世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

ならず者国家・中国、アレコレ!(85)

2016-03-25 00:00:00 | Weblog

中国船、EEZで調査か 東京・沖ノ鳥島沖
2016.3.19 14:00

排他的経済水域で確認された中国の海洋調査船=19日午前、東京都・沖ノ鳥島沖(第3管区海上保安本部提供)

 19日午前5時35分ごろ、東京都・沖ノ鳥島の北西約250キロの排他的経済水域(EEZ)で、中国の海洋調査船「海大号」が、船尾からワイヤのようなものを海に投入するのを海上保安庁の巡視船が確認した。

 第3管区海上保安本部(横浜)によると、巡視船が「わが国の事前の同意がない調査活動は認められない」と中止を要求したが「公海上だ」と答えたという。海大号は14日からEEZ内を航行しており、3管が巡視船で監視していた。
http://www.sankei.com/politics/news/160319/plt1603190016-n1.html


日本の排他的経済海域での未許可の活動であることから、日本の巡視船は、中国の海洋調査船のワイヤを切断できないものなのか。こんな弱腰では、100年マラソンには勝てないぞ。

南シナ海で実効支配を積み上げてきた中国が、次に侵攻してくるのは東シナ海・尖閣諸島なのである。中国には、第一列島線、第二列島線と言う明確な戦略がある。尖閣諸島を確保して初めて第一列島線を確保したことになるのである。だから中国は絶対に諦めない。必ずや東シナ海へその毒牙を伸ばしてくる。




東シナ海:“中国は一歩手前の状況を作り出そうとしている”米識者が警鐘 その狙いとは?
更新日:2016年2月2日
カテゴリー:国際

南シナ海」の次は「東シナ海」か――。複数の米識者が、アジア太平洋地域で海洋支配力を強める中国の「次の一手」は、尖閣諸島がある東シナ海だと警鐘を鳴らしている。中国は、尖閣諸島の接続水域に初めて重武装の巡洋艦クラスの“軍艦”を送り込むなど、「質」と「量」の両面で日本に対する示威行動を強めている。これに対し、「武力衝突の可能性はますます高まっている」(米ハドソン研究所上席研究員、アーサー・ハーマン氏ら)、「日本は無人偵察機オスプレイの配備を急がねばならない」(米イーストウエスト研究所東アジア研究員、ジョナサン・バークシャー・ミラー氏)といった危機感に満ちたコメントが目立ち始めている。外務省関係者も、英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)に対し、「東シナ海情勢は悪化している」とコメントし、明確に危機感を抱いているようだ。

◆日本の「しきしま」を上回る中国“モンスター巡視船”の配備が間近か

 中国は昨年来、これまで以上に尖閣諸島周辺海域での示威的な行動を強めている。日本の海上保安庁に当たる中国海警局の艦船の侵入回数や、中国国営企業とのつながりが指摘されるガス田調査船の数が、目立って増加傾向にある。その中でも、特に日本政府関係者らに衝撃を与えたのが、12月22日と26日に中国船4隻が尖閣諸島から24カイリ以内の「接続水域」に侵入した事件だ。このうちの1隻が、37mm機関砲4門を装備した事実上の軍艦だったことが波紋を呼んでいるのだ。武装した船が尖閣周辺で確認されたのはこれが初めてだった。

 この『海警31239』は、海軍の巡洋艦を改装した巡視船と見られる。イーストウエスト研究所のミラー氏も、『Nikkei Asian Review』に寄稿した『東シナ海は日本の安全保障の最大の脅威だ』と題したピニオン記事でこの件について、「中国がこの海域に武装船を送ったことにより、争いは相当に高まるだろう」と警告している。また、中国は2隻の1万トン級の巨大巡視船の配備を進めており、その1隻『海警2901』が進水間近と見られている。ネット上に投稿された上海の造船所に停泊している画像などによれば、同艦は37mm機関砲2基、対空用近接防衛システム2基、大型ヘリコプター2機を搭載。現役の巡視船で世界最大の海上保安庁の『しきしま』(7175総トン)を上回る“モンスター巡視船”だ。

 FTは、12月23日から2日半にわたって、中国の巡視船が東シナ海上空に中国が一方的に設定した防空識別圏(ADIZ)に沿って航行した件にも注目している。同紙は「この行動が意味することの一つは、中国はADIZの監視と支配力を高めようとしているということだ」と記す。また、日本の外務省関係者はFTに、「我々が恐れているのは、同じルートを軍艦がたどることだ」と危機感を表している。

◆日米分断を狙って意図的に「危機」を作り出す作戦か

 米ハドソン研究所上席研究員、アーサー・ハーマン氏(マッカーサー研究書『ダグラス・マッカーサー:米国の戦士』の著者』)と同研究所シニアバイスプレジデントのルイス・リビー氏(元ジョージ・W・ブッシュ政権大統領補佐官)は、最新の東シナ海情勢を分析した共著のオピニオン記事をWSJに寄稿している。両氏は、中国の海洋支配の「次の一手」の焦点は、東シナ海だと見ている。

 ハーマン氏とリビー氏は、「中国は国際社会の注意をある方向に向けさせながら、もう一方で策略を進めるのが得意だ」と指摘する。世界の注目が南シナ海に集まっている隙に、東シナ海の支配力を一気に強めようと目論んでいるというわけだ。さらに両氏は、尖閣問題を解決するために、中国が意図的に「危機」を作り出す可能性を挙げる。「戦闘の一歩手前まで迫る対立を作り出せれば、日本側は、特に米国の軍事支援に頼ることができないと感じれば、すぐに後退して外交手段で解決を探ろうとするだろうと中国側は踏んでいる」のだという。国内の経済危機が叫ばれる中、人民の不満を外に向けさせるためにも、中国がギャンブルに出る可能性は捨てきれないという見立てだ。

 また、中国は、アメリカのオバマ大統領が大統領選を前に中国との衝突に向かう可能性は極めて低いと見ている節があるという。一方、両氏は「日本は米国との同盟に確信を持っている」と指摘。そのうえで、中国の真の狙いは「尖閣」を刺激することにより、日米の認識のズレにつけ込み、同盟関係に亀裂を入れることだと見ている。「中国にとって、アジアにおける米国の砦を打ち破ることは、原油を発掘するのと同じくらい大きな価値を持っている」と記事は結ばれている。

◆「韓国との関係改善を利用して中国を孤立させるべき」

『Nikkei Asian Review』のミラー氏のオピニオンは、こうした中国の動きに対抗するために日本が取るべき対応を4つ挙げている。第1に、2014年11月の日中合意に基づき、尖閣問題に関わる危機管理メカニズムの導入を早急に進めること。そして、いまだ「グレーゾーン」になっている集団的自衛権の行使をはっきりと容認することだという。これは、裏を返せば、ハーマン氏らが指摘する「日米同盟のギャップ」に付け入る中国の策略にはまってはいけない、ということでもある。

 中国は、“モンスター巡視船”の配備だけでなく、海軍力の中心を東シナ海方面に移動させているとミラー氏は指摘する。これに対抗するために同氏が必要事項に挙げているのは、自衛隊が進めている「グローバルホーク無人偵察機」「水陸両用車両」「オスプレイ輸送機」などの配備の早期実現と、初期対応を迫られる海上保安庁の予算を大幅に増額することだ。

 そして、ユニークなのが、「韓国との関係改善を利用する」という戦略だ。ミラー氏は、先月の電撃的な慰安婦問題をめぐる合意によって日韓関係が改善に向かっている今が、「反日」で結びつく中韓を分断するチャンスだと見ているようだ。同氏は「前進している韓国との関係を利用して、中国に東シナ海の安定を乱すような行動を慎むよう圧力をかけるべきだ」としたうえで、「韓国との関係改善は東シナ海問題に直接関係はしないが、(中韓を分断すれば)海洋支配に攻撃的な姿勢を撮り続ける中国をさらに孤立させるだろう」と書いている。

 いずれにせよ、南シナ海問題を「対岸の火事」と見ていたら、痛い目に合うことだけは間違いなさそうだ。
(内村浩介)
http://newsphere.jp/world-report/20160202-1/


この論考の最後のところで「南シナ海問題を対岸の火事とみていたら、痛い目に合うことだけは間違いなさそうだ。」と結んでいるが、将にその通りだと思う。

中国人民解放軍の孫建国副参謀総長も明確に言っているように、中国は国の政策として尖閣諸島海域の領海侵犯を実施している。中国にしてみれば「ここは自国の海である」と言う意識である。このことはまことに由々しきことである。このことから我々日本人は目を背けてはならないし、覚醒しなければならない、自分の国は何としてでも守り抜くということ。

日夜懸命に国境の守りに精励している海上保安庁や海上自衛隊(だけではないが)の皆さんには、まことに頭が下がる。そしてそのバックアップには、法律の後ろ盾が必須である。

アメリカと連帯してお互いを守ると言う集団的自衛権などは部分的な容認ではなく、完全な容認が必要となる。いちいち条文と照らし合わせて、自国をどうすれば守れるかなどと検討していては、守れるものも守れなくなってしまう。

もう一つ指摘しておきたい。それは国連海洋法条約第17条で定められている「無害通航権」と言うものだ。そして第19条では、沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り、すべての船舶は他国の領海を通行することが出来る、としている。これには軍艦でも無害通航であれば、認められると言う。

果たして中国の公船やましてや軍艦が領海内を通行(侵犯かもしれないが)していたら、日本の巡視船や自衛艦はどのように対応したらよいのであろうか。迷うところであろう。中国公船が領海に入った場合でも、日本側は注意しない場合もあるやに聞く。これでは困るのである。

中国では国内法であるあの悪名高い領海法の第9条で、中国領海内を通行する外国船に対しは、航行ルートなどに制限を加えることが出来ると規定している、と言う。これも国連海洋法条約の第21条に、そんなことが出来ると定められていると言う。

