世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

世界自動車大戦争(40)

2019-12-30 00:00:00 | Weblog

もともと日産はルノーとの関係もあまり芳しくなく、フランス政府の意のままに動くルノーのジャンドミニク・スナール会長としては、今回の日産の役員人事に関しては、あまりよい気持ちは持っていない様だったが、ルノーも日産も業績回復が最優先課題なので、しぶしぶ受け入れたと言う事のようだ。

こいつは煮てもも焼いても食えない奴だと思っておくことだ。



日産新経営陣と「連携強化を最優先」 ルノー会長
2019/10/9 10:29
日本経済新聞 電子版

仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長は日産の新経営陣について「素晴らしい結果になった」と語った(9日、横浜市)

日産自動車の筆頭株主である仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長は9日、日産との資本関係の見直しについて「優先事項ではない。まずは(事業面の)アライアンス強化を最優先すべきだ」と述べ、急がない考えを示した。横浜市内で日本経済新聞などの取材に答えた。

【関連記事】 日産、集団指導体制へリスト100人 新社長に内田氏

ルノーは日産に約43%出資し、日産はルノー株の15%を保有している。関係をより深めようとルノー側は4月、日産側に経営統合を提案した。一方、日産はより「対等」な関係にするためルノーの出資比率引き下げを望んでおり、水面下で断続的に協議を続けている。

日産の新経営陣についてスナール会長は「非常に満足している。ベストなミックスだと思う」と述べた。日産は8日、内田誠専務執行役員が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格し、最高執行責任者(COO)には三菱自動車のアシュワニ・グプタCOOが就く人事を発表した。副COOになる関潤専務執行役員を加えた3人による集団指導体制とする。

ルノーを巡っては仏紙フィガロなどが8日、ティエリー・ボロレCEOの交代をスナール会長が計画していると報じた。ボロレ氏は日産やルノーのトップを務めたカルロス・ゴーン被告に近く、日産との信頼回復の障害になっているとの判断から、18日の取締役会で議題に含めることを検討しているという。スナール氏は9日、「色々な噂がある。ノーコメント」と述べるにとどめた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50777950Z01C19A0MM0000/?n_cid=NMAIL006


仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長は日産の新経営陣について「素晴らしい結果になった」と語った様だが、実態はそうでもなかったようだ。
スナール氏は、ルノー色の強いCOOに選出されたグプタ氏をCEOに推薦していたのだ。グプタ氏はルノー出身で、日産・三菱自動車と渡り歩いた人物で、ルノー・日産アライアンスの業務にも精通しているため、スナール氏はCEOにと強力に押していたが、ゴーン元会長と同じルノー出身と言う事で、日産社内の理解が得られないとの理由でCEOから外れたようだ。
だが、COOに収まっているので、いつかは日産・ルノーの統合案を持ち出してくる可能性は高い。
ひと悶着もふた悶着も、今後有りそうだ。



日産、集団指導体制へリスト100人 新社長に内田氏
2019/10/8 19:36 (2019/10/8 22:24更新)
日本経済新聞 電子版

日産の社長兼CEOに就く内田誠氏(中)、COOに就くグプタ氏(左)、副COOとなる関氏(右)

日産自動車は8日、内田誠専務執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に就く人事を発表した。最高執行責任者(COO)には三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO(49)が就く。日産のトップは2代続けて事実上、解任された。新体制で業績立て直しやガバナンス(企業統治)改善、筆頭株主の仏ルノーとの関係再構築などに取り組む。

【関連記事】
・日産・ルノー、業績悪化で決着急ぐ 薄まったゴーン色
・ルノー会長、CEO交代を計画 日産との信頼回復狙う

内田氏は日産の成長戦略に深く関わってきた

日産は元会長のカルロス・ゴーン被告を2018年11月に会長から解任した。その後、日産の人事などを巡り、日産とルノーの駆け引きが続いた。新体制では互いに譲歩し集団指導体制とする

内田氏は長くルノーとの共同事業に携わったほか、重点市場の中国でも現地法人トップを務めるなど日産の成長戦略に深く関わってきた。グプタ氏はインド出身でルノー入社後、日産での勤務経験もある。関潤専務執行役員(58)が副COOに就く。いずれも発令は20年1月1日付を目指す

グプタ氏はルノーから日産、三菱自動車と渡り歩いた

日産はゴーン被告の解任に次いで、前社長兼CEOの西川広人氏が不正にかさ上げされた報酬を受け取っていたことなどから、取締役会の要請を受けて9月16日付で辞任した。後任にはCOOの山内康裕氏が暫定的に就任し、10月末までに正式な社長を選ぶとしていた。期限内に1カ月あまりで新体制を固めたが、すんなり決まったわけではない。

日産の指名委員会は6月に発足するとすぐに後継トップの選定を始めた。当初はサントリーホールディングスの新浪剛史社長ら外部の人材を含む100人の「ロングリスト」を用意。西川氏の退任を発表した段階までに10人になっていた。同日の記者会見後に開いた指名委では、さらに6人に絞った。リストには山内康裕暫定CEO(当時COO)などが含まれていた。

指名委メンバーは各候補者と面談していく。海外の委員はテレビ電話システムも使って感触を確かめていった。9月末までには山内氏は候補から外れ、3人に絞られた。

それが内田氏、関氏、グプタ氏だ。関氏は構造改革などの手腕を評価された。内田氏は中国の現地法人トップとして「ビジネスに最も強い」と信頼も厚い。グプタ氏はルノーから日産、三菱自と渡り歩いた。日仏連合の購買業務や商用車部門の統括などを歴任し「アライアンスの機微を最も理解している」(日産幹部)とされる。

関氏は構造改革などの手腕を評価された
【関連記事】
・日産新社長の内田氏、商社出身の合理主義者
・日産新COOのグプタ氏、褒め上手の車のプロ

攻防が本格化したのはここからだ。指名委委員でルノー会長のジャンドミニク・スナール氏らはグプタ氏を推した。一方、指名委員会委員長の豊田正和氏らは関氏、内田氏の「日本人トップ」を主張する。

「内田氏は最もビジネスを分かっているが若い」「グプタ氏はアライアンスを熟知しているが、日本人ではないことは気にかかる」「関氏は優秀でアライアンスも分かっているが、西川氏に近い」――。激しい議論が繰り広げられた。

10月初旬、まず関氏がトップに就く案が消えた。決定打は西川氏と共に作った経営再建策だ。1万2500人の人員削減などのリストラ策を打ち出していた。「関氏がトップになれば西川体制と大きく変わらない」(日産幹部)という懸念が広がった。

