<3511> 余聞 余話 「ウイズコロナ」
マスクして人と隔たる異常の身ウイズコロナのウイズの不安
新型コロナウイルスはワクチンの接種率が上がって国民の半分は接種している状況にあるようであるが、ウイルスは変異して感染力を増し、若年層にも影響する威力をもって今に至っている。ワクチンの接種が行き届けば、感染も収束するという楽観的雰囲気が為政者に感じられるが、変異株の猛威はその雰囲気を打ち砕くがごとくで、新型コロナウイルスの変異は未来を不透明にし、私たちを不安にさせている。
この状況下、インフルエンザのイの字も聞かなくなったが、これを新型コロナウイルスの感染状況に重ねてみるに、直接的関係はないにしても、明らかに影響していると思える。つまり、インフルエンザは新型コロナウイルスよりも感染力において弱く、よって新型コロナウイルスに対処することで、インフルエンザの予防が出来、インフルエンザを撲滅状態に止めている。そして、新型コロナウイルスは五波に及ぶ勢いで猛威を振るっている。
ということは、新型コロナウイルスがインフルエンザと入れ代わり、その威を振るい、人間社会を悩ませるという今後の予想が成り立つ。で、「ウイズコロナ」というような言葉も発せられるに至った。ウイズはwhitで、「一緒に」という意。つまり、このウイルスは撲滅が難しいので、ウイルスとともに行かなくてはならないという。言わば、これは人間側の一種あきらめに似た対処を意味する。
しかし、この「ウイズコロナ」の考えも、手をこまねいていては猛威の感染は収まらず、社会の混乱を酷くする。今、猛威を振るっているデルタ株はもっと強力な変異株に置き換わるかも知れない。こういうことも想定されるであろうから、十分なワクチンの供給確保は欠かせないし、治療薬の開発も待たれる。とにかく、「ウイズコロナ」という言葉は聞こえのよいものであるが、ウイズ(whit)における体制が整って行かなければ、いつまでも混乱が続くことになる。
例えば、ワクチンについて、二回で終わるのではなく、インフルエンザ並に打てる状況が確立されるべきであり、治療薬の開発も必須である。「ウイズコロナ」を言うのであれば、この予防、または治療の在り方の確立、言ってみれば、感染症に対するバックアップ体制が整っていなくてはならないということになる。果たして、ワクチン投与のその後の実施計画などは政府の考えの中にあるのであろうか。いつまでも付け焼刃では不安をつのらせる。
写真は今後ずっと手放せないかも知れないマスク(左が不織布、右が布。布マスクは効果が薄いというので今は使用していない)。