至急日本も、このように無害通航権に制限を加える法律を作り、海上保安庁や海上自衛隊の隊員たちが、円滑に領海侵犯事案に対処できるようにして貰いたいものである。

(詳しくは 「中国の軍艦が尖閣に来た“だけ”では「領海侵犯」にはなりません、国際世論戦で必要となる国際法知識(高橋) http://kinbricksnow.com/archives/51900922.html」 を参照のこと)

われらの安倍晋三首相には、憲法九条の改定もさることながら、ぜひこの法律改正もお願いをして置きたい。

そして百年マラソンに関連する構成要素と思われるものを次にまとめて、このテーマのブログを終える。(-以降は小生のブログの参照先を示している。)

(1)、第1列島線、第2列島線(1982年,1993年)-2012.10.2(57)~「尖閣諸島人する問題その2」
(2)、戦略的国境概念の導入(1985年頃)-同上
(3)、海軍発展戦略を発表(1986年)-同上
(4)、領海法の制定(1992年)-同上
(5)、李鵬の「日本消滅」発言(1995年)-2014.11.18(15)~「中国、不法で毛無法な夢」
(6)、中国海軍高官の太平洋2分割統治論(2007/5)-2014.11.20(17)~同上
(7)、軍長老遅浩田前中央軍委副主席兼国防部長の回想記(2005/4)-2014.11.11(10)~同上
(8)、中国共産党「日本開放第二期工作要綱」(全文)(1972年)-2014.11.1(3)~同上
(9)、「2050 極東マップ」(2009/12)-2014.11.19(16) 同上

(終わり)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(84)

2016-03-24 00:00:00 | Weblog

中国があえて「武装船」で尖閣を領海侵犯しなければならない国内事情
国際
2016年1月6日2016年1月5日 272
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去る(2015年)12月26日、またもや中国海警局の船が尖閣諸島周辺領域へ侵入しました。しかし今までと大きく異なる点が一つ。それはその内の一隻が「武装船」とおぼしき船だったことです。メルマガ『NEWSを疑え!』の著者で軍事アナリストの小川和久さんが、なぜ「武装船」が領海侵犯したのか、その経緯と中国の国内事情について解説しています。

「武装」中国船が領海侵犯 尖閣周辺、ほか2隻も

26日午前9時半すぎ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に中国海警局の船3隻が相次いで侵入した。1隻は機関砲のようなものを搭載しており、領海外側の接続水域を航行しているのが22日から確認されていた。第11管区海上保安本部(那覇)によると、武器のようなものを装備した中国船が領海に侵入するのは初めて

この船は海警31239で、他の2隻は海警2307と2308。中国当局の船が領海侵入するのは20日以来で、今年に入って35日目。尖閣周辺での航行が確認されたのは7日連続。

海上保安庁の巡視船が領海から出るよう警告したのに対し「貴船はわが国の領海に侵入した。ただちに退去してください」と応答があった (12月26日付け産経新聞


武装した中国公船が姿を現したとの海上保安庁の発表は12月22日で、直ちにマスコミが報道することになりました。

当然、ネット上では「撃沈してしまえ」といった子供じみた声が飛び交うことになりましたが、実を言えば中国側にも似たような過激な反日世論が少なからずあり、それに苦慮している中国側が国内の声に応えるために示したのが、今回の武装公船の領海侵犯だったと受け止める必要があるのです。

これまでにもお話ししてきたことですが、中国共産党政権が頭を悩ましてきた国内問題の最たるものは、固定化してしまった経済格差に対する国民の不満が「愛国的動機」や「反日」を隠れ蓑として噴出し、政権の基盤を揺さぶる事態です。なにしろ「愛国無罪」という言葉が飛び交う中で警察車両に乱暴狼藉を働いても、動機が動機だけに取り締まりもままならない。かといって、それを放置すれば政権転覆にエスカレートすることさえ憂慮される。

そこで共産党政権は、日米両国とは軍事摩擦が起きないぎりぎりのところで公船による領海侵犯や海軍艦船によるレーダー照射などを行い、それが日本のマスコミのニュースになるよう仕向けてきたのです。日本のマスコミが大騒ぎするほどにニュースはリアルタイムで中国国内に拡がり、弱腰批判を封じることにつながるというわけです。

「日米両国とは軍事摩擦が起きないぎりぎりのところで」と言いましたが、いくら中国が軍事力を増強したところで相手が日米両国ということになれば、どんな些細な衝突でも世界的な戦争にエスカレートする要素を含んでおり、事態の推移如何によっては中国に進出している国際資本の撤退という事態を招きかねず、そうなってしまったら中国経済はとどめを刺されることになりかねません。経済がアウトになれば、軍事力増強どころではなくなります。

だから中国側は、軍事衝突が起きないようにする一方で国内的に言い訳できるだけのニュースが流れるよう、腐心してきたといってよいのです。

尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返す公船にしても、これまでは例外なく機関砲など固定武装を搭載しない非武装の船を展開させてきました。これが南シナ海との違いでした。中国人民解放軍の将官たちも、私に対して「日本に対して気を使っているからこそ、非武装の船しか出していないことを理解してほしい」と繰り返していました。

それが今回、1隻とはいえ武装した公船を繰り出し、そして1時間ほどとはいえ、領海侵犯させたというのは、何が理由なのでしょう。外交面での雪解けムードとは裏腹に、対日戦略上、大きな変化があったとでもいうのでしょうか。日本周辺での軍事的な緊張が高まるというのでしょうか。

そうではないと思います。中国の対日戦略に変化が生じたのではなく、これまで同様、国内の「反日」に名を借りた突き上げに対して、決して弱腰ではないと言い訳するために武装公船を領海侵犯させたのだと受け止めるべきでしょう。それは、武装公船を繰り出してきたタイミングを見れば明らかです。

12月24日、日本政府は来年度予算を閣議決定しました。防衛費は5兆541億円と初めて5兆円の大台を超え、その理由として「中国の海洋進出」に対する正面装備などの強化が挙げられたのですから、中国としても黙っているわけにはいかない。特に国内世論の弱腰批判だけは封じなければならない。そこで、初めての武装公船の投入になったのだと考えてよいのです。

海上保安庁の巡視船からの退去を求める呼びかけに対して、中国公船は「貴船はわが国の領海に侵入した。ただちに退去してください」と応答していますが、その言葉遣いにも対日強硬姿勢を窺うことはできず、むしろ「これでも気を使っているのを理解してね」と言っているようにさえ聞こえるのです。

新しい年は、少なくとも領海侵犯を許さないだけの強制力を備えた領海に関する法律を整備し、尖閣諸島の領有権についても国際法に基づいた主張をさらに明確にする日本に進化してほしいと期待する次第です。
image by: Wikimedia Commons
 
『NEWSを疑え!』より一部抜粋
著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
≪無料サンプルはこちら≫
http://www.mag2.com/p/news/136333


その証拠に、中国公船は丁寧語を使って日本の巡視船に答えてきているという。日本には気を使っている、などと日本人の人が良いところにつけ込むようなことを、小川和久氏には言ったようだが、これが方便だったとしたら取り返しのつかないことになってしまう。

もし本当に中国が日本には気を使っているとしたら、先ずは領海侵犯などは、そうそうしてこない筈ではないのかな。領海侵犯をしてきている、ということは、日本には気を使ってはいないということの証明ではないのかな。

いよいよ(でもなく以前からであるが)、日本領の太平洋の孤島の沖ノ鳥島にまでその毒牙を伸ばしてきている。沖ノ鳥島は、日本のEEZを確保するための重要な拠点なのだ。中国はただの岩ではないかと言って、それを認めようとはしていない。

2012.7.11尖閣諸島問題その2(6)では日本のEEZについて述べているし、2009.9.10~11尖閣諸島問題(125~126)同その3(53)では2004.4.11に中国が沖ノ鳥島は単なる岩礁だと主張したいきさつなどを述べているので、ぜひ参照願う。

(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(83)

2016-03-23 00:00:00 | Weblog

その証拠に、中国はフリゲート艦を半ばそのまま白く塗装しなおして、海警局の公船(日本で言う巡視船)に仕立てて、尖閣諸島周辺海域に出没させている。すでにフリゲート艦3隻が公船に改造されており、現在さらに2隻の駆逐艦を公船に改造中だと言う。この5隻が尖閣諸島海域に投入されるものと思われる。まさに尖閣危うし、である。いよいよ中国は衣を脱ぎ捨て、鎧を見せ始めた。

そしてその手は、更に沖ノ鳥島まで伸びている。危うし、ニッポン。



尖閣周辺に出現した中国船は「海軍フリゲート艦を改造」 機関砲も搭載
2016.1.6 09:40

2014年1月に撮影された中国海軍のフリゲート艦「539安慶号」(上、共同)。下は昨年12月22日に沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行する中国海警局の「海警31239」(第11管区海上保安本部提供)。機関砲のようなもの(円内)を搭載している

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で先月下旬に初めて航行が確認された機関砲のようなものを搭載した中国海警局の船が、中国海軍のフリゲート艦を改造した船だったことが5日分かった。

 中国の軍事情報を伝える香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは、3隻のフリゲート艦が既に改造を終え、他に2隻の駆逐艦が改造中で、計5隻が尖閣海域に投入される可能性があると明らかにした。中国が領有権をさらに強硬に主張しようとする姿勢の表れといえ、緊張が高まりそうだ。

 国際軍事情報企業IHSジェーンズは昨年7月、中国がフリゲート艦を改造中でミサイル発射台や口径100ミリの艦載砲の旋回砲塔が既に取り外されたが、前部の37ミリの機関砲は残されていると伝えていた。(共同)
http://www.sankei.com/politics/news/160105/plt1601050052-n1.html


