世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

ALPS処理水放出と習近平の凋落(43)

2023-12-29 00:00:00 | Weblog

中央経済工作会議」では、習近平はからきしダメであった。「逃亡した」とのうわさまであるのである。事実、習近平は工作会議の二日目の12月12日には一日欠席してベトナムハノイに飛んでいるのだ。これは一種の「責任逃れ」ではないか。 

 

 

中央経済工作会議から習近平が「逃亡」! 李強も「責任逃れ」  

林愛華「中南海ディープスロート」第13回 

林 愛華  2023.12.21 

 

重要会議を欠席してベトナムへ 

 

中央経済工作会議」(2024年の中国のマクロ経済政策を決める会議)が12月11日から12日まで、北京で開かれた。この経済に関する最も重要な会議に、習近平主席を含む7名の党中央政治局常務委員が全員出席し、習主席が重要講話を述べたと、新華社は報じた。 

 

同じ12日の正午、習主席は夫人を伴いベトナムのハノイ市に到着したとも新華社は報じている。ベトナムに到着した習主席は熱烈歓迎を受け、午後にはベトナム共産党の最高指導者のグエン・フー・チョン書記長と会談したという。 

 

以上の日程から、不思議なことがひとつ浮き彫りなる。つまり、習主席はベトナム訪問のために、中央経済工作会議」を一日欠席したのだ。これほど重要な会議を途中から抜け出すとは、極めて異例の出来事だ。 

Photo by gettyimages 

 

いまの中国で、習主席に逆らえる幹部はいない。「中央経済工作会議」の日程も、習主席の鶴の一声で決められたはずだ。2日間とも出席すべきなのに、初日だけ参加し、2日目はベトナムへ飛び立った。 

 

ベトナムを重視するためにとった行動とも思えるだろうが、実際に習主席がベトナムで受けた待遇はそれほどではなかった。熱烈歓迎が報じられたが、中国とベトナムの亀裂が透けて見えた。 

 

中国のCCTVの放送では見られない画面が、ベトナムのVNewsなどの放送では流れている。ベトナムが主催した歓迎宴会では、習主席は自ら立ち上がってチョン書記長に乾杯を求めた。チョン書記長は乾杯には応じたが、立ち上がりもせずに座ったまま。すぐ背中を習主席に向けた。 

 

習近平がベトナムに向かった理由 

 

習主席のこの動きは、中国では「敬酒」という。つまり相手に乾杯を捧げて、敬意を示すために行われる。中国の最高指導者が他人から「敬酒」される画面はよく目につくが、習氏が自ら他国の指導者に「敬酒」したことはあまりない 

 

11月の米国訪問(サンフランシスコAPEC)の際には、中国から米国に格式や形式に対する注文が、かなり多かった。中国外交部(外務省)は首脳会談に応じる代わりに、米国が習主席に敬意を示すよう要求した。もちろん拒否されたものもあるが、習氏のメンツはある程度は保たれた 

 

中国は、大国である米国に対しても、ここまでうるさかった。ベトナムでも当然、大国の首脳としてふるまいたがっていたことだろう。しかし、そうはできなかった。 

Photo by gettyimages 

 

習主席がべトナムに向かったのは、中国経済が危いからだ。また「中国経済工作会議」を途中から抜け出したのは、経済に関して責任逃れをしたいからと見える。会議の最後の決議の時に不在ならば、決定した政策に責任が生じにくくなる。もし来年の中国経済がボロボロなら、決議を行った李強首相に責任になすりつけようと考えているのだろう。 

 

今回の「中央経済工作会議」終了後、長文の経済対策を公表し、全国民が「中央経済工作会議」の精神を学び、深く理解するよう呼び掛けた。また、民営企業の発展のためにさらなる政策を打ち出し、それらを確実に実行することや、一層の外資の誘致不動産業の再構築などを強調した。 

 

同時に、「経済宣伝と世論の指導を強めて、中国経済の光明(明るい見通し)論を歌い、響かせよう」と要求している(中国政府網12月12日付)。つまり、経済問題の指摘や批判はやめろと言っているようなものだ。 

 

共産党内で渦巻く経済への不安 

 

その一方で、国務院傘下の新聞『経済日報』は12月17日、「中央経済工作会議の精神を貫徹せよ」との社説を掲載した。李強首相がこの新聞の最高責任者だ。 

 

この社説の全文を読むと、気になる箇所が目に入った。 

 

「成果が上がっているときこそ、薄い氷の上を歩くような慎重さを持ち、安全な時こそ悩みと危険に対する意識を持つべきた。(中略)『ブラックスワン』(事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象)を大いに警戒し、『灰色のサイ』(将来大きな問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、現時点で軽視されがちな潜在的リスク)は常に避けるべきだ。地方の債務リスクを統一して管理し、(リスクを)無くすようにしながら発展しよう」 

Photo by gettyimages 

 

「ブラックスワン」と「灰色のサイ」に言及した『経済日報』の社説は、今後の中国経済に多くの問題と困難があると断言しているように読める。これは、「中央経済工作会議」の公式見解に反対の意見を唱えているではないだろうか? 言論が厳格に統制されている中国では異例の社説だ。 

 

李強首相は習主席の忠犬的な存在だが、責任をなすりつけられないよう逃げ道を残している」のではないだろうか。 

 

もう一つ見逃せない重要な動きがあった。12月13日、中国人民政治協商会議の胡春華副主席が習主席の特使に任命され、16日にマダガスカルを訪問すると中国外交部は発表した。窓際族になっていた中国共産主義青年団派(団派)を代表する人物が、再び政治の表舞台にでてくる予兆なのだろうか? 要注目だ。 

 

https://gendai.media/articles/-/121226?page=3 

(来年'24年に続く、どうかよいお年を)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(42)

2023-12-28 00:00:00 | Weblog

米中関係と「トウキデイデスの罠」 

 