最後に残ったのは、内田氏とグプタ氏。ルノーと日産の溝は深く、10月8日の指名委まで決まらなかった。そこで編み出されたのが、両氏をCEOとCOOに置く折衷案だ。

重視したのは社員の感情だ。日産はルノーから送り込まれた外国人トップ、元会長のカルロス・ゴーン被告によっていったんは再生を果たしたが、足元の混乱の原因にもなった。グプタ氏もルノー出身の外国人だ。ゴーン元会長に対するアレルギー反応が再び表面化しかねない。

日本人の内田氏をCEOに置き、アライアンスに強いグプタ氏をCOOにして両輪で回していく方が社内外の理解も得やすい。折衷案は8日午後の取締役会で全会一致で承認された。

 内田 誠氏(うちだ・まこと)91年(平3年)同志社大神卒、日商岩井(現双日)入社。03年日産自動車入社。16年常務執行役員、18年専務執行役員、中国・東風汽車総裁。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50754700Y9A001C1MM8000/?n_cid=SPTMG053



2019.10.8に、日産は、内田誠専務執行役員(53)が社長兼CEO、三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏(49)がCOO(最高執行責任者)、そして副COOに関潤専務執行役員(58)が、新経営陣となる人事案を発表した。発令は遅くとも2020.1.1までである、と言う。

従って、早速この「トロイカ」体制に疑問を投げかける論考も見受けられた。


それでは良いお年を!(来年に続く)
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世界自動車大戦争(39)

2019-12-27 00:00:00 | Weblog

だから前後の2Motorの制御を緻密に制御することで、あらゆる状況で滑らかな走行性能を発揮させているようだ。惜しくも日本初の電気自動車とはならなかったが、2010年からEV・リーフを世に出した老舗としての知見が、大きかったようだ。ちなみに日本初のEVはiMievである。

日産を救う救世主となる戦略車となるかどうかは解らないが、日産としては相当鼻息が荒い。



日産の四駆EVに試乗、2つのモーターで走りに磨き
日経産業新聞  コラム(ビジネス) 自動車・機械
2019/11/4 2:00

日産自動車は2基のモーターを搭載した新たな電気自動車(EV)を開発した。4輪駆動(4WD)で、力強い加速と滑らかなコーナリングを実現した。経営再建に向け日産車のけん引役に位置づけており、東京モーターショーに出展した多目的スポーツ車(SUV)「アリア コンセプト」にもシステムを採用している。新型EVのテストカーに記者が試乗した。

テストカーは主力EV「リーフe+」をベースにし、車両の前後に2基の電動モーターを積む。現行EVは1基のモーターで走り、「ツーモーター」と呼ばれる。10月下旬、神奈川県横須賀市のテストコースで試乗した。あいにくの雨だったが、同席した担当者から「滑りやすい路面でもカーブで外に膨らまず、ドライバーが思った通りの運転が実感できます」と説明を受けた。ツーモーターの実力を体感するには理想的な条件となった。

まず試したのが直線での走りだ。EVならではの静かな動きだしにもかかわらず、強くアクセルを踏み込むと、時速100キロメートルまで一瞬で加速した。

単純にモーターの数を増やし、パワーアップしたわけではない。ソフトウェア開発グループの恒原弘氏は「1万分の1秒の緻密な電気信号によってモーターを制御し、素早い反応と滑らかな加速を実現した」と説明する。
ツーモーターの真骨頂はここがポイントで、走りが磨かれた。緻密な制御を引き出すため、前と後ろ2基のモーターの駆動力をバランス良く使い分けている。ドライバーを含め乗る人にかかる負担を軽くし、安定した走りにつなげている。

通常の「リーフ」と比較してみると乗り心地の違いが実感できた。リーフで時速40キロメートルから速度を落とすと、前につんのめるように頭が振られてしまった。

テストカーで同様の運転をしたところ、ヘッドレストから後頭部が離れずにすんだ。前輪のタイヤだけで減速するのではなく、モーターを使って後輪で車体を下に押し下げるなどして、車両全体にかかる力を繊細にコントロールしているからだ。

画像の拡大
記者がテストコースで2モーターEVの性能を体感した

そのままスラロームコースに入り、時速60キロメートルまでスピードを上げて走った。通常のリーフを運転してからテストカーに乗ると、コーナーワークで体が振られる感覚がなくなった。「曲がる際に外に膨らむ力がはたらく前輪の駆動を抑える一方、後輪の駆動力を増やすことで、急カーブも思ったようなルートを走れる」(恒原氏)という。
ツーモーターを生かした制御効果は、旋回走行で強く実感できた。

モーターの制御機能をオフにした状態で、時速30キロメートルでカーブに入ってさらにアクセルを踏み込むと、ハンドルとタイヤが外側にグググッと持っていかれそうになる。冷や汗ものの体験だ。制御オンで走り込むと、ルートを大きく外すことなく旋回することができた。

日産は2010年に競合メーカーに先駆けてEVのリーフを発売した。初代モデルの航続距離は200キロメートルだったが、現行モデルは570キロメートルまで伸ばしている。モーター、バッテリー技術を磨き、次世代の環境車に向けてさらにギアを上げる。電気を緻密に制御できる技術を積み込み、エンジン車にない「走り」を強調していく。「リーフで先行したからこそ、EVの良さを生かす開発にもいち早く着手することができた」(恒原氏)と話す。

環境から走りのEVへ。ツーモーターを搭載した戦略車は「そう遠くないタイミングで市場に投入する」(恒原氏)。日産はEVと独自のハイブリッド技術>「eパワー」搭載車をあわせた電動車の世界販売を22年度までに30%(18年度は4%)に引き上げる計画を掲げている。

昨年11月に元会長のカルロス・ゴーン被告が不正報酬問題で逮捕されて以降、経営混乱が続くうえ、新車販売も振るわず厳しい状況が続く。これまで値引き頼みで規模を追った拡大戦略の反動を引きずり、日産車のブランド力はなかなか戻らない。ツーモーターを「次世代の日産車の象徴」(幹部)とするが、魅力ある製品として早期投入できるか。存亡をかけ、スピード感が問われている。
(企業報道部 小泉裕之)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51692780R01C19A1000000/?n_cid=NMAIL006_20191104_K



日産リーフの現行モデルの航続距離が570kmと上記には書かれているが、これはリーフの最上級モデルの「リーフe+」のJC08モードの数字であり、実際にはこんなには走らない。

各種の数字は次の通り。(https://www.webcg.net/articles/-/40473 より)

  Make     Batt. Motor JC08 WLTC 同欧州 同EPA
日産リーフe+  62kWh 160kW(218ps) 570km  458km  385km  364km
日産リーフ   40kWh 110kW(150ps) 400km

実走行での数字も、360km程度だったと、上記のURLには書かれているので、米国のEPAの数字が実態を表しているものと思われる。だから実力としては、JC08モードの六掛けと言うところか。
従って通常版のリーフの航続距離は、六掛けで240~250kmと言ったところでしょう。


