現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

トレインスポッティング

2020-06-13 20:43:05 | 映画
 1996年制作のイギリス映画です。
 スコットランドの地方都市を舞台に、ヘロイン中毒の若者と、彼以上にいかれた仲間たちを、斬新な映像と音楽で描いた作品です。
 全編を通して、麻薬中毒、アルコール中毒、窃盗、セックス、喧嘩、麻薬取り引き、薬物中毒死、ネグレクトによる赤ん坊の死など、ショッキングなシーンの連続なのですが、深刻ぶらずにユーモラスに描いているので、客観的には悲惨極まりない状況なのですが、最後まで興味深く見ることができます。
 主人公は何度か麻薬を止めようとしますが、禁断症状だけでなく、仲間との腐れ縁のために、なかなか抜け出せません。
 ラストシーンで、とうとう仲間を裏切る(麻薬取り引きのお金を持ち逃げする)ことによって、麻薬生活を断ち切ろうとしますが、はたしてうまくいくでしょうか(2017年に続編が作られたのですが、未見のためコメントできません)。
 「シング・ストリート」(その記事を参照してください)は1980年代のアイルランドの不況下の状況を描いていましたが、この映画では90年代のイングランドに抑圧されているという認識を常に持つスコットランドの閉塞感がよく現されています。
 ふたつの映画の主人公たちに共通するのは、閉塞した状況を打開するためには、皮肉にも彼らを抑圧しているイングランドの首都ロンドンへ向かうことでした。
 現代の日本でも、地方の閉塞感は年々ひどくなっていて、そこに住む若い世代の人々もまた、その状況を打破するためには東京に向かわざるを得ません。
 そうした人たちを、映画でも文学でも、もっともっと描かなければならないでしょう。

トレインスポッティング(字幕版)
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