2021年9月24日付米外交専門誌フォリーン・ポリシーは「衰退する中国、それが問題だ」と題する論文を掲載した。執筆したのはジョンズ・ホプキンズ大学のハル・ブランズ特別教授タフツ大学のマイケル・ベックリー准教授だ。

 

ハーバード大学の政治学者グレアム・アリソン氏が「トウキデイデスの罠」を指摘して以来、米中関係はしばしば、紀元前5世紀のギリシャの覇権国スパルタと新興大国アテネの間で繰り広げられたペロポネソス戦争に例えられてきた。 

古代ギリシャでは、大国が衰退を始めたとき、戦争が起こった…Photo/gettyimages    

 

古代ギリシャの歴史家であるトウキデイデスは、「アテネの力が徐々に強大となったことに驚いたスパルタが戦争に踏み切った」ことが戦争の原因と書いたが、ブランズ氏らによれば、「国力で劣勢に立たされ始めたアテネが勝利の機会を失う前に開戦に踏み切ったことが戦争の本当の原因だ」という。 

 

台湾有事という「中国の軽率な行動」 

 

新興大国はパワーが拡張し続ける間はできる限り目立たずに行動し、覇権国との対決を遅らせるが、これ以上の発展を期待できなくなると「挑戦の窓」が閉ざされる前に果敢に行動し始めるというわけだ。 

 

現在の中国は当時のアテネと同じだとするブランズ氏らは、2年前に「中国は今後10年間、より大胆かつ軽率に行動する」と警告を発していたが、その「予言」が現実になりつつある。 

 

米国は再三にわたって中国に対して軍事対話の再開を呼びかけているが、中国側の対応は「暖簾に腕押し」の感が否めない。 

 

気になるのは、台湾を統一するために中国が武力を行使するリスクの高まりだ。 

 

南シナ海の異変がもたらす「日本経済へのダメージ」 

 

中国はこのところ、フィリピンが実効支配する南シナ海の2つの島に対する軍事的圧力を強めているが、背景には台湾問題があると言われている。 

 

地理的に台湾に近く、米国との軍事協力を強化しているフィリピンの存在が、中国が武力で台湾を統一する際、大きな障害になりかねないからだ。 

 

有事に備える台湾軍の演習 Photo/gettyimages   

 

南シナ海は国際的な海上物流網において重要な役割を果たしており、両国間の緊張状態がエスカレートすれば、日本経済も深刻なダメージを受けることになるだろう。 

 

日本も中国の攻撃対象に入っている可能性がある。 

 

中国将校が語った「不気味な発言」 

 

中国軍の現役中将は、12月に入って「台湾への武力侵攻時に尖閣諸島も作戦対象となる可能性がある」との異例の発言を行っている(12月9日付共同通信)。 

 

台湾有事は日本有事」なのだ。衰退期に入った中国が、日本を巡るアジアの地政学リスクを高めないことを祈るばかりだ。 

 

さらに連載記事『習近平、打つ手なし…!中国製EVが「バカ売れ」するウラで、中国で「EV墓場」が大問題になっていた!』では、深刻化する中国経済の実情をさらに詳しくお伝えする。 


https://gendai.media/articles/-/120941 

 

 

 

中央経済工作会議」では、習近平はからきしダメであった。「逃亡した」とのうわさまであるのである。事実、習近平は工作会議の二日目の12月12日には一日欠席してベトナムハノイに飛んでいるのだ。これは一種の「責任逃れ」ではないか。 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(41)

2023-12-27 00:00:00 | Weblog

先の論考では、2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にないと書かれていたが、この文章では「その時期は決まっていない」と、習近平は述べたという。 

 

と言うことは、「その時期が決まっていない」だけで、場合によっては2027年にも2035年にも「台湾侵攻」は行われるかもしれない、と言うことだ、と理解しておくべきなのであろう。 

 

中国は台湾を支配する権利あると習主席は率直に主張し、武力ではなく平和的に台湾を奪取することを望んでいると述べたとNBCが報じたように、 

 

習近平は、あくまでも「台湾」は自分のものであり、「平和的に統合する」ことを望んでいるとして、あくまでも柔らかな表現で目くらまししているが、本音のところは、「武力で統合するぞ」と言っていることに等しいのである。 

 

台湾を奪取する」と勇ましい表現となっているのが気がかりであるが、どのような言葉で表現されていたのかは解らないが、「奪取」とは「無理やり奪い取る」と言った意味合いなのである。 

 

だから習近平は、「台湾人は中国に併合されることには反対」なので、そこは「(武力を用いても)中国は台湾を奪取するぞ」と、常々思っていたのであろう。その気持ちが、「奪取」という言葉になってあらわれたものと、小生は思われるのである。 

 

だから、中国は台湾を「武力統合」するつもりであり、平和統合なんぞはさらさら考えてはいないものと思っておくことである。
 

 

しかも中国は現在景気低迷期に突入している。日本の「失われた30年」と同様な長期低迷期に突入しているというではないか。 

 

しかも2023年12月11日~12日に行われた「中央経済工作会議」では、効果的な経済対策が話し合いされたという気配がなかったことだ。あったのは、宙に浮いたような実態にそぐわない習近平の講和だけだったという。これでは中国経済は浮かばれない。 

 

 

習近平の経済政策を世界中が酷評…!米中関係が落ちた、絶望の「トウキデイデスの罠」と「捨て身の台湾有事」のヤバすぎる関係 

藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー 2023.12.20 

 

中国大崩壊のインパクト 

 

中国・習近平国家主席は、もはや今の中国経済を立て直すことは難しいだろう。 

 

前編『中国の信託業界が深刻な財務危機に…!習近平政権の「異常事態」が招く経済崩壊「3つの要因」と、道づれにされる「世界経済」のヤバすぎる現実』で紹介したとおり、中国は「バブル崩壊」「人口減」「バブル経済突入」の三重苦にさらされている。 