海警31239は、元巡洋艦クラスの軍艦で、大砲は外してはあるが37mmの機関砲は4門も装備しているという。こんな重武装の船が領海侵犯してきたのだ。
しかも昨年2015年の領海侵犯件数は(12/17までで)33件になっているという。2012年(H24)9月の尖閣国有化以降、その領海侵犯は137件に上っていると言う。約3年半で137件の領海侵犯ということは、137÷3.5=39.1回/Yとなるので、年末までにまだまだ領海侵犯があったのではないのかな。

1年間で平均39回も尖閣諸島の日本領海を侵犯しているということは、毎月3回も中国公船が日本領海を犯していることになる。この中国の傍若無人ぶりに対して、日本は何もできないのである。しかも今回は重武装の軍艦を白く塗って「海警31239」としてデビューさせている。海上保安庁の巡視船の皆さんには誠に頭が下がる思いであるが、日本は自分の国さえ守れない制度的にみじめな国なのである。

だから中国もやりたい放題なのである。そのうちに尖閣諸島も「俺(おら)がもの」としてしまうのではないか、と気に掛かる。



尖閣諸島、今年の中国公船の領海侵犯33件 接続水域航行は233日
2015.12.17 17:44
 海上保安庁の佐藤雄二長官は17日の会見で、中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域への侵入状況を説明した。領海侵犯は今年に入り同日までに33件。政府が尖閣諸島を保有した平成24年9月以来、計137件に上った。領海外側にある接続水域での航行日数は同期間で233日だった。
 佐藤長官は「わが国の領土・領海を断固として守り抜くとの方針のもと、関係機関と緊密に連携し冷静かつ毅然(きぜん)と対処していく」と話した。
http://www.sankei.com/politics/news/151217/plt1512170042-n1.html


海上保安庁のホームページによると、中国公船による尖閣諸島海域の日本領海侵犯の隻数(日あたり)は、次のようになっている。
尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処、http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/senkaku/senkaku.html による。)

2012/9~12 68 2012/9/11に尖閣諸島の魚釣島・北小島・南小島を、国が購入している。
2013/1~12 188
2014/1~12 88
2015/1~12 95
2016/1~2  13

・尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配している。中国による一方的な現状変更の試みには、関係省庁が一体となって、我が国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意で毅然かつ冷静に対処している。(同上HPより)

この領海侵犯の隻数に対してその倍の隻数が、日本の接続水域内に入域している事にも注意する必要がある。

先に示した元軍艦だった公船を中心に大挙して日本の南西諸島に攻め込んで来たら、日本はひとたまりもなく中国に占領されてしまうであろう。

皆さんは「そんなことは夢物語だ」などと笑うかもしれないが、決して考えられないことではないのである、と構えておく必要がある。そのように笑うのであれば、是非とも「China 2049」(THE HUNDRED-YEAR MARATHON China's Secret Strategy to Replace America as The Global Superpower,2160円)を読んで頂きたいものだ。

そして2016.2.11の当ブログのNO.54で紹介している中国人民解放軍の孫建国副参謀総長の見解をもう一度熟読する必要がある。

彼は、「断固として尖閣諸島は中国のものにするぞ。そのために、「公船を断固として釣魚島から12海里以内の海域に派遣し、権利維持のためのパトロールを常態化させた」、「東シナ海に初めて防空識別圏を設けた」 と主張しているのである。この事実を、我々は努々(ゆめゆめ)忘れてはならない事なのだ。中国は「己の欲するところのもの」は何が何でも手に入れる、と言う習性を持ち合わせている。いわゆるまさしく「ならず者国家」なのである。しかも少しは知恵が回るときているから、性質が悪い。

お人よしの日本人などは、コロッと騙されてしまう。次に小川和久氏の述べていることも、字面通りには受け入れることはできない、と判断しておいた方が正解ではないのかな。そう言っておいて頃合いを見て、エイヤッとばかりに油断したすきに攻め込んでこないとも限らないのだ。

(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(82)

2016-03-22 00:00:00 | Weblog

しかした中国は米国の権威ある外交誌「フォーリン・ポリシー」にまで入り込み、「日本固有の尖閣諸島の米軍による防衛は米国の国益に叶わない」などと言うプロパガンダを流している。しかも今年の1月15日号に掲載されたと言う直近の出来事なのである。

中国共産党には確かな修正能力がある。だから間違いが判れば、すぐにでも修正してくるのである。だから怖いのである。南シナ海問題で四面楚歌でも、米国の世論まで共産党の味方に引き入れようと画策しているのである。だから100年マラソンなのである。




【湯浅博の世界読解】尖閣衝突「5日で日本敗北」 衝撃シナリオの裏に中国のプロパガンダ
2016.2.10 12:17

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日中衝突で「日本は5日間で敗北する」という衝撃のシミュレーションが、インターネット空間で飛び交っている。米外交誌「フォーリン・ポリシー」1月15日号に掲載された仮想シナリオの紹介記事である。特に国防総省に近いランド研究所が実施したとの触れ込みだから、その衝撃は余計に増幅された。

 原文にあたってみると、記事は2人の記者が連名で書いており、ランドが実施した詳細なシミュレーション報告ではない。本文も「ホワイトハウス地下の危機管理室ではなく、ランド研究所で専門家にたずねる形で行われた」と、ただし書きをつけている。

 5日間の初日は、日本人の右翼活動家が尖閣に上陸し、中国の海警に逮捕されるという前提ではじまる。2日目は、外交か警察案件のはずが、いきなり日本が護衛艦、戦闘機を派遣し、米国が駆逐艦や潜水艦をだして中国の軍艦とにらみ合う。

 3日目は、中国のフリゲート艦が射程内に入った空自機を機関砲で攻撃。交戦状態になって、海自艦2隻が撃沈される。4日目5日目は中国がサイバー攻撃で日米の送電や証券取引システムを破壊する。米国は潜水艦と航空機を増派して、海自艦隊の撤退を支援した。かくて尖閣は中国が確保して終わる。

 一読して、現実離れしていることに気づくはずである。活動家は日本の巡視船に阻まれるし、上陸できても中国側でなく日本側に逮捕される。2日目に米艦船が現場に出現した時点で、中国艦船は矛を収めざるを得ないだろう。交戦状態になっても、米軍や海自潜水艦の威力が過小評価され、米国が都市機能マヒに追い込まれて、報復に出ないことなど考えられない。

 2人の記者から取材を受けたのは、確かにランド研究所のシュラパク氏で、文字通り戦争ゲームのプロだ。元来、ランドのシミュレーションは、政府関係者を招いて行われ、綿密な研究分析の上に、多様な動きを検討し、独自の裁定を下すのが通例だ。ところが、記事にはそうした周到さはみられない。

 この記事に対する日本国内の反応にランドは、あくまで記者たちと東シナ海で考えられる可能性を短時間、議論したもので、ランドの公式シミュレーションではないことを強調している。

 なぜいま、シュラパク氏が絡んで記者2人が、米国の「巻き込まれ脅威論」のシナリオを発表したのだろうか。結果として、「米国が小さな無人島に関与して中国との紛争に巻き込まれ、米国の国益を損なう」という中国のプロパガンダに沿ったものになっている。

 最近、中国の対外宣伝は米欧紙への寄稿やシンクタンクを活用して、ソフトに語りかける手を使う。とかく世論は、目立った主張や甘いささやきに幻惑されがちだからである。この記事に効用があるとすれば、日本の安保法制に穴はないかを確認し、日米同盟の紐帯(ちゅうたい)を確認するよう促したことだろうか。

 外交誌の公表から12日後、米太平洋軍のハリス司令官が講演で、尖閣防衛について「中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と述べて、クギを刺したのは妥当であった。

 しかもここ数年、ワシントンで発表されるアジアの戦略報告書の主流は「中国の軍事的台頭にどう対処すべきか」であることを銘記すべきだろう。(東京特派員)
http://www.sankei.com/column/news/160210/clm1602100008-n1.html


しかし間違えればしっかりと修正して、中国共産党政権は100年マラソンを遂行してくるのである。日本としてはこの中国の確固たる侵略計画(100年マラソン)に対して、早急に、しかも具体的に対策を講じてゆかなければならないのである、ただいたずらに平和の世がよいなどと能天気なことを言っていないで、具体的な対策を講じなければならないのである。

現在日本は自分の国でさえも自分で守ること出来ない国に成り下がってしまっているのである。

あらゆる機会を使って言っていることであるが、日本は一刻も早く、核武装を含む自国を守る体制を作ることが必要である、いくらハリス米太平洋司令官が尖閣は守ると言っても。

さもないとこの中国の100年マラソンに、日本は完全に負けてしまう。

負けてしまうということは、日本が中国の属国になってしまうということである。今のチベットやウィグルと同じ状況になってしまうということなのである。否、それよりもひどい隷属国家にされてしまう、という方が正確であろう。




「中国が尖閣諸島を攻撃すれば日本を防衛」 ハリス米太平洋軍司令官
2016.1.28 10:36
ハリス米太平洋軍司令官

 【ワシントン=青木伸行】米太平洋軍のハリス司令官は(2016.1)27日、ワシントンで講演し、中国公船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺の日本領海への侵入を繰り返していることについて、「(日本が)中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と言明した。

 ハリス氏は尖閣諸島の主権問題について「米国は特定の立場を取らない」と、従来の米政府の見解を改めて示しつつ、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であり、日本を防衛するとの立場を強調した。

 また、中国が滑走路を建設するなど、着々と整備が進められている南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島のうち、ファイアリークロス(同・永暑)礁について、「明らかに軍事拠点化しているか、軍事支援をできるように整備されている」と述べ、中国に対する強い警戒感を示した。
http://www.sankei.com/world/news/160128/wor1601280034-n1.html