と言う事であるが、「次世代の日産車」たるARIYA Concept は、どれほどの航続距離となるのか、興味のあるところである。まあ、リーフe+以上の性能とならないとつじつまが合わないことにならないのかな。JC08モードで、600km以上は期待したいところである、実質360~390kmと言ったところか。

こうしてみると、EVはやはり何かと不便な乗り物、と言うことになりそうだ。充電ステーションをしっかりと把握しておくことが、最重要課題と言うことになろう。

それはさておき、日産の経営状態が思わしくないようで、新経営陣も固まったようなので、少しそのことに触れておこう。
(続く)
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世界自動車大戦争(38)

2019-12-26 00:00:00 | Weblog

クロスオーバーEVを初披露

 新PFを採用するEVの1つが、クロスオーバー車である。日産は、2022年までにクロスオーバーEVを発売する計画を公表済み。2019年10月23日に報道関係者向けに公開が始まった「東京モーターショー2019」では、クロスオーバーEVコンセプト車「アリア」を初披露した(図1、2)。アリアの車両寸法は全長4600×全幅1920×全高1630mmである。

図1 日産のコンセプトEV「ニッサンアリアコンセプト」東京モーターショー2019で初公開した。(撮影:日経Automotive)[画像のクリックで拡大表示]

図2 アリアはクロスオーバータイプのEV(撮影:日経Automotive)[画像のクリックで拡大表示]
 アリアの特徴は、前後輪にモーターを1個ずつ搭載している点である(図3)。量産EVの「リーフ」は前輪側に1個のモーターを備える。モーターを2個に増やして4輪駆動(4WD)にすることで、「これまでにない走りを実現する」(日産副社長の中畔邦雄氏)と意気込む。

図3 アリアに適用する新EV専用プラットフォーム日産副社長の中畔邦雄氏が説明した。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]
 リチウムイオン電池は床下に敷き詰める。日産はこれまで電池パックの冷却方式として、自然空冷を採用してきた。アリアを含む新PF採用車は、水冷方式に切り替える可能性が高い。「電池の性能を安定化させたり劣化を抑制したりするためには、強制的に冷却する方が良い」(前出のEV開発担当者)と判断した。
(略)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00088/102300003/?n_cid=nbpnxt_mled_fnxt



カルロス・ゴーンのワンマン経営のお陰で、今の日産はあまり羽振りがよくない。国内も北米も新車販売が振るわずに苦戦しているが、この2Motorの電気自動車は、その日産の苦境を打破するための「次世代車」の位置づけのようだ。



日産株一時4.5%安、3カ月ぶり下落率-営業益下方修正し配当も減額
Masatsugu Horie
2019年11月13日 9:33 JST


Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg
日産自動車の株価は13日、一時前日比4.5%安の682.7円と8月5日以来の日中下落率となった。前日に今期(2020年3月期)の業績見通しの下方修正したほか、中間配当の大幅減額や年間配当予想を撤回したことなどが嫌気された。


会見するマー常務(12日、横浜市の日産本社)
Photographer: Takaaki Iwabu/Bloomberg

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは12日付のリポートで、中間期の減配や配当計画の取り下げは「当面ネガティブ視される可能性が高い」と指摘。

  SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは12日の取材に7ー9月期の自動車部門は赤字であるものの赤字額は縮小しており、下期(10-3月期)の営業利益はわずかながら前期より増益予想で、「大底は打ったとの印象」はあると述べた。

  マッコーリー証券のジャネット・ルイスアナリストらは英文リポートで次期最高経営責任者(CEO)昇格が決まっている内田誠常務執行役員ら若い世代の経営陣が経営立て直しにつながる事業改革を実行することに期待しているとしながら、それには数年という時間が必要だろうとの見方を示した。

  日産は12日、今期(2020年3月期)の営業利益見通しを従来の2300億円から1500億円に下方修正。売上高と純利益の見通しも引き下げた。中間配当を昨年より18.5円引き下げ1株あたり10円とし、従来40円としていた年間配当予想を取り下げて未定とした。業績予想修正の要因として為替レートの円高傾向や今後の自動車需要の低迷傾向が継続すると想定されることなどを挙げていた。


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-11-13/Q0VR5IT1UM1201
(続く)
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世界自動車大戦争(37)

2019-12-25 00:00:00 | Weblog

Hot News 逆風EV、エンジンとの決戦は新局面
EVに載ったトヨタの全固体電池、開発に8年、走行試験に成功
同社元理事の石黒恭生氏が講演で明らかに
2018/11/16 05:00 2019/12/19 05:00  野澤 哲生=日経 xTECH/日経エレクトロニクス

 トヨタ自動車は、電解質が固体のLiイオン2次電池である「全固体電池」を8年前から開発し、最近になって当初の目標値を達成。同社の1人乗り電気自動車(EV)「COMS」に実装して、走行試験に成功した

 同社元理事で燃料電池車や全固体電池の開発を手掛け、現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏2018年10月の講演会で、開発の経緯と共に明らかにした。

トヨタ自動車の元理事で現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏
[画像のクリックで拡大表示]

当初は充放電数回で出力0に
 石黒氏によると、開発開始当初、試作した全固体電池は充放電1サイクル目まではセルの体積エネルギー密度が100Wh/L超だったが、充放電を数サイクル繰り返すと体積エネルギー密度は数分の1、出力密度は0近くまで低下するなど前途多難だったとする(図1)。

図1 8年かけて開発目標を達成

トヨタの全固体電池開発の経緯を示した。当初は、セルを作製してもすぐに性能が劣化したが、(1)正極材料をLiNbO3で被膜、(2)電解質層を約1/10に薄膜化、(3)活物質の緻密化、(4)均一分散化などで徐々に性能が向上。約8年かけて当初の開発目標値である、体積エネルギー密度400Wh/L、出力密度2.5kW/Lを超える性能を達成した。(図:石黒氏の講演資料を基に本誌作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 そこでトヨタは、セルの性能が出ない要因を徹底的に洗い出した。(1)正極活物質と固体電解質の間の界面に抵抗値が高い抵抗層が形成されてしまうこと、(2)固体電解質層の膜厚が厚いこと、(3)正負極の活物質と固体電解質材料の混合領域で、活物質が凝集して均一性が大きく低下すること、(4)活物質材料間に空隙ができること、の大きく4点の課題が見つかったという。
(略)

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00001/00048/?n_cid=nbpnxt_mled_dm
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/cpbook/18/00037/00011/



最後に、トヨタ e-Palette だ。これは2018.1.9~12の2018 International CESで発表されたものの発展型である。
(https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/20508200.html)