習近平は何を考えているのか…Photo/gettyimages 

 

12月11日と12日に行われた「中央経済工作会議」で、習氏は実態にそぐわない政策ばかりを講和したと酷評されている。そればかりか、現状認識からずれた習氏の講和を、200人の幹部たちが神妙に聞き入る異様な姿はもはや中国政府は経済再生への道をあきらめたかのようにもみえる。 

 

これが確信犯だったとしたら、なお恐ろしい。 

 

日本が経験した「失われた30年」という長期低迷が、人口10億人を超える大国で起こるのだから、世界へのインパクトは計り知れない。 

 

世界の知性は、その現実に早くから気づき、警鐘を鳴らしている。筆者がもっとも説得力を持って受け入れているのが、アメリカの二人の教授の論文だ。 

(続く)

 

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(40)

2023-12-26 00:00:00 | Weblog

しかもさらなる大きな失敗を、習主席は犯してしまった、と書かれている。 

 

それは、習主席がバイデン大統領に「2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にない」と語っていることである。中国が「台湾侵攻計画を明確に否定」したことは、瞬く間に世界中に広まってしまった。 

 

これは「台湾の総統戦」に、大きな影響を与えることになる、と続けている。 

台湾の国民党は「民進党総裁であれば、中国は必ず戦争を仕掛けてくる」として、国民党に投票するように選挙戦を戦っていたのである。 

 

しかしながらこれで、国民党の切り札は無効となってしまったのである。 

 

取り立てて得るものがなかった中国側は、習主席がバイデン大統領と庭園を散策したことと、習主席をバイデン大統領が玄関口まで見送ったということしか、ニュースには出来なかった。 

 

しかもさらに追い打ちをかけるように、バイデン大統領は会談後の記者会見で、「「習近平は独裁者だ」と明言」したことである。 

 

中国側は、これに対して直ちに「反発」はして見たものの、中国国内にはこのことは一切報じてはいないのである。 

 

鳴り物入りの「習近平訪米」習主席と中国にとっては全くの「失敗と屈辱の旅」となった。」と、この論考は結んでいる。 

 

 

とは言うものの、中国は「台湾は中国のもの、絶対に手に入れる」とバイデン大統領に伝えていたのだ。 

 

 

 

中国・習近平主席、台湾を手に入れるとバイデン大統領に語る…APECでの会談時に 

Tom Porter [原文] (翻訳:仲田文子、編集:井上俊彦) 

Dec. 21, 2023, 05:00 PM  国際 

2023年11月15日、カリフォルニア州ウッドサイドで開催されたAPEC首脳会議の合間に、庭園を一緒に歩くジョー・バイデン大統領と習近平国家主席。Xinhua News Agency 

 

中国の習近平国家主席は、台湾を掌握するつもりだとジョー・バイデン大統 

 領に語ったとNBCニュースが報じている。 

この会話は、11月に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の合間 

 に行われた首脳会談で交わされたという。 

台湾の総統選挙を前に、中国と台湾の緊張が高まっている。 

 

NBCニュースが報じたところによると、中国の習近平国家主席はアメリカのジョー・バイデン(Joe Biden)大統領との直接会談で、中国は台湾を掌握するつもりだと語ったという。 

 

この発言は2023年11月に行われたサンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の合間に行われた首脳会談でなされたものだと3人の元・現アメリカ政府高官の話を引用して報じられた。 

 

公式発表では、気候危機などの問題で両首脳が共通認識を見出したことが強調されたが、報告書によると、台湾の事実上の自治をめぐる長年の緊張も表面化したという。 

 

中国は台湾を支配する権利があると習主席は率直に主張し、武力ではなく平和的に台湾を奪取することを望んでいると述べたとNBCが報じている。また、中国が2027年までに台湾を掌握する用意があるとするアメリカの情報機関の主張を否定し、その時期は決まっていないと述べたという。 

 

この報道は、日経アジアが報じた会談の内容とも合っている。同紙では、習近平の台湾に関する発言は緊張を和らげようとするものであり、中国は軍事行動を計画していないことを強調したが、攻撃する場合の条件は示したと報じている。 

 

習主席は、中国経済の混乱の中でプレッシャーにさらされており、今回のAPECでは、投資を確保するためにアメリカの政府関係者やビジネスリーダーとの関係を円滑にしようとした。 

 

1940年代の内戦後、台湾は中国共産党政権からの独立を主張したが、中国は台湾を統治する権利を長年主張してきた。 

 

習主席は最近の演説で、台湾へ侵攻する可能性があると脅しをかけており、アメリカ政府関係者は、習主席が武力による台湾支配を目論んでいるのではないかとの懸念を強めている。 

 

バイデン大統領は、台湾が攻撃された場合、アメリカは台湾を守ると述べたが、この発言はホワイトハウスによって修正された。 

 

アメリカは長い間、台湾に対して「戦略的に曖昧」な立場を維持しており、中国が台湾を支配する権利があると主張していることを認識しながらも、台湾が攻撃された場合には、その自治権を擁護する可能性を示唆している。 

 

2024年1月に行われる台湾総統選挙を前に、台湾と中国本土の緊張は高まっている。 

 

https://www.businessinsider.jp/post-280142 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(39)

2023-12-25 00:00:00 | Weblog

「台湾を侵攻するような計画は中国にない」!? 