中国は深く静かに、尖閣諸島攻略への準備を進めている。この状況をゆめゆめ放置してはならないのである。あらゆる手立てで対策することが、喫緊の課題なのである。


【尖閣】中国が尖閣諸島周辺で「静かにプレゼンス増強」 米議会諮問機関が年次報告書で警告…巡視・偵察活発化
2015.11.18 11:12

 【ワシントン=青木伸行】米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は(2015.11.)17日、年次報告書を公表し、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域で「軍事、民間の両面でプレゼンス(存在)を静かに増強し続けている」と警鐘を鳴らした。

 具体的には、尖閣諸島周辺で公船による巡視活動や、空軍の航空機による偵察活動などを活発化させていることや、東シナ海の日中中間線付近でガス田掘削施設を建造していることなどを指摘した。

 中国が人工島を建設している南シナ海に関しては、「米中両軍による危険な衝突が起こる可能性が最も高い場所だ」と表明。フィリピンやベトナムが中国と武力衝突すれば、米国も関与を余儀なくされるとした。

 さらに、米政府は人工島の軍事拠点化を中止するよう圧力をかけているが「効果をもたらしていない」と、批判的見解を示した。

 中国による米政府と企業へのサイバー攻撃に関しては、「今後も激化するとみられる」との見通しを表明。攻撃を受けた企業が米国内法に基づき、窃取された情報をハッキングにより取り戻し、消去するなどの対抗策を取り得るか、検討するよう議会に勧告した。 一方、中国が開発を進める衛星攻撃兵器(ASAT)が実戦配備されれば「米人工衛星をあらゆる軌道上で脅かす」と警告。長射程の新型対艦巡航ミサイルの存在も、「米国が築いてきたアジア太平洋地域の安定を脅かす」とした。
http://www.sankei.com/world/news/151118/wor1511180019-n1.html
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(81)

2016-03-21 00:00:00 | Weblog

第9段階 汚染者を突き止め、恥じ入らせる

アメリカとヨーロッパは協力して、温室効果ガスの排出量を年間6000万トン削減しているが、中国はその排出量を毎年5億トン以上増やしている。・・・・・北京と中国の他の都市の大気汚染は世界保健機関が安全とみなすレベルの40倍に達した。しかし、それでさえ、中国に環境状態を変えようという気を起こさなかった。中国政府は、環境に配慮しながら持続可能な成長を目指すことを求める国際協定には、一切従おうとしない。・・・・・アメリカはこれまでの政権よりさらに強硬な態度で、中国に環境に責任を持って行動することを求めるだけでなく、強く主張しなければならない。・・・・
そうしなければ、やがてとゅうごくは経済競争で優位に立ち、・・・・・猛スピードで生産物と汚染物質を輸出するようになるだろう。

ナポレオンは「敵が間違いを犯している時は、邪魔するな。」との言葉を残している。中国本土が環境破壊で汚染されていく限り、それを防ぐ必要はない。ただその汚染が他国を汚染する場合には、世界は中国に対して猛烈に抗議する必要がある。

第10段階 汚職と検閲を暴露する

中国政府が非常に恐れていることの一つは、出版の自由だ。中国政府は、白日のものにさらすことが悪事の消毒薬であることを知っており、国民が、中国の指導者たちの腐敗や暴虐な行い、アメリカとその民主主義の同盟国について嘘をついてきたことを知れば、何をするかわからないと恐れている。だがどういうわけかアメリカは、中国政府の国民に対する検閲と宣伝工作を野放しにしている。
中国の主な報道機関は国有である。したがって、腐敗を叫ぶ役割は、往々にして中国に駐在する外国人記者がになうことになる。西側メディアはたいていその任をうまくこなしてきた。・・・・・
しかし、中国政府は様々な手段を使って、それらの情報が国民に届くのを妨げた。・・・・・
中国で営業しようとするインターネットサービスのプロバイダーや、ソーシャルメディアの会社は、中国政府の検閲に協力するか、あるいはウェブサイトを遮断されて中国市場から締め出されるか、という選択を迫られる。

アメリカは冷戦時代に勝利した経験を持っている。中国の百年マラソンの競争に対しても、もっともっと積極的に関与できるはずなので、次の大統領に期待したい。

第11段階 民主化寄りの改革をサポートする

・・・・・しかし、冷戦から得た教訓として、アメリカが心に留めておくべきは、中国国内の、民主的で文明化された社会集団を支援することの大切さである。中国が新しい冷戦について語るときに懸念するのは、思想の力を利用してソビエト連邦を内部から打ち崩していった、冷戦時代の戦略をアメリカが再現することである。・・・・・実際には、アメリカや西側諸国は、そのような中国の共産党支配を終わらせようとする共同作戦などは行っておらず、中国の民主主義化を支援するためのアメリカの歳出は、年間5000万ドルに満たない。実のところ、アメリカ政府は中国に市民社会を誕生させようとする計画をいくつか持っているが、いずれも資金不足で規模が小さく、また、CIAがかかわっているわけでもない。

アメリカは先にも触れたように中国に(隠れて)数々の援助を行っているが、まずそれらを白日の基に晒して、速やかに止めるべきである。そしてそこで浮いた資金で、中国国内の民主的な活動をしている集団を支援すべきなのである。

第12段階 中国のタカ派と改革派(修正主義者)の議論を監視し支配する

中国は、アメリカに対する冷戦戦略を推し進めているため、アメリカ政府の様々な派閥、すなわち中国政府の支持者、懐疑的な人、操りやすい人、マラソン戦略を知っている人を注意深く監視している。アメリカは、この点において過去にはうまくやっていた。連戦時代、アメリカはソ連共産党政治局のさまざまなメンバー、つまりアメリカとの協調を主張する人、アメリカを追い越すべき危険なライバルとみなす人の活動を監視するために、時間と技術と人員を注ぎ込んだ。しかし、中国に対して、アメリカはかなり後れを取っている。
中国政府は繊細な国内問題に関する、様々な立場の人を理解することが極めて重要である。マラソン戦略が急速に進んでいるとはいえ、中国政府は一枚板ではない。タカ派が多数派なのは確かだが、周辺には今なお、改革や自由化を純粋に擁護する人もいて、彼らは中国がアメリカ風のモデルに近付くことを望んでいる。そういう人がいるのだから、それが誰であるかを突きとめ、支援しなければならない。


マラソンが始まっていたことを認めるのは、おそらく最も難しいことだが、最も重要なことでもある。アメリカはそれを認めることができずに、中国が2049年までにアメリカを凌駕するだけでなく、経済規模が2倍から3倍になるという長期的シナリオから目を背けるかもしれない。そうなれば、中国は戦わずして勝利を収めることになるだろう。
・・・・・・・・・・・・とこの「Chaina 2049」は結んで、終わっている。

旧ソ連の崩壊は国内経済・財政を無視した軍事投資が原因である。」と森本敏氏はこの本の巻末の解説で述べている。中国は今景気後退期に突入しているのであり、且つ、中進国の罠にはまっている可能性が高いのであるから、このまま、景気減速局面を続けさせる必要がある。景気減速が長引けば、100年マラソンのスピードもかなり落ちることになる。

アジア回帰を進めるアメリカと、日・豪・印・韓・比、さらには越なども仲間に入れて、同盟諸国やパートナー国が緊密にタッグを組み、経済と安全保障の協力体制を進めて、半ば中国包囲網を形成するわけではないが中国にそのように思わせる体制を固めてゆけば、中国は軍事予算を削減できずにソ連の二の舞を演じることにはならないのか、と推測できる。

さしあたって、環太平洋戦略的経済連携協定Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement、TPP)などは、そのための格好な道具となる可能性を秘めているものと考えられる。
TPP協定は、2016.2.4にニュージーランドのオークランドで、参加12か国の署名式が行われたばかりであり、現在は協定発効に向けて国内手続きが進められているところであるので、まだ海のものとも山のものともわからない状況ではあるが、100年マラソンに対抗していくための、使いようによってはかなり役に立つものとなろう。

今中国は外交的にも誤算続きで焦っている時なので、そっとしておく必要がある。もちろん何もしないということではなく、さらなる間違いを犯すように動くことであろう。

ナポレオンも言っているように、「敵が間違いを犯している時は、邪魔するな。」である。



南シナ海・米・朝鮮半島…中国外交、誤算続き
2016年03月09日 08時33分
 【北京=竹腰雅彦】中国の王毅(ワンイー)外相は8日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に合わせて記者会見し、「中国は特色のある大国外交の道を歩んでおり、新しいタイプの国際関係の構築を目指す」と述べて、中国主導の新たな国際秩序形成に意欲を示した。

 だが、習近平(シージンピン)政権の対外政策は「失敗と誤算続き」(外交筋)が実情で、仕切り直しを迫られている。

 「三年有成(3年にして成果あり)」――。王氏は会見で「論語」の記述を引用し、習政権の大国外交を評価した。だが、実際の対外環境は「南シナ海、対米、朝鮮半島の三方面で揺さぶりを受けている」(複数の中国筋)のが現状だ。

 王氏は、中国が南シナ海で進めている軍事拠点化について、「自衛権の行使に過ぎない」と改めて正当化した。だが、習国家主席は昨年の訪米で「軍事拠点化の意図はない」と発言しており、関係国から「言行不一致」を追及される事態となっている。その発言は「軍内で不満が出るなど内部でも一時的に問題化した」(中国筋)とされる。
2016年03月09日 08時33分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

http://www.yomiuri.co.jp/world/20160309-OYT1T50009.html
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(80)

