野球少年は夢を見る…

Hanshin Tigers Series 2024

球児の「魂」(19日・東京ドーム)

2005-04-20 22:34:42 | Tokyo Giants
【2回表】に「悩める男」鳥谷敬のタイムリーで先制したタイガース。【7回表】にも矢野輝弘の3ラン等で一挙、7点をもぎ取り、久々のビッグ・イニング。「8対0」の大量リードで、久々に左団扇で試合が見られると思ったら、【8回裏】に継ぎ込んだ若手投手が「不甲斐なく」5失点。【8回裏】途中から「想定外」のストッパー久保田智之を投入して、「8対5」辛くも逃げ切った。こんな試合をやっていては……。

 一昨年の「4.11」「8対8」の教訓が活かされていない。あれが星野仙一監督だったら、迷いなく、【8回裏】から左腕ジェフ・ウィリアムスを投入するか、藤川球児に2イニングスも任せるか、しただろう。監督が代われば、こうも変わるか? 岡田彰布監督もあのとき「内野守備コーチ」として、ダッグアウトに入っていたハズだが……。「岡田色」を打ち出そうとして、前監督時代にチームが得た「教訓」まで棄て去る必要は、ない。

 しかし、そんな首脳陣の期待に応えられない3番手、左腕・中村泰広と、4番手・桟原将司に大いに問題がある。中村はすっかり「チキン・ハート」であることが衆目の認識となった。いい球を持ちながら、大観衆のマウンドに上がると、ストライクが入らなくなる。東京ドームの巨人戦とはいえ、「8対0」の大量点差がついた「楽な」場面。ホームラン一発を打たれても、誰も彼を責める者はいなかっただろう。そんな大らかな場面で「ちびりまくった」左腕。球団の編成部は、そろそろ彼の「進路」を考えることになるかもしれない。

 そして桟原。昨シーズンのデビュー当時は150キロ台の「豪速球」連発で、胸のすくピッチングをしていたのに、1年経って、どうしてこれほどまでに変われるか? 1年前の「怖いもの知らず」が、昨シーズン途中、どこかで「怖さ」を知って、彼も「ちびりまくって」いた。中村と桟原、揃って、20日付けでファームに降格し、杉山直久とダーウィン・クビアンの昇格が決まった。「ちびりまくり」の連鎖は続くか、それとも断ち切れるか?

 そんな中、一人、リリーフ陣で奮闘したのが、2番手・藤川。【7回裏】二岡智宏、高橋由伸を連続三振! 4番・清原和博にも、初球ストレート(141㎞)でズバッとストライクを取り、2球目(141㎞)にインコースを突き(ボール)、そして3球目(142㎞)のインコースで詰まらせ、サードファウルフライ。「あの」清原をストレート勝負で詰まらせる男「球児」。高知商業の先輩・中西「球道」清起ピッチング・コーチの≪魂≫を受け継いでいるか?

 先発の左腕・ベテラン下柳剛も、ジャイアンツ打線相手に6イニングスを0封(2安打)。相変わらずキラーぶりを発揮している。キャンプ、オープン戦では超スロー調整で、「飛ばしまくる」若手投手陣を尻目にマイペースを貫いていたが、いつの間にか「開幕」に合わせてきて、3連勝で防御率1.59。おじさん、健在。それに較べて、若手の不甲斐なさ、際立つ一戦。若手はなかなか、下柳のレヴェルは目指せないだろうが、せめて「同世代の」球児の「思い切りの良さ」が欲しい。
Shimoyanagi.com

“鳥谷心中”(17日・ナゴヤドーム)

2005-04-18 19:17:40 | Nagoya Dragons
 先発・能見篤史が左脹脛に違和感を訴えて、3回終了で降板。その後、中継ぎ投手を繋いで、何とか【5回表】に挙げた、代打・浅井良のホームランによる「1点」を守り抜こうとしたタイガースだが、追加点のチャンスを悉く8番・鳥谷敬で潰し、“鳥谷心中”。中継ぎ投手陣の襷(たすき)リレーも、【8回裏】のジェフ・ウィリアムスの乱調で途絶え、「1対2」逆転を食らい、2カード連続の「1勝2敗」負け越しとなった。後に引く負け方、だ。