 

そしてもう一つ、首脳会談における習主席の言動は、およそ彼自身の思いもつかないところで、中国にとっての失敗を犯した。 

 

首脳会談で習主席がバイデン大統領に対し、「2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にない」と語り、海外で報じられている中国の「台湾侵攻計画」を明確に否定したことは、米国高官によってリークされて世界中に報じられたが、それは当然、台湾の中でも大きなニュースと話題となって、そして来年1月に予定されている台湾総統選に一定の影響を与えるだろうと思われる。 

 

台湾の中では親中勢力とされる国民党は今、台湾独立派とされる政権党の民進党を相手に総統選を挑んでいるところだが、この選挙戦の中で国民党は、「独立派の民進党候補が次期総統となれば、中国は必ず戦争を仕掛けてくる」との言説を吹聴して、「戦争が欲しくなければ国民党に投票しよう」と選挙民に呼びかけている。それこそは、国民党の選挙戦略の柱の一つである。 

 

しかし前述の「台湾侵攻計画はない」という習近平発言が台湾に伝わってくると、「独立派の民進党候補が次期総統となれば、中国は必ず戦争を仕掛けてくる」という国民党の言い分は直ちに説得力を失い、国民党の選挙戦のための切り札の一枚はこれで、習主席発言によって無効化されてしまうのである。 

 

ご褒美は「お散歩」と「お見送り」 

 

こうしてみると、首脳会談における習主席の失敗はもはや明々白々であるが、しかしそれでは習主席には立場もメンツもない。そこで、首脳会談で実をとったバイデン大統領は、習主席のメンツを立てるために二つの演出を通して彼に「ご褒美」を与えた。 

 

まず、バイデン大統領は、会談と昼食会が終わった後、会談の場所となる邸宅の庭園で習主席と一緒に散歩した。そしてこの散歩の写真は翌日の人民日報一面に掲載された。それ以外の一部官制メデイアも「大ニュース」として取り上げ、中国国内ではそれが、「習主席訪米成功」の証とされた。 

 

そして習主席が会談場所の邸宅を後にする際、バイデン大統領は彼を玄関口まで送って、車に乗るのを見送ったが、それもまた、中国国内で「大ニュース」として取り上げられて、環球時報に至って、それだけをニュースのタイトルにして報じた。 

 

バイデン大統領が取ったこの二つの行動は、自分の「古い友人」でありながら敗軍の将となった習近平の立場に配慮したものであろうと思われるが、逆に中国側はこのようなささやかな「ご褒美」を大きく取り上げて、習主席の外交的失敗を覆い隠すための格好な材料となった。まさに「情けない」との一言に尽きよう。 

 

しかしバイデン大統領は「敗軍の将」に情けをかけたその直後に、再び習主席に追い討ちの一撃を与えた。会談結果についての記者会見においては、記者からの質問に答える形で、バイデン大統領が「習近平は独裁者だ」と明言した。流石の中国外務省がこのバイデン発言に直ちに反発して見せたが、中国国内ではこの一件は一切報じていない。国民の知るところとなれば、習主席の訪米失敗はもはや隠せなくなるからだ。 

 

このようにして中国は、もはや情報統制という常套手段を使う以外に、習主席が自らの失敗を覆い隠しメン立てる方法はない。鳴り物入りの「習近平訪米」は習主席と中国にとっては全くの「失敗と屈辱の旅」となった。 


https://gendai.media/articles/-/119611?page=5 

 

 

 

米中首脳会談は、2023年11月15日(現地時間)に、サンフランシスコで行われている。同16日、17日(日本時間17日、18日)とAPEC首脳会議が開催されている。米中首脳会談は、そのための一連の首脳会議の一つという位置づけであった。事実、米中首脳会議の前には、訪米中のインドネシアのジョコ大統領との会談が行われていた。 

 

事程左様に、習近平主席だからと言って「特別待遇」は、与えられていなかった。習主席の専用機のサンフランシスコ空港到着に際しては、赤絨毯敷かれてはいなかったし、主要閣僚出迎えもなかった、と書かれているではないか。 

 

この米中首脳会談に対する中国側の期待は、すこぶる大きいものがあった。だから、事前に諸々の諸工作を行っていたわけだ。 

 

習近平の目標は、次のようなものであった。 

 

(1)台湾には武器は送るな。中国による(平和)統一を支持せよ。 

 

(2)対中輸出制裁・諸規制を撤回せよ。 

 

と言ったものであった。いわゆる「台湾問題」と「経済制裁」であった訳だ。 

 

 

これに対して、バイデンの狙いはこんなものであった。 

 

米中両国間の競争が、「衝突に発展しないよう」確実にして、米中両国が「責任をもって管理」しておく、というものであった。 

 

 

「衝突の管理」とは、当然のこととして、軍事衝突」を未然に防ぐ、と言うことである。そのためには、米中間での軍事対話、即ち、米中両国軍の「対話」と「意思疎通」が必要不可欠なこととなる。 

 

12/18のNO.18のブログでも紹介しておいたように、中国軍機の煽り飛行や中国艦船の危険な行為が頻発しているのであるから、当然である。 

 

しかしながらこの両軍による対話は、昨年2022年8月のペロシ下院議長の訪台によって、中断されたままであるからこれを再開したい、と言うこと。 

 

そして「首脳会談」の結果は、バイデンの期待する通りのものとなっていた。 

 

「軍対話再開」は両首脳間の最重要な合意事項」となり、更には、「首脳間ホットラインの設置」についても双方が合意しているのである。 

 

将にバイデン大統領の望む通りのものとなっているのであり、バイデン大統領は「高笑いしている」ところであろう、と書かれている。 

 

中国の期待する「台湾問題」と「経済制裁」に対しては、バイデン大統領は「全くのゼロ回答」であった、と書かれている。 

 

台湾独立を支持しない」とは言ったものの、これは米国政府の常套文句であり、なんの新味もないものであった。しかも中国の要望に対しては、「全くの無反応、黙殺の形で一蹴」しているのである。 

 

 

つまりバイデン大統領は、習主席の求めには一切応じてはいなかったのである。 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(38)

