山梨のワインのブログ

山梨の酒屋の4代目が、ワインを中心に、山梨の酒を、愛を込めて書き溜めます。

山梨の古酒ワイン

2009-08-30 18:43:46 | ワイン四方山話
 フランスワインには、オールドビンテージと呼ばれる古酒ワインがあります。何万円もする高価格ワインですね。
 山梨にはあるのでしょうか。有名ではありませんが、よく探すとあるのです。
 
 山梨と言えば、甲州種ワイン。甲州種ワインは白ワインです。フランスのオールドビンテージワインの大半は赤ワイン。赤ワインの方が熟成に適していて、白ワインは熟成させるより、どんどん飲むべきと言われています。
 
 だから、そんなに多くありません。また、ワイナリーが熟成させていたのは、何年後かに販売しようというより、実験的な意味合いが強いようです。どんな感じになるかなあ、と。そして、飲んだら美味しかったので、販売しようか、という雰囲気です。
 
 まずはマルスワイン(本坊酒造、石和町)の「お待たせわいん」。甲州種の葡萄が豊作だった1999年に作られ、2000年に瓶詰め、すぐに販売され「10年後に飲んでください」とありました。1,5㍑のマグナムボトル2500円。最近まで販売されていましたが、ついにメーカー品切れ。
 
 同じくマルスワインの「甲州10年古酒」。こちらは、メーカーで10年間、瓶熟成させ販売、720mlで3000円弱。私はこの2つのワイン、中身は同じでは、と思っています。自分で熟成させれば半額で済みました。どちらもやや甘口。
 
 次は麻屋葡萄酒(勝沼)の30年古酒「匠」と「濃厚古酒」。どちらも一升瓶。30年です。これは凄い。まず瓶が透明瓶です。今はほとんど見かけません。30年前、一升瓶はほとんどが透明瓶だったんですね。現在は、光害を防ぐため、茶瓶か緑瓶が主流です。「匠」はワイナリーで熟成させた、そのままの状態で今回販売したため、王冠が錆びていたり、瓶が汚れていたり。味は紹興酒のような感じでしょうか。
 
 「濃厚古酒」は、「匠」をワインらしくするため、甘味果実酒を混ぜ、甘口にしました。こちらは、瓶詰めをやり直したので、新しい瓶です。
 
次は赤ワイン、白百合醸造(勝沼町)の30年古酒「アニバーサリー」。ブラッククイーン種100%。ブラッククイーン種は、日本のワインの父と言われる新潟の偉人、川上善兵衛氏の改良した品種で、色は濃いが飲みやすい赤。3000円弱で500本限定。
 
 海外のワインに比べて、価格が安いのが嬉しいですね。もっと多くのワイナリーが販売してくると面白くなりそうです。
 

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国産ワインコンクール

2009-08-07 18:03:00 | ワイン四方山話
 去る8月7日に、第7回国産ワインコンクールの結果が発表されました。国産ワインコンクールは日本で最も大きいワインコンテストです。
 山梨県民にとって、気になる甲州種ワイン(辛口部門)の結果は、金賞で第1位に、中央葡萄酒(勝沼)の「グレイス グリド甲州」、金賞第2位に同じ中央葡萄酒の「グレイス 甲州菱山畑」という、同じワイナリーが1,2位を獲得する結果になりました。
 中央葡萄酒は、銀賞14位にも「グレイス甲州」が入賞、この「グレイス甲州」は、昨年の同コンクール甲州種辛口部門で第1位に輝いたワインで、今年の「第12回ジャパンワインチャレンジ」の甲州種ワイン部門でも第1位を獲得。甲州種ワインでは、中央葡萄酒のワインは、頭一つ他のワイナリーをリードしていると言っていいでしょう。
 他のワイナリー(サントリー、メルシャン、マンズなど大手ワイナリーは割愛させていただきます)の甲州種辛口では、ベスト10に、フジッコワイナリー(勝沼)と丸藤葡萄酒(ルバイヤート、勝沼)が各2アイテム、本坊酒造(マルスワイン、石和)、ダイヤモンド酒造(シャンテ、勝沼)も入賞しました。
 フジッコワイナリーは、佃煮で有名な食品メーカーで、ワインは50年前から山梨で造っています。ワインの品質では定評がありますが、佃煮のイメージがあるので、社名を変更したい、との声も。丸藤葡萄酒は、いち早く国産葡萄100%を提唱したメーカーで、どこよりも早くヨーロッパの高級葡萄品種を山梨で栽培したメーカーです。本坊酒造の親会社は、「桜島」で有名な鹿児島の焼酎メーカーで、永く山梨のワイン業界をリードしてきました。ダイヤモンド酒造は、山梨のワイナリーの若手経営者が集まる「アサンブラージュ」の一員で、このグループは今後注目です。
 甲州種中口・甘口部門は、銀賞第1位(金賞該当無し)に大泉葡萄酒(勝沼)「香り甲州」が選ばれました。大泉葡萄酒は、勝沼町が明治10年、ヨーロッパにワイン留学に派遣した2人の青年の一人土屋龍憲氏が設立したワイナリーが前身。一升瓶ワインにも力を入れる老舗です。2位にはフジッコワイナリーが入賞。
 紙面の関係で今回は甲州種のみの紹介になりましたが、赤ワインでも健闘が光りました。詳細は「国産ワインコンクール」で検索してみてください。

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中央葡萄酒 恐るべし

2009-08-07 15:52:46 | ワイン四方山話
 日本で最も大きいワインコンテスト「第7回国産ワインコンクール」が2009年7月29日から31日まで、山梨で行われ、8月7日に結果発表がありました。
 
 このコンテスト、全国23道府県、101ワイナリー、680点のワインが出品され、13部門で、すべてのワインに点数が付けられます。
 コンテストに出品できる条件としては、原料の葡萄が国産であること、720ml換算で1000本以上販売するワイン、などがあります。

 13ある部門で注目するのは甲州種部門。この部門にエントリーするのは、ほとんどがが山梨のワイナリーですが、何番目になるかで、そのワイナリーの実力が判るので、各ワイナリー注目です。

 さて、甲州種辛口部門(辛口の他に、甘口・中口部門があります)の金賞(20点満点中17.5点以上のワイン)は、中央葡萄酒(勝沼)の「グレイス グリド甲州」と「グレイス 甲州菱山畑」が受賞。同じ部門での、ダブル受賞は初と思われます。

 中央葡萄酒は、昨年も同部門で、「グレイス甲州」が金賞を受賞、同ワイナリーの甲州種ワインは、すべて金賞を受賞しました。
 また、先の7月31日に発表があった、今年で12回を数える「ジャパンワインチャレンジ」の甲州種ワイン部門でも、中央葡萄酒の「グレイス甲州」はカテゴリー賞の第1位を獲得。今回の国産ワインコンテストの2冠と、ジャパンワインチャレンジのカデゴリー賞で3冠です。

 ワイナリーによって、経営方針がいろいろあるでしょう。赤ワインに力を注いだり、原料の葡萄を100%国産にしたり、1000円前後のワインを懸命に作ったり・・・。その中で、中央葡萄酒は甲州種ワインに力を入れてきました。地元勝沼だけでなく、標高の高い北杜市にも農場を確保して、甲州種を栽培しています。サントリーやメルシャンといった大手ワイナリーが、ヨーロッパ系葡萄品種にシフトするなか、愚直なまでに甲州種に特化してきた経営方針が今、花開いています。
 
 「グレイス甲州」と「甲州菱山畑」はメーカーにも在庫がありますが、「グリド甲州」は生産量が少ないため、市場にはあまり出回らないそうです。
 

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