<3665> 余聞 余話 「新型コロナウイルスの変異オミクロン株の猛威に思う」
収まらぬ試練そこここコロナ禍の猛威オミクロン株への心理
予想通りと言えるところ、今年に入って新型コロナウイルスの変異オミクロン株の猛威による感染拡大が全国的に起き、収まる気配なく進行している。感染者数の状況を示すグラフによると、現在のオミクロン株の猛威は第六波ということになる。この波を覗うに、新型コロナウイルスには変異を重ねて活動する特質に沿って活動していることが考えられる。ということは、オミクロン株が終息状況に至り、収まりを見せる次も新規の変異株が現われ、同じような感染者状況の波、即ち、第七波が来ると想定して置いた方がよいということになる。
オミクロン株の特徴は従来型に比べて感染力が強く、幼児や子供にも感染が見られ、爆発的な流行性を有するようであるが、無症状や軽症で済むケースが多く、ウイルスが肺に及んで肺炎を起こす感染者が少なく、ほとんど重症に至らないと報告されている。こうした状況下にあってオミクロン株は爆発的に陽性者を増やしているというのが現在進行形で、取りざたされているわけである。
こうした状況にあって、この新型コロナウイルスに対する伝染病における制度の法的カテゴリーに異議を唱える声があげられ、一つの議論になっていることがある。新型コロナウイルスはカテゴリー2に分類され、現在は保健所が取り仕切り、感染者は保健所への報告義務が課せられ、感染者が増えると窓口の保健所は当然のごとく繁忙になり、機能不全に陥ることになって、医療体制に混乱を来すということが起きる。
この状況に対する対案として表明され、議論になっているのが、カテゴリー2からインフルエンザと同じ普通の風邪扱いとするカテゴリー5に引き下げる案が出されている次第である。この案は新型コロナウイルスに対する考え方の違いによるところからの発想で、このウイルスが従来のインフルエンザとかわらない深刻度にあり、重症者が少ないオミクロン株では一層その引き下げが妥当であるという。
この考えは一案だとは思われるが、新型コロナウイルスが変異の激しい未知数のウイルスであることと、社会全体の心理的状況を加味して考えるとき、カテゴリーを変更するにはあまりにも安易でポジティブ過ぎると思える。
それは何故か。第七波の起きる可能性は捨て切れず、その第七波の主役がどのような変異株になるか、誰も言い当てることの出来ない不明のことで、安易に変更することはできないというのが常識的なところであると考えられるからである。そして、今一つはカテゴリーを2から5に変えてインフルエンザと同じように対処し、普通のカゼと同じく、取り扱いを一般診療に移行したとして、そこでの混乱は起きないかという懸念があること、感染者が増えれば混乱が起きる可能性は限りなく高くなり問題化されることになるということが言えるからである。
というのは、インフルエンザでは、新型コロナウイルスほどには感染力がなく、新型コロナウイルスの流行以来、インフルエンザの流行が見られないことがある。これは社会全体において人々がマスクの励行を怠らないことが大きく影響していると思える。つまり、インフルエンザのウイルスは新型コロナウイルスよりも感染力が低いからではないかということがある。規制を緩めてカテゴリーを5にしたらマスクの励行も緩んで感染を拡大させることになる。
これに加え、インフルエンザへの対処は、予防のワクチン接種も、検査方法も一定程度確立され、治療薬も整っている。これに対し、新型コロナウイルスはどうだろうと考えるに、感染力が強いこと、予防のワクチンが不十分で、検査も覚束なく、治療薬も整っていないという点があげられ、これをインフルエンザと比較してみると明らかに新型コロナウイルスに対する対処の現状は劣悪で、整っておらず、このままカテゴリーを引き下げて、2から5にすれば、保健所の業務は軽減されるだろうが、社会的混乱はいよいよ増すことになる。
ゆえに、この新型コロナウイルスに対するカテゴリーを直ちに2から5に引き下げる案には賛成し難いと言える。 写真は新型コロナウイルスによる一月二十九日の感染状況を表した日本列島の図(NHK総合テレビによる)。