これはミニバス仕様でトヨタも特に力を入れているEVで、来年の東京オリパラ大会の選手村を巡回する自動運転バスとして大会をサポートすることになり、いわゆるC,Dセグメントには属さないが、トヨタはあらゆる用途に使える、また使おうとしている自慢のEVなのであろう、また別途言及してみよう。


C,DセグメントのEVの車両寸法は次のようななっている。

              L   W   H   ETC
(1) 日産 ARIYA Concept   4600 1920 1630 次期型 X-TRAILの電動型?2020年市販?
                 4WDオンロードSUV、Pro-Pilot,スマホと連動、ルノー三菱と共用PF
X-TRAIL      4690 1820 1730 2020年にModel Change

(2) Lexus LF-30 Electrified  5090 1995 1600 110kWh 500km In Wheel Motor 自慟運転
                            Lexus として2020年にはEVを市販

(3) トヨタ LQ        4530 1840 1480 4人乗り、300km は改善の余地あり。

(4) トヨタ e-Palette      5255 2065 2760 乗員20名 航続距離150km 19km/h



日産 ARIYA Concept のPFは、ルノー・日産・三菱グループで共用することでコスト低減を狙ったもので、EV専用だと言う。しかもあのカルロス・ゴーンが打ち出したものだ。来年からこの3社でEVが量産されることになる。電池の冷却は、空冷ではなくて水冷になるらしい。

期待したいものだが、あまり期待し過ぎるのも良くなかろう。日産はARIYAの性能についてはその詳細を公表していない。だから売れるかどうかは皆目不明だ、500km超は期待したいものだが。




東京モーターショー2019
生きていた“ゴーン計画”、日産がEV専用プラットフォームを20年量産
2019/10/23 20:36 久米 秀尚=日経 xTECH/日経Automotive

 日産自動車は、電気自動車(EV)専用の新プラットフォーム(PF)の搭載車を2020年から量産する。フランス・ルノー(Renault)三菱自動車などの連合で共用することで、コストの低減を狙ったもの。同PFなどを活用し、2022年までに連合で12車種のEVを投入する方針だ。カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)元会長の逮捕やトップ交代などがあったが、「3社でEV専用PFの仕様などを固めて開発を続けてきた」(日産のEV開発担当者)。

 EV専用PFの投入計画はゴーン氏が打ち出したもの。同氏の逮捕などがあったものの、開発は「当初のスケジュール通りで実現できるように進めている」(同担当者)。
(続く)
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世界自動車大戦争(36)

2019-12-24 00:00:00 | Weblog






さてC,DセグメントのEVを一覧してみよう。

(1) 日産 ARIYA Concept(4WDのSUV、前後のアクスルに夫々一個・計二個のモーター4WD)
       日産の屋台骨を背負うとされる世界戦略のEV

(2) Lexus LF-30 Electrified( Lexus創業30周年記念EV、電動化ビジョン。環境とドライビング)
       四輪インホイールモーター、航続距離はWLTPモードで500km

(3) トヨタ LQ(AI搭載AutonomousEVコンセプト、乗り手と車の感情的な関係・愛車の具現化)
       航続距離は300km、乗車定員4人とやや物足りない。

(4) トヨタ e-Palette(自動運転のミニバス、東京2020オリパラ大会に十数台を提供、巡回バス)
       航続距離150km程度、最高速度19km/h、活躍が期待されている。



と言ったところだと思うが、
先ず何と言っても第一に目につくのは、日産のARIYA Concept だ。

このSUVのEVは、一見カッコよく見えるが、フロントのフード部分とそれ以降のキャビン部分とが、どうもアンマッチに(小生には)見えて仕方がないのだ。小生にはSUVと言うよりもライトトラックの様に見えて仕方がないのである。なんとも惜しい所である。キャビンの流麗な曲線とボンネットのトラック風の造作が、前方からの姿見はあまりにもマッチしていない、と小生には感じられるのだが。

まあ人は夫々なので、これはこれでよいのかも知れないが、このアンマッチはもう少し何とかならなかったものか、と残念で仕方がない。日産としては、空想的なコンセプトカーではなくて、本物として造ったと言っている様だが、もう少しセンスある造形にしてほしかったものだ。ボンネット内に色々とコントロールユニットなどを詰め込まざるを得なかったのか。まあ日産の欠点の一つが、このスタイルであることは、相変わらずだ。時々変わったものを出してくる。

ただEVの主要諸元の発表はないのが残念である。エクストレイル次期モデルだと言う説もあるので、それほど軟なバッテリーなどは積まないものと思われるが、少なくとも500kmくらいは走ってもらわないと、見劣りがするのではないかな。リーフに続く世界戦略のEVとしての位置づけなのだから。


次は、レクサスのLF-30 Electrified である。

30と言うのは、レクサス創業30周年記念の30と言う事のようだ。コンセプトモデルなので、カンブリア紀に出現した捕食動物風の姿・形を思い浮かべるようなフロントのカタチが特徴的である。だが、これはこれで、日産のARIAよりも整っている、様に見える。

全長5m、全幅2m近い大柄で、110kWhの大容量のバッテリーを積んでいるようなので、WLTPモード500kmも走ると言う。 In Wheel Motorで4輪すべてに駆動モーターがある。そのため緻密にモーターを制御し、走る、曲がる、止まるの理想的な駆動制御を実現させている、と言う。

まあ、レクサスの理想的なモビリティの姿を現したかった、と言うところか。環境対策とドライビングプレジャーを両立させようとしているコンセプトモデルなのでしょう。


WLTPとは、Worldwide harmonized Light vehiclesTest Procedure 「乗用車等国際調和排出ガス・燃費試験法」と言い、乗用車や小型トラックの燃費やCO2他の汚染物質の排出レベルの国際的に整合した試験方法を定めたものであり、実態に即した車両を市街地、郊外、高速、超高速道と4フェーズでの燃費を計測して算出するものである。市街地や郊外を実際に走行して計測するものではないと思うが、JC08モードよりも値は悪化するものである。
もう一つWLTCなるものがあるが、これはCycleで試験法と試験サイクルの違い、と言うようだが、小生にはこの違い、よくわからない。


そして次はトヨタブランドのLQである。2017年に発表した「TOYOTA Concept-愛i」の発展形である。AIを搭載しており、クルマとのコミュニケーションが出来るようになっている。このAIは、トヨタ得意のTRI(Toyota Research Institute)との共同開発である。

トヨタ流の愛車の具現化したものであろう。より乗り手とクルマの関係を感情的なものとしたいと、設計者が考えたものと思われる。但し、愛くるしいカタチにしたために、バッテリーはそれほど載せられなかったようで、航続距離は300km程度だと言うし、乗車定員も5人ではなくて4人だと言う。もう少し奮発して貰いたかったものである。トヨタの号口化(市販量産型)の段階では、それなりに量産型の姿・形となってくるのではないのかな。