 鳥谷は【2回表】【4回表】のチャンスで連続三振。ドラゴンズのベテラン左腕「天敵」山本昌に「軽く」捻られた。【7回表】のノーアウト1塁のチャンスでも、送りバントに失敗。ここは久慈照嘉がいれば、代打・久慈なのだが、久慈がいなくても、ここは大事な場面。代打・秀太で送りバントでも良かった。「1対0」を守り抜こうと投手リレーで「執念」を見せながら、こんなところで若手(早稲田の後輩)を育てる「甘さ」を見せる。岡田彰布監督、その「資質」を疑わざるを得ない。「本気」で勝つ(優勝する)気があるのか?

「執念」の投手リレーも、左腕ウィリアムスを継ぎ込んだのは、ドラゴンズの右の代打の切り札、高橋光信、1番・荒木雅博、2番・井端弘和が控える「右シフト」。ここに左腕をぶつけた、愚かさは明らかな「戦術」ミス。2番手で好投した江草仁貴を引っ張るなり、間に左腕・吉野誠を入れ込むなり、4番手の藤川球児のタイミングをズラすなり、あるいは【8回裏】から「右の」桟原将司を突っ込むなり、策は在ったはず、だ。

 しかし、こんな愚かな「負け」試合でも、「1対0」以降の投手と打者との息詰まる対決には、見応えがあった。特に2イニングスを「担当」した4番手・藤川のピッチング。
 2番・井端に初球(145㎞)真ん中でストライク。2球目(144㎞)も外角低め一杯に決まるが、判定は「ボール」。球審の気紛れに翻弄される。この日の球審・小林和公。それならば、と3球目(138㎞)ほぼ真ん中で「ストライク」。何を待っている、井端? 4球目(144㎞)ファウル。5球目(144㎞)は高めに浮いて、「2-2」。勝負球の6球目は「何と」意表を突いて、カーヴ(110㎞)。しかし、これを待っていた井端。センターへ大飛球が飛んだが、赤星憲広の守備範囲。狙い球は「カーヴ」だったか。

 3番・立浪和義には、初球フォーク(135㎞)で空振り。初球の真っ直ぐ狙いを読み切っていたバッテリー。2球目はシュート(136㎞)で「ボール」。これも微妙な判定。外角には「辛い」今日の球審・小林。「1-1」とりあえずカウントを整えたがる「癖」があるのだろう。3球目もシュート(135㎞)が外れて、4球目はカーヴ(114㎞)で空振り。5球目(144㎞)、6球目のフォーク(136㎞)はカットされ、7球目(147㎞)で詰まらせ、セカンドゴロ。球児の勝ち。

 4番・タイロン・ウッズには、初球(147㎞)外角低めに決まるが、やはり、球審が採らない。「ボール」の判定。ならば、と真ん中高めに2球目(147㎞)を投げ込み、空振り奪取。「手負いの」ウッズに強気(大胆)な攻めで挑むバッテリー。それにしても、この藤川の球威!! 3球目(133㎞)はスピードを殺して、バックネット裏に打ち上げさせ、キャッチャーへのファウルフライに打ち取る。

【7回裏】は福留孝介から三振。【8回裏】に殊勲の逆転タイムリーを放つ福留だが、初球は立浪と同じく、フォーク(138㎞)から入り、福留は振らず。2球目も意表を突いて、フォーク(134㎞)。これも見逃し。この辺のキャッチャー矢野輝弘の配球に、【8回裏】に打たれる伏線がある。福留には何故か、変化球から入る、矢野。3球目(148㎞)は、この日の最速で「ストライク」。4球目(148㎞)も最速で、矢野のマスクを弾き飛ばして、ファウル。

 1対1(プラス1)の息詰まる「死闘」。こういうときは、テレビの音声を消すに限る。5球目(146㎞)のイン・ハイで、空振り三振! 見事なピッチング!! このリードが何故、【8回裏】にできなかった? 【8回裏】2アウト満塁で打者、福留、投手・久保田智之で、変化球を3球続けて、3球目を打たれた矢野。配球を読まれていたか。3球続けて、裏を掻いたつもりが、「表」(タイムリーヒット)が出た。矢野は悔やんでいる、だろう。

