アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

都内桜の名所だった東中野~EF64

2021-03-31 17:00:00 | 国鉄時代(カラー)

昔は、都内で桜と鉄道を写そうと思い、真っ先に思いつくのは東中野だった。ちょうど今の時期、テレビの桜開花予想を見ながら出かけたのは、青梅線沿線、地元私鉄京王井の頭線、そして今回掲載する中央線の東中野くらいか。

あの時代は、まだ鉄道写真撮影も、現状よりもはるかに世間での認知度は低く、電車にカメラを向けるなんて奇異に見られていた時代だった。アントンKも模型作りが目的だとは言え、最初は人前では多少のためらいは正直あったと思う。しかし模型よりも、純粋に写真の方へ傾倒していくと、記録に留まらない写真の奥深さに気づき、周りのことなど気にならなくなっていった。当時を思い出すと、被写体は出来るだけ大きく撮りたかったから、たとえ季節感漂う草花があろうとも、気にならなかったことも多い。しかし繰り返していくうちに、自分なりの個性を試したくなり、下手なりに独自の世界を探したものだった。その材料の一つが、季節感のある草花だったかもしれない。

そんな話題から、また大昔の画像を掲載しておく。国鉄時代には、新宿からも貨物列車が何本も設定されていて、日中でもよく沿線で遭遇したものだが、八王子区のEF13やEF15の他、EF64の運用も存在し、当時のアントンKはよく撮影の中心に置いていたのだ。運用までもう把握していないが、都内からそのまま高尾以西へ向かっていったのだろう。デッキ付き機関車にはない、通過する時の独特なブロア音が当時から好きだった。

1978-04-09  487ㇾ   EF6414     中央本線:東中野-中野


桜の季節と金太郎~EH500

2021-03-30 19:00:00 | 鉄道写真(EL)

東京の桜はすでに満開、花吹雪が舞い散り始めている木々も見える。日が延びてきたことを実感できるのもこの季節。新年度を前に、多々気忙しい季節でもあるが、しっかり先を見据えて進んで行きたいところ。でも、毎日更新される数字ばかりが気にかかり、とても平常心では居られない。一時でも何かに没頭し、この現実から逃避したい。

どんなに世の中苦境にあっても、変わらずいつものように、花開いてくれるソメイヨシノに頭が下がる。心安らぐ色合いが好きで、どこかパワーを感じてしまうのだ。

また来年も同じ気持ちで眺めたいもの・・・

よく出掛ける新鶴見界隈の桜と、東北の主であるEH500金太郎。東北の春はまだ浅いだろうか。何も考えず気にせず会いに行ける日はいつになるのだろう・・・

2021-03       EH500-38    新鶴見機関区付近

 


バロック調のベートーヴェン「運命」

2021-03-29 20:00:00 | 音楽/芸術

前出の記事が、好き勝手にダラダラ長くなったので、演奏会の後半のメインプロは、こちらに新たに書き足しておきたい。

後半のプログラムは同じベートーヴェンでも、誰もが知っている超有名曲の第5交響曲「運命」だ。普段音楽など聴かない人たちでも、冒頭の運命の主題はおそらく知らない人はいないはず。今まで何百何千というレコードが発売され、クラシック音楽の分野ではとてもポピュラーな楽曲である。

アントンKも今にして思えば、このベートーヴェンの第5は、中学生時代に初めて鑑賞しクラシック音楽の門を叩いた。以来第5に関しては多種多様な演奏に触れ、フルトヴェングラー、ワルターを頂点とした若き時代や、朝比奈/大フィルに没頭しライブでも聴きまくった時代が思い出される。こんな鑑賞を繰り返しながら、アントンKの中でも演奏に好みのスタイルが段々と出来上がっていった。

