途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

読書感想「仮想儀礼」篠田節子

2024年03月24日 11時30分44秒 | 乱読本感想
新潮社 2011年06月01日

NHKドラマになったということで書店のよく見える場所に置いてあったので買ってきた。久しぶりの篠田作品だ。

あっという間に出来てしまったエセ宗教集団。
そこに集まるのは・・・ざっくりまとめれば今の世の中で生きていくのがしんどい人と欲の皮が突っ張った人(完全に私見です)
元市役所職員だった篠田さんが見てきたり実際に相対した人たちの様子が描かれているのかなと思う。
だからリアルで、それ故に私は嫌悪感を抱いてしまった。
はっきり言って、宗教に逃げる人、利用する人は大嫌いだ。
モンクを言いながらでも読んでいけるのは篠田さんの巧みさだろう。

この作品、読んでいて面白いか?と聞かれれば「面白くない」と答えるが、篠田さんはやっぱり凄いな~と思う。


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読書感想「ワイルド・ソウル」垣根涼介

2024年03月23日 18時58分38秒 | 乱読本感想
新潮社
2009年11月1日

上下巻の感想。
少し前の作品だが、どうせ内容も少し昔のことだし、直木賞受賞作なので読んでみようと思った。
が、読み始めて、ショックを受けた。
私の中で”少し昔”は第二次世界大戦の前くらいだろうと勝手に思い込んでいたからだ。
えっ!?移民って・・・よく見れば1961年って・・・私はもう戦後ではないと言われた時代の生まれで、田舎で育った。まわりも含め決して裕福ではなかったけれど、普通に生活できていたその頃だ。それなのにブラジルに移民した人たちの生活はなんて悲惨なんだ!
その上、その悲惨な環境に送り込んだのが日本政府だなんて、信じたくはないが、現在の日本政府も信じられないから、そうなのか。
で、家族や仲間たちのほとんどを亡くした生き残りの人たちが日本政府に復讐しようと思うのは当然のことだろう。
ただ、日本から遠く離れ過酷なブラジルでは復讐すら難しい。
生き抜いて、働いて働いて、挫折しても働いた人たちや、子供が生き抜いて大人になって、やっとその”復讐”にとりかかれる。
もう、応援するしかない。


そして、下巻。
上巻で陰鬱な気持ちになっていたが、彼らの復讐にワクワクする。
彼らが人の命を奪うような行動をすれば嫌な気持になるだろうが、それは無い。
劇場で観る壮大な映画の様なシーンが続く。
それは現実離れしているので、ハラハラドキドキを楽しめた。
最後もアメリカ映画のエンディングの様だった。
映画になれば面白いだろうと思った。
現実に映画化の話があったらしい。
あまりにも壮大なので製作が難しいのか、はたまたまだ生き残っている後ろ暗い日本政府関係者の横槍が入ったのか、それは実現しなかったようだ。

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読書感想「さよならの儀式」宮部みゆき

2024年01月28日 17時24分52秒 | 乱読本感想
河出書房新社 2022年10月6日


私は短編をあまり読まない。何となく物足りなく感じるからだ。
が、これは短編なのに、どの短編も内容が濃いと言うか奥が深い感じがした。
正直1度では理解できなくて何度も何度も振り返りながら読んだ。SFをあまり読まないからついていけないのかもしれない。その為、それほど厚い本でもないのに読み終わるのに時間がかかってしまった。変に疲れてしまった。
でも「戦闘員」ではちょっと元気をもらい、「海神の裔」では人々(人ではなくなった屍も)の優しい気持ちで癒された。

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読書感想「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」東野圭吾

2024年01月23日 16時54分38秒 | 乱読本感想
光文社 2023年11月14日

”新たなヒーロー、誕生”の文字に期待をして読み始めたが、そのヒーローである神尾武史のキャラがどうにも好きになれない。もっと読むと好きになれる要素が出てくるかもしれないと頑張って読んだけれど、ダメだった。そのうえ、登場人物の誰もがどこかのドラマや小説の中にいた人の様で、分厚い本を読むのがきつかった。

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読書感想「懲役病棟」垣谷美雨

2024年01月21日 16時59分11秒 | 乱読本感想
小学館 2023年06月06日



病棟シリーズ3作目。

患者さんの胸に当てると気持ちが解る聴診器を持つ3人目のお医者さんの話かぁ~と読み始めたが、あれ~、ひょっとして笹田部長もこの聴診器を持ったことがあるのか!?彼の話はまだ無いけれど。

読み進むと、あら~看護師さんも聴診器で気持ちが解るんだ!

私は聴診器を使う人と聴診器の相性があるのかと思っていたが、どうも誰が使っても同じ現象が起こる様だ。

と納得した。

が、最後まで読んで、良い結果が生まれたのは、人の気持ちが解ってそれを汲んで良い方に導いてあげたお医者さん(太田香織)と看護師さん(松坂マリ江)の力(かなり破天荒だが)があってこそだったのだと気がついた。

気持ちが解っても何もしてあげないと良い方向には進まなかったはず。と、言うことはやはり聴診器は使う人を選んでいるのか!

