大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2020年10月05日 | 植物

<3187> 大和の花 (1121) ヤブタバコ (薮煙草)                                                 キク科 ヤブタバコ属

                

 人里近くの薮地や山道の傍などに生える1、2年草で、太い茎が直立、途中で成長が止まり、そこから放射状に長い枝を横に伸ばし、高さ30センチから1メートルほどになる。葉は根生葉、下部の茎葉、上部の枝葉からなり、大きい根生葉は花時には枯れてなくなる。茎葉は長さが20センチほどの長楕円形で、この根生葉と茎葉がタバコの葉に似るのでこの名がつけられたという。枝葉は5センチから10センチほどの長楕円形で、先に向かって順に小さくなる。

 花期は9月から10月ごろで、各枝の葉腋にほとんど柄のない直径1センチばかりの黄色の頭花を下向きに1個ずつつける。頭花は筒状花ばかりで、舌状花はなく、中心部に両性花、外側に雌性花を配置している。総苞は鐘状球形で、総苞片は3列する。実は痩果で、臭気があり、粘液を出して動物などにくっついて運ばれるようになっている。

 北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布し、国外では朝鮮半島から中国に見られるという。大和(奈良県)では山道でときおり出会う。シュウブンソウやガンクビソウに似て、類似種にコヤブタバコがある。なお、本種は天名精(てんめいせい)の生薬名で知られ、全草の粉末を軟膏にして塗布すると火傷などに効くという。 写真はヤブタバコの花枝(左)と花のアップ(右)。    仲秋や同行二人の旅よけれ


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