弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

霞が関官僚の惨状

2020-12-29 17:02:11 | 歴史・社会
本年9月、私は『菅次期政権による霞ヶ関支配』(2020-09-14)において以下のように論じました。

安倍政権時代、管官房長官による、内閣人事局を濫用した霞ヶ関に対する強権政治により、まずは官僚が官邸忖度となり、森友問題では「安倍案件」というだけで官邸からの指示もないのに森友側に優遇を図りました。そしてそれが公になると、今度は公文書改竄という恐ろしいことまで行いました。

片山善博氏(元総務大臣)曰く『かつての官僚組織には問題もありましたが、プロフェッショナルとして国民に奉仕するという気概を持った方もたくさんいました。内閣人事局が悪用されている現在よりも過去の方が相対的にマシです。
役所のいいところを潰してしまいました。今の霞が関の雰囲気はこうです。国民のためではなく政権に言われたことをやる。それで失敗したら官邸のせいにして留飲を下げる。国民のためにならないのであれば、直言する気骨が失われてしまいました。』

そしてその弊害は、コロナ対策において顕著な弊害として現れました。コロナにおいては、厚労省が一丸となって強力な政策を打ち出すべきところ、厚労省は何もなしえませんでした。
舛添要一氏(元厚労大臣)曰く、舛添氏が厚労大臣のとき、『優秀な官僚を抜擢して厚労省の大改革を断行した。2009年夏の総選挙で政権が民主党に移り、その後2012年12月の総選挙で自民党が政権に復帰した。民主党政権下でも、私が抜擢した優秀な幹部官僚は大活躍したが、その後を継いだ安倍政権は「民主党政権に協力した」という理由で、彼らを左遷してしまった。その結果、厚労省は幹部に人材が欠け、今回の新型コロナウイルス対策でまともな対応が取れないのである。』

以上のように、総務省と厚労省については、それぞれの元大臣の証言によって霞が関官僚の劣化が示されました。

今回、以下の記事で、農水省についても同様の惨状であることが示されました。

「Go To」が大失敗したのは、安倍・菅政権の「官僚イジメ」のせいだった
12/29(火)  現代ビジネス
『ある農水省OBはこう嘆く。
「菅総理が官房長官時代、農水次官に『壊し屋』とあだ名された奥原正明氏を送り込み、敵対する幹部を根こそぎ排除した結果、まともな人材がいなくなった。残っているのは官邸と大臣の顔色ばかり見て、国民や業界のことなど顧みないヒラメ官僚だけだ。能力的にも、今では農林族議員への根回しなどをまともにやれるような事務官も払底していて、先は暗いと言わざるを得ない」
菅氏は総理となっても、自らの意向にそぐわない官僚を異動させると公言し、霞が関全体を恐怖で支配している。「官僚というのは給料が半分になっても昇進したい生き物」(全国紙政治部記者)なだけに、各省幹部級職員の「ヒラメ化」が急速に進んでしまうのはやむを得ない。
昭和の時代のように、官僚が圧倒的な権力を持つのもおかしいとはいえ、近代国家という枠組みが続く限り、官僚のレベルが社会の質に直結することも事実だ。』

コロナ関連のニュースを毎日見ていると、菅総理については、危機管理におけるリーダーシップ能力が著しく欠けていることが明らかです。以前であれば、たとえ総理が無能であっても、霞が関官僚が力を発揮して最悪の事態を防ぐこともできたでしょう。しかし現在は、総理も無能、官僚機構も崩壊しており、日本はなすすべもなく右往左往するばかりです。
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在宅勤務のためのリモート接続

2020-12-26 16:51:51 | サイエンス・パソコン
私の自宅パソコン環境は以下の通りです。
ディスプレイに三菱電機製25.5インチRDT261WH仕様)(1920×1200)を用いています。入力はDVI-I端子とDVI-D端子、D-Sub15ピン(VGA)であり、DVI-I端子とDVI-D端子はHDCP対応です。
キーボードは親指シフトキーボード(Rboard Pro for PC)でPS/2端子接続です。

