ラ・フランス一気に熟し香りたる今夜もしづか消灯ののち
(阿部久美)
三河屋のチラシの裏にわが書きし「かたたたきけん」母の文箱に
(有沢螢)
小粒なる渋柿あまた実らせて大笑いする柿の木があり
(関谷啓子)
黄の色にほのぼの咲けり石蕗(つわ)のはな誰も知らざる木の下陰に
(小林登美子)
年取つたねえと鏡の女にいふときに鏡の女はすこし怒りぬ
(西村美佐子)
トランプ氏を勝たせしちから解せぬまま読みをり『今昔物語集』
(洞口千恵)
現代短歌の主要テーマは孤独だと聴きて戻りぬひとりの部屋に
(八木明子)
淡からぬ濃からぬ鴇のかざきりのあけはふさはし老いづくわれに
(佐々木通代)
蓮根のむなしき穴を嘆きつつ目の手術日の前日となる
(青輝翼)
拭かぬ硝子戸がいつまでも綺麗であるやうに 一日の終りにわが祈ること
(酒井佑子)
***********************************
短歌人2月号、同人1欄より。
(阿部久美)
三河屋のチラシの裏にわが書きし「かたたたきけん」母の文箱に
(有沢螢)
小粒なる渋柿あまた実らせて大笑いする柿の木があり
(関谷啓子)
黄の色にほのぼの咲けり石蕗(つわ)のはな誰も知らざる木の下陰に
(小林登美子)
年取つたねえと鏡の女にいふときに鏡の女はすこし怒りぬ
(西村美佐子)
トランプ氏を勝たせしちから解せぬまま読みをり『今昔物語集』
(洞口千恵)
現代短歌の主要テーマは孤独だと聴きて戻りぬひとりの部屋に
(八木明子)
淡からぬ濃からぬ鴇のかざきりのあけはふさはし老いづくわれに
(佐々木通代)
蓮根のむなしき穴を嘆きつつ目の手術日の前日となる
(青輝翼)
拭かぬ硝子戸がいつまでも綺麗であるやうに 一日の終りにわが祈ること
(酒井佑子)
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短歌人2月号、同人1欄より。