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●検察審査会の「起訴相当」: 郷原信郎さんの発言

2010年05月09日 00時05分18秒 | Weblog

THE JOURNALの記事。とても長いので一部抜粋。かなりトリミングしていますので、全文を是非お読みください。

 2ヶ月ほどの単純な記載時期のズレでココまで馬鹿騒ぎし、検察審査会の一般市民を起訴相当に誤誘導したわけです。呆れ果てます。
 郷原さんの本文部分に「今回の検察審査会の議決書を見て問題だと思うのは、審査申し立て人が甲となっていて、匿名だということです。なぜ審査申し立て人の名前を記載しないのか。これはまったく理解できないです」とあります。一方、郷原さんの本分末尾のコメント部分に、真偽は不明ですが、審査申立人の情報があります。sirokuma氏による2010年4月30日19:09の投稿です。そこに記載のあるブログをちらっと見たところ『在特会』の名があったり、その他の部分についても私にはとても賛同できない言説に満ちていました。審査申し立ての趣旨についていけません・・・。申し立てにはどんな裏の意図があったのでしょうか?

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【http://www.the-journal.jp/contents/
      newsspiral/2010/04/post_558.html】

郷原信郎検察審査会の「起訴相当」議決について...
                      
とんでもない議決あぜんとした

   4月28日に開催された、コンプライアンス研究センター長定例記者レクで、
   郷原信郎(ごうはら・のぶお、名城大学コンプライアンス研究センター長)氏は
   小沢幹事長の政治資金規正法違反事件についての検審「起訴相当」議決に
   ついて、以下のように発言されています。その内容を全文掲載いたします。

