アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

芸大生によるブルックナー演奏

2015-05-30 16:00:00 | 音楽/芸術

ちょっとしたきっかけで芸大生による定期演奏会があることを知り、時間の都合をつけて出向くことにした。

今までアマオケを含め、学生オケにも数々足を運び聴いてきたが、芸大生による演奏には触れたことがなかったので、良い機会、それもプログラムがブルックナーということなので尚更だった。果たして、ブルックナーの交響曲の中でも大きく難曲とされている第5を若い彼等がどのような演奏をするのか興味深々で会場へ向かった。

会場は、大学構内にある「奏楽堂」という立派なホール。正門や守衛所の建屋ひとつとっても趣があり、歴史を感じる。非常に心穏やかになる雰囲気を醸し出しており、こんな景色の中で勉強している学生たちを今さらながら羨ましく思ってしまった。反面、奏楽堂は、近代的な建物であり、ホール内は、シューボックス型の落ち着いた現代風のホールだった。2階席はサイドしかなく、あとは全て1階席で後方に向かってきつい傾斜になっている。舞台裏には、パイプオルガンが設置されているようだったが、扉が降りていて確認することはできなった。

本日の指揮者は、高関健氏。過去にプロのオケで何度が聴いたことがある指揮者だが、芸大生も指揮しているとは今まで知らなかった。プログラム前半は、ラヴェルのコンチェルト。これを聴く限り、ホールの音響は決して誉められない。分離せずに、こもって聴こえるのだ。席は、1階中ほどだから、響きもある程度期待して座ったが今一つだった。そこで、後半のブルックナーは、もう少し前方の右側を陣取ってみたが、さほど改善されなかったように思う。確かにに残響は、普通にあるし(2~3秒)、雰囲気も伝わるが、肝心の音色がそろって聞こえない。ザラザラしてしまうのだ。これは、自分の耳の性なのか、ホールの性なのか良くわからない。演奏自体は、やはり流石芸大現役学生と思わせる場面も多々あった。特に学生オケで、弦楽器のあのような艶やかな響きは聴いたことがない。時に力んでしまい、高音がキンキンして聴こえる箇所があったが、逆に、アダージョのテーマの深さはどうだろう?演奏解釈云々よりも、若干二十歳の学生たちが、あのようなハーモニーを描けること自体に驚嘆してしまった。曲が曲だけに、とかく力みがちになる金管楽器群は、ブルックナートーンを目指して好演していたと思っている。指揮者の指示からか、ホルンの合いの手や、リズムが声を上げる箇所があり面白かったが、基本的には自己主張を押さえながらの演奏でまとめ成功している。ただ、聴衆側からすれば、やはりもうひとつ面白みに欠ける。つまり、演奏を聴く前から想像できてしまう演奏というべきか。あの長いフィナーレ・コーダで指揮者に必死でついていった演奏者たちには感動したが、やり切った達成感は伝わったが、演奏からにじみ出るブルックナーの深い世界感は現れなかったように感じている。

ひと昔前は、ブルックナーの第5なんて、学生オケでは採り上げなかった。それがこうして立派な演奏をしてしまう現代の音大生。将来専門家、プロの卵とでもいうべき方々の演奏を聴いて、とても新鮮な気持ちになれたことは間違いない。そんなことを思いながら、上野の森に向かった。

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芸大学生オーケストラ 第52回 定期演奏会

ラヴェル: 左手のためのピアノ協奏曲

ブルックナー: 交響曲第5番 変ロ長調

指揮: 高関 健

2015-05-28   東京芸術大学 奏楽堂


中央高架線を行くEF15

2015-05-24 18:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

中央線をいくEF13については以前掲載したが、当然のことながら共通運用だったEF15についてもそこそこ撮影をしている。当時は、機関車の運用となると全くわからず、ここでは八王子機関区のカマが牽引して来ることぐらいしかわからないで撮影をしていた。ほとんどが行き当たりばったりの撮影であり、まあそれはそれで撮影は楽しめた。現代のような情報が自分の先を走っている感覚は、自身の想像力や五感が鈍るように感じる。情報があって自分が動くのではなく、先に自分の意思で動いて結果を問う方が集中力が増して良いと感じる。まずは、撮影に行くこと、現場に立つこと、から始めたい。天気についてもそうだ。そんなに当たらない予報を時間を見ては気にしながら、撮影に行くのではなくて、昔の様に撮りたい方が勝っている気持ちで撮影に出たいと思う。昔の写真を久しぶりに見ると、そんな気持ちになってくる。

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1978(S53)-03-07   8491レ  EF1573     中央本線 / 西荻窪


カウントダウン「北斗星」

2015-05-17 23:00:00 | 鉄道写真(DL)

列車番号が変わってしまった「北斗星」を狙いに渡道してきた。

春のダイヤ改正後、臨時になった「北斗星」。毎年のようにこの新緑美しい時期には渡道してきたが、ちょっと今年は気分がいつもと違っていた。もう、最後にしよう最後にしようと想いながらの渡道はいつものことだが、今回はもうあとがないという切迫感からか、残り撮影チャンスは何回ある?と逆に撮りこぼしのないよう、さらに綿密に撮影地と日照をチェックしてから向かうこととなった。

アントンKの周りには、幸いこの北海道のブルトレ撮影について徹底的に集中している友人が多々いる。幸いといったのは、彼等のストイツクなまでの探求心は、まず間違いないから・・だ。趣味の世界も、やはり独自性が重要で、どう拘るかということと、どこまでそれを追う気持ちがあるかが鍵のように思う。この友人たちを見ていて、とても自分には展開できないことが歯がゆく感じているが、少しでも自分が納得できる撮影を計画実行し、心に刻んでいきたいと思っている。

