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●「国民の6割が脱原発を望んでいるというのに自民党が大勝した理由」

2013年05月03日 00時00分44秒 | Weblog


魚住昭さんの『魚の目』(http://uonome.jp/)に出ていた記事(http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2722)。

 「国民の6割が脱原発を望んでいるというのに自民党が大勝した理由」って何だ? 自公支持者は、「原発無反省、原発推進」、「公約無視、ウソツキTPP推進」、「戦争するための壊憲」・・・いまの現状をどう見ているのでしょう?

   『●山岡俊介さんによる反原発若手〝活動家〟インタビュー
   『●東京電力人災以降も、原発推進の姿勢を変えず
   『●絶望を禁じ得ない
   『●東京都、反原発デモの日比谷公園使用を認めず
   『●『DAYS JAPAN』(2012年8月号)読了
   『●海渡雄一さんの原子力「規制」委員会人選批判
   『●消極的にしろ、積極的にしろ、「原発0%」しかない

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http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2722

わき道をゆく第19回 新年に、あのデモを想う
2013 年 4 月 4 日 魚住 昭

 昨年12月21日、久しぶりに官邸前デモに行った。寒風の吹くなか官邸前と国会正門前の各スピーチエリア周辺に数百人ずつ、合わせて1000人余りが集っていた。
 夏の最盛時に比べれば数十分の一の規模である。それに若い女性や子供連れの姿も減った。以前のように心が浮き立つ祝祭気分もまったく感じられない。逆に5日前の総選挙での自民党圧勝に衝撃を受け、沈鬱な面持をした人びとの姿ばかりが目立った
 官邸前のスピーチ台に立ったベレー帽の老女は「残念です。でもこれが日本人の現実です。私は40年来、原発反対に賭けてきましたが、闘いはこれからです。これを出発点として、この愚かな国に命を吹き込もうではありませんか」と自分に鞭打つように訴えた。
 白い ワイシャツ姿の中年男性は「一つ聞きたい。皆さんどこへ(票を)入れましたか。私は『みんな』と『未来』です。まずは我々がどこに投票するのか、ひとつに絞るべきだと思う。そうしないと勝てっこないですよ。参院選までにそこを考えましょうよ」と呼びかけた。

 たしかに国民の6割が脱原発を望んでいるというのに自民党が大勝した理由の一つは、小党乱立で脱原発票が割れたからだろう。では、どの党にどういうふうに分散したのか。担当編集者のN君らに手伝ってもらってデモ参加者にアンケートした。
 質問項目は以下の4つである。「投票にいきましたか」「小選挙区と比例代表でどの党に入れましたか」「その党を選んだ理由は」「都知事選は誰に入れましたか」。
 まずは投票率から 。質問に答えてくれた56人(男性39人、女性17人)のうち投票所に行かなかった人はわずかひとり。残り55人が足を運んでいた。総選挙の投票率が戦後最低の59・3㌫だったのに比べると、デモ参加者の選挙への関心は極めて高かったようだ。
 次に小選挙区の投票先を多い順から紹介しよう。①日本共産党19人②日本未来の党14人③みんなの党8人④社会民主党6人⑤民主党3人⑥山本太郎2人。
 比例代表は①未来23人②共産16人③社民11人④みんなと新党日本が各1人だった。

 お気づきだろうか。石原新党と合併するまでは脱原発を目玉に掲げていた日本維新の会に入れた人がひとりもいない。さすが官邸前デモの参加者である。政策のブレを見逃さない。
 ちなみに小選挙 区で民主、比例で未来に入れた自営業の男性(42歳)からは「週刊現代は維新を持ち上げるだけ持ち上げておいて、どう落とし前をつけるつもりなのか。脱原発メディアとして恥ずかしくないのか」と叱られた。やはり読者は侮りがたい。
 小選挙区でトップの共産票を分析してみよう。比例も共産に入れたというコアな支持者が19人中14人もいた。これは3・11以来、赤旗が充実した原発報道をつづけ、共産が党を挙げて反原発運動をしてきた結果を反映していると考えていいだろう。
 同じ左派でも社民はちがう。小選挙区で社民に投票した6人のうち、比例でも入れた人は2人しかいない。つまりコアな支持者が共産に比べるとかなり少ない。その割には比例で11人も入れているから、党に対する何らかの期待感はまだあるということか。
  未来は比例でダントツのトップ(23人)だった。しかも、うち10人が小選挙区でも未来に入れているから、にわか作りの「卒原発政党」にしては支持率が高い。もし民主が大飯原発の再稼働を中止し、原発ゼロへの道筋を明確に示していたら、これらの票の大半を吸収できていたろう野田政権は起死回生のチャンス をみすみす逃したのである

 都知事選は56人中27人が千葉県などの都外住民で、残り29人のうち28人が宇都宮健児氏に投票していた。猪瀬直樹氏に入れたのはひとりだけ。しかも「猪瀬さんは何をするにもどうしてあんなに偉そうなのか偉ぶるのは小物の証拠」(50代男性)「猪瀬さんは人柄が嫌な感じ悪口を楽しそうに言 う人」(30歳女性)とすこぶる評判が悪かった
 と言っても、現実に選挙で大勝したのは原発推進・改憲を目指す自民党と猪瀬氏である。暗澹とした気持ちを引きずりながら、帰りしなにN君と日本のこれからについて話し合っていたら、彼が不意に思いがけないことを言い出した。

   「実は、僕の中学・高校時代の同級生のうち5人が3・11後の
    日本に見切りをつけて海外に脱出してしまったんです。
    ひとりふたりならまだしも5人というのは多くありません?」

  N君によると、昨年4月ごろ、法科大学院を出て就職したばかりの同級生のN子さん(30歳)は年4月ごろ、「こんな国民の命を守るつもりのない国にはいられない。私は法律を勉強して国民の生命財産を守る仕事につきたかったが、 すべて虚しくなった」と言ってさっさとオーストラリアに移住してしまった。
 もう一人のU子さん(30歳)は昨年秋、証券マンの夫とともに「私たちは子供がほしい。だけどこの国では産めない」との理由で米国に移住。夫は米国の投資銀行に移籍した。
 メーカー勤務の技術者K君(30歳)は「原発も政治も経済も、日本にいてもいいことはひとつもない。海外経験を積んで、いずれは海外メーカーに移籍したい」と、会社に東南アジア勤務を申し出て異動した。他の2人も同じような理由で米国と英国に移り住んだという。

  若くて能力のある人たちにとって日本はもう希望のない国らしい。実は、私もまだ幼い自分の子どもたちを海外に脱出させたいと考えている。原発も怖いが、それ以上に戦争が怖いからだ。真面目な話、石原慎太郎=猪瀬コンビが火をつけた尖閣諸島をめぐる日中間の対立は極めて深刻だ。いつ武力衝突が起きても不思議ではない。
 幸いにして”尖閣海戦”を回避できたとしても、数年後には改憲で国防軍が創設され、やがて徴兵制を含む戦時体制が構築されていく恐れが強い。私は自分の子を兵隊にとられたくない。非国民と言われようが、卑怯者と罵られようが、いざとなったら子供たちを国外に逃がしたい
 しかし、私には悲しいことに、彼らを逃がしてやるだけのカネがない。では、いったいどうしたら彼らに平和な暮らしを与えてやれるだろうか。私は今年からその答えを真剣に探し求めるつもりである。(了)

(編集者注・これは週刊現代連載「わき道をゆく」の再録です)
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