 6番アレックス・オチョアには、カーヴを続けて「2ストライク」。3球目(144㎞)の外角低めは計算通りに外して、4球目(148㎞)は外角低めに決めに行ったが、今日の主審は絶対にこのコースは採らない。意地でも採らない。「信じられない」という顔で固まる藤川だが、気を取り直して、5球目(147㎞)同じ球を投げたが、これを「ストライク」だと判断しているアレックス、流し打って、ライト線に際どくファウル。6球目はカーヴ(117㎞)。完全にタイミングを狂わされたアレックス。打ち上げて、ファーストフライ。球児の勝ち。

 7番・森野将彦には、3球目(146㎞)をセンター前に弾き返される。【5回裏】にランナーを置いて、三振を食らった森野。ベンチに下がっても非常に悔しそうな顔をしていたが、その悔しさを晴らすため、この打席に懸けていた。執念が伝わってくるヒット。8番・谷繁元信を迎えて、嫌な展開になるが、初球(134㎞)を打たせて、ファウル。谷繁も歯を食いしばり、フルスイングで挑んでくる!

 2球目(148㎞)は見送られ、3球目(144㎞)は「ストライク」。外角低めに決まったが、球審は手を挙げた。意外そうにバットを持ったまま、前のめりになる谷繁。4球目(145㎞)も外角低めにビシッと決まったが、今度は採らない。今度はマウンドの藤川が仁王立ちになる番、だ。外角低目を「採ったり」「採らなかったり」、球審に翻弄されるプレイヤー達。マウンド上でセットして、焦らしに焦らして、1塁へ牽制球。「2-2」からの勝負球はフォーク(135㎞)。これを打たせて、セカンドゴロ。球児の勝ち。

 2イニングスを0に封じ込んだ、4番手・藤川。しかし、NEXTバッター・サークルには、背番号「0」高橋がいた。藤川が必死に繋いだ襷(たすき)は、襷の意味が分からない(!?)「外国人」ウィリアムスが破いた。好投が報われず。しかし、セットアッパー球児の株は上がるばかり。投手陣は「いい」。打線が報いの一打を打たなければ……明日(19日)から東京ドームに乗り込んで、先週と裏返しのカード、読売ジャイアンツと3連戦。試練は続きそうだ。

「鬼門」脱出!(16日・ナゴヤドーム)

2005-04-17 22:45:42 | Nagoya Dragons
 1番・荒木雅博を「2-2」に追い込みながら、5球目(128㎞)6球目(126㎞)、いずれもスライダーがお辞儀して、タイガース先発、安藤優也、やはりランナーを背負わないと調子が出ないか? 2番・井端弘和には初球の外角ストレート(141㎞)を打たせて、ライト・ファウルフライ。3番・立浪和義も内角のストレート(143㎞)で空振り三振! 荒木には盗塁を許すも(赤星、スマン!)4番「左手小指骨折中」タイロン・ウッズを「0-3」から、スライダー(128㎞)を打たせて、ショートゴロ。

【2回裏】も2アウト後に、7番・森野将彦、8番・谷繁元信に連打を浴びるが、9番・山井大介をショートゴロ。【3回裏】も2アウト後、3番・立浪にレフト前に運ばれが、4番ウッズをサードゴロ。しかし、これをサード今岡誠が送球エラー!! 苦労して打ち取ったのに、3塁側ベンチに帰りかけていたのに、マウンドに引き戻された安藤。持つべきものは「名サード」。しかし、このピンチも5番・福留孝介をショートゴロに打ち取った。

 破局が訪れたのは、【4回裏】。先頭のアレックス・オチョアに「2-1」に追い込みながら、コースを狙いすぎて、四球。しかし、「2-2」からの7球目のストレート(143㎞)は「ストライク」だった。キャッチャー・矢野輝弘は内角に構えて、「逆球」気味にやや真ん中に決まった「明らかな」ストライク。球審の判定は「ボール」。明らかに球審の「誤審」だ。キャッチャーが内角に構えて、「次はインコースに来る」と身構えているから、不意にキャッチャーのミットが動くと、「ボール」とコールしてしまう。球はド真ん中に来ていたのに……!! これにはキャッチャーの矢野もマウンド上の安藤もガックリ。自己批判しろっ、この日の球審・笠原政春(!)。得てして、こういう審判のミスジャッジで試合は動く。

