四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

冬から春が旬である貝がそろそろ終盤、初鰹・鰈・鱸・鯵など夏の魚が出てきました。

のがみの車エビの話

2016-09-18 17:35:00 | のがみの〇〇の話
のがみの車エビの話 

 開店当初はランチ用に26/30(にじゅうろくさんじゅう=1ポンドの箱に26-30尾入り1尾16-19g)という冷凍無頭のブラックタイガー、夜の営業には有頭の車エビを使っていました。
初めのうちは知り合いの仲買さんに仕入れを一括して頼んでいました。
日々の流れを作るのが精いっぱいで毎日が過ぎていましたので、当時車エビが養殖だったのか天然だったのか天然であがった(活けじゃない)ものだったのか、まったく憶えていないということでした。
ランチ営業を辞める時、主人は言いました。
「これからは夜営業だけだから、ランチのために仕入れていた冷凍エビや養殖のサーモン、塩蔵のいくら、おもにランチのお吸い物用となっていた昆布や鰹節はやめて、本当に自分が仕入れたいと思うものだけを揃えたい」と。
それは仕入れ値も売り値も確実に跳ね上がることを意味していました。
覚悟を決めた主人はサーモンは入れないけれど季節々々で登場する桜鱒や時鮭、琵琶鱒などが入った時だけ入れる。
いくらは七月下旬から十二月まで生いくらが出回る時だけにする、車エビは無理にいつも入れないで、自分の気に入った大きさの気に入ったものが気に入った値段で入る時だけ入れる、など次々と自分の思いを表現していきました。
利尻昆布と枕崎の鰹節など腰を抜かすくらいの品質で揃えました。
特に天然の車エビにしてよかったなと思うことがありました。
活けで仕入れるので、お刺身だったり茹でたてだったりご提案のバリエーションが増えたことです。
あと天然のエビの頭のところにあるエビ味噌はスッキリ感とコクがずば抜けています。
車エビの大きさはいろいろな呼び名がありますが一例にサイマキ、マキ、クルマ、オオグルマ(マキとクルマは同じ意味の場合も)とあり、主人は25のマキ(25g)が好きでそのまた天然となると一ヶ月に一度あるかないかぐらいになってしまいます。
毎日築地でエビ専門の仲買さんに「どう?」「今日ある?」などと尋ねるものだから仲買さんは困って「養殖もホントいいもの出回ってるよ。のがみさん、(意地張ってないで)そろそろ変えたら?」と言われるそうです。
主人も養殖の良さは解ってるんです。
でも、行けるところまで頑張るとのことです。
Nogami_002_2今、築地