ともあれ、今回の柿谷作品も最後は温かい気持ちで終われた。めでたしめでたし。


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読書感想「逆ソクラテス」伊坂幸太郎

2023年12月10日 10時14分53秒 | 乱読本感想
集英社 2023年06月20日

今、ちょっと悲しい、ちょっと苦しい、ちょっと辛い子供達に読んでもらったら良いのになぁ~と思いながら読んだ。
5作の短編は子供らしい(いや、伊坂幸太郎らしいか)過去の小学生が行動した、戦ったことの結果が解るお話。
ほんの少しだけ伊坂っぽいビターな部分もあるけれど、行動した子供達の成果がちゃんとでて、救われて、ハッピーになれる。
ただ問題なのはこれを読める小学生は少ないだろうなということ。
中学生なら読めるはず。
理解できるはず。
読んで欲しい!


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読書感想「もう、聞こえない」誉田哲也

2023年11月23日 16時38分27秒 | 乱読本感想
幻冬舎 2023年10月05日



もう、誉田哲也の娯楽の世界を堪能させていただきました。

何年も読んできた”誉田哲也”作品の色々が散りばめられていて、『あぁ~、これはあの作品みたい』『あぁ~、ここからはあの作品だ!』と、途中からはニタニタしながら読んだ。

最初は誉田哲也の警察ものだと思って読んでいた。

登場してきた女性刑事は既婚者、菊田って・・・えっ!?ひょっとして姫川玲子ファミリーの菊田の奥さんか!?(後で調べたらそうだった)

そうこうするうちに取り調べている容疑者が「女の人の声が聞こえる」って、

場面変わって、女の子たちの学園もの的な話になっているし、

女の人が殺されて幽霊になっているし、幽霊さんは諭吉さんの幽霊と会っているし、そして、幽霊さんは福沢諭吉さんの助言で生きている人とコンタクトがとれるようになるし~

私は何を読んでいるのだろう?とちょっと思ったが、すべて誉田哲也の今まで描いてきた世界だよな~と。

これ、続編が作れそうだけどな、期待して待ってよう。



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読書感想「シーソーモンスター」伊坂幸太郎

2023年11月21日 16時56分27秒 | 乱読本感想
中央公論新社 2022年10月25日



好きな作家さんの本を買う時にはなるべく情報を入れないで買うことにしている。

最初のページをめくると文庫本なのに数ページがカラーだ。

プロジェクトの説明や年表、地図がカラフルに並んでいる。

〈螺旋プロジェクト〉の文字が見えて、8人の作家さんによる共作企画だとのこと。

伊坂幸太郎以外に知っているのは1冊だけ読んだことのある人がひとりだけで、あとは知らない人ばかり。

『え~~、それは気が進まないな』と思ったら1冊でも面白いとのことで気を取り直して読む。

伊坂幸太郎は言い出しっぺなので、昭和後期が舞台の「シーソーモンスター」と近未来が舞台の「スピンモンスター」の2作と嬉しいかぎり。

前置きが長いのは、あまり内容に触れたくないから。

「シーソーモンスター」は昭和のバブル期の嫁姑のバトルの話だが、このふたりはなかなかぶっ飛んでいて面白かった。

「スピンモンスター」は、近未来の話だ。

自動運転の乗り物や人工知能が出てきて、興味深い。

少し先はどんな未来になっている?と思っていたら、重要なことはデジタルからアナログだって。

そのために、手書きのメッセージをはこぶ職業が生まれている。

そんな仕事をしている”彼”が色々なことに巻き込まれるのだが、読んでいくうちに何が真実なのか解らなくなってしまう。

何度も読み返しながら進む。

「シーソーモンスター」もリンクしてワクワクしながら読んだ。

最後は伊坂幸太郎ならではの・・・だったが、これもありなんだね。

全体としてこれは好きだ。


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読書感想「昨夜(ゆうべ)のカレー、明日(あした)のパン」木皿泉

2023年10月28日 20時13分18秒 | 乱読本感想
河出書房新社  2016年1月7日

木皿泉、好きだ~と手に取って、裏の紹介文を読むと人が亡くなる話のようなのでちょっとブルーになった。
でも、テツコさんやギフさんのホンワカとした生活が温かい言葉で綴られているのを読むとやっぱり木皿泉はいいなぁ~
悲しいことも出てくるが、それを覆いつくしてゆくちょっと突拍子もない優しい行動の数々。
優しさに泣ける。
木皿泉を読んで泣かない人がいるだろうか?泣く人と私は友達になりたいと思ったりした。
読んでいく中で、重松清さんの「その日のまえに」を思い出した。
ギフさんも亡くなると勝手に思い込んでいたが、私の早とちり、亡くならないで物語は終了。
そして、解説は・・・
あら~、重松さんだった。

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読書感想「向日葵(ひまわり)色のフリーウェイ〜杉原爽香五十歳の夏〜 」赤川次郎

2023年10月15日 17時09分15秒 | 乱読本感想
光文社 2023年09月13日

秋が来たので杉原爽香の季節だ。
と、よくよくタイトルを見れば 杉原爽香〈50歳の夏〉と書いてある。
が、とにかく読むのは秋だ。
読み始めてすぐにお葬式場面。
100歳の堀口豊氏が亡くなったようだ。
幸せな生涯だったようで、良かった。
そして、今回の物語に登場する人たちの場面に移るが、最初、2場面が交互に進行してちょっと戸惑った。
が、今作は進行がスリリングで、次はどうなる⁈次は・・・で、結果、一気に読み終わった。
今回の登場人物たち、何気に予想に反した動きをしてくれて面白かった。
で、最後の最後に、来年に続く事件が起きた!
来年の秋が楽しみだね〜

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