「強気(健気)な」バッテリーは、8球目(142㎞)9球目(139㎞)も同じ球で勝負を挑むが、8球目はアレックスにカットされ、9球目は内角に近すぎて、四球。思わず、マウンドの土を蹴り上げる、安藤。気持ちが伝わってくる。矢野からの返球を受けながら、球審を一睨みする安藤。そんな安藤の心理を当然、見透かしていた7番・森野。初球のストレート(141㎞)を狙い打って、センター前にクリーンヒット!! 「快足」アレックスは3塁を狙うが、赤星憲広の好返球でタッチアウト。救われたのは、球審か?

 1アウト2塁。少しホッとした安藤だが、8番・谷繁に「0-2」。3球目、ストライクを取りに来たストレート(144㎞)が真ん中高めに入った。これを逃さず打たれ、ライトの頭上を破るツーベース!! 2塁ランナーが還って、「0対1」ドラゴンズが先制点。安藤は球審の1球の判定に泣かされた。あれからリズムを狂わし、精神の均衡を乱し、球が高めに集まった。誤審も野球の一部とはいえ、あれは「酷すぎた」。安藤は「可哀相」だった。ジャッジを下すのも人間なら、プレーをするのも人間、感情の生き物、だ。

【6回表】タイガース。その感情を目一杯、凹ませてきた男、この日「初スタメン」関本健太郎がタイムリーヒットを放って、「1対1」同点に追いつくのだから、これも「野球」。2アウト、1,2塁で、意地で放ったセンター前ヒット! これが長かった今シーズン(7打数0安打)初ヒット!! 1塁ベース上で力強くガッツポーズ! 3塁ベース上の遠くから、桧山進次郎に声を掛けられ、思わず「白い歯」を見せる関本。共に開幕から不遇を囲ってきた者同士の「連帯」か。

 球審の「オイタ」で急速に流れが変わった、この試合は「男」関本の同点タイムリーで流れを引き寄せたタイガースが、磐石の投手リレーでドラゴンズ打線を封じ込め、延長【10回表】に、これも泥臭い男たち、中村豊と、スタメンを関本に譲った藤本敦士の連打でチャンスメークし、3番アンディー・シーツのタイムリーで「2対1」。【10回裏】は2イニングス目の久保田智之がパーフェクトに抑え、タイガースは3連敗から脱出。「鬼門」ナゴヤドームでの連敗も「12」で止めた。

遅すぎた反撃(15日・ナゴヤドーム)

2005-04-16 14:17:51 | Nagoya Dragons
 ホームランを打った金本知憲に笑顔はない。それはそうだろう。【9回表】のこの時点で、「0対6」。一歩的なリードを許し、2ランで2点を返して、「2対6」。ここまでドラゴンズのルーキー中田賢一に抑え込まれてきた。タイガースの先発、太陽は早々に4失点を喫し、2番手のファームから昇格して来たばかりの左腕・中村泰広も2失点。一歩的な展開で“鬼門”のナゴヤドーム、このままズルズル敗退するかと思われたが、「4番」金本が意地の一発。後に続けるか?

 ドラゴンズは2番手にこれもルーキー・鈴木善広を送る、舐めた継投。「チビッタ」鈴木はストライクが入らず、5番・今岡誠、6番シェーン・スペンサーに連続四球(フォアボール)。グラウンドコートを脱ぎ捨て、余裕の笑顔で登場、落合博満監督。3番手に平井正史を告げて、このベテラン平井が、7番・鳥谷敬を見逃し三振。「2-0」からアウトコースにストレート(147㎞)をズバッと決めた。1球遊んでくると、思ったのか、それともフォークが来ると読んだか、見逃しはない、だろっ……この【9回表】両軍の若さが弾けている。

 しかし、タイガースには、8番に矢野輝弘がいた。ストレートに滅法強い矢野にストレート勝負を挑んで、144㎞、これを叩いて、打球はレフトスタンドへ。この土壇場で3ランホームランが飛び出して、「5対6」。さらに代打・町田公二郎が145㎞を振り抜いて、右中間を破るツーベース! さらに打者・赤星憲広のとき、ワイルドピッチで1アウト、3塁になる。