2016-03-18 00:00:00 | Weblog

中国のマラソン戦略が首尾よく進行するためには、日本と言う国が邪魔で仕方がないようだ。その証拠に、日本固有の領土である尖閣諸島近海へ常時海洋監視船を派遣してきている。そして2013.11.23には、東シナ海に防衛識別圏(ADIZ)を設定したのだ。しかしながらアメリカが派遣した2機のB52戦略爆撃機に、その防衛識別圏内を自由に飛び回られてしまった。この防衛識別圏は、張子の虎であった。これに懲りた中国は、南シナ海だけでもと、サンゴ礁を埋め立ててレーダー基地を作り戦闘機まで常駐させ始めた。そして日本の国力を弱めるために、日本を悪者に仕立てるために、日本をはじめアジア全域に捏造話を流し始めた。「日本のタカ派は密かに1930年代の軍国主義を復活させようとしている。それを看破し、タカ派を政治的に無力にしなければならない」と言うものだ。(China 2049、P311)

そして日本もそれなりの手を打っている。

2013年、ますます横暴になっている中国に対抗するために、アメリカと日本は安保体制の強化に合意した。「アメリカは今後も環太平洋地域で重要な国でり続ける」と言う決意を表明するためだ。この合意により、米海軍の偵察機が日本に送られ、尖閣諸島一帯をパトロールすることになった。・・・・・アメリカは尖閣諸島をめぐる論争でどちらかに味方することを拒んでいるが、日米安全保障条約は日本が攻撃された場合、その防衛に協力することを誓っており、それが尖閣諸島にも適応されることをオバマ政権は保障する、とヘーゲル国防長官は明言した。(China 2049、P313)


そしてここでは、我々がやってはいけないこと又はやってゆかなければならないことを、3つ挙げている。

(1) 我々が最もやってはいけないことは、「中国を過大評価することだ。中国を過大評価すると、中国はうぬぼれて何をしでかすかわからなくなる恐れがある」ということである。まあそんなことだけではなくて、過大評価がその対応を間違えてしまって取り返しがつかないことになってしまうことを恐れる、と言うことであろう。

(2) 特に安倍晋三首相の補佐官たちに強調したいのは、中国で書かれた中国語の生の資料をもっと入手し、それらを読み込むべきだ、彼らが何をどのように考えているかを知るべきである。

(3) 中国内のタカ派かハト派を見分けることは極めて難しいが、ハト派であり中国国内の改革派支援していくことだ。中国共産党は失敗に学ぶ力を持っているので、持続性がある。しかし中国内には改革派は必ずいるので、よく見極めて彼らを支援して、その共産党の持続性を弱めてゆくことが必須である。


さてそろそろこのテーマも終盤に近付いてきた。

M.ビルズベリー氏の第3回インタビューの末尾で言及している、日本にも参考になると言う米国が取るべき12の方針を紹介して、このブログを終えよう。

アメリカは嘗ての冷戦時代には、数々の計画や戦術を駆使して、冷戦に勝利している。ソ連邦が崩壊して、ロシアは丸裸にされた。同じ方法で、アメリカは中国の桁外れ野望を打ち砕くことが出来るであろう。そのための一案は言うまでもなく、政策立案者が中国古来の知恵と戦略を学び、中国が何をしてきたかを知ることだ、とM.ピルスベリー氏は言っている。そして米国がとるべき12の方針を述べている。



第1段階 問題を認識する

北京の指導者がアメリカに見せたい中国は、真の中国ではない。アメリカの政治や世論をリードする人々は、中国人から送られる「メッセージ」と、根底にある事実を見分ける必要がある。

中国の経済が成長すれば、中国は欧米諸国のように開けた国になる、と言う中国政府の繰り返す主張を信ずるべきではなかった。
そうでないとアメリカは、中国のマラソンに負ける。


第2段階 己の才能を知る

毎年、アメリカは税金のかなり額が、中国の発展を支援するために使われている。この支援はほとんどは、目立たないように遂行されているため、メディアや国民は気付いていない。意図的にそうしているからだ。・・・・・
マラソンで中国に対抗するには、中国を支援する機関や省のすべてに、毎年の報告義務を負わせるべきだ。

そうすれば中国に批判的な人々に明確な理論武装を与えることが出来る。

まあなんと生ぬるいことを言っていることだと、小生には思えるのだが、自由な国アメリカなので言うに言われぬ理由が必要なのであろう。


第3段階 競争力を測定する

競争で前を走るものを抜くには、自分がなぜ後れを取ったかを知る必要がある。毎年、中国はアメリカとの比較における自国の競争力を分析している。なぜ、アメリカも同じことをしないのだろうか。 ・・・・・一方、中国は、政府が製造業と工業に多額の資金投入をするなどの理由から、トップに居続けるという予測が、詳しく書かれている。

第4段階 競争戦略を考え出す

戦国の戦略ではしばしば、指揮官がどのように「修正」を受け入れて、気宇層相手より迅速に力を増していくかが語られる。重要なのは、戦略を変えるべき時を見極め、望む結果を売るために新たな戦略を断行する柔軟さである。・・・・・中国の技術力の進歩を、1957年にソ連が打ち上げたスプートニク人工衛星と比較した。スプートニクは、アメリカの技術的優位と軍事的優位への挑戦とみなされたが、それかアメリカの工学と科学教育への投資と、民間セクターの革新を促したことに、ヒューズは注目した。

そうだ、遅れていたアメリカだったが、宇宙競争ではその遅れを挽回してソ連を打ち負かした実績を持っている。中国に対しても、やればできないことはない。

第5段階 国内で共通性を見出す

戦国時代のリーダーたちは、同盟国と親密な関係を結び、共通の目的のもと、絶え間なく変わる協力体制を作り上げた。昔も今も分裂は危険である。・・・北京の中国人学者は、自国の対中政策を批判するアメリカ人は政治的見解の相違から分裂し、決して互いに協力しようとしないということを、嬉々としてわたしに語ってきた。・・・・・中国を変えていくために、アメリカ人は垣根を超えて大々的に手を結ぶべきだ。

第6段階 国家の縦の協力体制を作り上げる

中国が南シナ海に関する要求を拡大し、フィリピンの漁船を脅かし、ベトナムの地震石油探査船が施設中のケーブルを切断し、さらに、最近になって東シナ海に防空識別圏を設定したのには理由がある。その一帯の豊富な天然資源を狙う中国は、近隣諸国が団結して中国の野望を妨害しないよう威嚇しているのだ。・・・・・中国もまた、近隣諸国がそのような同盟を結ぶことを恐れている。アメリカはまさにそれを、モンゴル、韓国、日本、フィリピンなどの国々と進めるべきだ。

第7段階 政治的反体制派を守る

ソ連を崩壊に導いたのは、ソ連や東欧の反体制主義者で、彼らは検閲や宣伝工作、宗教迫害、経済的奴隷化が永遠に続く未来を拒み、戦った。・・・・・彼らは、勇気と情熱、信念を武器として、ソビエト連邦と鉄のカーテンを崩壊させた。しかし彼らは自分たちだけでそれを成し遂げたわけではない。トルーマンからレーガンへと続く大統領たちが、彼らを擁護したのだ。
・・・・・
下院議員のナンシー・ペロシやジョージ・W・ブッシュ大統領は・・・彼らを支持した。だが、残念ながらオバマ大統領は支援を求めるフーの嘆願に沈黙で答えたそうだ。オバマ大統領は、中国の人権問題を中国政府が気にかけている貿易関係などの問題と結びつけようとしなかった。オバマ政権は、2009年4月に胡錦濤国家主席と開催した「戦略経済対話」に人権を盛り込むことさえしなかったのだ。

そうだ、オバマ大統領は、まさしく史上最大のおバカ大統領だったのだ。

第8段階 対米競争的行為に立ち向かう

中国はアメリカに対するサイバースパイの主たる発信源だ。ある推定によると、アメリカに対するサイバースパイ事件の90%以上が、中国を発信元としている。中国ハッカーは、頻繁にアメリカの企業や政府機関に侵入する。・・・・・知的所有権の窃盗はアメリカ経済に毎年3000億ドル以上の損害を与えているそうだ。
・・・・・
機密技術や軍事機密、知的財産権の窃盗に関するウルフの強い懸念は非常に重要なものだ。もしアメリカが100年マラソンで中国と張り合うつもりなら、ウルフの提案を復活させ、さらに発展させる方法を見出す必要があるだろう。

日本もこの中国のサイバー攻撃に対しては、もっともっと金と人でをかけて、防御すべきである。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(79)

2016-03-17 00:30:00 | Weblog

「新興国は時の覇権国を刺激してはいけない」という方針を今回も徹底

外交面においても人民解放軍のGeneral Political Departmentが力を持っているということですか。

ピルズベリー:今回、習近平氏や中国代表団とオバマ大統領が一緒に撮影した記念写真には、将校は一人も写っていない。しかし、彼らこそが今回の訪米における外交方針を決めるのに重要な役割を果たしている。

 軍部は習近平氏に、私が著書『China 2049』でも書いた「100年マラソン戦略」に基づいた助言をし、習近平氏はその通り行動した。この連載の第2回でも触れたが、100年マラソンで最も重要なのは、「新興国は時の覇権国を刺激してはいけない」ということだ。だから中国は、衝突することが確実な安全保障に関する問題の議論はことごとく避け、とにかく「危険な国の指導者だ」との印象を与えないよう腐心したわけだ。

 習近平氏は最初に訪問したシアトルでのスピーチで、米国式の心温まる言葉を並べ、「私は、若かった頃には、アレキサンダー・ハミルトン*1の『ザ・フェデラリスト』*2やトーマス・ペインの『コモン・センス』を読みました」などと語った。こんな話を聞けば米国人は、少なからず習近平氏に好感を抱くだろう。

*1 政治家であり、憲法思想家であり、アメリカ合衆国の建国の父の1人とされる。

*2 アメリカ合衆国憲法の批准を推進するために書かれた85編からなる論文で、「比類のなき憲法の解説で、米国人によって書かれた政治学の古典」とされ、ハミルトンはこの論文の3分の2を書いたとされる

中国や習近平氏にとって今回の訪米は、大成功だった…

ピルズベリー:中国では大成功と受け止められているようだ。北京に送られた今回の習近平氏訪米に関する報道をいくつか見たが、どれも彼を強い指導者であると書いていた。中国では今回の訪米で、米国から大きな圧力をかけられ、様々な譲歩を迫られるのではないかとの懸念もあったようだ。それだけに、習近平氏が一歩も譲歩しなかったことが高く評価されている。ホワイトハウスで米国の指導者と一歩も引かず対等にわたりあった強い指導者である、と。
すると、習近平氏は反腐敗運動を追求しすぎて政敵が増え、権力基盤が盤石ではないのではないかといった見方が一部で浮上していますが、そんなことはない?

