アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

偶然の巡りあわせ事業用車~クモヤ143

2022-03-30 19:00:00 | 国鉄時代(カラー)

ふたを開けてみれば、今月施行されたダイヤ改正では、新しく登場する列車から、数を減らし余命幾ばくもない車両、とうとう消滅するものまで近年になく動きがあった改正のように思えた。古くなった車両が新しく変わっていくことは、いつの時代も代替わりがあり避けられないだろうが、自分と同世代の車両、あるいは、長年身近にいた列車が、その日から見られなくなる空虚感や寂しさは、いつもとは一味違う深さを感じてしまうのだ。昨年消滅した185系「踊り子」や215系「湘南ライナー」などの列車は、現在代替わりの列車が走っているにも関わらず、未だに馴染めないでいる。小田急のロマンスカー50000形VSEもそうだ。普段は無意識でいたはずなのに、いざ消えてしまうと、あとから思い出が湧いてくる感覚なのだ。

今回は、そんな絶滅機種の中からクモヤ143という事業用電車の写真を掲載しておく。現代の鉄チャンは、すでに情報を持ちながら撮影に出向くのだろうが、昔の撮影はそう考えると、偶然の遭遇が実に多かった。朝から日が暮れるまで線路端にへばり付き、列車にカメラを向けていた時代だった。いつ何が来るか判らない、期待と不安の中の緊張感がたまらなかった。この時も綺麗に咲き誇った東中野の土手で、165系を待っていると、突然背後から変わり種を現われ、あたふたしたという訳だ。サンドウィッチされた101系電車のカナリヤ色も懐かしい。

1981-04-07               クモヤ143      中央本線:東中野付近

 


「カシオペア」の行方~EF81

2022-03-28 17:00:00 | 鉄道写真(EL)

鉄道趣味も、昔に比べれば世の中に深く浸透し、単に「鉄道」と言っても多種多様に広がりを見せていることがわかる。「鉄チャン」という呼称も、今や当たり前に世間に通用してしまうが、よくよく考えればアントンKが「鉄チャン」と最初に意識されたのは、はるか昔の学生時代のことだろう。当時は、「撮り鉄」や「乗り鉄」などと言う単語も無く、「写真パート」「旅行パート」だった。世間様に認知されることはプラスに思えるが、これだけ趣味人口が増加してくると、いわゆる不届き者も目についてしまい、さらにマスコミの煽りも受け結果的にマイナスイメージが付いてしまうのが心苦しく思える。先日、TVから「ニーナ」という愛称が聞こえてきた。よく見るとEF66 27号機が大きく映され、鉄道好きのタレントたちの興奮する様子が放送されていた。19時以降のゴールデンとされる時間帯の番組に、こんなにまで鉄道に偏った内容が放送されるなんて、今まで考えもつかなかったが、それだけ鉄人口が増え、また視聴率も採れるということなのか。いづれにせよ、アントンKはただただ驚くばかり。へそ曲がりだから、逆に白けてしまうのである。

JR東日本で、唯一長距離夜行列車たる臨時特急「カシオペア」号。今では団体専用列車としての運行となっているが、この列車もいつまで走るのか心配になってくる。この前のダイヤ改正を機にまた機関車が引退し、このままでは列車自体フェードアウトしていくことは容易に想像出来てしまうのだ。「カシオペア」と言えば、E26系という豪華客車が鳴り物入りでデビューし、専用塗装のEF81まで用意して輝かしい歴史を作ってきた列車だが、一度当時の最新電気機関車のEF510-500番台に置き換わってから、再びEF81に戻った珍しい運転経歴をも持っている列車。アントンK自身は、とっくに熱が冷めてしまっているが、やはり動向だけは今も気にかかっている。

掲載写真は、デビュー10年目の特急「カシオペア」。この年、老朽化したEF81に代わりEF510-500がデビューし(2009-12)、ブルトレけん引機が久々に生まれるといった明るい話題が飛び交ったと記憶している。

2009-08-15     9010     EF81 92 カシオペア     JR東日本/東北本線:松川付近

 