 しかし、赤星。「2-2」から平井の150㎞に空振り三振。続く藤本敦士も149㎞をファウル、150㎞を見逃して、2ストライク。土壇場の土壇場に来て、球威が増してきた平井。最後は3球勝負でフォーク(138㎞)を打たせて、セカンドゴロ。藤本はファーストへヘッドスライディングを試みるが、余裕でアウト。ゲームセット。反撃及ばず……遅すぎた反撃、多すぎた序盤の失点、3連敗。

 太陽は先発ローテーションから外すべきだろう。ファームで好調の杉山直久、あるいは、新外国人のジェイミー・ブラウンの昇格を急ぐべきだ。そして停滞気味の打線。藤本は今日も5タコ(ノーヒット)。ベースに頭から突っ込むことでしか、チームに貢献できない。打線の組替えに着手するか、それとも藤本を信頼し続けるか? そろそろ関本健太郎の「出番」だろう。この「想定外」の長期ベンチウオーマー待遇で、クサっていなければいいのだが……。

長嶋一茂、鎮座(13日・甲子園)

2005-04-15 12:50:59 | Koushien Stadium
 5回まで「0」に抑えていた、タイガース先発、エース・井川慶。しかし【6回表】1番・仁志敏久、2番・二岡智宏に連続して三遊間を抜かれ、ノーアウト1,2塁。3番・高橋由伸にも「0-2」にして、ストライクを取りに行ったチェンジアップ(124㎞)を叩かれ、ライト線にツーベース!! テレビのゲスト解説、長嶋一茂(読売巨人軍球団代表特別補佐)の「おおしっ!」が腹立たしい。何故、オマエはそこにいるのか? 一人還って、「2対1」。1点差に詰め寄られる。

 ここで昨日(12日)の先発・ベテラン下柳剛は踏ん張って、最少失点の1点に留めたのだが、「エース」はどうか? 続く4番・清原和博も歩かせ、ノーアウト満塁。「絶不調」5番タフィー・ローズは三振に打ち取ったものの、6番・小久保裕紀にライトに犠牲フライを打たれ、「2対2」同点。ベンチに戻って、笑みを噛み殺す小久保。オマエも何故、そこにいるのか?

 マウンド上、明らかに意気消沈した「エース」井川。7番「安全牌」ゲーブ・キャプラーに「何となく」初球、ストレートでストライクを取って、ストレートの「次は」チェンジアップ。これが高めに浮いたところをキャプラーに痛打され、3塁ランナー還って、「2対3」。ジャイアンツ、勝ち越し。粘れなかった井川。下柳とは「年季」が違う、ということか? しかし、この1点は痛かった。防げる1点だった。井川の気持ちが許した失点。

 タイガース打線は【4回裏】に5番・今岡誠、6番・桧山進次郎の東洋大学・先輩、後輩コンビの連続ホームランで、2点を先取したが、その後は先発、ベテラン・工藤公康、左腕・林昌範らに抑えられた。昨日(12日)の大勝(8対1)の気の緩みか?  
 中でも、3番アンディー・シーツ、4番・金本知憲がノーヒットで、完全に「ブレーキ」になった。このチームは打線のチームではない。投手が5回まで試合を作って、競り合いの中で点を重ねて、勝ちを拾っていくチーム。それが先週の広島市民球場で打ちまくり、ビッグ・イニングを何度も作ったことで、この打線、本来のバランスを崩してしまったか?

 タイガースの2番手は、ルーキー・橋本健太郎。「三振」か「四球」かの、このピッチャーは【8回裏】に「三振」2つと「四球」3つで、2アウト満塁のピンチを迎えたが、代わった3番手・吉野誠が、代打・清水隆行を打ち取って、事なきを得た。この場面、8番・阿部慎之助への四球は、キャッチャー矢野輝弘の計算だったか? 9番の林まで回して、打ちあぐんでいる林をマウンドから下ろす作戦だったか? 

