」で割り出せます。「あまり使わない方法」なのですが、「クルマ」などで走っているとき「信号機」の大体の大きさを経験上私たちは知っており、その見かけの大きさから「大体の距離」を把握しています。もう一つの「見かけの明るさがどれだけ暗くなるか?」は「同じ明るさなら、遠いものほど暗く見える」から判断できます。ちなみに「灯台」は「どのくらいの高さでどのくらいの明るさで光っています」と「公表」されており、その明るさの減光具合から船は距離を測っているそうです。

 「右と左で、目標の見かけの位置がどうズレるかで測る」人間が立体的に物を見れるのは「右目」と「左目」で物を見たときのズレ「視差」で見ており、実際に「5m」ほどの距離に置いた「立てた棒」を同じ位置で「右」と「左」だけの、それぞれの「目」で見ると左右でずれて見えますね?この方法だと「遠くのものほどズレが小さくなる」ので、その差で測ります。ただコレは、「人間の目」では「100m」が限度。遠くになるほどズレが小さいので精度は低くなってしまいます。「ぶつからないクルマ」で一躍有名になった「アイサイト」はこの「視差」を利用して距離を測っているのです。

 この方法を利用してさらに「遠く」を測れるようにしたのが「測距儀」と言う測定器で簡単に言うと「双眼鏡の対物レンズを極端に離した」物。「左右どちらかの筒でも目標が視野の真ん中に重なった時の角度」から距離を測ります。実際には「左右どちらかの筒内にある鏡の角度」を変えて使います。何でも「旧海軍」の「戦艦 大和」には「40km先」まで測れる「測距儀」があったそうで、その対物レンズは「15m」も離れていたそうです。

 さらにコレを発展させたのが「三角測量」。ただし、効率よく行うとすると2人は必要で、A地点から水平に離れた距離B地点から目的の角度をそれぞれ測り距離を出すのです。でも実際には「地球は丸い」ので、ある程度A.B間の距離が広がってしまうと「高低差」が出てしまい、正確に遠くの物を測ろうとすると、さらにもう1点「高いところで目標の位置のズレ」を見る必要があります。実際の「測量」では、さまざまな箇所から何度も測量をして制度を上げて、最終的に基準点を作ります。コレが「三角点」でして、その精度から「5等から1等まで」あるそうです。

 この「三角測量」と「電波」による測量をあわせたのが「GPS」による位置観測なのです。

 さらに「遠く」の物である「恒星」を測る時には「公転」を利用して測ります。コレは「年周視差」と言い「春分点」と「秋分点」を使って測ったります。しかし、コレで測れるもの太陽系に近い恒星で宇宙全体から見れば「地球の年周視差」なんてわずかな物なので、大抵の星は「灯台を使用した測量」と同じく「明るさ」を利用した方法でして、この場合の「灯台」は「ケフェウス座 デルタ型変光星」や「Ia型超新星」とかを利用しています。が本当に一定の明るさなのかが不明だったりします。

 こういった「測量方法」をふまえて、実際には「目が離れている方が視差に優れている」と之事から「ポンセ」や「デストラーデ」、「落合」は目がやはり離れ気味。とか、「牛久大仏」の大きさが非常識的で距離感が掴めない。なんて話をしつつ、実際に「三角測量」をする事に。

 今回用意した道具は「分度器」と「定規」それと「25m巻尺」それと「懐中電灯」。

 「分度器」の上に「定規」を乗せ、コレを「サイト」にして目標である「懐中電灯」までの角度を出します。「巻尺」は「正解」と、測量点「A・B間」を測るために使います。測量は「プラネタリウム」の「ドーム」内で、一番前の席辺りから「コンソール後ろ」にある「プロジェクター」までの距離を測ります。ので、プロジェクターの場所に「懐中電灯」を点灯した状態で置きドームの左右端に設定した「A点・B点」で「懐中電灯」までの「角度」を測ります、なお「A点・B点」の間は「約9m」でA点」からの角度が「約71度」で「B点」からの角度は「約70度」今回は6名でそれぞれの角度を測り、平均値を出して精度をだす方法を使用しています。測るのは「垂線CH」で、測れるのが「底辺AB」と「角α」と「角β」。公式は

 tan(α)=CH/AH

 tan(β)=CH=BH

 なので

 AH=CH/tan(α)

 BH=CH/tan(β)

 ここで、AB=AH+BHだから

 AB=CH/tan(α)+CH/tan(β)

     =CH*(1/tan(α)+1/tan(β))

 よって

 CH=AB/{(1/tan(α)+1/tan(β)}

 でCHが求まります。ちなみに「tan」の値は「関数電卓」を使うか「三角関数表」を使えば解ります。Winの「電卓」には「関数電卓」機能もあるのでそれを利用するのが簡単かも知れませんね。

 三角関数 tanθ=sinθ/cosθ とかの公式で式変形すると

 CH={sin(α)*sin(β)}*AB/sin(α+β)

 にまでまとまりますので、この式でも使えます。

 その結果「計測値」が「約12.3m」で実測値が「12.55m」。つまり、計測誤差は「約2%」になります。

 正直、素人がやってですからね、しかも初めての1回でこの結果ですよ。さらに精度の高い「サイト」や「分度器」を使えば誤差はさらに縮まるでしょう。「三角測量」実際にやってみると結構楽しいですし、何よりも知識として持てるのが楽しいですよ。

れでは、本日の登場人物は「天文自然クラブ」な話でしたので、この方。「非公認」の「久喜天体自然クラブ」のパッチに登場しているキャラクターである「天体」が好きで「宇宙」に憧れる「桜宮 ツアイシア」さん、通称「シア」さんです。今回の「天文自然クラブ」は「三角測量」の話。実践してみると…。ちなみに背景は今回の「三角測量」での簡略図なのです。

コメント (1)
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