パソコンはショップブランドのWindows 10パソコンです。ディスプレイ出力はDVIとVGAの2端子です(と思い込んでいたのですが、たった今調べたら、DVIとディプレイポートの2端子でした)。

この春、まだコロナ禍が始まる前ですが、職場が希望者に対して在宅勤務のリモートワーク環境を準備してくれることとなり、私も手を上げました。自宅に職場から新たなPCの貸与を受け、そのPCと職場の私のPCとの間をリモート接続します。
職場から届いたリモート用PCは、古いタイプで、ディスプレイ出力はDVIとVGAの2端子です。
自宅のPCは、個人用のPCと職場リモート接続用PCの2台体制になるのですが、ディスプレイとキーボードは上記従来から使っている一組のみとしたいところです。

そこで、パソコン自動切り替え機を導入することとなりました。
ディスプレイの接続としては、2台のPCとディスプレイに共通するDVIを採用し、キーボード端子にはPS/2を採用します。
職場から届いた切り替え機は、ディスプレイエミュレーション対応DVIパソコン自動切替器(SW-KVM2DXN)でした。

接続の結果、うまく作動しました。キーボードで「Ctrl→Ctrl→Enter」と押すと、PCを切り替えることができます。マウス(USB接続)も共通化することができるのですが、これだけはどうも安定性に欠けます。そこで、マウス(ワイヤレス)は2台のパソコンそれぞれに準備することとしました。

自宅のリモート用PCは古いものであり、新型にリプレースすることとなりました。ところが、新らしいPC(Endeavor ST190)は、ディスプレイ端子がVGA, ディスプレイポート(DP), HDMIの3つであり、肝心のDVIが搭載されていません。事務所からは、DP(オス)-DVI(メス)変換ケーブルが送られてきました。
そこで、パソコン自動切り替え機のパソコン側端子(DVIオス)と変換ケーブルのDVI(メス)を接続し、変換ケーブルのDP(オス)をパソコンのDP端子に接続しました。
パソコンを立ち上げてみると、画面は表示されるのですが、画面中にノイズが乗っていることが分かりました。一番多く使う白の背景や黒い文字にはノイズが乗っていないので、まあ、業務には使えそうです。ところが、何回か使っているうち、画面全体が消えたりついたりする現象が起き始めました。これではとても使えません。

パソコン自動切り替え機を介さず、
 ディスプレイ~DVIケーブル~DVI/DP変換ケーブル~PCのDP端子
という接続にしたところ、ノイズは発生せず正常な画面表示となります。
従って、変換ケーブル単独の不具合ではなく、パソコン切り替え機と変換ケーブルの両方を用いたときのみに発生する不都合のようです。

さて困った。以下の3つの対策が思い浮かびました。
(1)職場に頼んで、リモート用PCとしてDVI端子を搭載したものに変更してもらう。
(2)2台のPCとディスプレイの共通する端子はVGAなので(思い込み)、VGAに対応したパソコン切り替え機に変更する。
(3)変換ケーブルとして、DVI/DP変換ケーブルではなく、DVI/HDMI変換ケーブルに変更し、パソコンのHDMI出力端子を用いる。
アマゾンで検索したところ、まずはVGA, PS/2対応パソコン変換器の安いやつを見つけました。「エレコム KVMスイッチ 自動切替機能 PS/2 VGA スピーカー 2台KVM-KP2」です。USBの切り替えは備えていませんが、今でもマウスは各PCそれぞれに接続しているので、USBは必須ではありません。736円と激安だったので、迷わず購入ボタンを押しました。
さらに検索したら、「HDMI - DVI-D変換アダプタケーブル 20cm HDMI(オス) - DVI-D(メス)(HDDVIMF8IN)」が見つかりました。ネットで調べたら、DPとDVIの相性より、HDMIとDVIの相性の方が良好である可能性が高いと考え、こちらも購入しました。

