鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1413~ここから先は何もない

2017-09-11 12:47:51 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「ここから先は何もない」です。

著者は山田 正紀というSF作家の方。
北海道新聞の図書コーナーで紹介されていて興味を持ちました。
あわせて読んだAMAZONのレビューで“名作SF「星を継ぐ者」に対するオマージュであり挑戦である”という一文を目にし、即、読むことにしました。
「星を継ぐ者」といえば、宇宙的スケールで書かれた人類史に感動必至の名作中の名作。
そのSF大作に挑戦した作品を日本人が書いたとあっては、読まずにいられません。

内容紹介を引用します。
=====
小惑星探査機のサンプルに含まれていた人骨化石。
その秘密の裏には、人類史上類を見ない、密室トリックが……!
書き下ろし長編SF。
=====
小惑星から発見された、化石人骨“エルヴィス”とは?
3億キロの密室殺人。
一気読み必至!
超弩級エンタテインメント。
=====

オープニングはなぜか我が街・札幌での追いつ追われつのシーンからスタート。
宇宙の話はどこへ行ったの?と思っている内に、徐々に主要メンバーが揃って行きます。
そして小惑星探査機に起きた理解不能の出来事と、小惑星から発見された人骨の謎が投げかけられます。
おお、来た来た。
この先、いったいどんな展開になるのか?
目が離せません。
紹介文の通り、確かに、空き時間すべてをつぎ込み、ほぼ一気読みしてしまいました。

読後感としては、「星を継ぐ者」への挑戦というにはスケールの小ささが否めません。
現存する技術・装備などを屈指して、モロに現実的な目で「星を継ぐ者」を書くと、本書の出来上がり。
という感じかな?
そして「ここから先は何もない」という差し迫った現実的な恐怖。
これはこれで「有り」ですね。
SF小説やSF映画で散々描かれてきた、すぐそこにある未来が、そういう世界であること、そしてそれが徐々に顕在化することを実感できる秀作でした。
(具体的に書く訳にはいかないため、ぼかした表現でゴメンなさい)
「星を継ぐ者」への挑戦、ではなくオリジナル作品として楽しむことをおすすめします。

それにしても本書の紹介文、誰が書いたの?
小惑星がらみの「密室トリック」は良いにしても、「密室殺人」は大間違い!
このコピーを書いた人は、本書をまともに読んでいないことがバレバレです。
本に興味をもってもらうために、コピーって大切なんだから、しっかり仕事してください。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お気に入りその1412~塩の街 | トップ | お気に入りその1414~鬼平犯... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

鬼平・竹鶴以外のお気に入り」カテゴリの最新記事