ピルズベリー:中国における彼の人気は高い。今回の訪米成功で、その人気と、指導者としての評価はさらに高まっているように思う。私は彼の権力基盤は盤石だと見ている。

中国の成長率を見るときは西側諸国とまず比較すべき

しかし、中国は6月以降、株の暴落に見舞われています。8月の元の切り下げ以降はさらなる株価暴落に直面し、政府による必死のてこ入れ策も効果が出ない。経済の減速も深刻です。一部に、この経済のつまずきで、中国は弱体化が進むのではないかとの見方も浮上しています。

ピルズベリー:経済成長率が7%に鈍化した、あるいは7%の達成も危ういといって多くの人が騒ぐが、昨年の米国のGDP(国内総生産)は2.4%、日本に至っては1%にも満たない。世界第2位の経済大国である中国の成長率が仮に6%にとどまっても日本の6倍のスピードで成長している。

 中国自身も、かつての2ケタ成長から、1ケタの持続的な成長を目指す「新状態(ニューノーマル)」の時代を迎えたと言っている。彼らは間違いから学習することを知っており、政策運営でも着実に力をつけてきている。先進国は何かというと中国の問題を深刻に捉えようとしたがるが、まず自分たちの国の成長率と比べてどうなのか、という点にもっと目を向けるべきだ。

 私は、西側諸国の関心が中国経済ばかりに集中し、中国が軍事支出を拡大し続けていることへの注意がそれで削がれてしまうことの方が問題だと思う。

中国を過大評価することが最も危険

今回の習近平の訪米でも、米国企業はIT(情報技術)系を中心に、中国に熱い秋波を送っていました。経済的な存在感のみならず、軍事的にも脅威を増す中国と、日本はどのように向き合っていけばいいのでしょうか

ピルズベリー:詳しくは本を読んでほしいが、日本を含め私たちがなすべきことをここでは3つ紹介したい

 まず最もやってはいけないのは、中国を「過大評価する」こと。米国防次官補で、国際政治学者として知られるハーバード大学のジョセフ・ナイ氏も「我々の最大の危険は、中国を過大評価し、中国に自ら過大評価させ、うぬぼれさせることだ」と指摘している。

 私はさらにナポレオン・ボナパルトの有名な言葉を忘れてはいけないと考えている。「敵が間違いを犯している時は、邪魔するな」だ。長い目で見れば、中国が傲慢で攻撃的な態度で近隣諸国を挑発し、同様のスタンスの国々と連携していることは国際社会に多くの敵をつくることになり、私から言わせれば、結果的に米国を手助けしていることになる。尖閣諸島の領海侵犯を何度も犯せば、それだけ日本を怒らせることになる。それは決して中国のためにはならないからだ。

安倍政権はもっと中国語で生の情報を読み込べきだ

 第2は、日本も私のように「中国語の生の資料を読んでいる」という人材を早急にもっと増やすべきだ。特に安倍晋三首相の補佐官たちに強調したいのは、中国で書かれた中国語の生の資料をもっと入手し、それらを読み込むべきだ、ということ。生の資料とは、本連載の第2回で触れた中国でベストセラーになった『中国の夢』や『戦略学(2013年版)』や『Study of US Strategies』といった中国政府の内部資料のことだ。

左:中国の軍事科学院が出した「戦略学」
右:米国の軍事戦略を分析している

  『中国の夢』は英訳されているが、全体の一部にすぎず、原書を中国語で読まないと真意はつかめない。『Study of US Strategies』はそのタイトルが示す通り、内容は中国による米国の軍事戦略の分析で、幸いなことに英語で書かれている。中国は同様に日本の軍事戦略も研究し、日本版もつくっているので、日本政府は読むべきだろう。
まず彼らの考えていることを知ることが大事だということですね。

ピルズベリー:その通りだ。

 第3のポイントは、中国国内の改革派を支援していくことだ。ただし、タカ派かハト派を見分けることは極めて難しいことを覚悟しなければならない。

 天安門事件後、中国共産党の改革派の指導者だった趙紫陽が終生の自宅軟禁に置かれた。その20年後、コロンビア大学の政治学者アンドリュー・ネイサン氏が、秘密裏に趙氏の回想録を入手し、出版した。その回想録には、当時私たちが知らなかった圧倒的な不利な状況の中で、彼がいかに強硬派に立ち向かい、真の改革を実現しようと苦闘したかが書かれている。

 当時、私を含め当時の政権の多くの中国関係者は、趙紫陽の軟禁は改革の一時的な後退にすぎないと楽観的に見過ぎていた。今も強く悔やまれる出来事だ。同じ過ちを繰り返してはならない。
最後に中国共産党による一党独裁は今後も続くとみていらっしゃるか、その点をお聞かせください。

ピルズベリー:よく聞かれる質問だ。私は以前も話したが、中国共産党には間違いを犯したら「学ぶ」力がある。だから私は、中国共産党には持続性があると思うし、今後も一党独裁が続くとみている。

https://www.youtube.com/watch?v=97_SEQmJPfA

キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/100100063/?P=1
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(78)

2016-03-16 00:00:00 | Weblog

マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏
1945年米カリフォルニア生まれ。米スタンフォード大学卒業(専攻は歴史学)後、米コロンビア大学にて博士課程を修了。1969~70年国連本部勤務を経て、73~77年ランド研究所社会科学部門アナリスト、78年ハーバード大学科学・国際問題センターのリサーチフェロー、81年国務省軍備管理軍縮庁のディレクター代行、84年国防総省政策企画局長補佐、86~90年議会上院アフガン問題タスクフォース・コーディネーター、92~93年国防総省総合評価局特別補佐官、98~2000年国防総省特別公務員(米国国防科学委員会)、1997~2000年米国防大学客員研究フェロー、2001~2003年国防総省政策諮問グループメンバー、2003~2004年米中経済・安全保障検討委員会シニア調査アドバイザー、2004年以降、現在も国防総省顧問を続けながら、ハドソン研究所中国戦略センター所長も務める。米外交問題評議会と米シンクタンクの国際戦略研究所(CSIS)のメンバーでもある。米ワシントン在住。
著書に『Chinese Views of Future Warfare』『China Debates the Future Security Environment』などがある。(写真:大高 和康、以下同)

中国のいう「和諧」とは、中国による「一極支配」のことであり、「中国の夢」とは、世界で唯一の超大国、つまり経済的、軍事的、文化的に無敵になると言うことである。
これは断じて、私たちが心待ちにする未来などではない、と結んでいる。



第4回 習近平vsオバマ会談は中国の圧勝だった
中国の大国への野望を明らかにした『China 2049』のピルズベリー氏に聞く

2015年10月2日(金)石黒 千賀子

 経済面でも、軍事面でも着実に力をつけ新たな大国として浮上する中国――。世界中の国々と企業は巨大市場を有する中国との関係強化に腐心しているが、その一方で、南沙諸島で大規模な埋め立て工事を続け、軍事施設まで建設する中国の姿勢に脅威と警戒感を感じずにはいられずにいる――。

『China 2049』

 米政府の対中政策に長年かかわってきたマイケル・ピルズベリー氏は、近著『China 2049』の中で、中国には「100年マラソン」と呼ばれる世界の覇権を再び握るための野望があり、硬軟交えた一連の行動もその長期戦略の一環と説明した。しかし、同時に「中国を過大評価してはいけない」とも指摘する。

 最終回となる今回は、このほど米国を初めて公式訪問した習近平国家主席とオバマ大統領との首脳会談をどう見るか、そしてその中国とどう向き合っていけばいいのかを聞いた。

 なお、今回も記事の末尾にピルズベリー氏へのインタビューを一部収録した動画を掲載しているので、併せてご覧下さい。

 第1回はこちら
 第2回はこちら
 第3回はこちら
(聞き手 石黒 千賀子)



先週の金曜日、(2015年)9月25日にワシントンで習近平国家主席とオバマ大統領の首脳会談が行われました。どうご覧になりましたか。

ピルズベリー:中国にとっては成功、米国が得たものはゼロだった。中国は首脳会談前から指摘されていた南シナ海東シナ海の問題、あるいはサイバー攻撃問題などについて、何かを確約するということをうまく逃れた

 ビジネス面を見ても、米中2国間投資協定の締結には至らなかった。首脳会談で最終合意できるようこの数カ月、両国間で相当な努力がなされていた。だが、この投資協定は中国政府が中国国有企業を優遇することを禁じている。首脳会談でどんな話があったのかは明かされないので理由は分からないが、中国は投資協定においても譲歩しなかったということだ。

合意文書が一つもないという首脳会談

しかし、サイバー攻撃の問題については、今後、閣僚級の協議を新たに設置することで合意したと報道されています。

ピルズベリー:いつかね。

いや、年内にも初会合が開かれる、という報道を目にしました。

ピルズベリー:いつ開始するかといった具体的な時期は決まっていない。今回の首脳会談の特徴は、文書での合意は何もないということだ。首脳会談後、ワシントンで随分沢山の記者と話したが、メディアも今週になって、その事実に気づき始めた。

 通常、2つの大国の首脳が会談すれば、複数の事項について何らかの最終合意にこぎ着け、両者が合意文書に署名し、それが会談後に発表されるものだ。だから記者たちは週が明けた今週の月曜日、ホワイトハウスに連絡して、サイバー攻撃の問題を扱う閣僚級協議新設など一連の合意事項に関する合意文書のコピーを欲しいと要請したが、ホワイトハウスは「渡せるような文書になったものは何もない」と回答している。それは、ホワイトハウスのウェブサイトを見てみれば明白だ。そこにはオバマ大統領と習近平国家主席の共同記者会見での発言しか上がっていない

合意文書が全くない?