同じ日に、2つの購入品が到着しました。まずは(3)からトライします。これでうまくいけば、VGAという前近代的な方式を用いずに済みます。
パソコン切り替え機のDVI端子に購入した変換アダプターの一端を接続し、他端をパソコンのHDMI端子に接続してパソコンを立ち上げたところ、きれいに画面表示されました。問題は解決したのです。

DVI/HDMI変換ケーブルを用いてパソコンのHDMIとディスプレイのDVIを接続した場合、いくつかの制約があります。
解像度は1920×1200までしか対応しませんが、私のディスプレイがまさに1920×1200なので、問題なしです。
ディスプレイ側でHDCP対応が要求されますが、私のディスプレイのDVIはHDCP対応です。

ということで、リモート接続用のパソコンのリプレースはうまくいき、毎朝のパソコンの立ち上げに要する時間が短縮されたので快適です。下の写真で、右下に3台並んだパソコンが、左(黒)が個人用PC、中央の小さいのがリモート用の新しいPC、一番右が今まで使っていたリモート用のPCです。机の下、足台の上に載っているのがパソコン切り替え機です。


同じ日に届いた「エレコム KVMスイッチ 自動切替機能 PS/2 VGA スピーカー 2台KVM-KP2」の出番はなくなりました。そもそも、個人用PCにVGA端子が設けられているというのは私の思い込みで間違いでした。購入価格が736円ですからよしとしましょう。
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辻真先氏・昭和一桁世代・親指シフトキーボード

2020-12-25 23:34:46 | Weblog
『米寿の辻真先、ランキング席巻~ミステリーと戦後の「正義」』日経新聞12月7日朝刊
『作家・脚本家の辻真先(88)が書いた戦後が世界の推理小説「たかが殺人じゃないか」が今年のミステリーランキングを席巻している。米寿を迎えたレジェンドは過去と今に何を思うのか。』
今年(2020年)に88歳ということは昭和一桁生まれ、終戦時(1945年)に13歳でティーンエージャーですね。
『大人は信用できない。正義なんて、天気予報みたいなものだと、昭和20年8月15日でよく分かりました。(正午の玉音放送を挟んで)午前と午後で正義が変わる。』

私は、昭和一桁生まれの人と終戦との関わり合いについて、二人の方を例にこのブログで取り上げました。
澤地久枝さん(『澤地久枝著「14歳(フォーティーン)」』)と田崎清忠先生(『田崎清忠先生』)です。
その中で、昭和一桁生まれについての私の考えを述べています。
『「昭和一桁世代」について私は以下のような仮説を立てています。
昭和一桁生まれということは、ティーンエージャーのときに終戦を経験しています。
これより早く生まれた人は、終戦時にすでに20歳を超えており、それなりに分別もついて敗戦も理性的に受け入れることができたようです。またこれより遅く生まれた人は、終戦時に10歳未満で「お腹いっぱい食べたい」という記憶しかないようです。
それに対し「昭和一桁世代」は、多感な年頃に終戦を迎え、終戦までは「軍国少年・軍国少女」で信じていたものが、終戦とともに価値観が180°転換して心に混乱を抱えたことがその後の人生に影響を及ぼしているように見受けられます。』

今回取り上げた辻真先さんも、同じ昭和一桁生まれ、終戦時のティーンエージャーで、私のモデルにまたお一人加わりました。

ところで、今回辻真先氏の上記記事を取り上げたのは、別の理由です。
記事の右にキーボードの写真が掲載されています。その紹介文が
『今は珍しい「親指シフト」キーボード。「日本語入力に最も敵している」と話す』とありますが、記事の本文中には親指シフトが一切登場しません。
少なくとも、作家・脚本家の辻真先さんが、現在も親指シフトキーボードを使い続けていらっしゃることが判明しました。下の写真は私が使っているパソコン用の親指シフトキーボードです。