2023-12-22 00:00:00 | Weblog

バイデンの目標「衝突管理」は達成された 

ここでの「衝突の管理」は当然、軍事衝突を未然に防ぐための「管理」を重点中の重点とするものであるが、そのためには米中間の軍対話、すなわち両国軍の間の対話・意思疎通が必要不可欠であるのは自明のことである。 

by Gettyimages 

 

実際、今回の首脳会談に臨んで、バイデン政権が一番の達成目標としているのはまさに、昨年8月のペロシ下院議長訪台以来中国側によって中断されたままの中国軍との対話の再開である。 

 

11月12日、サリバン・米国家安全保障担当大統領補佐官は米CNNのインタビューで、予定される米中首脳会談について「バイデン大統領は軍同士の対話を再構したいと考えている。これは最も重要な議題だ」と述べた。そして首脳会談前日の14日、バイデン大統領も「危機が起きた時に互いに電話で話せるような通常の関係に戻すこと。軍同士のつながりを再確認することだ」と述べ、軍対話の再開多大な期待を寄せた。 

 

そして首脳会談が終わったところで、双方の公式発表から見れば、会談の結果はまさにバイデン大統領と米国側の期待する通り、「軍対話再開」は両首脳間の最重要な合意事項となった。それを受け、日本の大新聞を含めた世界のマスコミは揃って「軍会話再開合意」のタイトルで会談の結果を報じたが、バイデン大統領の一番目標は見事に達成された。 

 

また、首脳間ホットラインの設置についても双方が合意したから、バイデン大統領が望む「危機が起きた時に互いに電話で話せるような通常の関係に戻すこと」も実現できた。 

 

米側は「非常に満足している」 

米国側の関心事の一つである「フェンタニル問題」に関しても、米側の発表によると、会談において両首脳は、米国で薬物過剰摂取問題の主な原因となっている医療用麻薬フェンタニルの供給源への対処について協力することで合意したという。 

 

こうしてみると、首脳会談の結果は米国側とバイデン大統領にとってはまさに望む通りのものであって、バイデン大統領が一番欲しがるものを手に入れて高笑いしていところであろう。 

 

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官11月16日のオンライン記者会見で、バイデン大統領が習主席との会談内容に非常に満足している」と述べたが、それは大統領と米国側の本音だと見るべきであろう。 

 

習近平の要求は「台湾」と「経済制裁」だったが 

その一方、習主席と中国側は首脳会談に臨んで何を目標とし、そして何を得たのか。まずは中国側の訴求に関しては、それは、16日付人民日報が一面掲載の、首脳会談に関する公式発表を一読すれば分かる。 

 

中国側の発表では、習主席は会談の中で、1)米国側への具体的要求としてまず台湾問題の重要性を強調した上で、「台湾を武装させることを止め、中国の平和統一を支持する」ことを求めた。さらに、2)米国政府による対中国輸出制限・一方的な制裁措置を批判し、それらを撤回することを求めた。 

 

以上の2点はまさに習主席と中国側の最大の訴求と要求であったが、会談後の米中両国の公式発表と各メデイアの報道を見ると、この二つの要求に対するバイデン大統領の反応は全くのゼロ回答であることが分かる。 

by Gettyimages 

 

中国側の発表では、バイデン大統領が台湾問題に関して、「台湾独立を支持しない」との言葉を口にしたというが、それは米国政府の今までの常套文句の繰り返しであって何の新味もない。一方、中国側の発表から見ても、習主席が強く認めた「台湾を武装しないこと」と「中国の統一を支持すること」に対し、バイデン大統領は全くの無反応、黙殺の形で一蹴したと思われる。 

 

対中国輸出制限・一方的な制裁措置の撤回」については、中国側の発表でもバイデン大統の口からの具体的言及(すなわち言質)は一切ない。つまりバイデン氏は習主席の求めに一切応じなかったことが分かる。 

 

つまり習主席は、首脳会談に当たってはバイデン大統領の求めに応じて首脳ホットオンラインの設置や軍対話再開などで米国との合意に達したものの、自らの要求するものに関してはバイデン大統領から何一つ合意を取り付けることができなかった。 

 

数ヶ月前から首脳会談を成功させるために、習主席と中国側はあらゆる機会を利用して米国に関係改善への意欲と熱意を示したり、米国からの譲歩を引き出すために強請作戦も展開したりしたが、結果的には媚びも強請りも何の効果もなく、習近平にとっての米中首脳会談は、譲歩する一方においては何の成果もあげられない大失敗となった。 

 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(37)

2023-12-21 00:00:00 | Weblog

米国には効果なし、なし崩し会談へ 

 

10月30日、人民日報系の環球時報は米中首脳会談の開催を論じる社説を掲載した。それは「“サンフランシスコへの道のり”は平坦なものではない」という王外相の言葉を引用しながら、首脳会談実現のためには、米国側の対中関税の撤廃や台湾に対する支援の取りやめなど、様々な要求を具体的に挙げて米国に突き付けた。 

 

そして11月8日、首脳会談開催のわずか1週間前、中国外務省の汪文斌報道官は定例の記者会見で、上述の「道のりは平坦でない」「自動運転を期待すべきでない」という王外相の言葉をもう一度持ち出して米国側に揺さぶりをかけた。つまりこの時点に至っても、米国側はいっこうに中国の要求を飲まなかった。 

 

そして2日後の11月10日中国外務省は習主席の訪米と首脳会談の開催を正式発表した。両大国間の首脳会談は開催のわずか5日前に正式発表されるのは外交上で極めて異例なことだが、要するに中国側はギリギリのタイミングで米国側に強請りをかけてきて、ギリギリの線で会談の開催を発表せざるを得なくなった。 

 

しかし後に取り上げる首脳会談の結果から見ても分かるように、「会談カード」を使って中国側の強請り作戦はこの時点では完全に失敗に終わった。 

 

