安保上の機密扱う資格、対象者絞り込み 法整備へ検討
岸田文雄首相が指示、有識者会議立ち上げ
2023年2月15日 日経新聞
『政府は安全保障に関わる機密情報を扱える人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の具体的な制度設計に入る。岸田文雄首相が14日、法整備に向けた検討を指示した。2024年の通常国会への法案提出を視野に入れ、資格を与える対象者の範囲の絞り込みなど調整を急ぐ。
首相は関係閣僚らが参加した14日の経済安保推進会議で1年間をメドに検討作業を進めるよう命じた。高市早苗経済安保相のもとに有識者会議を設け、月内にも初会合を開く。メンバーは経済界や学者、法曹関係者などから選ぶ。
セキュリティー・クリアランスは安保上の重要な情報にアクセスできる一定の要件を満たす人に資格を与える制度を指す。首相は「情報保全強化は同盟国・同志国との円滑な協力で重要だ」と強調した。
日本の情報保全の制度としては14年に施行した「特定秘密保護法」に基づく「適性評価」がある。主に公務員が対象で、特定秘密に指定する情報の分野も防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止に限られる。
高市氏は14日の記者会見で「これからつくり上げていこうとしているのはいわゆる『産業版』」と指摘した。「日本企業が海外の政府調達や海外の企業との取引、共同研究から排除されない環境をつくるためのものだ」と説明する。』
『資格には経済状況や犯罪歴などを確かめる「バックグラウンドチェック」と呼ばれる個人調査が伴う。そのため米国では取得まで1〜2年かかることもあるという。
・・・
一方で審査が緩やかだと国際的に信用を得られなくなる。高市氏は米欧に準じた水準を目指す考えを示す。「主要7カ国(G7)などとの間で通用するものにしなければならない」と話す。』
新聞記事には、「セキュリティー・クリアランスのイメージ」として図が掲載されています。
《政府》→《安保に関わる機密情報》
機密指定 米国は・Top Secret ・Secret, ・Confudential の主に3段階
《政府》→《・政府職員、・民間の研究者ら》
バックグラウンドチェック 経済状況や犯罪歴など調査 → 資格付与
《・政府職員、・民間の研究者ら》→《安保に関わる機密情報》
資格者がアクセス可能
上の図の構造を見ると、私がセキュリティ・クリアランス 2023-02-14で紹介した、飯柴智亮さんの説明による米国版セキュリティ・クリアランス(以下「米国SC」と呼びます。)と一致しています。
さて、これから制定しようとする日本のセキュリティ・クリアランス(以下「日本版SC」といいます。)は、米国SCと同じなのか異なるのか。
上の記事での高市氏の説明では、「これからつくり上げていこうとしているのはいわゆる『産業版』」ということで、この点で米国SCとは相違しています。一方で同じ高市氏は「主要7カ国(G7)などとの間で通用するものにしなければならない」とも述べており、日本版SCを取得した資格者は、米国政府が指定する機密情報にアクセス権を有することを目標としています。
日本版SCの検討に際しては、
・どのような情報を機密指定するのか
・機密指定した情報へのアクセス権を認めるため、どのような資格認定を行うのか
の2点が必要です。
《機密指定情報》
①日本政府が指定する、日本版SCに基づく機密情報→産業界の保有する情報と言うことでしょうか
②米国SCに基づく機密情報
③特定秘密保護法に基づく特定秘密
上記《機密指定情報》のうち、①のみならず、②のアクセス権をも付与するためには、米国SCと同等の資格審査が要求されるはずです。
そこのところを、どうも高市氏はごまかして、国民受けしやすいように説明を歪曲しているように思われます。
上の新聞記事は政府の方針です。与党の方針も、下記の新聞記事で示されました。
機密扱う資格、導入で一致 自公
経済安保巡り、対象・要件調整へ
2022年10月27日 日経新聞
『自民、公明両党は26日、国の機密情報に触れられる人を民間人も含めて制限する資格制度「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の導入が必要との認識で一致した。法整備に向けて対象となる情報や要件を調整する。
国家安全保障戦略の改定に向けた実務者協議で確認した。適格性評価は安保上重要な情報を扱う人について、外部に漏洩する恐れがないかなどをあらかじめ調べる制度。』