 昨日、陸山会の不動産取得に関連する政治資金規正法違反についての、小沢一郎氏に対する不起訴処分について、東京第5検察審査会で起訴相当という議決が出ました。よく議決書を読んでみると、とんでもない議決です。驚いたというか、あぜんとしたというのが正直なところです。
 まず、驚いたのが被疑事実ですが、平成16年の陸山会の収支報告書に、小沢一郎氏から現金で4億円借入をしたのに、それが記載されていなかったということが、今まであれだけ問題にされてきた。この年の収入がその分過少だったということが、石川氏の起訴事実になっているはずですが、それが今回、起訴相当とされた被疑事実に入っていないのです。
 ・・・
 要するに、いろいろ書いてあるけれども、土地の取得の時期が2カ月ずれていた。土地の代金の支払いの時期が2カ月ズレていた。それだけです。それはまったく私も、予想だにしなかったことです。・・・
 ・・・これは、いくら何でも政治資金規制法の趣旨目的から考えて、これだけの事実で起訴すべきだと言われても、到底起訴はできないと思いますし、検察の不起訴の結論は変わらないと思います。
 再捜査をしたところで新たな証拠が見つかる可能性はほとんどないわけです。ほとんど現時点と同じような証拠を前提にして、再度検察が判断しなければいけないわけですが。既に、検察が組織として証拠が不十分で起訴できないということを決定しているわけです。それを、今回の一回の検審の議決で覆すということはあり得ないと思います。
 しかも、起訴相当の議決で被疑事実とされたのは、単なる期ズレの問題です。時期がズレただけの問題です。これで起訴するということはあり得ないと思います。それじゃあ、4億円の収入の不記載、あるいは収入の過少記入という点を併せて起訴することができるかというと、できないと思います。すでに検察がいったん不起訴にして、今回の検察審査会の議決でも起訴相当とされた事実じゃないわけですから、検察がその点も含めて、改めて起訴すべきだと判断する理由はまったくありません
 となると、今回の起訴相当の議決はあっても、再捜査の結果、再び不起訴になる可能性が極めて強い。そうすると、今度もう一回検察審査会に行くわけです、今度は、検察官の説明で、ずれの問題だけではとても起訴なんかすることは考えられないんです、ということをよく検察が検察審査会に説明しなければいけないと思いますが、それでも検察審査会の素人的な判断はまた起訴だという判断になる可能性も相当程度あります。そうなると、今度は起訴強制ということで、指定代理人が選任されて、指定代理人が起訴の手続を取ることになります。これは私の立場から言うのもなんですが、検察にとって大変な事態です。とりわけ特捜部という組織にとっては非常にやっかいな事態、困り果てる事態になると思います。
 同じ起訴強制でも明石の歩道橋事故とか、JR西日本の福知山線の脱線事故とはまったく意味が違います。今回は特捜検察の問題、特捜部の問題です。もし起訴強制ということになれば、恐らく関連する証拠は全部指定代理人に提供しなければいけないということになると思います。
 ・・・大がかりな捜査を展開して、捜査をどんどん前に進めようとマスコミが煽ってきたために、世の中に、小沢氏が起訴されないとおかしいという、素人的な、庶民的な不満を生じさせた。そういう状態で事件を検察審査会に持っていけば、市民感覚では、起訴すべきだと、何でこれで不起訴なんだという意見になってしまうということです。しかし、処分するのは検察です。検察が果たしてそんな素人的な感覚だけでまともな処分ができるのだろうか。2回の起訴相当議決で強制起訴ということになれば、検察の処分の問題ではありませんから、別の問題になりますが、今回の起訴相当とされた被疑事実を起訴することは、少なくとも、検察が行う刑事処分としてはまったく無理だと思います。
 それからもう1つ、今回の検察審査会の議決書を見て問題だと思うのは、審査申し立て人が甲となっていて、匿名だということです。なぜ審査申し立て人の名前を記載しないのか。これはまったく理解できないです。これだけの大きな影響が生じる事件の審査を申し立てている人間ですから、自分の名前ぐらい出すのは当たり前だと思います。申立人本人が匿名を仮に希望したとしても、そんな希望は絶対受け入れるべきではないし、最初からそれ前提の審査申立であれば、そんなものは受け付けるべきではなかったと思います。・・・
 しかし、それでは石川議員は単なる記載ミスで形式犯でも逮捕して起訴していいのでしょうか。同じ国会議員。石川議員だって北海道11区で、11万人を越える有権者の支持を得て当選して、初の通常国会に臨みで議員として活動する予定だった現職の国会議員です。なぜ、ゼネコンからの裏金が含まれていることが小沢氏の起訴の条件にはなっているのに、石川議員の逮捕の条件や起訴の条件にこれがならないのか。非常に不思議です。
 要するに、こういう考え方で、自分たちが小沢というターゲットに焦点を当てて捜査を進めていくことしか頭にない、そのための手段であれば、現職の国会議員を逮捕するというのはどういう意味なんだとか、それにふさわしいだけの事実、証拠はあるのかなどほとんど考えない前のめりに、前のめりに捜査してきたことが、結果的には世の中にいろいろな誤った印象を与えてしまって、これが検察審査会の起訴強制という制度の下で、一気に今度、検察の方にそのとがめが跳ね返ってきてしまった。それが今回の問題だと思います。・・・
 小沢氏を不起訴にした段階で、なぜ不起訴にしたのかということをしっかり説明していれば、それが報道されて、起訴できないことの正しい理由が分かっていたはずです。ところが、検察は、それまでの捜査を正当化するために、負け惜しみ的な説明をした。どっちに転ぶか分からないぐらい微妙な判断で、ぎりぎり不起訴になったんだというような説明をしました。私に言わせれば、現職の国会議員の石川氏の逮捕・起訴に重大な問題があるのであって、小沢氏の方は箸にも棒にもかからないです。そこをはっきり言わないから、結局、検審の審査員にも誤った認識を与えてしまう。なぜ言えないかというと、それは捜査が最初から無茶苦茶だからです。起訴を目指して捜査すること自体が暴走なのに、それをそうだったとは言えないので、世の中に誤解を与える。それが今回のように検察のところに戻ってくるわけです。
 ずっと時計の針を戻していくと、西松建設のところまで戻るわけです。そもそもあそこであんな事件に手を付けたから、後に引けなくなってどんどん暴走に次ぐ暴走を重ねていったということも全部反省しなくちゃいけなくなるから、処分の段階で誤った説明をせざるを得ない。結局は、元を正せば西松建設事件で大久保秘書を逮捕したところにすべての原因があるわけです。
 ・・・
 ところが、今回は、検察が、特捜部が、がんがん無理な捜査をしていって、それがさすがにもうそれ以上は進めないというところまで行って力尽きた。それを「市民感覚を追い風にもう一回暴走させる方向に向けて検察審査会の起訴強制という制度が使われようとしているわけです。それは、起訴強制という制度の本来の趣旨にまったく反するものだと思います。
 ・・・しかも、検事が立証しようとしていることをずっと否認し続ければいつまでも身柄が拘束できるという、国際的にもほとんど例のないような人質司法」のシステム。これはみんな検察官のところで適正な捜査が行われ、検察官が適切な事実認定をするという前提で組み立てられているわけです。だから、この間も石川議員が起訴されたと言ったら、当然議員をやめるべきだ、議員辞職勧告決議ということになります。なぜそうなるかというと、これは裁判所の判断ではなく、検察が起訴したということが大きいのだということが前提となっているからです。
 ・・・
 投稿者:《THE JOURNAL》編集部日時:2010年4月30日17:50
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