と言うのも、トヨタは「全個体電池」を研究開発しているから、このLQにはその全個体電池を載せて、市販する可能性もあるかもしれない。すると航続距離は300kmではなくて400か500kmとして世に出すかもしれないのだ。最近全個体電池でよい結果を出した、と言う話もある。

まあLQはその物のかたちでは市販はされないのであろうが、何と言っても300kmそこそこの航続距離では、実用性がとても劣るのではないのかな。トヨタの設計者も市販車とするには、後ひと工夫もふた工夫もしてくるのではないのかな。

(続く)
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世界自動車大戦争(35)

2019-12-23 00:00:00 | Weblog

既存事業に手詰まり感

 VWが社運をかけてソフトウエアに注力する背景には、既存事業が深刻な手詰まり状態に陥っていることがある(図2)。2015年に発覚したディーゼル不正問題をキッカケに、パワートレーン戦略をクリーンディーゼルから電気自動車(EV)に転換したが、EVがさほど売れないことはVWも分かっている。EVへの転換だけではディーゼルの穴は埋められない。EVシフトと同時にソフトウエア戦略を推し進めることが、事業の立て直しに不可欠とみられる。

図2 苦境にあえぐVW    
VWはディーゼル不正問題をキッカケに戦略の見直しを迫られた。ディーゼルに代わってEVを新たな主力に育てる戦略だが、実現は容易ではない。残るは、ソフトウエア企業への脱皮である。日経Automotiveが作成。[画像のクリックで拡大表示]

 同社がEVを選択したのは、欧州連合(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制に対応するためだ(図3)。EUは2021年までに乗用車のCO2排出量を平均95g/km以下に削減することを義務付けた。基準を1g上回るたびに販売台数1台当たり95ユーロ(約1.1万円)の罰金が科せられる。VWの場合、「単年で2000億円規模の罰金が発生する可能性がある」と複数の調査会社が指摘する。

図3 2018年時点での欧州CO2規制への対応状況     
2021年の欧州CO2規制への対応状況を見ると、VWはトヨタなどの競合に比べて遅れている。目標を達成できなかった場合、巨額の罰金を支払うことになる。国際クリーン輸送協議会(ICCT)の資料を基に日経Automotiveが作成。
[画像のクリックで拡大表示]

 その対策の一つとして、VWをはじめとするドイツ自動車メーカーは48Vのマイルドハイブリッドシステムを規格化した。もともと欧州市場は走行距離が長く、EVは力不足とみられている。48Vシステムは既存のエンジン車に安価に取り付けられ、燃費を改善できる。VWが2019年10月に発表した主力車の8代目「ゴルフ」も48Vシステムを搭載し、燃費をWLTPモードで10%改善した。

 ただ、48VシステムによるCO2の削減効果は限定的であり、21年比で37.5%減と厳しくなる2030年のEU CO2規制には対応できない。今さらストロングハイブリッド車(HEV)を出すわけにもいかない。HEVで20年の実績があるトヨタ自動車にコスト競争で勝てる見込みがないからだ。残る選択肢は、走行時のCO2排出量をゼロにできるEVしかないのである。

(略)

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/01125/00001/?n_cid=nbpnxt_mled_dm



EUでは、CO2の排出規制がとても厳しい、もちろんEUだけではないが。

2021年にはEUで販売する乗用車のCO2の平均排出量を95g/km以下にしなければならない。
2030年には、95g/kmを更に37.5%も減らさなければならない。と言う事は59.375g/km以下としなければならないと言う事か。これではCO2を排出しない車・EVを相当数販売しないと達成できないのである。だから空恐ろしいのである。

だからVW始め欧州のクルマメーカーは戦々恐々としているのである。FCAもPSAと一緒に研究開発しないと、やってゆけないと考えたのだ。

ストロングハイブリッド車・HEVばかりのトヨタくらいしか、この95g/km規制には対応できないのではないのか、と言われている。もちろんトヨタもEVを投入した上のことである。

VWと言えども、EVを主流にしないと、この排ガス規制は達成できないのだ。EVと言う事は、そのもとになるバッテリーの(温度)管理やバッテリーからの電気の出し入れなどの管理が、非常に重要になってくる。電気自動車は、バッテリーとモーターとそれらをコントロールするソフトウェアシステム(コントロールユニット)がないと、うまくゆかないのだ。

そこがEG車とEVとの最大の違いとなるのである。だからVWは、EVの会社、即ちEVを管理するソフトウェア(EVのOS)の会社になる、と言っているのである。

EVはいわば走るコンピュータ―となるのであるから、コンピューターにOSが必要なように、走るコンピューター・EVにも、基盤となるソフトウェア・OSが必要となるのである。VWは、それを牛耳ると言っているのである。

この話は、またあとで触れる。


さて次は、いよいよ本命のC,DセグメントのEVの話に移ろう。まあここらあたりのセグメントのEVが本命となると、世間では見られているから重要なのである。
(続く)
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世界自動車大戦争(34)

2019-12-20 00:00:00 | Weblog

VWは当初環境規制にはディーゼル車で対応するつもりであったが、2015年にディーゼル車の排ガス不正で、米環境保護庁(EPA)につかまってしまったために、排ガス規制に対応するために一斉にEV化に舵を切ったものである。

この件については、詳しくは小生のブログ「続・次世代エコカー・本命は?(22~24)」(2016.5.3~5)を参照願う。


必死にEV化を進めたVWは、2019.11月に、念願の量産型EVの「ID.3」の生産を始めたのであるが、前途は多難である。環境規制の達成は相当に難しい様である。




追い詰められたVW
VWが戦略見直し、「ソフトで生き残る」

第1回 2019/12/09 05:01
木村 雅秀=日経 xTECH/日経Automotive

ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)が社運をかけてソフトウエア企業への脱皮を図る。その背景には、ディーゼル不正問題の発覚によって同社の技術戦略が手詰まり状態に陥ったことがある。表面的には電気自動車(EV)への大転換をうたうが、ディーゼル車の穴を埋めることは規模の点で難しい。むしろ、これからはソフトウエアがクルマの価値を決める。同社はそこにいち早く手を打った。

 「我々はクルマメーカーからソフトウエアメーカーに生まれ変わろうとしている」。ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)社長のヘルベルト・ディース(Herbert Diess)氏は、社運をかけて戦略の大転換に踏み切る(図1)。今後クルマの技術革新の9割はソフトによってもたらされると見ているからだ。

(a)   
[画像のクリックで拡大表示]

(b)  
[画像のクリックで拡大表示]

