tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

アンリッシュ 2

2019-02-26 00:38:18 | アンリッシュ


朝陽の眩しさに目覚めた彼・・・既に彼女の姿は見えなかった。

何時だと飛び起きてみれば、まだ早い時間だった・・・

滅多に起きた事もない時間・・・室内を眺め苦笑いだった。
本当に小さな部屋・・・扉というモノは玄関にある場所しかなかったと眺めながら歩く。

簡易に作られたバスルームであろう場所はカーテン一枚・・・今は開け放たれていた。

ソファーは誰もが昔見た・・・そんな小さな物で驚いた・・・小さな子供が見るような絵本から様々な本は壁という仕切りとして本棚に収まっていた。

可愛いキッチンだろう場所・・・カウンターは手作りのようでキッチンに誂えて出来上がっている気がした。

2つしかない椅子・・・使われてもいないような暖炉・・・必要最低限・・・本当にそれだけだった。

全ては買い整えたのではないと分かる・・・端に置かれた道具で、ここで必要なら作れとあるのだろう・・・想像も容易い気がした。

そっと身を隠す・・・門は開かれ次々と男達が運び込む・・・が、本当に敷地へ一歩・・・その場所へ置かれていった。

薄地のセーターに長めのスカート姿だった・・・足元を眺めれば、サンダルを履いていた。

激しく・・・悲し気な施錠された音は響く・・・
気にも止めない彼女は、運ばれて来た荷を確認するのように眺める・・・微笑む姿に驚いた。

笑みながら荷を持ち歩いてきた。
そういえばとキッチンを眺めれば、大きめの冷蔵庫だろう物はあった事にホッとした。

電気と確認してみれば、その特殊に包まれた配線は家の外へ出ていた事に驚いた。
辿れば線は地へ埋められ・・・生かすだけの処置・・・そんな気もして驚くしかなかった。

そんな自分の様子に何が可笑しいのか荷を置いて笑う彼女・・・気にも止めずに次の荷物を取りに向かった。

家の中へ運び込むと、小分けしながら纏め冷蔵庫へ詰め込む姿はありジッと眺めた。
冷凍庫・・・そう呼べる物もあった・・・

暫くして食事だろう旨そうな匂いが漂う・・・笑みながら作る彼女を眺めた。

歌を歌い楽し気に作る彼女に笑み見返す・・・照れたのか途切れた歌は、いつの間にかまた始まった。

そっと窓辺へ小さな皿を置く・・・よく見れば小枝で造られた十字架が飾られ出来たばかりの小分けされた料理だったと気付けた。

『一緒に暮らしてた・・・』
『(笑)バァの写真はないの・・・
今は家族の場所で眠れてるはずよ(笑)』
『通いで?』

『 ・・・私の為に・・・家族と離れ離れにされちゃってた・・・』
『居なくなってから一人で・・・』
『だね(笑)。私のたった一人の家族・・・』
悲し気な笑みで呟いた彼女は静かに食べ始めるのだった。

『お前が一番大事なのは?』
どれだと聞いてみれば、窓辺にあるものが全てのように笑み返した。
それ以外と聞いても無いのだと笑みながら答えた彼女に驚いた・・・それは確かだろうと思えるこの場所を眺めた。

少ししか食べない彼女・・・残りはと見返せば、どーぞと手前に置かれた事に驚いた。

自分の為に作ったという彼女の笑み・・・自分を観察するように眺めていた。
聞けば初めて誰かへ作ったと言った・・・確かにと思え口を引いた。

監禁されていた場所だ・・・誰一人中まで入る事もないのだろう・・・予想よりも旨い料理に笑え静かに食べる彼だった。

昨日の話は覚えていないのか、出る準備もしない彼女がいた。
敷地内に咲いていた花で、花束を作り手渡しながら礼を言った彼女を眺めた。

出れる事はないのだと心から思っていたのだろう言動も数少なく戸惑った。

本当に連れ出し、外で生きれるのかと・・・病気で外へ出れなかった人は知る・・・日々、外へと願う・・・その姿を見たい自分だった・・・出れた事の感謝に褒美をと、ただそれだけで計画を練りやって来た。

