弁理士の日々

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日本国憲法前文(2)

2006-02-28 00:14:57 | 歴史・社会
日本国憲法前文の第1段落です。第1段落は4つの文からなりますが、その中の第1文を取り上げます。
「 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
この文章には、述語とおぼしき語が5つ並んでいます。「行動し」「確保し」「決意し」「宣言し」「確定する」です。この5つが並列の述語なのか、それぞれが異なった位置づけにあるのか否か、その点が不明です。

そこで英文を確認します。
"We, the Japanese people, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this Constitution."

英文との対比からわかることは、
「行動し」acting
「確保し」(確保することを決定)determined that we shall secure
「決意し」resolved
「宣言し」do proclaim
「確定する」do firmly establish
と、時制が異なることです。

これから上記第1段落第1文は、
「日本国民は、国会代表者を通じて行動することにより、
・・確保することを決定した、・・・決意した
・・宣言する、・・・確定する。」
という構造であることが、英文を見ることによってはじめて把握できます。

そうとすると、この憲法を制定する直接の動きを述べているのは「・・宣言する、・・・確定する。」の部分であり、その前の「・・確保した、・・・決意した」については、憲法制定前におけるしかるべき国会での具体的事象を指しているものと思われます。

ここまで解析できれば、この「・・確保することを決定した、・・・決意した」が具体的にどの事象を指しているのかが特定できるはずなのですが、まだこの点を特定した論述に出会えていません。どなたかご存じの方がありましたらぜひ教えてください。

次回に続く。
コメント
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