ピルズベリー:そう、全くない。習近平氏はオバマ大統領と並んで共同記者会見を開くことさえ嫌がっていたと聞いている。だが、共同会見は中国側が譲歩して実現した。

 確かに、共同会見で彼らは「米中はサイバーセキュリティーについては協力していく」と語り、メディアの報道ではpromise(約束)とかpledge(誓約)という言葉が使われた。だが、それは飛躍というものだ。合意して署名に至った文書は一枚たりとも存在していない。

安全保障に関わるテーマはすべてはねつけた

 今回の首脳会談で何より顕著だったのは、中国側が次の5つの点について、徹底して自らの主張と立場を押し通した点だ。第1は、「両国はサイバー犯罪がこれ以上起きないように協力して戦うという重要な合意に達した」と習近平氏は会見でこそ述べたが、米国が昨年、米企業へのサイバー攻撃に関与したとして起訴した中国人民解放軍(PLA)の当局者5人の米国への引き渡しを拒否した。

 第2は、中国は過去に自国の人工衛星を撃ち落とすことに成功し、他国には脅威になっているが、宇宙における中国の衛星攻撃を禁じる話や中国が宇宙スペースで進めている軍事増強に関する議論について議論することも拒否した。

 第3に、米国が求めた軍事交流の拡大も、限られたものしか受け入れないとの姿勢を貫いた。

 第4に、台湾向けミサイル配備に関する議論も拒否した。中国は過去10年間で、台湾向けに1000発以上のミサイルを配備してきたが、直近でも毎年200発以上増強している。この話題についても議論を拒否した。

 第5に、冒頭でも話したが、南シナ海における埋め立て工事については、他国から一切の制約、制限は受けないと主張した。共同会見でも習主席は「南シナ海における島々は古来、中国の領土だった」と発言。これに対してオバマ大統領は、何のコメントも反応もしなかった。

 実は、首脳会談前に私は、かねてつきあいのある中国の軍部の将校から、中国がこうした反応をするであろうということを聞いていた。情報源は国防大学などで教えている将校クラスの学者たちだ。人民解放軍には、あまり知られていないがGeneral Political Department(総合政策部)と呼ばれるチームがある。タカ派の彼らは通常、どちらかというハト派の外交部の方針と衝突するものの、政策決定に強い影響力があり、今回の習近平氏の訪米を巡る中国側の方針を決める上でも重要な役割を果たしたと考えられる。

 彼らが出した方針とは、安全保障に関わるテーマは徹底してはねつける、というものだったという。
(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(77)

2016-03-15 00:00:00 | Weblog

米軍は自国の空母の弱点を中国に明かしていた

中国が「秘密裏に行った」というのがなおさら気になります。

ピルズベリー:秘密裏に、というのは各国に事前通告もしなければ、撃ち落とした意図についても一切説明をしていない、ということです。この気象衛星を撃ち落としたことについては話したいことがありますが、その前に米軍の由々しき事態をもう一つお話しましょう。



 中国軍の人たちが、米海軍との交流の一環で米空母を訪問した時のことです。その時、米軍側は「米国の空母はどれも4つの原子炉で動いていて、時速30ノッチと非常に速いスピードで進む。100機の飛行機を搭載できるので、どこへでも行けて、爆撃しようと思えばいかなる国、場所に対しても攻撃することができる」と説明しました。

 すると、空母内を案内されていた中国軍の将校が「素晴らしいですね。私たち中国軍には決してこんなものを造ることはできないでしょう」と言ったうえで、「ただ、もしこの空母にあえて弱点があるとすれば、何でしょうか」と聞いてきた。

 これに対し、米軍将校は「問題はあります。空母の側面は非常に厚みがあるので、いかなる攻撃にも耐えられるが、底が薄い。私たちの空母は、爆弾をすべて底に保管しています。空母には5000人近くの乗員がいるため、そのスタッフから少しでも距離を置くためです」と回答したというのです。

 その後、中国はロシアが「船跡追尾魚雷」という特殊な魚雷を造っていること突き止めたといいます。これは発射されると、空母が通った跡の波である船跡を感知して、その空母の下に入ってから上に向きを変え、攻撃するという魚雷です。

今の話が何年前のことだったのか分かりませんが、中国は旧ソ連製の空母を購入し、これを改修して2012年に「遼寧」と名付けて配備しただけでなく、同年、上海の造船所で国産空母の建造にも着手し、2020年までに就役させる計画といいます。軍事的脅威は高まるばかりです。

ピルズベリー:確かに米国でも中国軍に対する認識は変わりつつあります。特に今年、中国からの数度にわたる大規模なサイバー攻撃により一般米国民の間でも、警戒感が出てきています。

ハリウッド映画にまで影響を与え始めた中国

6月と7月米人事管理局(OPM)へのサイバー攻撃では、計2500万人の連邦政府職員(退職した職員も含む)の社会保障番号などの個人情報が盗まれたと報道されました。

ピルズベリー:私の情報も流出したということです。さて、先ほど中国が気象衛星を撃ち落とした件について話しておきたいことがあります。

 あの実験により、3000片を超える破片が発生し、それが今後何十年も低い軌道上を周回する、と言われています。2013年に公開された映画『ゼロ・グラビティ』をご覧になりましたか。あの映画では、ロシアが用済みになった衛星をミサイルで爆破し、そのために生じた大量の破片がジョージ・クルーニーらが演じる宇宙飛行士の乗ったスペースシャトルにぶつかったという設定になっています。おまけに、最後、サンドラ・ブロックが演じる女性宇宙飛行士は中国の無人宇宙ステーションに保管されていた補助燃料タンクを借りてなんとか地球に帰還するというストーリーになっていて、ロシアが「悪者」、中国が「英雄扱い」されています。

 しかし、ロシアが自国の衛星にミサイルを撃ち込んだことは過去、一度もありません。あの映画の脚本家たちは、宇宙で起きたことと起こり得ることをあえて歪めた、ということです。なぜか。世界一の人口を有する中国では、莫大な数の人が映画を観て、それがハリウッドの映画会社に巨利をもたらす。ビジネスならば当然なのかもしれませんが、こういうケースが蓄積していくことに懸念を覚えます。

米国のビジネス界では中国の市場の大きさゆえに、中国にマイナスになることを控える自主規制が働いているということでしょうか。しかし、こういう話が増える、あるいは今回のピルズベリーさんの本を多くの人が読めば、たとえそれがピルズベリーさんの意図ではないにせよ、反中の思いを深める人や反中国に転じる人はますます増えることになります。それは決して何かの解決に結びつくとは思えません。どうすればいいのでしょうか。

ピルズベリー:本に米国が取るべき12の方針を書きました。その多くは日本にも参考になります。それについては次回、お話しましょう。
(第4回に続く)

https://www.youtube.com/watch?v=97_SEQmJPfA

キーパーソンに聞

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/091800056/?P=1



中国の思うように進んだ時の2049年にはどんな時代となっているのであろうか。
第九章の「2049年の中国の世界秩序」には次のように記載されている。そこには10の危機が表現されている。

(1) 中国の価値観が、アメリカの価値観に代わって、世界に満ちていることになる。

(2) 中国はインターネットの検閲を全面的に実施している。
このことをスラングで「和諧」と言うらしい。検閲どころか偽情報まで世界に流している。そしてその仕組み(ハードとソフト)を世界各国に供給までしている。

(3) 中国は民主化に反対し続ける。独裁政権を援助し続けており、アフリカ諸国が格好の支援先だ。

(4) 中国はアメリカの敵と同盟を結ぶ。
中国は、アフガニスタンなどのタリバンや国際的なネットワークのアル・カーイダに各種の援助を与えている。2001年の9.11の一週間後にもタリバンとアル・カーイダに武器を供給していた。イラク戦争の時も、中国はサダム・フセインに光ファイバーシステムや防空ネットワークを提供していた。

(5) 中国は深刻な大気汚染を広め、世界の終末を早める。
このことを「エアポカリプス」(大気+終末の造語)と言っているようだが、中国の1990年~2050年のCO2の排出量は、およそ5,000億トンになり、産業革命から1970年までの全世界でのCO2排出量とほぼ同じ量となる。したがって2049年の世界は、文字通り”死の空気”の中に沈んでいることになる。

(6) 中国の成長戦略は深刻な水の汚染と枯渇を引き起こす。
中国の地下水の55%が飲用に適していないし、中国の河川の40%がひどく汚染されているという。このことを中国人は知らない。情報統制とネット検閲のせいで、正しい情報が行き渡っていない。

(7) 中国の工場付近にがん村の存在。
この数十年に中国でがんになった人の数は、他の国すべてでがんになった人より多い。中国での化石燃料、有毒化学物質、その他の汚染物質の使用も、想像できないほど巨大なのだ。しかも市民社会が存在せず、そのことに反対する人々もいない。

(8) 欺くものが勝つ。中国は世界最大規模の知的財産の窃盗犯となっている。
そして世界が遵守しているルールを何十年も無視し、独自のルールで行動している。中国は海外の技術を無理やり奪うのに加えて、競争の場を国有企業に有利なようにしている。

(9) 中国は、現在の国際的政治秩序を守ろうとはしていない。
中国が支配する世界では、健康・労働・通信・金融・治安・貿易などを話し合い現在の諸機関や仕組みは存続していない可能性がある。上海協力機構やAIIBなどは、中国流の世界支配の手段となろう。中国は、国連やWTO世界貿易機関までも、自己の支配下に置こうとしている。