裏で伸ばされている手を立ちきりたくて考えに考えてきた・・・全てを握る彼女なら、本来の力を発揮したら親族さえ手足も出せないのだろうと。

それは予想を反して戸惑う・・・表向きは全てを奪われていた状態だったのだ・・・生き延びる為でもなく、生かされていた。

だから仕方ないと生きている気もした・・・・何より調べあげていく内に知れた事・・・そして取り合えずと来た自分達だった・・・

『出たらあなたの家族はバラバラになる・・・
殺される事もある・・・話しただけで・・・私の様子を知っただけで壊されていく』
『昔の話だろう・・・』

『去年、私を逃がそうとした人は会社まで潰されたと聞いたわ・・・
私はまた誰かを悲しませてしまう・・・昔、バァが教えてくれたの。
バァの家族は私を助けようとしてくれたの・・・だけど見つかった・・・だから何度もお願いして殺されずにすんでたの・・・
貴方から聞いて・・・嬉しかった・・・』

『お前が逃げない理由か?』
そうだと頷き笑みで返した彼女だった。

『外で生きる方法も知らない・・・
生きるのに必要な事(笑)それは働くって事なんですって・・・
私は働いてないけど・・・貰える・・・生きてたら貰える・・・だから生きて行こって・・・だから出来る事だけ頑張るの(笑)バァと約束したから』

『(笑)働く場所も探してやる・・・全部を捨てて、生きてみないか?』
『 ・・・した事もない私でも出来る事はあった?
あなたもバレず・・・見つからずに過ごせる場所なんてあった?』

『 ・・・ここみたいに安全な場所ではない・・・数多くの人達が住む場所で生きてみるか?』
『 ・・・』
『(笑)名を変え生き直す・・・そんな場所・・・自分で生きたいと想える場所を探せ(笑)。
それがどんな場所か(笑)俺は知らない・・・お前が叶え生きて行けばいいだけだ・・・ここではない場所で』

それだけだと言った自分を眺める彼女の目は迷っている気がした。

『バァの眠る場所を探してくれる?』
『分かった。時間はかかるぞ?その人の家族は今、外国で暮らしてるそうだ』

『 ・・・最初だけ・・・外の暮らしに慣れるまで・・・貴方が私に教えてくれますか?』
『怖いよな・・・構わないが・・・』
『バァとの思い出があるココだから本当は離れたくないけど・・・』

『一人は寂しいとか?』
『(笑)自分しかいなかった・・・誰かと話した事も少ない・・・寂しいと思えたのはバァが居なくなってから・・・
今は慣れて大丈夫です・・・約束を胸にしまってきたから・・・』

だから平気だという彼女の姿を眺めた。
孤独という場所しかしらない彼女・・・それを知らずに当たり前だと生きてきたようだった。

出た事で味わう彼女自身は大丈夫かと、勝手に連れ出そうとしている自身に苦笑いをした。

迎えの時間も迫る・・・取り合えず連れ出してみるかと彼女を眺めるのだった。


利用されているのに知らずに生かされてきた彼女・・・怯えもない・・・生きるという約束だけで日々を過ごしてきた。

何処で生かすかと考えれば、それは兄が住む場所しか思い当たらなかった。
裏手へ浸る兄・・・暴れまくり大元を壊し自分でのしあがった。

裏の世界・・・手を汚さずとも蔓延る場所で生き延び誰一人、手出しも出来なくなった。

その場から出なければ狙われる事もない・・・その手に交じれば誰かへ渡される事もない。

既に親は縁をきった・・・十代の頃から家を出た兄・・・稼いだと、自分と遊んでくれる兄は嫌いではなかった。

何より声にはしないが約束は必ず守る・・・回りへ揺らぐ約束でも、引き受ければ成し遂げた。

だから自分は情報を探り会社を起こし親との縁もきって生きてきた。
最近になり跡継ぎと呼び戻されたが利用しようと兄と相談し今日まできたのだ。

犯罪と一般的にいう出来事は簡単に手を染めていく自分の親と知るほどに早々に手を切った自分を誉めた。

先に出た兄の言葉は本当だったと 肩を落とした自分に、今のうちに力をつけろと教えられてきた。

だから今がある・・・その場へ連れ出して行けるが、どう生かそうと考える彼だった。