先日ご提案させて頂いたプランをご紹介。
と同時に、こちらの施主様との話の中で、私の設計に対する考えを再認識する事ができました。
ちょっと長い文になりそうですが、その事をブログで語ってみます…
床面積が22.25坪 またまた
超ちっさい住まいです
(長期優良住宅の認定条件の必要面積に、達しない小ささ
)
敷地面積が小さい案件なのか? いいえ
敷地は約100坪もあります
最近の小さな住まい↓
・
篭場のほぼ平屋住宅 中新の平屋
・
下大浦の小さな小さな家
近年、小さい家専門の設計事務所
ネイティブディメンションズの鈴木さんとの距離がグッと近くなったせいか、弊社でも床面積が20坪台という極端に小さい家が増えてきました
完全に感染しています
恐ろしい感染力です
話を戻します
今物件では、敷地の面積に十分な余裕があり、日照条件も比較的良好な立地での設計依頼です。
これだと何百通りでもプランが考えられますね。無限大です
そこで、施主様のご要望をヒアリング
ぼんやりとした抽象的な話から、具体的な細かな話まで
しかし、弊社の設計ではその具体的な細かな要望は、
ほぼ設計に取入れません
施主様の話を聞いていなかったのか? いいえ違います
ちょっと乱暴な表現になりますが、
弊社では
「施主の要望よりも敷地に従います!」
(ヤバイかな? お客さん来なくなっちゃうかな…
)
ちょっと長いですが、ちゃんとご説明しますので以下を読んでください
これから家を建てようとする方は、一生懸命に勉強しています。(プロもタジタジなくらい
)
雑誌や書籍を読み、見学会に参加し、家族と話し合って、どんな住まいを建てたいか検討します。
「広いリビングがほしい」「吹抜けが欲しい」「ウッドデッキがほしい」「畳コーナーがほしい」・・・
今まで見て来たもの中から。そう
「良い所取り」で。
しかし、これから家を建てようとする敷地は唯一無二の立地。
今まで自分達が見てきた住まいとは違うのです。今まで見たことがない住まいを設計するのです。
施主様が住まいを建ててから亡くなるまで40年?50年?
住宅ローンが完済するまでの期間を35年としても
この期間に、好みや流行、ライフスタイル、考え方など必ず変わっていきます。
「こんなに広い家は要らなかったな…
」「当時流行りで〇〇調のインテリアにしたけど、今は…
」
自分だけでなく周りの環境はもっと激変しているかもしれません。
逆に今から35年前を振り返ってみると…
今とは全然違う環境でしたよね? っえ?まだ生まれていない
また、私はたびたびこんなを経験します。
何年か前に住まいのご相談に来られたお客様が「いよいよ本格的に新築します
」って数年ぶりにご相談に。
すると、ご要望は以前とは変わってしまっています。ほんの2~3年でですよ
よく
「家は3回建てないと思い通りにならない。」なんて言いますが
当たり前です。「思い」や「要望」が変わるからです。
何回建ててもムリなんです。
人の好みや考えはとても流動的なんです。
百歩譲って自分が変わらないにしても、周りの環境は大きく変わります
つまり、竣工した時点でご家族にとって100点満点
の住まいだったとしても、
その後にどんどん点数が下がり、35年間経過した時に平均点が落第点
になってしまう。
そんな事が十分に考えられるんです。
建築士としては、この35年ではなくその住まいが解体されてなくなるまでの50年? 60年?
そこまで考慮して長期間価値が続くものを設計する必要があります。
おそらく、
施主様より建物の方が長生きをします
施主様の特異な趣味趣向で作られた住まいは、施主様が亡くなった瞬間に、住まいとしての価値がゼロになってしまします
将来その住まいの持ち主が代わる可能性も大きくあります。お亡くなりになったり、世代が変わったり、何かの都合で住まいを手放したり・・・
そう考えると、施主様が一生懸命に本を読んで見学して勉強した数か月間のほんの一時の考えに
私達建築士が「施主様の細かなご要望まで100%応えます!」って設計してしまうのは、ちょっと違う気がしています
人の好みや考えは流動的です。全く変わらないものなどないのかもしれませんが、少なくとも施主様のご要望と比較すると、立地の条件というのは大きくは変わらないものだと思います。
施主様に住んで頂ける期間はもちろんですが、その後の期間も含めて
住まいとしての価値が長期間にわたり維持出来れば、より建築士としての役割を果たせるのだと思います。(この考えを施主様に押し付けるつもりはありません
)
そこで、弊社としては、施主様のご要望を考慮しつつも、まずは立地条件を十分に活かした設計を第一に考えています。
施主様の好みやライフスタイルが変わっても、万が一
住む人が変わっても快適に暮らして頂ける住まいのご提案です。
弊社の手掛けてきた住まいはとても個性的です。
でもこの個性は全て、
施主様の個性ではなく、立地の個性です。
この敷地で、どうやったら良好な日射が取得できるか?どうやったらプライバシーが確保されるか?など、みんな違う個性をもった立地条件に対応すべく工夫した結果、個性的な住まいになっているのです。
そこで、今回ご提案させて頂いたプランは、立地条件には大きな「難」がない。
よって、今物件は「無難な」「スタンダード」なプランをご提案させて頂きました。
(これがこの住まいの素敵な
個性になる)
こちらの施主様には、私の住まいに対する考えに共感頂き
こちらのプランにも、とても喜んで頂きました
床面積22.25坪の平屋の小さな住まいです。
冬の日射取得を増やし、夏の日射を最小限にする、東西に細長い間取り。
フレキシブルで自由な使い方ができる間取りです。
ご家族が工夫して様々な暮らし方ができる間取りです。
あ~ 記事が相当長くなっちゃったけど
もう一つ。
このパースの中には、普通の量産型のアルミのカーポートがありますよね。
意匠設計にある程度こだわりのある建築士なら、ちょっとコレは避けますよね。
私もずっとそうでした。
雪や雨の多い新潟県では、超便利なのはわかるけど
せっかく外壁材やデザイン、オリジナリティにこだわった住まいの前に
ポンとこの既製品が置かれるのは・・・ ね
でもね。最近、私そうじゃないって思うんです
考えが変わりました
どう変わったかは、またの機会にお話しますね
(そうなんです
私の考えだって時間が経てば変わっちゃうんです
)
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