実際、中国国営新華社通信が11日に報じたところによると、訪米中の何立峰副首相はイエレン米財務長官との会談で、半導体の対中輸出規制などに対する懸念を表明し、見直しの具体的行動を求めたという。つまり中国側が首脳会談の開催を正式に発表した時点でも、米側は依然として中国の「強請作戦」に屈していなかったことがこれでわかった。 

 

にもかかわらず14日になると、米国からの譲歩を迫る作戦が失敗に終わった中で、習主席は「屈辱と徒労の訪米の旅」に出かけることとなった。 

 

事前アプローチに失敗した中国・習近平政権。その後。開かれた米中首脳会談では『2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にない』と米中首脳会談でバイデンに言っちゃった習近平の媚びと焦り」 https://gendai.media/articles/-/119611)で詳細を解説するように、実際の首脳会談では更なる外交的敗北が待ち構えていた。 

 

https://gendai.media/articles/-/119610 

 

 

習近平が渇望していた米中首脳会談が、今年2023.11.15にサンフランシスコで開催された。首脳会談開催に対しては、習近平は米国に熱烈な「ラブコール」を贈っている。 

 

王毅外相を派遣したり、海振華・気候変動問題担当特使を派遣したり、はたまた副首相の何立峰を送ったりして、何かと米国の気を引こうと涙ぐましい努力を重ねていたものだ。 

 

しかしながらその本音は、「中国の要求を聞け」というものであった。「聞いたら首脳会談に応じてやる」と言った尊大なものであった。 

 

しかしながら、米国は何の譲歩も与えなかった。次の論考では「中国側の強請り作戦はこの時点では完全に失敗」に終わっている、と断言している。しかも「台湾を侵攻する計画はない」とまで言わざるを得なかったようだ。 

 

次の論考では、「さらなる外交的敗北」と表現している。しかも「成り物入の習近平訪米」は「全くの失敗と屈辱の旅」となった、と結んでいる。 

 

ではこの論考を熟読願う。 

 

 

 

「2027年か35年に台湾を侵攻するような計画は中国にない」と米中首脳会談でバイデンに言っちゃった習近平の媚びと焦り 

石 平評論家 プロフィール 2023.11.22

 

米中首脳会談を渇望しながら『会いたいなら要求をきけ』の習近平、実はバイデンに無視され空振りの旅だった」で紹介したように、米中首脳会談に向け硬軟両用のアプローチをかけた中国・習近平政権だったが、米側には効果ないまま渡米して首脳会談に臨んだ。そこでは、さらなる外交的敗北が待ち構えていた。 

 

徹底して「特別待遇」でない習近平 

 

米中首脳会談は、11月15日(現地時間)においてサンフランシスコの郊外で行われた。実はそれに先立って13日、バイデン大統領はまずAPEC参加のために訪米のインドネシア大統領と会談した。それによって米国側は、その後の米中首脳会談もAPEC会議の開催に伴う一連の首脳会談の一つに過ぎないこと、習主席に「特別待遇」を与えていないことを示したのではないかとも思われよう。 

 

実際、習主席が専用機でサンフランシスコの空港に到着した際、カリフォルニア州知事やイエレン米財務長官が出迎えたものの、ブリンケン国務長官など大物閣僚が迎えに行かずにして、習主席のために赤絨毯が敷かれることもなかった。 

 

習近平、サンフランシスコ空港到着  by Gettyimages 

 

こうした中で開かれた世界注目の首脳会談であるが、米中両国、あるいはバイデン大統領習主席はそれぞれ、この会談を通して何かを得て、どのような成果を上げたのか、それは最大の注目ポイントであろう。 

 

まず、会談に臨むアメリカとバイデン大統領の狙いあるいは目標はどういうものかを見てみよう。それは実は、会談冒頭で記者に公開する部分でのバイデン大統領の発言に凝縮されているのである。 

 

バイデン大統領はここで、両国の競争が衝突に発展しないよう」確実にし、米中関係を「責任を持って」管理する必要があると語ったが、それこそは米国側の対中国外交の着眼点であろう。つまり米国側としては、米中関係の「改善」にはさほどの関心もなく、両国間の競争が衝突に発展しないようにどう管理しておくのかはバイデン政権の最大の関心事である事を明らかにしたのである。 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(36)

2023-12-20 00:00:00 | Weblog

台湾問題半導体規制などでは、米国からの何らの譲歩も得られなかったと言うことである。反対に、中国側からは台湾に侵攻する計画はない」とまで言ってしまった様だ。 

 

 

 

米中首脳会談を渇望しながら「会いたいなら要求をきけ」と強請りの習近平、実はバイデンに無視され空振りの旅だった 

石 平評論家    2023.11.22 

 

習近平、「ラブコール」連発 

 

アメリカ東部時間の11月15日、APEC首脳会議の開催に伴った米中首脳会談は世界の注目の中でサンフランシスコ開催された。それはインドネシアのバリ島で開かれた前回の首脳会談から一年ぶりの会談であるが、実は中国の習近平政権は早くも今年の9月あたりから、雰囲気づくりや閣僚会談などの下準備を着々と進め、大変意気込みで会談のための地ならしを行った。 

 


by Gettyimages© 現代ビジネス 

 

まずは9月12日、習近平主席は第2次世界大戦中に中国を支援した米義勇航空部隊「フライング・タイガース」の退役軍人たちからの書簡に返信した。退役軍人たちがいつ習主席に書簡を送ったのかは不明だが、習主席はこのタイミングで彼らに返信を送ったのは当然、これを利用して関係改善への意欲を米国側に示しておきたいからだ。 

 

習主席は返信の中で、「中米両国は大国して将来に向けて世界の平和、安定、発展により重要な責任を負っており、相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンを実現すべきであり、実現しなければならない。」と書いて、自ら米国側に熱烈な「ラブコール」を送った 

 