(c)  
[画像のクリックで拡大表示]
図1 社運をかけてソフトウエア企業への転換を図る
(a)VW社長のヘルベルト・ディース氏。クルマメーカーからソフトウエアメーカーへの転換を急ぐ。(b)「vw.OS」を搭載した最初のクルマ「ID.3」。(c)ID.3の内装。(撮影:日経Automotive)

 同社はこれまでもソフトの重要性をたびたび指摘してきたが、いよいよグループ横断型のソフトウエア専門組織「Car.Software」が動き出す。2025年までに同組織のソフト技術者を1万人規模に増やし、70億ユーロ(120円/ユーロ換算で約8400億円)を投じてソフトの内製比率を現在の10%未満から60%に高める。

 すでに自前のソフトウエア基盤「vw.OS」を搭載した最初のクルマ「ID.3」の量産を2019年11月に開始した。クルマをスマートフォンのような情報端末と位置づけ、「iOS」や「Android」のような独自OSを通じて“デジタルプラットフォーマー”への転換を目指す。

 情報端末としてのクルマのポテンシャルは高い。移動能力に加え、360度センサーや大容量の電池、大画面ディスプレーなどを持ち、ステアリングやシートを通じて人の体にも触れる。スマートフォン以上に貴重なデータを集められる可能性が高い。

 「デジタルプラットフォームで最も重要な指標はアクティブユーザー数だ」とディース社長は指摘する。VWは2018年に約1083万台の新車を販売した世界最大の自動車メーカーだ。5年で5000万台、10年で1億台になる。台数競争の時代は終わったといわれて久しいが、同社が販売台数にこだわるのは、デジタル時代の規模のメリットを追求したいからだ。vw.OSは同社のほぼすべての車両に導入するほか、外販も視野に入れる。少なくとも提携した米フォード(Ford Motor)が採用する可能性がある。
(続く)
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世界自動車大戦争(33)

2019-12-19 00:00:00 | Weblog

マツダはゆっくりEV化を進めます

F:パナソニックなどはかなり突っ込んでいると聞きますが。
マイトのY:でも、まだ「日本という国がサポートする」体制にはなっていないですよ。
藤:全固体だ半固体だと方式も明確には決まっていない電池の方式が変われば、当然製造設備も全部変わってくる。バッテリーひとつとっても、使われる技術が「これだ」と確定していないんです。だから我々自動車メーカーとしても、本気で行っていいのかどうかが分からない。そうなると当然利益も出しにくい。「投資するのが怖い」、というのが正直なところです。だから日本の自動車メーカーは、世界的に見ればEVの開発がちょっとゆっくりしたペースなんです。
F:日本の自動車メーカーはゆっくりしたペース。その中でマツダはどうでしょう。
藤:マツダも同じくゆっくりです(笑)。
F:ゆっくりというか、そもそもEVは本格的にはやらないんですか? 内燃機関に特化してニッチを探って生きていくとか。
藤:いや、EV化は進めますよ。既に発表している通り、2020年に発売する予定です。
マイトのY:バッテリーだけで走るEVと、発電用のエンジンを積んだレンジエクステンダーの両方を出すと。
F:クルマは何でやるのですか。専用車を作るのですか?
藤:さっきから広報本部長がチラチラ見ていますね。私がポロッと言うのを警戒してのことでしょうね(笑)。

 藤原さんの言う通り、先程から小島広報本部長が緊張した面持ちで私と藤原大明神に対し交互に視線を送っている。お役目ご苦労さまです。
F:大きいクルマですか? それともデミオクラスの小さなクルマ?
藤:いやいや、それも言えないです。
F:考えてみれば、エンジンのないクルマを作るのだから、従来型のデミオなんかを流用する筈がありませんよね。やはり新型で専用車を起こすことになる。
藤:まあ、そうは言っても、専用のものを起こすのは難しいですよ。無論EV専用のプラットフォームを作るのがベストなんだけれども、台数がそんなに出るとも思えない。だから専用車なんてそう簡単に作れないです。これはたぶん日本の他のメーカーも同じ悩みだと思います。
F:となると、既存車の何かを流用するしかない。
藤:そう。何かを流用するしかない。でも流用して造っちゃうと、テスラに勝てなくなる。テスラって完全にEV専用で造っているでしょう。そういう意味ではジレンマなんです。「EVはいつ頃に台数がブワっと出るのか」をみんなが探っている。出るときにはやはり専用のプラットフォームで勝ちたいわけで。
F:テスラは成功していると思っていらっしゃいますか。
藤:思っています。
F:高額であるのに結構な数が売れているからそう思うのですか。
藤:そうではなく、EVの技術としても素晴らしいから。

CセグのEVは難しい!

F:藤原さんがテスラを評価するとは驚きです。ボロクソ言うのかと思っていました。では日産リーフはどうでしょう。日本のメーカーとして、かなり健闘しています。
藤:うーん、どうかな。あのサイズ。Cセグ(Cセグメント)EVで勝負するには一番難しいところなんですよ。
F:リーフが属するCセグは台数が一番多いゾーンなので、EVとしてボリュームを狙えると思うのですが、難しいですか。
藤:難しい。だってCセグって、何でもアリのマルチパーパスじゃないといけないじゃないですか。遠くにも移動しなくちゃいけないし、近所のお買い物も行かなきゃいけない。旅行にも行けなきゃいけない。家族も乗せないといけない。「なんでもかんでもこの一台で賄おう」というサイズのクルマです。文字通りの家族用マルチパーパス。すべてにおいて要求が高いんです。
 でもテスラのモデルSだったら、ビューっと行ってビューっと帰って来れればそれでOKでしょう。何しろ「一家に3台」のうちの1台のクルマなんだから。
F:なるほど。しかもそれで1000万オーバー。
藤:そう。それで1000万。そして1000万円のクルマを買う人は文句を言わない。だからテスラは極端なクルマで良いんです。
F:反対に200万、300万円台のクルマを買う人はアレコレ文句を言う(笑)。

藤:そうです。本当にそう。ど真ん中のクルマを買う人は、一番要求が多い人たちです。なぜなら、用途が一番広いから求めるものも幅広いのです。だから私はプリウスって本当にすごいクルマだと思う。あのスーパーど真ん中のセグメントで、みんながワッと買ったのですから。
F:確かに。プリウスは長らく「日本一売れているクルマ」の地位にありましたものね。
藤:そう。なのでみんなそこに入りたがるんですよ。やっぱり一番ボリュームが大きいので。うまくいけば全世界をたったひとつのモデルですべて対応できてしまう。
F:一方で、べらぼうに要求が高い。それにすべて応えられるのかと。
藤:うん。そういうことだと思うんです。だからたぶん大型のトラックとか、テスラのモデルSのようなクルマとか、デカいピックアップトラックとか、逆にうんと小さいクルマとか、そうした極端なクルマのほうがEVはやりやすいんです。割り切って作れるから。
F:そう言えばテスラは今度トラックも出しますね。
藤:あれも正しい解のひとつです。イーロン・マスク、頭いいんです。
F:その前に、遂に廉価版のテスラも出しますね。だいぶ難産のご様子ですが。