忘れていた日常の世界~73系/165系

2022-03-27 07:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

早朝から夜行列車の撮影に没頭し、一息つける時間帯になった時の一コマ。こんな他愛もない忘れ去られた一コマの方が、今となってはとても懐かしく感じるのはどうしてなのか。全てが変わったと言っても良いほど、鉄道撮影において身の周りの環境に変化が生じて、こうした思い付きでシャッターを押したカットは、当時の想いをそのまま伝えてくれるような気がしている。今からでも遅くはない。目的とは違う、いわゆる「遊びカット」も今後は意識していこうと思い直している。

国鉄時代、東海道線国府津駅でのカット。ここは御殿場線との分岐駅で、当時その歴史を知って驚嘆したことを思い出す。箱根越えの丹奈トンネル開通前は東海道線だったなんて誰が思えるか・・・、当時はまだ、その栄光の歴史を物語る残照が至る所にあったと記憶している。73型電車の横に入線の165系急行「東海1号」東京行き。アントンKは、スカ色の73系が当時から好きで、何度か撮影に出向いているが、やはりそこには、身近で消えていった三鷹電車区の70・71系電車のスカ色をダブらせていたのかもしれない。

1979-03-29  御殿場線73系電車 Tc79309    東海道本線:国府津にて


春爛漫の都内を厳かに・・EF15重連

2022-03-26 17:00:00 | 国鉄時代(カラー)

ここ数日で、東京も気温が乱高下し一気に春めいてきた。近所の桜並木も昨日はやっと2~3分かな、っと思う間もなく、今日は一気に咲き揃い満開に近くなっていた。今晩からの春の嵐が心配になるが、毎年花散らしの嵐が来てヤキモキさせられることもいつもの日常に思われる。昨年よりはスローペースに思われる桜前線だが、この後どうなっていくのか楽しみでもあるのだ。

日本全国にある「染井吉野」が近年寿命とされ、また悪い病気も流行っているから、伐採して代替わりするとラジオから流れていた。そうか、そんなこともあるんだと納得してしまう。毎年決まって綺麗な花を付ける桜にも関心してしまうのだが、ここでも機関車と同じように新陳代謝が行われているとは、夢にも思わなかった。そういえば、東急沿線の桜の名所の一つでもあった洗足池の築堤の桜並木も、数年前に一気に姿を消してしまい絶句したことを思い出す。

掲載写真は、都内でも有名だった東中野の桜並木を往く当時のEF15重連の貨物列車。確認も出来ていないから、現在はどんなになっているのか不明で申し訳ないが、満開の桜に菜の花が咲き、そこを走る国電のカラーリングがまた美しく、毎年楽しみにしていたポイントだった。何と言っても、当時我々の間では有名だった午前中のEF15重連の石油列車とのコラボを狙い、何度も足を運んだことが懐かしい。行けば撮影出来たというほど甘くはなく、重連単機だったり、単機けん引でやってきたりと、思うようには撮らせてくれなかった。陸橋から覗き込むようにカメラを向けるため、どうしても手前の架線が車両にかかり、気に入らなかったことも思い出せるが、こうして時間とともに想いも熟成が進んだのか、さほど気にならなくなっている自分自身が愛おしい。

1979-04-03   5472   EF15 62+198     中央本線:東中野にて

 


花桃の里を往くかつての山男~EF64

2022-03-24 20:00:00 | 鉄道写真(EL)

世界的な感染症の影響からか、年々多客臨の設定も減少していることが明白となり、とても寂しい限りだ。マスク姿で密を避けることは、すっかり習慣化してしまったが、まだウィルス感染が完全に収束している訳ではない。今後もある程度共存していくことは覚悟しているが、かなり長い目で付き合っていく必要があるのかもしれない。そこには新たなスタンダードが生まれていることだろう。

数年前に設定があった旧客を使用した季節列車。甲州地区にだけ設定された列車だったと記憶している。ロクヨンが旧客を牽くというので出向いているようだが、客車4両でEF64のプッシュプルを見て白けてしまった想いが蘇る。昔の姿を彷彿とさせることもなく、今どきのメルヘンチックなヘッドマークが掲げられ落胆したのだった。しかしさらに枯渇した現状を考えると、これでも親しみが沸いてくるから不思議なものだ。旅客会社の機関車が減ってしまった現在、この手の季節臨もこの先望めないのかもしれない。時の流れは、待ってはくれないことを実感している。

2009-04-05 9102  レトロ桃源郷 EF64 39+旧客4両+EF64 36 JR東日本/中央本線:山梨市付近