(10) 中国は営利目的で兵器を量産する。
中国は弾道ミサイルをパキスタン、イラク、シリア、リビア、北朝鮮に移送し、核兵器の部品
をパキスタンやイランに売っていた。リビアには核爆発を起こす爆弾を作る中国語の手順
書がが見つかっている。しかも何年にもわたってパキスタンの核兵器科学者と協力してい
ることがそれらの書類で明らかになっている。

(続く)
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ならず者国家・中国、アレコレ!(76)

2016-03-14 00:00:00 | Weblog

中国が『自分たちを常に実力より低く見せて、注意深く動く』ことで、「米国に追いつけ、追い越せ」の戦略が最も成功したのが経済分野だと本で指摘されました。中国の経済戦略についてあらためてお聞かせください。

ピルズベリー:中国が米国に接近し始めた1969年時点で、中国の経済規模は米国の10分の1に過ぎませんでした。その中国が、今や経済規模では米国とほぼ肩を並べるまでに成長したというのは、ある意味奇跡とも言えるでしょう。

 では、中国はどうやって、ここまで成長できる経済システムを生み出したのでしょうか――。この点については、実は世界銀行が大いなる力を発揮しました。私は多くの世銀の極秘資料を持っており、中国がいかに世銀をうまく活用したかが、その資料を読むとよく分かります。

世銀が指南役となった?

ピルズベリー:そうです。1972年2月リチャード・ニクソン大統領による訪中後、75年ジェラルド・フォード大統領の訪中、77年ジミー・カーター大統領の訪中などを経て、78年12月、中国はついに米国との国交正常化にこぎ着けます。そして、この国交正常化とほぼ同時期に最高指導者*1に上り詰めた小平は、82年、83年と様々な改革に着手したものの、改革のスピードが十分でないことに危機感を強めていたようです。そこで彼が目をつけたのが世銀でした。

*1 1976年9月毛沢東死去

 1983年、当時、世銀の総裁だった米国人のA・W・クラウセンは中国を訪れ、小平に会いました。先ほどの世銀の資料に書いてありますが、この時、小平は「私たちは米国を超えたい。どうしたら実現できるか教えてほしい」「私たちを助けていただけますか」と発言しています。これに対し、クラウセンは「世銀のエコノミストチームが、20年先を見据えて中国の経済について研究し、どうすれば中国が米国に追いつけるか助言しましょう」と密かに約束しました。

 その時、世銀のスタッフは、「低い経済水準から先進国に追いつき、追い越した国が過去に一カ国だけある。その国は、国民一人当たりの所得が毎年5.5%成長した。だから中国も毎年5.5%成長する必要がある。でなければ、1000年経っても先進国に追いつくことはできない」と指摘しました。

 中国側は「その国はどこですか」と聞いた。どこの国か分かりますよね…。

日本…

ピルズベリー:米国でもドイツでもなく、日本です。以来、中国日本がどう経済成長を達成していったのかについても大いに研究しました。一方、世銀は中国に対して、複数のレポートでこんなことを指摘しています。

 「世銀は、基本的に自由市場経済重視の原則で動いている。しかし、中国の経済を民間企業や市場に任せていたのでは、最高のスピードで経済成長を達成することはできない。中国が先進国に追いつくには、5.5%よりももっと高い伸び率で毎年、経済成長することが必要だ。実は、それだけ早く成長する方法があるかもしれない」

1990年には世銀の北京事務所は世界最大規模に

どういう意味でしょうか。

ピルズベリー:世銀は、中国の各産業分野においてトップクラスの企業を国有のまま育成すればいいと助言しました。それらの企業に対して優先的に補助金を与え、低利で融資を行い、海外から投資させればいい、と。

 また、1985年から20年の間に輸出の構成を変え、特にハイテク製品分野の育成に力を入れること、外国から過剰な借金をしないこと、外国による直接投資は先進技術と経営近代化の手法だけに限ること、貿易会社の関与を段階的に減らして、国有企業が独自に外国と貿易するようにすること、といった提言も出しました。

つまり、民間に任せていたら、産業の育成に時間がかかりすぎるので、国有企業を育成して政府が直接、資金を提供すればいい、と…

ピルズベリー:そうです。1990年には北京にある世銀のオフィス世界最大規模となっていました。それほど大人数のスタッフを世銀は北京に送り込んだということです。つまり、世銀が中国のために、全く新しい経済モデルを考え出したのです。

 これは後で知ったことですが、ソ連崩壊後の数年間、実は中国のエコノミストたちの間では経済成長戦略を巡って、世銀の進める戦略で行くのか、市場経済に向けて動き出したロシアや東欧の例に倣うのかを巡って、かなり議論をしたと聞きます。ロシアや東欧では国有企業がすぐ民営化され、価格の自由化も図られました。当時、中国の改革志向派の政治家の中には、ロシアや東欧の民営化・市場化の動きに倣おうとする人々もいたのです。つまり、自由市場と私有財産を認める方向に向かって進むべきか、あるいは政府がコントロールできる国有企業を沢山作って、米国などの先進国から技術支援を受け、もらえないものは盗み取ってでも習得し、とにかく米国に追いつくべきではないかという重要な議論でした。

 結局、周小川氏などの強硬派が勝利を収め、中国のマラソン戦略を支援する世銀と組む方針を維持することになった。周小川はご存じの通り、2003年以降、現在も中国人民銀行(中央銀行)総裁を務めている人物です。

 周氏は、民営化や政治改革を拒み、代わりに協力的な世銀のエコノミストらと共に、中国共産党による支配のもと、国有企業の収益性を向上させる戦略を推進しました。周氏と世銀中国支部長だったピーター・ハロルド氏は、非効率で、組織構造も経営状態もお粗末だった中国の国有企業を変えるべく独自の戦略を描きました。当時、国有企業はどこも赤字で、国営銀行からの借入金で赤字を埋めていました。こうした時代遅れの国有企業を世界に誇れるチャンピオン企業に変えるという大胆な挑戦でした。その支援には、ゴールドマン・サックスといった米国の大手投資銀行なども大いに手を貸したようです。

今や米フォーチュンの世界上位500社の95社が中国企業

 1990年代初め、欧米人が知っている中国企業と言えば「青島ビール」くらいでした。米誌「フォーチュン」は毎年、時価総額で世界上位500社を紹介しています。当然、中国企業は当時、1社も入っていませんでした。「世界上位500社に入る企業を育成したければ、世銀の助言に従えばいい」と聞いた中国は、世銀の助言をすべて実践しました。その結果、ゼロからスタートして、20社、30社と増えていき、今や世界最大の石油化学会社である中国石油化工集団(シノペック、2014年は3位)を筆頭に、中国石油天然気(同4位)、国家電網(同7位)、中国工商銀行(同25位)など2014年には中国企業が実に95社もランクインしています。

国(共産党)が戦略的国有企業と位置づければ、集中的にその企業に資金を投入でき、効率よく成長させられる…

ピルズベリー:資金だけではありません。上位100社の国有企業の経営者は共産党の中央委員会が決めます。多くは国の諜報機関か軍の出身者で、そのつながりは経営者に就任した以降も生きるわけです。だから一部のCEO(経営最高責任者)を務める者たちは、いろいろな意味で閣僚よりも重要な存在です。

まさに中国が国家資本主義と言われるゆえんですね

ピルズベリー:そうです。中国は半分だけが市場経済です。規模の小さな企業については、ある意味、市場原理で動いているが、規模の大きい国有企業は政府の方針が優先されるということです。

 ここまで経済分野の説明をしましたが、私がより深刻な問題だと捉えているのは軍事面における中国の動きです。

「米国の弱点を突く」形で軍事力も増強

年々、軍事力を増強しており、脅威に感じているのは日米だけではありません。

ピルズベリー:中国は「どうしたら米国を怒らせないで、中国を守る軍事力をつけられるか」について様々な検討を重ねてきました。その中で彼らがかねて考えてきたのは「米国の弱点をまず探し出すべきだ。そしてその弱点を突く形で軍事力を増強すればいい」と。その中国が米国の弱点を理解するに至ったのは、1990年代になってからでした。なぜか。それは、米国が自ら大きな過ちを犯し始めたのです。

どういうことでしょうか。

ピルズベリー:米軍が自分たちのことについて論文を書くようになったのです。まず1991年のイラク戦争後のことです。こんな論文が出てしまった。「米軍がなぜイラクであのような攻撃をできたかというと、米軍は、ターゲットを定めて攻撃するタイプの武器も、通信手段、機密情報のやりとりなども含め、攻撃の90%をわずか数個の衛星を経由して行っている」と。

 中国側はこれらの論文を読んで、「空母を11隻も抱え、何千発ものミサイルを抱えている大国である米国の実力は、数個の衛星にすべてかかっている」という事実を把握してしまいました。以来、米国の軍事力の研究を深めた中国側がある日、私にこう聞いてきました。

 「米ソはどうして互いに相手の衛星を撃ち落とそうとしなかったのか」と。

 米ソ間では、相手の衛星を撃ち落とさないという約束をしていたからだと答えました。そんなことをすれば二国とも大混乱に陥り、自爆行為に等しいと理解していたからです。だから衛星だけは守る必要があるということで合意していたのです。

 ところが2007年1月、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は中国が秘密裏に自分たちの気象衛星を撃ち落として、通信を遮断する実験を行ったと報じました(Flexing Muscle, China Destroys Satellite in Test)。多くの米国の軍事関係者はその10年前には、軍事雑誌などに「中国に衛星を撃ち落とすことなどできない」と書いてあなどっていた。しかし、撃ち落とした実績があるということは、米国の衛星も撃ち落とそうと思えばできるということです。
(続く)
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