玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*野川公園の柳橋①

2017年09月04日 | 捨て猫の独り言

 多摩川が武蔵野台地を削って出来た河岸段丘を国分寺崖線(通称ハケ)と呼ぶ。この崖線に沿って湧水を集めて流れるのが野川である。その源は国分寺の恋ヶ窪にある日立中央研究所内にあり、その敷地内の湧水池は春と秋の年二回は一般公開されている。その下流には自然と水に恵まれた野趣あふれる都立野川公園がある。ときおり薄日の射す土曜日に初めて野川公園に出かけることにした。

 きっかけは毎日新聞に8月から連載が始まった髙村薫の「我らが少女A」である。これまでに政治状況に関するインタビュー記事で辛口のコメントを出す髙村のことは存じ上げていた。しかし93年に直木賞を受賞したという髙村の小説をこれまでに読んだことはなかった。今回新聞連載を読み始めたのは、私の住む地域が小説の舞台になっていたからだ。そして作者の髙村はこの地域内にある国際基督教大学を卒業していた。

 西武多摩川線、調布飛行場、小金井東町四丁目、小金井市立東中学校、小平西高校、警察大学、榊原記念病院、府中市多磨町二丁目などが登場する。とりわけ小平西高校は我が家のすぐ近くにある。小説は実在する土地空間がそのまま登場し、そこで架空の人物たちが生活を続ける。そして思いがけない関係性の中で生きかつ死ぬ。

 池袋で28歳の無職の男が、同棲していた27歳の風俗店アルバイトの女を撲殺した。その被害者が「少女A」で実名は上田朱美だ。朱美は12年前の未解決事件に関わっていた。野川公園で殺害された元美術教師の絵の具を現場から持ち去ったというのだ。虚実の見分けがつかなくなった私は、事件現場である野川公園の柳橋をこの目で確かめたくてわざわざ出かけたのだった。

 

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