この日の指揮者鈴木秀美氏は、バロック音楽の大家としてご自身も18世紀オーケストラのプレーヤーとして活躍されていた経歴をもち、当然のことながら演奏もそのスタイルが貫かれていた。どのくらい前になるだろうか、一時的な流行としてコープマンやノリントン  が古楽器で演奏するCDが発売されて話題になったことがあるが、今回生演奏で鑑賞してみて、まさしくその時に聴いた響きそのものだった。いわゆノンビブラート奏法とでもいうのか、オケの響きが独特になり、鋭角的な音で聴衆を圧倒していたのが印象的。マエストロ鈴木の指揮振りも、棒は使わず、全体を通じて快速特急のように音楽が駆け抜ける。使用楽器もホルンは原始的なナチュラルホルン、ティンパニはバロックティンパニが起用され、音色そのものが挑戦的で楽曲の印象が若き時代に聴いていた演奏とは異なっていた。オケもよくぞここまでと思えるほど、しっかり鈴木氏に寄り添い、古楽器奏法が徹底され、繰り返されるフォルツァンドの連打、アタックの強調には、こちらも興奮して聴き入ってしまった。しかし一方で、気持ちがメロディに乗らず、音符に対する音量が減衰するため、全体的に堀が浅く、響きがスカスカに聴こえる。一番それが顕著だったポイントは、4mov.のAから始まるHrnのテーマであり、アントンKが好きな箇所だけに残念に思えた。やはり20世紀のトスカニーニに始まる巨匠たちの録音を若い時代に聴き込み、ある意味凝り固まっているアントンKの好みからは、外れてしまった演奏ではあるが、実演奏を以って改めて判る色々な響きを体験できたことは多大な収穫だ。

それにしても、指揮者によってあらゆる演奏を可能にし、響きを導き出せるオケの実力は素晴らしい。おそらく同じ新日本フィルでも、アントンKが知っている朝比奈時代の新日本フィルと比較してもそう思える。

あとは、自分自身の老化と今後どう付き合うのか・・・

見えない、聴こえない、では遊べないからね。。


ベートーヴェン「トリプル協奏曲」~新日本フィル定演

2021-03-28 19:00:00 | 音楽/芸術

年度末にあたる3月最後の週末、新日本フィルによるルビー定演を聴いてきた。

今回のプログラムは、ベートーヴェンの2曲が演奏されたが、アントンKにとって生演奏がお初となる三重協奏曲を鑑賞することができた。この楽曲自体、ベートーヴェンとはいえアントンKには、今まで無縁の楽曲となってしまい、旧いCD以外で鑑賞するに留まっていたのだが、今回、いつもパワーを享受頂いているソロ・コンマスの崔文洙氏をはじめ、兄上崔仁洙氏のピアノ、そしてチェロのトップとして新日本フィルではいつもご活躍のチェリスト長谷川彰子氏3名によるソリストを揃えての演奏となり、スケジュール発表時から楽しみにしていた演奏会だったのだ。この三重協奏曲という楽曲は、ヴァイオリン、チェロにピアノが加わり、ピアノ三重奏曲のような味わいを持つ楽曲で、そんな編成からか演奏されることは稀だと聞いていた。しかしベートーヴェンの中期とされる時代の楽曲だそうで、ピアノソナタの「ワルトシュタイン」「テンペスト」あたりと、交響曲では第3「エロイカ」の時期と近似しているという。なるほど一度耳にすれば、とても聴きやすくて、すぐに馴染んでしまったことは幸いだった。

今回は、とても一度では聴き込めないことから、2日間とも出向いてきたが、演奏は総じて同様な傾向ではあるが、2日目の方がより自由で演奏の喜びを噛み締めるような響きとなり、また即興性もより増したように感じ、生演奏ならではの新たなトキメキや発見が多々散見できたのである。アントンK自身、一番期待していたポイントがまさにこの部分であり、スイッチの入ったソロ・コンマス崔氏のパフォーマンスと、それに刺激されたチェロやピアノの受け答えの妙が聴きたかったのだ。こんな聴き方も、生演奏ならではの愉しみで、レコードで聴く演奏は、記録に残すという観点からか、オーソドックスになってしまい、こんな教科書通りの演奏を何度も聴いても、アントンKには心響かなくなった。そういった点でも、ソロ・コンマス崔氏の演奏は期待を裏切らないし、いつもアントンKの気持ちを高揚させてくれるのだ。

