アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

クラシックの楽しみ

2014-03-13 20:00:00 | 音楽/芸術

クラシック音楽の醍醐味はどんなところにあるのだろうか。

若い頃からよく考えていることだが、それは、まさに演奏行為にあると言わざるを得ない。同じ楽曲が演奏家たちによって全く別の光を当てられ、今まで聴いたことのない感動を与えられる。これこそが、クラシック音楽の楽しみと考えている。

アントンKにとって、その演奏行為によって衝撃を受けた、いや人生に光を与えられた指揮者は、数多くいるのだが、今こうして考えてみると、まず、ハンス・クナッパーツブッシュ(クナ)であり、セルジュ・チェリビダッケであり、そして我らが朝比奈隆という巨匠たちになる。クナの時代にもし自分が生きていたら、おそらく何を置いてもオーストリアまで出掛けていたかもしれない。現在残されている、貴重な録音(今となっては良い録音とは言えないが・・)を聴くだけで、こんなに気持ちが高ぶるのだから、是非とも実演奏に触れてみたかった。

日本にファンが多いセルジュ・チェリビダッケは、録音嫌いで有名な指揮者。今でこそ、かなりのCDが世に出ているが、生存中は、ビデオ撮影の一部に限られており、レコード録音はほとんど存在しなかった。そういう意味では、かのヘルベルト・フォン・カラヤンとは対照的だ。アントンKは、最初NHK-FMのライブ放送で、彼の演奏を聴き、度肝を抜かれた思い出がある。確か最初はドヴォルザークの「新世界より」だったと思うが、その解釈が今までの経験とはまるで違い、新しい発見がそこここに聴きとれたのだ。当時のスピーカから出てくる音に手に汗握って興奮していた若き思い出である。その後、86年のミュンヘン・フィルとの来日時に初めて実演奏に触れて以来、彼の虜になり、以後90年、93年の来日時は、プログラム全て追っかけをしてしまった。当然このころから、チェリの影響でブルックナー観も変化してきた訳だが、それにしても、彼が言っていた「レコードは音楽ではない。実際の30~40パーセントしかスピーカからは伝わらないと・・」と言っていたことが、今さらながら良く判る気がしている。確かに、実演でのあの空気感とでもいうか、微妙な感覚、目に見えないものとか、聴こえないものがチェリの演奏会にはあったし、決して録音ではそのようなものは感じられない。もう二度と実演には接することができないと思うと大変残念に思えてならない。

写真は、チェリビダッケの指揮において印象的なポーズ。左手でピストルのような形を作り、的確な指示をオケに出すことが多く見られた。



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