 しかし、その策謀も実らず、【8回裏】は3番手、ジャイアンツの「全力疾走男」ブライアン・シコースキーを攻略して、2アウト満塁まで攻め込んだが、1番・赤星憲広が、4番手の左腕・佐藤宏志に打ち取られ、万事休す。【9回裏】は「不振」の3人、藤本敦士、シーツ、金本が、ジャイアンツのNewストッパー・久保裕也に抑え込まれ、ゲームセット。

 これで「1勝1敗」。しかし明日(14日)勝てば「いい」という計算も出来るが、「流れ」というか「勢い」というか、そんなものが、ジャイアンツに傾きつつある、ことは否めない。開幕から「2勝7敗」、低迷していたジャイアンツが「伝統の一戦」タイガース戦で、「きっかけ」を掴んだ印象がある。明日も苦しいだろう。明日の先発は、福原忍と上原浩治。両者とも「中5日」の無理を押して、出陣する。

赤星に「MVP」コールを!(12日・甲子園)

2005-04-14 21:50:56 | Koushien Stadium
 3回までノーヒットに抑えていた、タイガース先発、左腕・下柳剛。【4回表】1アウト後、3番・高橋由伸に四球(デッドボール)。4番・清原和博にサード内野安打(今岡誠のジャッジミスか?)。5番・タフィー・ローズにも四球(フォアボール)を与え、満塁。6番・小久保裕紀にライト前ヒットを浴び、「1対1」同点。雨が降り続く中、なお満塁のピンチが続くが、7番・ゲーブ・キャプラー、8番・阿部慎之助を打ち取り、最少失点の1点で切り抜けた。ベテラン、粘りのピッチング。

【5回表】にも、ヒットと四球2つで、2アウト満塁のピンチを招くが、5番ローズをセンターフライに討ち取って、危機「脱出」。この下柳の「粘り」のピッチングが、試合を「破局」から救い、ゲームメイクして見せ、味方の反撃を呼び込むことになる。【4回裏】に一挙4点、【5回裏】に1点。【6回裏】にも、かつての同僚、伊達昌司を打ち込んで、駄目押しの2点。「8対1」初戦でタイガースが「快勝」した。

 試合後のヒーローインタヴューで、この日(2試合連続)「4安打」の赤星憲広が「優勝宣言」。「去年、悔しい思いをしたので、今年は絶対優勝しようと思ってやっています」「明日も明後日も勝ちます」この言葉を聴いたとき、今年の「MVP」は赤星で決まりだな、と思った。タイガースファンは「走れ、走れ」と連呼するよりも、「MVP」コールをした方がいい。タイガースが優勝すれば、の話だが……

 しかし気になるプレーがあった。【6回裏】先頭の赤星が、左中間を破るスリーベース(3塁打)。センターのキャプラーがメジャーリーグ時代にもよく見せていたハッスル・ダイビング・プレー及ばず、打球を後方に逸らし、左中間の一番深いところへ。当然、ランニング・ホームランを狙える箇所だったが、赤星は3塁にストップ。「STOP」を掛けたのは、またしても「慎重居士」3塁ベースコーチ・吉竹春樹か。

 雨も降り続き、下がぬかるんでいるし、無理をさせなかったのか? 結局、このランナーが、相手バッテリーミスで生還できたから、いいようなものの、この場面「5対1」4点差が付いていても、遮二無二に「次の塁」を狙う意欲と「GO」サインが欲しかった。明日に繋がらなければいい、と思ったが……こういう小さなところから「綻び」は生じるもの。

 試合後のジャイアンツのダッグアウト裏で、キャッチャーの阿部が「ちくしょう!」と吐き棄てた、という。試合中にミスを連発し、ピッチャーも満足にリードできなかった。言葉の力は強い。言霊(ことだま)の力……「ちくしょう!」と「絶対優勝する!」。果たして、どちらの言葉(言霊)が強いか、どちらが勝つか? とりあえず、明日(13日)その結果が示される。

“大魔神”が救う(10日・甲子園)

2005-04-12 12:07:36 | Koushien Stadium
 前日(9日)の完勝(4対1)に続いて、この日も先制のチャンス、【3回裏】先頭の7番・鳥谷敬がレフト前ヒットで出塁して、8番・矢野輝弘もフォアボール(四球)を選んで、ノーアウト一・二塁。9番・能見篤史には当然、送り(犠牲)バントが要求されたが、経験の少ないルーキー、社会人野球(大阪ガス)時代もほとんどバットを握ることがなかったであろう、能見には難しい局面だった。バント失敗、三塁で鳥谷封殺。