今回は、「いつかまたもう一回・・」と撮りこぼしていた小沼湖畔を行く「北斗星」。あまりにも朝日に輝いていた新緑が綺麗で、一瞬吸い込まれそうになったので、湖畔のことなんか気にせず、新緑を一杯入れて望遠でぶち抜いてみた。森の茂みからデーデーが現れた時、最高の朝日が北斗星を演出したため、酔いそうになりカメラを持つ手が震えた。

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2015(H27)-05-17      8007レ DD511100+1138      JR北海道/函館本線:大沼付近


飯守泰次郎のブルックナーについて

2015-05-10 10:00:00 | 音楽/芸術

昔からワーグナーに造詣が深い指揮者として知られている飯守泰次郎ではあるが、近年ブルックナーをツィクルスで採り上げているので、是非とも行ってみたいと思っていたところ、今日たまたま時間ができたので、当日のコンサートへもぐりこんできた。

ワーグナーとブルックナーの関係は、今さら説明しても仕方がないが、ブルックナーは、生前ワーグナーのことを崇拝してその生涯に渡って影響を受けていた。特に和声と呼ばれる部分が大きく影響が見られ、これは、指揮者飯守氏によれば、ワーグナーと同じ響きをしているとのこと。そのワーグナーを得意とする飯守が、ブルックナーを振るとどうなのか気になって仕方がなかったわけだ。

交響曲のツィクルスだから、一曲のみのプログラムというのも好ましく、今日は大好きな第8だから気合いも入る。実際にじっくりと演奏を聴いてみて、まず思ったことは、やはり素晴らしい楽曲であるということだ。100年以上も前にどうしてこんな楽曲が書けるのだろうか。この演奏を聴いていて、普段の不甲斐なさ、ちっぽけな自分がほとほと嫌になる。この楽曲からは、人間を遥かに超えた「自然」のたたずまいを感じる。人間の喜怒哀楽などといった浅はかさではない。もっと大きくもっと深いものをだ。

確かに今日の指揮者飯守氏は、ブルックナーの響きをよく知っている。要所要所で、素晴らしいハーモニーが感じられ、十分にブルックナーの醍醐味を味わうことができた。しかしテンポが随所で揺れ動き、クライマックスで大見えを切ったり、またアッチェランドが激しく、内声部が聴き取れなかったりと、ちょっと意外な面も見受けられた。これでは、60年代の旧スタイルのようでもあり、ちょっと懐かしくも思ったが、やはりブルックナーは基本インテンポだろう。本当はもっと大きな音楽なのにと聴いていて考えさせられる箇所が多々あった。またもう一つ付け加えるなら、オケは、飯守氏に必死で付いていっているのがわかったが、やはり、現在の読響や都響に比較してしまうと、一段落ちてしまうのが残念。特にアントンKの席からは、木管が弱く感じてしまった。もっお雄弁に、自己主張してほしいポイントが散見できた。

「聖なる野人光臨」と、キャッチフレーズが出来上がっているようだが、まだこのツィクルスも中盤、さてこれからの佳境を迎える後半戦はどんな演奏が聴けるのか、益々楽しみになってきた。

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第289会定期演奏会 ブルックナーツィクルス第4回

ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調 ノヴァーク版第2稿 1890年

指揮 飯守泰次郎

東京シティフィルハーモニック管弦楽団

東京オペラシティコンサートホール

 


EF13かくしゃくなり・・

2015-05-09 06:30:00 | 国鉄時代(モノクロ)

当時の鉄活動は、7:3くらいの割合で模型収集が残っていた時代。中央線沿線にあった馴染の模型やさんを数件巡り、そのついでに時間を合わせて撮影した1コマとなる。近所ということで、当時は当然のように自転車で動き、機動力を発揮していた。(?)近所といっても、西荻窪まで25~30分、三鷹までは、プラス20分はこがなくてはならなかったと思う。しかし、今思い出しても好きな模型店に出向き、ウィンドウに顔をこすり付けては、ため息を吐きながら憧れの目で模型を凝視して夢を語っていた時代。楽しかった。野望があった、そして若かった・・・

しばらくして同じ鉄活動でも、写真と模型を両立しながら、今後活動していくには、非常に難しく感じてしまい、一時的に模型収集は休止(その後、模型は売却して廃止)し、写真の撮影に集中するようになった。友人にも、何もそこまでしなくてもとはアドバイスされたが、これは自分の性格上の問題だろうが、今考えても、これで良かったと思っている。どっちつかずは、アントンKには出来なかった。とにかく好きな事に集中して、とことんやって自分を納得させ、心の充実感を得る。こんなところか・・・それほど写真の世界は奥深く思えたとも言える。

でも、いつかは模型も・・・ この気持ちも未だにくすぶっていることも確かなのだ。

そんな当時の写真、これは、夏休みに自転車で三鷹へ向かう途中撮影したもの。高架が終わり、地上に降りてくるところを中3線で撮影できたこのポイントは、当時のお気に入りポイント。確かここでロクイチお召も撮影した。この頃、貨物列車は、八王子のEF13/EF15の共通運用。EF13の最若番である2号機が降りてきて興奮した思い出が甦る。遠くに見える営団5000系も今では懐かしく感じてしまう。

1978(S53)-08-09    499ㇾ   EF132       中央本線/ 三鷹-吉祥寺

                         Nikon F2   Nikkor 105mm f2.5s  TRI-X