岸田文雄首相が指示、有識者会議立ち上げ
2023年2月15日 日経新聞
『政府は安全保障に関わる機密情報を扱える人を認定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の具体的な制度設計に入る。岸田文雄首相が14日、法整備に向けた検討を指示した。2024年の通常国会への法案提出を視野に入れ、資格を与える対象者の範囲の絞り込みなど調整を急ぐ。
首相は関係閣僚らが参加した14日の経済安保推進会議で1年間をメドに検討作業を進めるよう命じた。高市早苗経済安保相のもとに有識者会議を設け、月内にも初会合を開く。メンバーは経済界や学者、法曹関係者などから選ぶ。
セキュリティー・クリアランスは安保上の重要な情報にアクセスできる一定の要件を満たす人に資格を与える制度を指す。首相は「情報保全強化は同盟国・同志国との円滑な協力で重要だ」と強調した。
日本の情報保全の制度としては14年に施行した「特定秘密保護法」に基づく「適性評価」がある。主に公務員が対象で、特定秘密に指定する情報の分野も防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止に限られる。
高市氏は14日の記者会見で「これからつくり上げていこうとしているのはいわゆる『産業版』」と指摘した。「日本企業が海外の政府調達や海外の企業との取引、共同研究から排除されない環境をつくるためのものだ」と説明する。』
『資格には経済状況や犯罪歴などを確かめる「バックグラウンドチェック」と呼ばれる個人調査が伴う。そのため米国では取得まで1〜2年かかることもあるという。
・・・
一方で審査が緩やかだと国際的に信用を得られなくなる。高市氏は米欧に準じた水準を目指す考えを示す。「主要7カ国(G7)などとの間で通用するものにしなければならない」と話す。』
新聞記事には、「セキュリティー・クリアランスのイメージ」として図が掲載されています。
《政府》→《安保に関わる機密情報》
機密指定 米国は・Top Secret ・Secret, ・Confudential の主に3段階
《政府》→《・政府職員、・民間の研究者ら》
バックグラウンドチェック 経済状況や犯罪歴など調査 → 資格付与
《・政府職員、・民間の研究者ら》→《安保に関わる機密情報》
資格者がアクセス可能
上の図の構造を見ると、私がセキュリティ・クリアランス 2023-02-14で紹介した、飯柴智亮さんの説明による米国版セキュリティ・クリアランス(以下「米国SC」と呼びます。)と一致しています。
さて、これから制定しようとする日本のセキュリティ・クリアランス(以下「日本版SC」といいます。)は、米国SCと同じなのか異なるのか。
上の記事での高市氏の説明では、「これからつくり上げていこうとしているのはいわゆる『産業版』」ということで、この点で米国SCとは相違しています。一方で同じ高市氏は「主要7カ国(G7)などとの間で通用するものにしなければならない」とも述べており、日本版SCを取得した資格者は、米国政府が指定する機密情報にアクセス権を有することを目標としています。
日本版SCの検討に際しては、
・どのような情報を機密指定するのか
・機密指定した情報へのアクセス権を認めるため、どのような資格認定を行うのか
の2点が必要です。
《機密指定情報》
①日本政府が指定する、日本版SCに基づく機密情報→産業界の保有する情報と言うことでしょうか
②米国SCに基づく機密情報
③特定秘密保護法に基づく特定秘密
上記《機密指定情報》のうち、①のみならず、②のアクセス権をも付与するためには、米国SCと同等の資格審査が要求されるはずです。
そこのところを、どうも高市氏はごまかして、国民受けしやすいように説明を歪曲しているように思われます。
上の新聞記事は政府の方針です。与党の方針も、下記の新聞記事で示されました。
機密扱う資格、導入で一致 自公
経済安保巡り、対象・要件調整へ
2022年10月27日 日経新聞
『自民、公明両党は26日、国の機密情報に触れられる人を民間人も含めて制限する資格制度「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の導入が必要との認識で一致した。法整備に向けて対象となる情報や要件を調整する。
国家安全保障戦略の改定に向けた実務者協議で確認した。適格性評価は安保上重要な情報を扱う人について、外部に漏洩する恐れがないかなどをあらかじめ調べる制度。』