孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

インド  世界最悪の産業事故“ユニオンカーバイド事故”から25年

2009-12-04 13:53:54 | 世相

(1984年の事故の翌朝の様子 生存者の多くも目と肺をガスで痛めています。
“flickr”より By sfaridahmad
http://www.flickr.com/photos/31961227@N02/2988939811/)

25年前、インドで世界最悪の産業事故がありました。

****世界最悪の産業事故から25年、米企業工場が原因 インド****
インド・マディヤプラデシュ州ボパールは3日、米化学大手ユニオンカーバイドの農薬工場から漏出した有毒ガスで1万人が死亡した世界最悪の産業事故から25年を迎えた。
事故の生存者や支援者らは同日、被害者を追悼し事故の責任を問う行進を行い、汚染の除去を行わない州政府に怒りの声を上げた。

1984年12月3日、工場から大量のイソシアン酸メチルが漏出し、3日間で約1万人が犠牲になった。インド医学研究評議会の調査報告では、後遺症などによる死者も含め、これまでに2万5000人が死亡したとされる。
今週初めに発表された各種研究結果によれば、工場周辺の地下水や土壌の汚染濃度は依然高く、3万人以上が汚染地域に暮らしている。慢性疾患の報告は政府統計で10万人、出生異常も多数報告されている。
ユニオンカーバイドは99年に米化学大手ダウ・ケミカルに買収されたが、同社は89年にユニオン社とインド政府との間で合意された4億7000万ドル(約400億円)の賠償金支払いで、「現存または将来発生するあらゆる(損害賠償)問題は解決済み」との立場を取っている。【12月3日 AFP】
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アムネスティのサイトによれば、“現在までの被害者は50万人以上にのぼります。25年経ったいまでも汚染物質は残ったまま、流出事故の正確な被害は調べられておらず、10万人以上が必要な医療を受けられません。”とも。(http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=2787

実を言うと、この事故のことは全く記憶にありませんでした。
“3日間で約1万人が犠牲になった”という、とんでもない事故ですから、いくら遠いインドの話であっても、日本でも大きく報道されたはずでしょうが。
(事故の原因は、ガスの漏出を防ぐために設計されたはずの6重の安全装置が故障していたか、スイッチが入っていなかったか、または設計そのものに欠陥があったかのいずれかであり、また、被害が拡大したもうひとつの理由は、万が一の事故に備えて、市民に危険を知らせる警報サイレンのスイッチが切られていたということですので、“事故”というよりは“犯罪”に近いものですが。)

25年前というと、東京で会社勤めした時期で、毎日終電またはタクシーで帰宅するような日々を送っていました。たまに早めに仕事を切り上げた日は、会社の人間と近くの飲み屋で仕事の愚痴を肴に・・・そんな日々でした。
おそらく、ろくに新聞に目を通すこともなかったのでしょう。

1万人死のうが、何万人死のうが、自分の身に関係のないことについては、無関心でいられるのが人間です。
日本国内で6千名以上の死者を出した阪神・淡路大震災についてすら、仕事上のことでいろいろ悩んでいた時期だったこともあって、私の中では全くリアリティのない記憶の断片となっています。

事故そのものよりも、人間のそうした無関心さに驚かされます。
まあ、そうでないと生きていけないと言えば、そうなのですが・・・。

02年のグリーンピースのサイトによれば、事故を引き起こした旧ユニオン・カーバイドの当時の最高執行責任者(CEO)ウォレン・アンダーソンはアメリカに戻り、インドの司法当局が以前から2万人以上の死亡に責任があるとして、業務上過失致死罪で身柄の引渡しを求め続けていますが、ニューヨーク州の高級住宅地で優雅な生活を送っているとか。(http://www.greenpeace.or.jp/press/2002/20020829c_html
日本の水俣病などの公害訴訟や、薬害肝炎訴訟を見ても、企業の責任の取り方はそんなものでしょう。
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