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レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

ボルジア本

2016-01-11 12:47:22 | 
 もう去年のことだけど、書店の外国文学の棚で読みたいものを数種類発見した、その一部が『ボルジア家風雲録』byアレクサンドル・デュマだった。
 図書館の市外取り寄せを利用して読んだが、この作家にこの題材ならばもっともっとすごくてよさそうなものという感じ。
(美内すずえがジャンヌ・ダルクを扱った『白ゆりの騎士』が私にとっていまひとつであることと似ているかもしれない)
・通常、無能な弟ホアンとして描かれるガンディア公が、人格者の兄フランチェスコとして出てくることがどうにも違和感がある。単にフィクション?それにしては後述の高木作品でもこれを引き継いでいるのがひっかかる。その後、マリーア・ベロンチの伝記『ルクレツィア・ボルジア』を読むと、なじみのある無能なホアンであった。ではやはりデュマのフィクションということでいいのだろうか。
・チェーザレが悪党なのは別にいいけど、闘牛試合の見物客の中に目をつけた美女をかどわかして慰み者にして殺害というのは鬼畜が過ぎる。ファエンツァのアストール・マンフレディが殺害されたのは事実としても、これまた、美少年を凌辱したあげく・・・なのである。まあそういうBLが出てきそうではあるけど。(どこかのライトノベルで、中大兄x有馬があったっけな)

 あとがきで、少女マンガでのボルジアものについても言及がある。
 先行図書の『幻想書誌学序説』by村上博美(青弓社1993)では様々なボルジアものを紹介しているというので、この本も借りて、未読のものをいろいろと知った。『漫画に現れたボルジア家』では、『イブの息子たち』『妖女伝説』『バビロンまで何マイル?』等が紹介されている。『風雲録』あとがきでは、それよりあとの作品が主に言及、ということは『花冠のマドンナ』『カンタレラ』『チェーザレ』が挙がっている。
 高木彬光『ボルヂア家の毒薬』(『吸血の祭典』に収録)は明らかに上記のデュマ作品に影響を受けている。ただし、チェーザレが腹黒だけでなくて容姿まで悪くしてあるのは・・・シェイクスピアのリチャード三世かっ! オチは独創。 な お。この本には歴史ネタ作品がけっこうある。でもあまり面白いとは思えなかった、残念ながら。地元の図書館にあれば読んでみてもいいかも、という程度の印象。
 同じ本で紹介されて知って読んだ『秘録コロンブス手稿』スティーブン・マーロウ(文芸春秋社1991)はまあまあ。
 桐生操『血塗られた法王一族』は、ホアン殺害をレオナルドが推理する話。

 『幻想~』で紹介されているボルジア本のうち、ここで初めて知ったものが上記の桐生、高木、マーロウ、ベロンチの4種だけだった、私もかなり読んでいるもんだ、覚えているかは別として。

ベロンチの本の巻末の広告で、『イザベッラ・デステ』『ポンパドゥール夫人』『ベアトリーチェ・チェンチ』等の伝記を知った。こうして読みたい本は常に増えていくのである。
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