四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

冬から春が旬である貝がそろそろ終盤、初鰹・鰈・鱸・鯵など夏の魚が出てきました。

水ようかん習得への道

2010-01-31 23:53:52 | 水ようかん習得への道

ある定休日、主人は曙橋の『てんぷら荘司』さんに水ようかんを習いに行きました。

002_2 前の晩に浸しておいた小豆を持って行きました。

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お店を訪ねると、店主の荘司さんはレシピを手に待っていてくれました。

「豆を浸してあるところまでは出来てますよね。このあと煮て、漉し餡を作って、水ようかんを作って、冷して…と手順を踏んでやっていくと膨大な時間になるので、工程を分解して効率よくやっていきましょう。野上さんの持ってきた小豆を煮ている間に覚えることを私が一度やってみて、最後に野上さんが煮えた小豆で一通りやってみるという流れで」と荘司さん。◎漉し餡 ◎浸した寒天 ◎煮て潰すだけになっている小豆 など必要なものを用意してくださっていました。

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・寒天と漉し餡を併せる→冷し固める036 ところ

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057 ・煮上がった小豆を漉し餡にするところ

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さらし終わった小豆(晒し餡)に砂糖を入れて煮溶かすところの説明を受けていると、女将さんがいらっしゃいました。105

女将さんは旦那さんと同じお店で修業された方で146

小豆を搾るための袋を煮沸することを教えてくださったり

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出来上がった餡の扱い方などを丁寧に説明してくださいました。

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「小豆・水・砂糖・塩・寒天というシンプルな材料でつくられる水ようかんは、シンプルなだけにとても難しいということが解った」

主人は試食をしながら呟きました。

2010年の間のどこかで皆様にお出しできるよう

頑張るそうです。どうか待っていてください。

             2010年1月吉日

   

                       


「煮る」という仕事

2010-01-24 19:18:00 | 04 つきじ(みせさき)

012昔からの江戸前の仕事で「煮る」というのがあります。煮はまぐり、煮いか、煮あさり、この煮ほたてもそのひとつです。天然のムキホ(殻から取り外した帆立の貝柱部分)を湯掻いて熱をとり、醤油・酒・砂糖で調味した煮汁を冷ましてそこに浸け込みます。他の材料でもほぼ同じ工程です。実際には煮るというより火を通したものを煮汁に浸す(浸ける・漬ける)ことになります。寿司屋の板場がつけ場と呼ばれるのは、マグロのヅケや上記のすしダネのつける作業、他にも“つける”内容が多いことからの由来だと聞いています。

煮ほたてはまさに今の時季大きいものが出ていますのでタイミングが合えばにぎりで、あるいはつまみでおたのしみいただけます。。もう少し春になりますと小さい槍烏賊が出回ります。さっと煮て煮いかのにぎり、あるいは印籠詰めなどよろしいかと思います。ゴールデンウィーク頃には煮あさりが煮汁に少し生姜を効かせて登場します。ちなみにこの調理の仕方の代表格といえる煮はまぐりですが、市場から急激に減る時期があります。主人の感覚でいうと真夏と雛祭り前後です。真夏は何故だかわかりませんが、雛祭りの時季は需要が高まるので品薄になります。加えて価格が高騰しますので当店はこの期間にはあまり仕入れません。


針のかたちの針生姜

2010-01-17 16:53:00 | 07 みせのこと

020 主人が持っている本『割烹選書むきもの』志の島忠著・婦人画報社の「針生姜」という欄にはこう書いてあります。

“よく針生姜とせん切りと同じと思っている人が多いのに驚きます。針生姜は、まさしく針の形になっていなければいけません…”と。

主人は実際に切って説明をしてくれました。

「右側がこの本でいう針生姜。左が普通の針生姜。これ割烹やってた兄貴に貰った本なんだけど、オレも読むまで針生姜って左のだと思ってた」

奥付には昭和四十六年発行とあります。

針生姜の一本一本を本当に針の形に切っていたというお話でした。