1mov.では、ソリストそれぞれの対話が楽しく、3名の音色がオケの響きと合わさり、鑑賞していて心が熱くなってくるのが解る。2mov.のラルゴの出の部分、気持ちのこもり切ったチェロの音色に遠い日が蘇ったが、続く崔氏のヴァイオリンの音色が、慰めの響きとしてアントンKに染みわたり、改めてベートーヴェンの深さを思い知ったのである。そして続く3mov.の圧倒的なパフォーマンスにアントンKは、完全にこの楽曲の虜となったのだ。兄崔仁洙氏の冴えわたるピアノの有機的な合いの手も絶妙だったが、中間部のポロネーズ調になってからの音楽の色合いの凄まじいこと!この部分、頭のヴァイオリンの溜めの利いた崔氏の演奏解釈は最高で、今まで聴いたことが無い世界が開けたのであった。ソリスト同士が、楽譜1小節ごとに勝負をかける様は、ホール全体が音楽に飲み込まれ、崔氏の演奏時の立ち姿のパフォーマンスも加わって釘付けにされているのが解った。

ここまで振り返ると、もし今回の指揮者がバロック指揮者のマエストロ鈴木秀美氏ではなかったら、どんな演奏になったのかという妄想が膨らんでしまう。ソロ・コンマスの崔氏が、かつて同じベートーヴェンでもVn協奏曲で演奏したように指揮をとり、演奏したのなら、さらに濃厚で感情ほとばしるベートーヴェンが聴けたのでは?と考えながらわくわくしてしまうのである。

最後の音がホールに響き消え去った瞬間、マスクごしに大声で叫びそうになった。何とかギリギリ踏みとどまったのだが、彼等の本物の音楽、本気のベートーヴェンに対して、何か示したい気持ちになっていた。アントンKも年甲斐もなく、それだけ心が動き高揚したのだろう。とても充実した2日間だった。プログラム後半の交響曲については、稿を分けて記載しておきたい。

新日本フィルハーモニー交響楽団 ルビー定期演奏会

ベートーヴェン  Vn,Vc,Pfのための三重協奏曲ハ長調 OP56

ベートーヴェン  交響曲第5番ハ短調  OP67  「運命」

アンコール

ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第4番~2mov.

ベートーヴェン 12のメヌエット Wo07~NO.11

指揮   鈴木 秀美

Vn              崔 文洙

Vc    長谷川 彰子

Pf             崔 仁洙

コンマス 西江 辰郎

2021年3月26日~3月27日 

すみだトリフォニーホール


思い出に残る客車列車のこと~ED75

2021-03-27 19:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

普通客車列車最後は、ED75けん引でいったん締めくくる。

今まで乗車した普通客車列車では、おそらくED75の牽く列車が一番多く乗っているはずだ。今回は、掲載画像を一般客車で拘ったが、時代とともに12系改造車や50系客車に置き換わっていく。アントンKも過去を振り返り、案外雑形以外の客車に乗車した経験がない事に気づかされる。撮影地を巡る際に乗車する客車列車は、こと東北線北部や奥羽線内では、いつも日中はガラガラな印象で、にもかかわらず長大編成で走っていた。デッキから車内へ入り、冬場は暖房が効き過ぎていて、ボックス席を陣取り窓を開けるのが常だった。ナナゴの「ピーッ!」という発車合図から、連結器が鳴る音が「タンタンタン・・・・」と迫り、とともにゆっくりと車窓が動き出す様は、客車列車の醍醐味だろう。物音一つしない車内が活気を取り戻すのもこの時だった。

掲載写真は、東北本線をいく二層建て普通列車。後部3両は気動車で、途中好摩から花輪線内に入る列車を連結している。かつては、この手の運用が数多く見られたように思うが、現在では、ここは第三セクター見る影も無くなってしまった。けん引機は、ED75でも耐寒耐雪強化型の100番台で、とても小粒に見え地味だったが、当時は東北の顔として君臨していたのである。

1980-08-26    539ㇾ   ED75103     東北本線:滝沢-渋民