10月24日、習主席は北京人民大会堂にて米国カリフォルニア州知事と会談した。中国の国家元首が米国の一州知事と会談するのは異例中の異例だが、習主席は会談の中で「米国との相互尊重・共存共栄」を大いに語り、今後の協力強化を展望した。 

 

 

熱意の外交的下準備 

 

そして10月24日から26日まで、王毅外相がワシントンを訪問し、バイデン大統領・ブリンケン国務長官らと会談を行った。それは当然、首脳会談への下準備の重要なる一環である。 

 

11月4日、米中友好都市大会」は中国江蘇省で開かれた際、習主席は自ら祝賀の書簡を送り、米中間の友好交流の推進や米中関係の「安定かつ健全なる発展」を訴えた。 

 

11月4日から7日までに、中国は解振華・気候変動問題担当特使を米国に派遣し、ケリー・米大統領特使(気候変動担当)と会談させた。そして米中首脳会談直前の15日、米国側は上述の会談で米中両国が気候変動分野での協力について合意したと発表。 

 

11月8日から12日、今度は中国の何立峰副首相がワシントンを訪問、イエレン米財務長官と数日間にわたって会談した。 

 

このようにして首脳会談開催に至るまでの3カ月間、中国側が3回にわたって副首相・大臣クラスを一方的に米国に遣わして訪問。そして習主席自身も「ラブコール」の書簡を乱発したり格下の米国州知事と会談したりして、あらゆる機会を用いて米国に関係改善への「熱意」を伝えた 

 

さらに、気候変動問題で米国と合意したりしてバイデン政権の痒いところに手が届いた。バイデン政権に対してまさに愛嬌と媚びの限りを尽くしたが、それらは全て、習主席と中国に対するバイデン大統領の心証を良くして、首脳会談を成功裏に導こうとするための外交的努力であった。 

 

望んでおきながら「要求をきけ」 

 

その一方において中国は、自ら首脳会談の実現を熱望しておきながらも、米国側に対しては「会談実現を望むならばこちらの要求を聞き入れよう」という形の強請りをかけていた。 

 

10月28日、米国側との一連の会談を終えた王毅外相は米国民間人との座談会では、「中米両国は首脳会談の実現に向けて一緒に努力することに合意しているが、“サンフランシスコへの道のり”は平坦なものではない “自動運転”を期待すべきではない」と語った。 

 

その意味するところはすなわち、1)中国側は未だに首脳会談の開催に合意していないこと、2)首脳会談の実現に依然として障害があり、何もせずにして首脳会談が自動的に実現できるものではないことであろう。つまり王外相はここで、「首脳会談の実現を望むなら、中国の要求を聞いてなんとかしろ」と米国に迫った訳である。 

 

関連するビデオ: 習近平国家主席 日本との関係改善に意欲にじむ 台湾問題・半導体規制など焦点 (テレ朝news) 

Video Player is loading.テレ朝news習近平国家主席 日本との関係改善に意欲にじむ 台湾問題・半導体規制など焦点 

 

自ら会談の開催を熱望しながらも、「会談実現」を一枚のカードにして相手に揺さぶりをかけ要求を飲ませようとするのは中国の外交手法の一つでもあるが、この王毅発言は逆に、彼とバイデン大統領・ブリンケン国務長官との会談では米国側が中国に譲歩しなかったことの証拠であって、王毅はこの時点でかなり焦っていることが分かる。 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(35)

2023-12-19 00:00:00 | Weblog

深まる「習近平独裁の危うさ」 

 

習氏の一強体制が固まり、人事は習氏の一存で決まる状況下で、習氏の信任を失えば政府高官が即座に失脚する事態が相次いでいる。 

すべては習近平の一存で決められていく…Photo/gettyimages 

 

習氏は軍に対する不信感が強いとされており、軍幹部は国家安全保障を重視する習氏の歓心を得るため、危険を承知の上で強硬な行動に出るよう、部下に対して指示を出しているのではないかと思えてならない。 

 

米中間の軍事衝突の懸念はこれまで西太平洋地域が中心だったが、筆者は「中東地域にで発生するリスクが生じているのではないか」と危惧している。 


中東が危ない! 

 

米国のバーンズ駐中国大使は10月19日、「中国政府の(パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織)ハマスを巡る姿勢は米中関係の新たな課題だ」との認識を示した。 中国政府は、米国政府がテロ組織と見なすハマスを非難しないばかりか、米国が支持するイスラエルに対しても批判的な姿勢を示し始めている。 

 

気になるのは、中国軍艦6隻が中東地域に派遣されていることだ。 

 

イスラエルとパレスチナの衝突は、米中の衝突も誘発するのか…Photo/gettyimages   

 

10月19日付香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国の第44海軍護衛任務部隊がオマーン沖でオマーン海軍と一週間の合同軍事演習を行った後、21日にオマーンの首都マスカットを出港し、どこに行ったか不明だ」と報じた。 

同部隊は半年前にソマリア北部のアデン湾に到着して以来、中東各地を移動し、輸送船の護衛を行っている。 

 

米軍はイスラエルを防衛するため、中東地域に2隻の空母を派遣しており、イランが支援する各地の武装勢力と既に交戦状態にある。 

 

米中の偶発的衝突の確率は「ヤバすぎるレベル」 

 

「中東情勢は一寸先は闇」だ。事態が混乱の度を増せば、中東地域の中国軍の危険行為が仇となって米軍との間で偶発的な衝突が起きる可能性は排除できなくなるだろう。 

 

米中対立を7年前に予言したことで知られる米政治学者グレアム・アリソン氏は9月11日、「もし将来、米中戦争が起きるとすれば、80%の確率で 『意図しない』形で始まる。両国のどちらか、あるいは、双方が状況を見誤って戦争となる」との見方を示した。 

 

中東情勢の緊迫化のせいでアリソン氏の予言が的中しないことを祈るばかりだ。 

 