専業メーカーゆえの強み

藤:モデル3ですね。あれはどうなのかなと思っています。それこそ一番の激戦区。一番難しいところに入ってしまったので。発表した当初から比べると、だんだん値段が上がって行って、3万ドルちょっとと言っていたのが、昨年末には4万6000ドルになりました。あれはものすごく苦しいんだと思いますよ。業界では3万8000ドルぐらいの製造コストが掛かっているだろうと言われています。
F:ひょえー。
藤:そういう意味では、一番苦しいところに彼らも入って行ってしまいました。でも一方でスポーツカーもやると言っているし、セミトラックをやるとも言っている。EVとしてはそれが正しい。それが今の時代のEVに合うクルマです。日本の会社はなかなかそこへ踏み込めない状態でいるんですよ。
F:どうして踏み込めないのでしょう。
藤:答えは単純明快です。それだけの台数を確実に売れるプラットフォームを造って、それを回収できるだけの台数が出るとは思っていないからです。テスラは他に背負っているものが何もない。あれを造ってしまえばそれしかない。身軽なものです。アメリカの工場だってトヨタから居抜きで買ったわけでしょう。NUMMI(ヌーミ)を。初めからEV専用という強みがあったんです。なおかつEVとしての技術も実は結構高かった。
F:うーむ。

 意外や意外。藤原さんはテスラのことを非常に高く評価していらっしゃる。
 そしてプリウスも。
 3連休にガッと書き溜めて、今週は記事を連発しようと思っていたのですが、ヨタで書いた通り遊び呆けて書くことができませんでした。この週末はスキーだしなぁ……。週2掲載は実現できそうにありません。とまれ、「はいはい、もう勝手にしてください」とマイトのY氏からはご快諾をいただいたので、大明神降臨祭はまだまだ続きます。ご期待ください!

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00105/00009/?P=5&mds


まあEV,EVと言ってはいるが、まだまだたくさんの難関が待ち受けているようだ。
VWもまたマツダ以上に困っている。そうは言っても、問屋が簡単には卸してくれないのだ。

(続く)
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世界自動車大戦争(32)

2019-12-18 00:00:00 | Weblog

またマツダはマツダで、トヨタやデンソーなどと2017.9月にEV C.A.スピリット」と言うEVの基盤技術開発の会社を設立しているので、そのうちその成果も出てくるのではないのかな。これには、2018年に4社(SUBARU、スズキ、ダイハツ、日野)が加わっている。なお、「EV共同技術開発リーダー」の役職を任されているのはマツダの藤原清志専務(当時)である。この会社は2年限定としているので、2019年の今年と言ってももう終わりに近づいているが、今年がその期限である。そろそろ何か成果が出てきてもよさそうであるが、どんな状況なのでしょうか。


このような状況を鑑みると、EVは何とも厄介な存在である。EVの核となるのはバッテリーであるが、
そのバッテリーは、ものすごく高価でしかも重くて、満足な航続距離も得られず、しかも充電時間が長すぎる、と言う3重苦を負っている。

そうかと言って自動車会社は、放っておく訳にはいかないのだ。環境規制かすぐそこまで迫ってきているからである。

TMSで発表したMX-30EVがその一つの成果かもしれないが、マツダの藤原大明神(副社長)も、このEV化には大分お困りのようだ。

まあ「EV C.A.スピリット」の成果としては、先のホンダのEV用PFの話が出ていたが、結局のところそんなEV用PFを標準化する所に落ち着くのではないのかな。

マツダとしては、しかもPureEVを出すには出すが、主力となるのは、REを使ったレンジエクステンダーEVかPHEVとなるのでないのかな。本格的なEVはトヨタの「全個体電池」が実用化されてからの話となろう。LiIonバッテリー搭載のEVを無視するわけではないが、ここ当分は過渡的な物となるのではないのか、だから本格的なものはお預けで早くて2025年頃の話となろう。これはLiIonバッテリーを無視するものではなくて、全方位的な対応のなせる業なのでしょう。

トヨタは2020年には中国でEVを発売し、日本では2020年末に2人乗りの小型EVを発売する、と言っているので、トヨタ流の思想でそれなりに着実に電動化を進めているものと思われるので、マツダもそれに準じて進めているのではないのかな。

また、2017.12.13のトヨタとパナソニックの車載電池の提携の記者会見の場で、トヨタは次のように語っている。

(1) 2025年頃にはエンジン車だけの車種はゼロにして、全車種でEV、HV、PHV、FCVなどを選べるようにする。

(2) 2030年には、電動車両を全販売台数の半分以上の年間550万台以上、そのうちEVとFCVのZEV車だけを100万台以上販売する。

(https://toyokeizai.net/articles/-/211115 を参照のこと。)

(1)は、エンジン車を無くすと言っているのではなくて、エンジン車だけの車種を無くすと言う事で、例えば、vitz(ヴィッツ)と言う車種は(例えば)エンジン車だけしかなかったが、HVやPHVなどの電動車も作って販売する、と言う事。

まあ2025年頃には全個体電池も見えてくるので、こんな発表となったのではないかと、小生は勘ぐっているが、トヨタもEV化にシャカリキになってきたと言うところなのでしょう。だがまだ5年のことになる、だから5年先10年先の話と思っていると、トンデモナイどんでん返しがあるかもしれない。

藤原大明神もそんなニュアンスの話をしている。




マツダ神社藤原大明神新春大降臨祭・06
EVにいま投資することは恐怖ですよ。

フェルディナント・ヤマグチコラムニスト
2019年2月18日

(略)


EVを作っても自動車会社はそれほど儲からない
 大明神が厳かに語られた爆弾御託宣。
 まずはその部分から。
藤原清志・マツダ副社長(以下藤): EVかディーゼルか。有り体に言えば、自動車会社として、どっちが本当に儲かるのか。現状、EVのビジネスって相当に難しいんです。まったく儲からないことも多いんじゃないかな。
F:えぇ!
藤:すくなくとも、我々がEVを作っても儲ける自信はありませんね。EVって自動車メーカーは儲からないんですよ。実は。
F:えぇぇぇぇぇ!
 先週はここまでお伝えした。以下、その続きを。