Rboard for PC
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ファイブ・アイズとは何か

2020-12-21 18:28:47 | 歴史・社会
日本もスパイ協定に?河野防衛相が接近するファイブ・アイズとは
8/21(金) 9:32配信
『8月14日付「日本経済新聞」電子版が、河野太郎・防衛相の興味深いインタビュー記事を掲載した。

河野防衛相は、米英が主導する機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」との連携に意欲を示し、「日本も近づいて『シックス・アイズ』と言われるようになってもいい」と語ったのである。

◆ファイブ・アイズとは何か?
米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5か国が共同で、安全保障にかかわる情報を共同で収集しようという協定がある。UKUSA協定という。
このUKUSA協定加盟5か国は、日本や他のNATO加盟国などとは一線を引いた深い情報共有を行っている。なにせ米英主体だから、その情報力は圧倒的だ。その5か国の情報共有の連携ぶりが、各国当局内やメディアなどでは通称で「ファイブ・アイズ」と呼ばれているのだ。
◆5か国の意味するもの
では、なぜこの5か国なのか。これらの国々は、国際政治のなかできわめて強固な同盟関係にあるからだ。5か国はいずれも英語圏、すなわちアングロサクソン系という「近さ」がまずあるが、とくに米英の同盟は、単にNATOで結びついているだけでなく、両国同士が「特別の関係」とみなすほど深い。』

私がファイブ・アイズ(ファイヴ・アイズ)について初めて知見したのは、スノーデンを題材とした下記書籍です。
暴露:スノーデンが私に託したファイル
グレン・グリーンウォルド
新潮社

このブログで『グレン・グリーンウォルド著「スノーデンが私に託したファイル」』として2015-05-04に記事にしました。

スノーデン氏は、米国の国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)の中枢で勤務して種々の機密情報に触れ、これら2つの組織が行っている監視や盗聴が、米国憲法が保障するプライヴァシーの侵害に当たると確信し、自分の人生と引き替えにこれら機密情報を公開する決意をしました。
本書では、スノーデン氏と本の著者のグリーンウォルド氏との手に汗を握るやりとりについて詳細に記述したあと、ページ数の半分ぐらいをさいて、スノーデン文書を紐解いていきます。機密文書は数万に及び、NSAという巨大組織内のありとあらゆる部署・部門によって個別に作成された文書の他、同盟国の諜報機関による文書も含まれていました。

『エドワード・スノーデンが収拾したファイルは、その量も範囲も驚くべきものだった。私は記者として長年にわたり、合衆国政府による秘密裏の監視行為の危険性について記事を書きつづけてきたが、そんな私にとっても、新たに明らかになった監視システムのすさまじい規模については、ただただ衝撃を受けるばかりだった。』(p141)
『大多数は“機密”扱い文書で、その多くは“FVEI”、すなわちNSAと最も密接な関係にあり、英語を話す諜報同盟国“ファイヴ・アイズ”を組織するイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのみに配布が許可されている。さらに機密性の高い文書はアメリカ国内だけの配布にかぎられ、“NOFORN”と明記される(“国外配布禁止”の略)。なかでも、電話の通信履歴収拾を許可する外国諜報活動監視裁判所の命令書や、サイバー攻撃の準備を指示するオバマの大統領司令などは、合衆国政府が最も厳重に管理する最高機密だった。』(p142)
『合衆国政府が複雑かつさまざまな戦略と目標を掲げ、アメリカ国民に対する諜報活動(これはNSAの任務から大きく逸脱する)をおこなっていた事実にまちがいはなかった。さらに、多種多様な通信インフラが傍受されていた事実もあきらかになった--インターネット・サーバー、衛星通信、海底光ファイバーケーブル、国内外の電話システム、パソコン。そんな侵略的スパイ活動のターゲットとなるのは、犯罪容疑者やテロ容疑者だけでなく、民主的に選出された同盟国のリーダーや一般のアメリカ国民にまで及んでいた。このことがNSAの戦略と目的の中身をなにより如実に語っている。』(p143)
『次に示すのは、コードネーム“TARMAC”と名付けられた衛星通信傍受の計画について2010年にGCHQが作成し、ファイヴ・アイズ年次総会で使われた資料だ。これを見ると、イギリスの諜報機関もまた、アメリカと同じ“すべてを収集する”というフレーズを使ってその使命を説明していることが分かる。
〈文書4〉
機密//通信情報//配布先:アメリカ、ファイヴ・アイズ)
なぜTARMACが必要なのか』(p149)
『〈文書8〉
(英国機密//ストラップ1//通信情報//配布先:イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド)
今の私たちにできること--私たちを導くもの
・GCHQは全世界のあらゆるインターネット通信にアクセスすることが可能
・1日当たり500億件以上の通信を傍受』(p154)