さらに連載記事『習近平の大誤算…!現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、米中の緊迫のもう一つの原因について、詳しく解説しているので参考としてほしい。 

 

https://gendai.media/articles/-/118441?page=1 

 

 

 

なぜ中東地域で、米中の衝突が発生するのか、いささか不思議な感じがしている。 

 

中国では、共産党政権が人民解放軍を統治している、という形になっている。と言うことは習近平が、軍に対する統治権を握っているということである。しかも今の中国は、習近平の一強独裁体制となっている。何でも、習の思いのままとなっている。だから、習が気に食わないと思えば、すぐさま政府高官の首が飛ぶのである。 

 

だから、軍の幹部たちはそれを忖度して、危険を承知の上で国際空域上でも、アメリカ軍の航空機に頻繁に、ちょっかいを出しているのである。これはとても危険なことである。 

 

そんな状況下で、中東へ中国は軍艦を6隻も派遣しているのだ。 

しかも中国は、ハマスを非難していない、どちらかと言うとアメリカに対抗していることから中国の味方的な地位に置いているようだ。 

 

だから中国は(テロ組織を支援しているために)、テロ国家と見做してもおかしくはないのである。だから危なくて仕方がないのである。 

 

というのも、中国は当地の反米勢力と合同軍事演習まで行っているのだ。 

 

これに対して(イスラエルを守るために)、アメリカ軍は2隻の空母を派遣している。中国軍はこの地で、いわば反米活動をしているようなものではないのかな。 

 

だから、何れは米中が衝突する危険はかなりあるのである、と言った趣旨ではないのかな、この論考は。 

 

いったん中東地域で米中が衝突すれば、それが拡大しないとも限らないのだ、と警告を発しているのである。これは恐ろしいことである。 

 

しかも中国経済は低迷しており、国内は沈滞している。だから習近平も焦っているのではないのかな。人民の不満を外に向けさせるという可能性大なのである。 

 

そんなことから、中国は米中首脳会談で自国の要求を無理矢理に通そうとしたが、どうも不発に終わってしまったようだ。1枚も2枚も、バイデンの方が上手だった、と言うことだ。 

(続く)

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ALPS処理水放出と習近平の凋落(34)

2023-12-18 00:00:00 | Weblog

米中対話はそれなりに行われているようだが、これは中国の一種の隠れ蓑ではないのか。対話で安心させておいて、軍事力を増強していくという、中国得意の騙(ダマ)くらかし戦法である。 

 

その証拠に、中国の核弾頭保有数は優に500発を超えている、と言うし、2030年には1千発を超すというではないか。(日本もうかうかとはしておられないということだ。) 

 

だから中国は内心、自信を持ち始めているようだ。だから国際空域での、中国軍機の米軍機への煽り飛行を盛んに繰り返している。そのため米軍はその映像を公表して、中国に止めるように圧力をかけているが、習近平の中国は知らぬ存ぜぬである。 

 

これでは困るのである。 

 

 

習近平、制御不能…!緊迫の「中東情勢」で高まる「米中衝突」の可能性と現実味を帯びる米政治学者「7年前の予言」、その「ヤバすぎる中身」 

2023.11.01 藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー 

 

中東で懸念される「米中衝突」の可能性 

 

10月27日、中国の王毅外相が訪米しブリンケン米国務長官らと会談したが、これはバイデン大統領と習近平国家主席の会談実現のための地ならしだ。 

 

米中高官は、このところ対話に前向きだが、雪解けムードとなる可能性は低い。むしろ、筆者はイスラエルとパレスチナの緊張で、中東地域で米中衝突の危険が高まっていると身構えている。 

 米中の緊張は高まる一方 Photo/gettyimages

前編『習近平にいったい何が…米軍が激怒した日本近海「中国軍あおり飛行」と、実は中東がヤバい!危険レベル急上昇の「米中衝突」、緊迫の異常事態』でも紹介したが、米中の対立は、いまやいつ発火しても決して不思議ではない状況まで深まっている。 

 

これが、イスラエルとパレスチナの衝突の最中に、「中東地域」で起こるとなれば、事態はさらに深刻となるだろう。 

 

傍若無人の中国軍 

 

いま、東シナ海と南シナ海上空の国際空域で危険な飛行を行った中国軍機の「あおり飛行」への米中の応酬が激しくなっているが、空軍に加え、海軍の危険行為も問題になっている。 

フィリピン政府によれば、10月22日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島のアユンギン礁近くでフィリピン国軍が契約する補給船と中国海警局の船舶がぶつかり、別の場所でもフィリピン沿岸警備隊と中国海上民兵(武装した漁船団)の船が衝突する事案が起きた。  

東シナ海、南シナ海で中国船の横暴が続いている Photo/gettyimages    

 

日本を始め西側諸国は中国船の行動を一斉に批判したのに対し、中国は「アユンギン礁は自国の領土だ。根拠のない中傷はやめろ」とけんもほろろだ。 

軍の異常行動の背景には中国の政治情勢が影響している可能性が高い。 

 

習近平の「国防相解任」で露わになる暴走 

 

習近平指導部は10月24日、李尚福国務委員兼国防相の解任を決定した。 

 

中国の国防相は主に軍事外交を担い、これまで5年ごとに交代するのが通例だったことにかんがみれば、約7ヵ月で交代する李氏のケースは極めて異例だ。理由は明らかにされていないが、「軍事装備品を巡る不正に汚職に関わった」との見方がある。 

 

習氏の軍に対する締め付けは強まるばかりだ。 

 

今年の夏も、核ミサイルを扱うロケット軍のトップが変則的に交代させられている。 

 

習氏が軍の規律徹底にこだわるのは、党が軍を統治し、規律を徹底させられているかどうかが指導者の権力基盤に直結するからだ。 

(続く)

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