藤:そんなに驚くことじゃないですよ(笑)。もちろん、我々も一生懸命研究開発は進めております。だけど現状だけで言えば、EVじゃ自動車メーカーはまったく儲からない。
F:儲かるのはバッテリー屋さんや電装屋さん、ということですか。
藤:どうだろう。儲かるかどうか分かりませんね。何しろ大変な投資をしなくてはいけないので。いま投資することは恐怖ですよ。怖いと思いますよ。だってまだどんな形の電池になるか決まってもいないのに。
F:そうでした。固体か半固体か。ニッケル水素かリチウムイオンか。はたまた噂のスーパーキャパシタか。

どこの会社も投資に慎重にならざるを得ない
藤:そう。いま投資して、5年後に何か新しいバッテリーができちゃったら。そうしたらもう、いまやっていることが全部パーでしょう。それを誰かが補償してくれるのかと。
F:誰も補償などしてくれません。「ゴメン。それ要らないわ」と言われたらおしまいです。
藤:ですからどこの会社も投資しにくいんですよ。みんなすごく慎重になっている。「お金を出してくれ」とも言われていますし。
F:お金を出してくれ。誰が誰に言うのですか。
藤:バッテリーのメーカーさんが自動車メーカーに。イザというときは補償してくれとか、工場に出資してくれとか言ってきますね。バッテリーを作っている工場を見に行ったら分かると思いますけど。やっぱりすごい設備なんで。
F:そこは私の本業の領分なのでよく分かります。最新のバッテリー工場は、まるで半導体工場のようなクリーン環境ですものね。ともかく埃を徹底的に排除しています。パーティクルが混入すると簡単に爆発してしまうから。
藤:そうです。バッテリーは作るのも大変だし、積むのも大変です。積むときは衝撃から守るように養生しないといけないので。

マイトのY:スマホのバッテリーが燃えても大変なのに、それが車載の大型バッテリーとなると……。想像するだに恐ろしい。
F:実際にテスラも事故で燃えたことがありますからね。シボレーのボルトなんかは事故じゃなくても燃えている(笑)。
マイトのY:よしなさいよ……。
F:中国系のEVは燃えていないんですか?
藤:うーん(腕を組む)。
マイトのY:中国の国産車が燃えても、ニュースにはならないんじゃないかな……。
F:まあ事故で潰れた新幹線をそのまま埋めちゃう国だからね。
マイトのY:よしなさいっての!
藤:だからいま本当にバッテリーに大きく投資できるのは、国がバックアップしているとか、何らかの裏付けがある会社だけなんです。例えばCATLとかBYDとか。こうした中国の会社は、恐らく何かあっても中国政府がサポートするという約束とか、そういうリスクヘッジをしているのじゃないですか。韓国もそうですね。LGサムスン。彼らはもう国としてバッテリーに懸けているじゃないですか。そういう意味からすると、日本はそこまで懸けていないので。
(続く)
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世界自動車大戦争(31)

2019-12-17 00:00:00 | Weblog

但しホンダの名誉のために、次の論考を紹介しておこう。ホンダは航続距離500km超のEVを開発していると言う。楽しみである。



ホンダ、不退転の決意
航続距離500km超の中型車投入
Part3 EVの“現実解”
2019/08/09 20:00   清水 直茂=日経 xTECH

ホンダが、エンジン車並みの航続距離に達する電気自動車(EV)を開発する。EVは近距離用途のニッチな車両と位置付けていた考えを転換。欧州の環境規制や中国のEV推進政策を考慮した。新しく開発するEV専用プラットフォームは、可変領域を大きくしてVWを追撃する。

 ホンダが電気自動車(EV)専用のプラットフォーム(PF)を新しく開発すると発表した(図1)。EV航続距離は明かさないが、500km超を視野に入れる。中型車向けで、後部モーター・後輪駆動(RR)を基本にする。投入時期は、2022年ごろになりそうだ。

図1 開発中の中型EV用プラットフォーム
電池を床下に配置し、後輪駆動を基本とする。(出所:ホンダ)[画像のクリックで拡大表示]

 「都市間で移動できるCからDセグメントの車両」(本田技術研究所常務執行役員オートモービルセンターパワーユニット開発統括の松尾歩氏)を想定したPFになる。車種として、「SUV(多目的スポーツ車)やCUV(クロスオーバー・ユーティリティー・ビークル)、セダン」(松尾氏)を用意すると明かす。

 2030年に世界販売の15%近くをEVにする戦略を掲げるホンダ。新PFは、達成に向けた切り札になる。

 ホンダはかねて、EVは近距離用と考えて、中長距離用には燃料電池車(FCV)が“最適解”と見ていた。質量の大きな電池を大量に搭載する中長距離用のEVは、「電池を運ぶためのクルマ」(ホンダ関係者)と言える非効率な側面があり、どちらかといえば否定的だった。

 ホンダの根底にある考えは、今も変わっていないようだ。それでも中長距離用EVの開発に本腰を入れるのは、規制を強化する中国と米国の一部の州の方針に対応するためだ。EVを大量に販売しなければならず、エンジン車と同等の距離を走れるEVを投入することが“現実解”だった。

 開発中の新しいPFは後ろにモーターを搭載し、後輪を駆動するRRを基本とした(図2)。「ホンダらしい走り」(松尾氏)を狙う。前と後ろで操舵輪と駆動輪を分けて、操縦安定性を高めやすくなる。

図2 後輪側のモーターとインバーター、減速機
後輪駆動を基本とする。(出所:ホンダ)[画像のクリックで拡大表示]

 4輪駆動(4WD)にするときは、前側にモーターを追加して2モーター構成とし、前後輪をそれぞれ駆動する(図3)。PFは可変領域と固定領域に分ける注1)。固定領域は全車種で共通として部品を共用しやすくする(図4)。

図3 前輪側の部品配置
充電口やインバーターを配置する。4輪駆動にするときは前輪側にもモーターを搭載する。(出所:ホンダ)[画像のクリックで拡大表示]

注1)可変領域は外板や内装などで、外観などを差異化する。固定領域は例えば、電池パックの幅や後輪駆動モーターの搭載位置などである。また、車両の全幅や地上高、運転席の位置、電池搭載量などは可変領域である。

図4 開発中の中型EV用プラットフォームの概要
電池を床下に配置し、後輪駆動を基本とする。固定領域と可変領域、選択領域に分ける。ホンダの資料を基に日経Automotive作成。[画像のクリックで拡大表示]
(略)


https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/at/18/00046/00003/?i_cid=nbpnxt_reco



ホンダはC,Dセグメントの中型車クラスのEVを開発中だと言う。航続距離は500km超だと言うので、これがホンダの本命なのでしょう。先のホンダeは、いわゆるシティコミューター的な使い方を想定したもので、環境対策用の車両なのだ。

何はともあれ、電気自動車の一つや二つないと、投資家に見放されてしまう世の中なので、ホンダもマツダも背に腹は変えられなかった訳だ。

(続く)
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