現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

河合雅雄「魔魅動物園」少年動物誌所収

2017-05-24 21:05:51 | 作品論
 主人公は、また病気で学校を休んでいます。
 そんな彼を慰めてくれるのは、すぐ下の弟が捕ってきてくれた子雀のチー子だけです。
 常にエサを求めるチー子の世話をする時だけは、病気を忘れられます。
 主人公は、少し具合がよくなって学校へ行った時も、密かにチー子を連れて行って教室で逃がして大騒動になります。
 学校へ行かれない主人公を慰めるために、弟と二人で庭に魔魅動物園を作ります。
 そこで飼われているのは、イヌ、ニワトリ五羽、シマリス二匹、十姉妹五羽、文鳥二羽。ブルーインコ二羽、二十種もの魚やエビ、ハイ(オイカワ)、カワムツなどですが、彼らが在所の子たちと戦うために育てている毒ガス部隊の屁こき虫のコウヤ(ミイデラゴミムシ)、クソジ(カメ虫)、パピ子(ナミアゲハの幼虫)などもいます。
 それに、弟がもらってきた三羽のゴイサギの幼鳥も加わりました。
 ゴイサギは大ぐらいで、二人は餌の蛙やタニシを捕るのに追われます。
 そして、目を離したすきに、魔魅動物園の他の魚や虫たちも、ゴイサギに半分近く食べられてしまいました。
 また、一攫千金を夢見た二人は、アカチナ・フリカという食用カタツムリの飼育にものり出します。
 秋が来て、ついにゴイサギは野に放たれ、魔魅動物園の魚や虫、それにアカチナ・フリカまで死に絶え、かわいがっていたチー子まで主人公の不注意で死なせてしまいます。
 こうして、主人公の少年時代は終わりを告げたのです。

少年動物誌 (福音館文庫 ノンフィクション)
クリエーター情報なし
福音館書店

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