ファイブ・アイズの5カ国の諜報機関の間では、以上のような恐ろしい盗聴活動について、情報を共有しているのです。日本がファイブ・アイズの一員として加わるということは、この恐ろしい盗聴活動の共犯者に加わることと同義です。
日本の政府・マスコミは、そのような恐ろしい実態についてどこまで知った上で、議論を行っているのでしょうか。

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コロナ対策・日本の惨状(再掲)

2020-12-20 12:04:38 | 歴史・社会
日本でのコロナの第三波による惨状は目を覆うものがあります。
今年四月、コロナの第一波の頃、私はこのブログでいろいろと意見を述べてきました。しかし、いつまで経っても私の思う方向には対応が進展せず、同じ意見の繰り返しとなることから、最近はまったく発言を行っていない状況です。

最近の感染経路についてみると、第1が「感染経路不明」、第2が「家庭内感染」です。
「家庭内感染」ということは、家庭内の感染源となる人が特定されているということです。その感染源の人が、自宅療養ではなくホテル隔離されていれば、家庭内感染は起こらなかったはずです。しかし、「家庭内感染を減らすためにホテル隔離を増大すべきだ」という意見はマスコミで聞こえてきません。
「感染経路不明」を減らすためには、市中感染者を洗い出して隔離する、「検査と隔離」以外には方法が見当たりません。4月頃に比較すればPCR検査能力は増えているとはいえ、中国などには遠く及びません。中国では、クラスターが1カ所発生すればその町の全住民について検査を行うのですから・・・。

医療崩壊を防ぐためには、重症者、中等症者の受け入れ能力を増大しなければなりません。しかし、医療従事者が圧倒的に不足している状況です。人数の不足のために劣悪な環境での勤務を余儀なくされ、一方でボーナスをカットされ、退職する人が後を絶たず、人数不足にさらに拍車がかかります。
医療従事者の数を増やすためには、最初の一歩として処遇を改善することが必須です。国は、go toなどに何兆円も拠出するのであれば、そのお金を医療従事者の処遇改善に使うべきです。これにより、退職者続出を少しでも食い止め、また有資格未就業者の就業を少しは促進することができるでしょう。
コロナ病棟の消毒作業が看護師の業務になっているとのことです。看護師資格が必要ない業務については看護師以外が行うべきです。「コロナ病棟での作業は看護師でなければできない」はおかしいです。非看護師でも、きちんと教育すれば感染対策を万全にできるはずです。ダイヤモンドプリンセスのとき、自衛隊員は感染ゼロでした。このときの自衛隊員はもともと感染症の専門家ではなく、専門家から教育を受けた上で船内活動を行ったと聞いています。

私は今年4月25日、「コロナ対策・日本の惨状」として記事を上げました。今回読み返してみたら、現在もまったく同じ状況であることを痛感しました。そこで、以下に当該記事を再掲します。

