元・副会長のCinema Days

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「テイクオーバー」

2024-01-26 06:06:16 | 映画の感想(た行)
 (原題:THE TAKEOVER)2022年11月よりNetflixから配信されたオランダ製のハイテク・スリラー。取り立てて持ち上げるようなシャシンではないが、退屈せずにラストまで付き合える。上映時間も88分とコンパクトで丁度良い。そして注目すべきは劇中で展開される悪事の“黒幕”の設定だ。ここまで露骨に言い切れるのは、おそらくハリウッド映画などでは無理だろう。その点も興味深い。

 凄腕ホワイトハッカーのメル・バンディソンは、ロッテルダムで運行予定のハイテク自動運転バスのデータ漏洩を事前に回避させる。しかし同時に、そのシステムに“相乗り”していた国際的な犯罪ネットワークをも意図せず機能停止にさせてしまう。組織は彼女を抹殺すべくメルを凶悪犯に仕立て上げたニセの動画を流し、警察に指名手配させる。犯罪集団と当局側の両方から追われるハメになったメルは、以前ブラインドデートをしたトーマス・ディーンを巻き込んで必死の逃避行を続ける。



 映画はヒロインが十代で大々的なハッキングをやらかしたシークエンスから始まり、それから10年後に時制が飛ぶのだが、成長したメルはキツい性格の共感できない女になっていて少し萎える(笑)。演じるホリー・ブロートがあまり美人ではないのも愉快になれない。さらに、一回しか会ったことがないトーマスを絶体絶命のピンチに追いやってしまうのも、思慮が足りないと思う。

 しかしながら、アンネマリー・ファン・デ・モンドの演出はヒッチコック映画でお馴染みの“追われながら事件を解決する話”のルーティンをしっかり守っていて、破綻することはない。後半、メルとトーマスが別々のシチュエーションで同時に命の危険にさらされるくだりは、けっこう盛り上がる。そして事件のバックに控えているのが、ズバリ“あの国”だというのは驚いた。まあ、よく考えてみれば有り得ない話でもないのだが、ここまで断定してしまうと痛快ではある。

 トーマス役のゲーザ・ワイズをはじめ、フランク・ラマースにノーチェ・ヘルラール、ローレンス・シェルドン、ワリード・ベンバレク、スーザン・ラデルといったキャストは馴染みは無いが、皆的確に仕事をこなしている。また、ウィレム・ヘルウィッグのカメラによるロッテルダムの街の風景は魅力的だ。

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