犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

張本氏、韓国に喝!

2023-05-17 19:27:40 | 韓国雑学

 韓国の「朝鮮日報」が、元野球選手の在日韓国人、張本勲氏のインタビュー記事を載せました。

張本勲さんインタビュー(上)
張本勲さんインタビュー(下)

 張本といえば、往年の日本球界の大打者。

 通算3085安打 は今も日本プロ野球の歴代一位(日米通算ではイチローの4367安打)。

 母のお腹の中にいたときに、朝鮮半島から日本へ移住。日本で生まれ育ちましたが、国籍は今も韓国です。

 日本プロ野球界には、金田正一をはじめ、コリア系の選手が多い中、帰化せずに韓国籍を維持している選手は珍しい。

 それもあって、張本氏は韓国でも尊敬を集め、球界のレジェンドになっています。1982年発足の韓国プロ野球の立役者でもあります。

 張本氏は、インタビューの中で、自身が1945年広島原爆投下の被爆者であったことを明かしています。日本では、差別を恐れてその経歴を隠し、カミングアウトしたのは2006年のことでした。

 原爆によって母親は勲氏をかばうようにして負傷、姉は亡くなっています。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と日本の岸田文雄首相は、来るG7広島サミッで、広島平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪れる予定というニュースを聞き、感激したそうです。

 張本氏は、被爆者差別について次のように語っています。

 張本さんは「本当に恐ろしいのは原爆以降の社会でした」と言った。「被爆者は韓国人であれ、日本人であれ、日本社会で差別されました。原爆によって手脚がなくなったり、やけどを負ったりした子どもたちとは遊んでくれませんでした。親たちが『被爆も伝染病のように移る』と考えていたからです」。張本さんはプロ野球選手を引退して60歳を過ぎるまで、被爆者であることを公表していなかった。「人が焼けるにおい」を思い出すのが怖く、被爆の記憶がよみがえりそうになるとバットを振ったという。2000年代半ば、日本の番組を見ていた時、若い人々が「原爆が落ちた地点を見物したい」と言うのを聞いて激怒した。2006年8月15日の終戦の日に日本のある番組に出演し、「我々の世代は戦争を、そして原爆の体験を後世に残すべきです」と語った。

 韓国では、日本に原爆が落ちたのは天罰だった、などという人がいますが、広島と長崎で、多くの朝鮮半島出身者が被曝した事実は、韓国ではあまり知られていません。

 張本氏は、韓国人だからという理由で差別を受けたことはあまりないといっています。

 張本さんは「韓国は世界で一番いい国です。一度も韓国人であることを隠したことのない人生を送ってきました」と言った。そして、「(自身が)中学・高校のころまでは日本社会で韓国人がいじめられましたが、私は野球をしていたからか、ほとんど差別されませんでした。だから韓国人だという感覚がむしろありませんでした」と話した。

 朝鮮日報はこのインタビューを社説でも取り上げています。

「日本にいつまで『謝罪しろ、カネを出せ』と言うのか」…在日韓国人・張本勲氏の苦言【5月13日付社説】

 …張本勲氏は「いつまで日本に『謝罪しろ』『カネを出せ』と繰り返さないといけないのか。恥ずかしい」と語った。張本氏は「当時はわれわれが弱くて国を奪われたが、今では自負を持って日本と対等に手を組み、隣国として進んでいってはいけないのか」と述べた。広島で被爆した経験を持つ張本氏は、多くの懐柔にも関わらず最後まで韓国籍を守った人物だ。そんな張本氏が「私は韓国人で、私の祖国だから言うこと」だとし、胸に刺さる苦言を投げかけたのだ。張本氏だけの考えではないだろう。多くの韓国国民も、今や韓国は先進国になったのに、いつまで日本と非正常な関係を引きずりながら「謝罪しろ」「カネを出せ」と言うのか-という思いを抱いている。

(中略)

 1965年の請求権協定には徴用被害者の補償が明白に明示されており、補償もなされた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も「日本に再び賠償を要求することはできない」と結論を下した。そのとき、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領も政権に参加していた。ところが大統領になると、反日攻勢に利用した。慰安婦合意も事実上破棄した。尹錫悦政権が困難の中で徴用被害者への第三者弁済案を打ち出したが、進歩(革新)系最大野党の「共に民主党」は「屈従外交」だとの非難に忙しい。何の代案も提示しない。ひたすら国民感情を刺激し、政治上の利得を狙う計算あるのみだ。


 今、大韓民国は世界第6位の輸出大国で、国民1人あたりの国内総生産(GDP)は日本に並ぶ。国家競争力の順位は日本を上回った。日本では「このままでは韓国に後れを取る」との懸念が強い。そんな韓国が絶えず「カネを出せ」と言ったら、国際社会はどう思うか。歴史の教訓を忘れてはならないが、被害意識からは抜け出すべきだ。そうすべき時期になった。反日攻勢をカネ稼ぎと政治に利用する勢力も、もうそんなことはやめなければならない。

 こうした考え方が、今後、韓国でも主流になってくれることを望みます。

 ところで、私は以前、韓国の金浦空港で張本氏を目撃したことがあります。その時の記事はこちら。

韓国便り~伝説の試合


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