--4月25日記事再掲--------------
現在、全国的な外出自粛と、特定業種の休業自粛を行っており、経済は大幅に減退しています。国民は皆、「5月6日までの辛抱」と信じて辛抱していますが、実はこの状態が1年から2年は継続することを覚悟しなければならないのです。
そうとしたら、1年も2年も、「接触8割減」を継続することになり、経済は崩壊し、国民生活は成り立たないでしょう。もうこの辺で、経済の再開を考えなければなりません。日々のテレビ報道を見ていると、「接触が8割減らせれば、1ヶ月後には外出自粛を解除して普通の生活に戻れる」ような雰囲気が出ています。しかし、この考え方は間違っています。
1ヶ月間接触を8割減らして、新規感染者数が大幅に低減して「収束」に至ったとしても、決して市中感染者数が大幅に減少したことを意味しません。
最近慶応病院で、コロナ原因以外の入院患者のPCR検査を行ったところ、6%が陽性であったとして話題になっています。東京での市中感染率が高いレベルであることを物語っています。
このように市中感染者率が高い状態で外出自粛を解除して接触が元に戻れば、あっという間に新規感染者数が爆発的に増大するでしょう。当然重症者数も増大し、重症者受け入れ可能ベッド数をオーバーして医療崩壊に至ります。

ではどうしたら、外出自粛を緩和して経済活動を再開できるのか。
以下に記すように、やるべきことは極めて明確だと思うのですが、日本ではそれが一向に進みません。日本の総理大臣、官邸、各省庁がかくも無能であったのか、そして国会はそれに対して文句を言うだけなのか、われわれ国民は、ただただ唖然として見つめるばかりです。

経済活動を再開すれば、「接触率」は当然上昇します。
先日、『外出自粛はいつまで続くか』で述べたように、新規重症者数は、接触率が高いほど多くなり、市中感染者比率が高いほど多くなるものと推定されます。
 [新規重症者数]∝[接触率]×[市中感染者比率]
従って、新規重症者の数を、医療崩壊が起こらない範囲内に維持するに際し、市中感染者比率が低いほど、接触率を上昇させる、即ち経済活動を再開することが可能になる、ということです。
従って、経済活動を再開するためには、
(1)市中感染者比率を低減すること
(2)重症者受け入れ可能数を増大し、医療崩壊を防ぐこと
が必須であることがわかります。そのために行うべきことは極めて明白です。

市中感染者比率を低減するためには、
(A)PCR検査数を大幅に増大し、判明した陽性者を隔離すること。
(B)隔離は自宅ではなく、ホテル等の宿泊施設とすること。
の2つです。

(A)PCR検査数を大幅に増大し、判明した陽性者を隔離すること。
PCR検査数の増大が遅々として進まない理由については、全く理解できません。
外出自粛はいつまで続くか』にも書いたように、日本でも対応は可能だと思うのですが、それができない理由の説明を聞くことができません。
そもそも、マスコミでは「目標検査能力:2万人/日」としていますが、根拠はどこにあるのでしょうか。ただ安倍総理が口走っただけで、根拠は示されていません。
そこで私が算出してみました。
「1ヶ月後ぐらいには、諸外国の実績である、人口の1%程度の検査を終わらせよう」
人口の1%は120万人。それを30日でこなすとすると4万人/日。検査最大能力に対して可能能力がせいぜい40%とすると、必要な検査最大能力は10万人/日。
こうして目標能力が明らかになったので、あとはそのために何が必要かです。
「検体採取能力:4万人/日」「検体運搬能力:4万人/日」「PCR検査能力:10万人/日」それぞれについて、何がネックで、どうしたらに到達できるのか、を定量的に検証していけば良いのです。
「検証をだれがやるのか」が問題です。本来は厚労省であり、それ以外には思いつきません。その厚労省が疲弊して使い物にならないのだとしたら、日本の悲劇です。厚労省は、アベノマスクの配達やクラスター対策班随行などの業務はやめて、政策の立案と、必要な予算の獲得に業務を集中すべきでしょう。

(B)隔離は自宅ではなく、ホテル等の宿泊施設とすること。
3月末まで、陽性者は軽症を含めて全員入院させていました。厚労省は4月初めになってやっと、軽症者を入院以外とする許可を出しましたが、原則は自宅療養、例外的にホテル等の宿泊施設、という扱いでした。
厚労省は最近になって、自宅療養の陽性者が死亡した事例が生じてやっと、宿泊施設を原則とすることに方針変更しました。
私が「軽度陽性者の扱い PCR件数が増えない 厚労省が機能不全」にて、家庭内感染、医師や看護師の感染を防止するためには、ホテルなどの宿泊施設の利用を原則とし、自宅隔離を例外とすべき、と記したのは4月4日です。それから20日もたって、やっと政策変更が実現しました。

一方、田村憲久・自民党「新型コロナ対策本部」本部長が最近テレビ出演中に「本人が自宅療養を希望したら、『ホテルへ行け』と強制することができない。」と発言していました。私は「今頃国会議員がそんなことを言うか」とびっくりしてしまいました。
私が「新型コロナ陽性者は軽症でも強制入院」(3/15)、「新型コロナ軽症の陽性者を自宅隔離できるか」(3/16)に書いたように、感染症法の19条には以下のように規定されています。
『(入院)
第十九条 都道府県知事は、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し感染症指定医療機関(・・・ )に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。・・・
3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る患者を感染症指定医療機関(・・・)に入院させることができる。』
即ち、入院には強制力があります。しかし、ホテル滞在、自宅隔離に関しては、強制力を担保する条文がありません。そこで3/16の私の上記記事では、「自宅隔離(現時点ではホテル滞在)を強制できるよう、法律改正が必要」と主張しました。それから1ヶ月が経過して、上記田村議員の発言です。国会議員、それも自民党のコロナ対策本部長なのですから、1ヶ月前に気づいてさっさと法律改正しとけよ、と叫びたくなります。

西村康稔経済再生担当相は4月19日、新型コロナウイルスに感染した軽症者や無症状の人に入ってもらう宿泊施設について、全国で21万室を超えるホテルを確保したと明らかにしました。既に契約手続きが整っているのは6千室あるといいます。しかしそれにしては、首都圏でのホテルの準備が後手に回っており、自宅療養者が多数おります。実態はどうなっているのでしょうか。
ホテルで仕事する医療従事者の確保に手間取っているのでしょうか。
聞くところでは、最近、医療機関は患者が減少して困っているとのことです。そうであれば、町の診療所で開院する診療所の数を減らし、一時的に閉院した診療所の医師、看護師に集まってもらって、ホテルでの業務に従事してもらってはいかがでしょうか。もちろん、相当の対価を支払ってです。

(3)医療崩壊を防ぐために
(A)重症者受け入れ能力の増強
テレビ報道を見ていると、病院はコロナ重症者の受け入れがオーバーフローしており、医療崩壊の寸前の模様です。ドイツなどは、先手を打って重症者用の病床を確保していたようです。ベッド当たりの対価を国が支払って。ここはドイツを習って、国が対価を支払う形で、コロナ重症者のための能力大幅増強を進めるべきでしょう。できない理由が分かりません。

(B)院内感染の防止
慶応大学病院で、コロナ以外の入院者の6%が陽性でした。これを野放しにしていたら、院内感染が発生するのは必定です。院内感染を防止するには、少なくとも入院者の全員についてPCR検査を行うべきです。
ところが、「無症状でも保険適用可 PCR検査、医師判断で 厚労省」(4/24(金)時事通信)によると、
『厚生労働省は24日・・、新型コロナウイルスの院内感染が増えていることに関連し、症状がない入院患者についても、医師が必要と判断した場合にはPCR検査の保険適用を可能とする方針を明らかにした。
ただ、入院患者全員に一律に実施する場合は対象外とし、』
だそうです。厚労省は「入院患者全員に一律に実施」することに反対しているのですね。センスを疑います。
病院の医療従事者は頻繁に検査することが必要です。私は「週1回」と思っていましたが、国によっては毎日検査しているようです。

以上述べましたが、いずれも、今すぐ実施すべきことは明らかで、これ以外に対策はなく、また諸外国ができているのですから日本でできない理由はないはずです。なぜ遅々として進まないのか、あきれるばかりです。
--4月25日記事再掲・終わり--------------
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