 しかし、ここでこの日「4安打を放つ」1番・赤星憲広がセンター前ヒット! 二塁ランナー矢野は三塁を回って、ホームを窺うが、三塁ベースコーチャー・吉竹春樹は「STOP」の指示。しかし、センターからの送球は大きく逸れて、帰っていれば、ホームインだった。吉竹の判断ミス、だ。この日のベイスターズのセンターは多村仁。これが「強肩」金城龍彦なら「STOP」で正解だが、多村なら、突っ込ませるべきだった。三塁ベースコーチャーを育てることも大事、だ。この後、藤本敦士が併殺に倒れて、先制のチャンスを逃す。

【5回裏】にも、先頭の8番・矢野が一・二塁間を抜いて、出塁。9番・能見がプレッシャーに打ち克ち、今度は送りバントを決めて、1アウト、二塁。お膳立てが出来て、1番「この日、誕生日」の赤星がライトへ大飛球! バースデーアーチかと誰もが祝福の用意をしたが、ライトフェンス最上段に当たるツーベース!! この当たりで、二塁ランナー矢野はハーフウェイ、だったのだろう。慌てて、三塁を回るが、今度はライトから好返球が返って来て、矢野は三・本間に挟まれて、タッチアウト! これも吉竹のミスジャッジか? 今度は突っ込ませたが、ライトは金城。判断が「逆」だった。三塁コーチはかくも高度な判断を要求される。その後、藤本がセンターフライで万事休す。

 嫌な流れ。得点が取れそうで取れない。【8回裏】も先頭の赤星が三遊間を抜いて、出塁するが、二盗に失敗。タイミングはアウトだったが、赤星の足が一瞬速く入っていた。それを見逃した二塁・塁審(敷田直人)。赤星も思わず「(足が)入っているヨ!」と思わず声を上げる。この後、藤本、3番・アンディー・シーツにヒットが連なって、今岡誠のフォアボール(四球)で、2アウト満塁まで攻め込むが、6番・シェーン・スペンサーが外角のスライダーを空振り三振!

 こういうときは負けムード。流れが一気に敵方に向かう。【9回表】登板した左腕ジェフ・ウィリアムスが、いきなり連続ツーベースを浴びて、「0対1」。均衡、破れる。野球とは、こういうもの。しかし、この後、1アウト三塁で、7番・村田修一がピッチャーゴロ。飛び出した三塁ランナー・代走の野中信吾が、三・本間に挟まれて、タッチアウト。しかし、ノータッチを主張した野中がホームインして、三塁側ダッグアウトからも手を振りながら、猛抗議の開始。

 スローVTRで見れば、確かに「空タッチ」に見える。事実、そうなのだろう。しかし、この場面、飛び出した三塁ランナーが「セオリー」を逸脱している。セオリーを重視する審判が「セオリー」通りに判定を下した、に過ぎない。それとも、【8回裏】の二塁・塁審の誤審に対する、球審(佐々木昌信)の「いってこい」、タイガースへの「返礼」だったか? これも「野球」。【8回裏】に「得」をしたベイスターズは、【9回表】に「得」を一つ返礼させられた。しかし、この「1点」が重く圧し掛かってくるのだが……。

【9回裏】のマウンドには、“大魔神”佐々木主浩。しかし既に“大魔神”の威厳も風格も、ない。メジャーリーグで優勝争いをしていたチーム(シアトル・マリナーズ)で、連日・登板で酷使させられ、壊された“大魔神”。ストレートが走らない、フォークのキレが鈍い、だから日本に帰ってきたのだが、日本でも通用しなくなっていた。2アウトは取ったものの、代打・町田公二郎にフォークを掬われ、赤星に4安打目のヒットをセンター前に持って行かれ、一・二塁。最後は藤本に左中間を抜かれ、逆転サヨナラ負け!!

 この日、古巣マリナーズも「6対4」で迎えた【9回表】に、新クローザー、エディー・グアダードが2本のホームランを浴びて、「6対7」で逆転された。シアトルの観客は「ササキがいればな……」と嘆いたことだろうが、現在の佐々木はこれ、だ。この状態。『DAIMAJIN』と電光掲示板に踊った、シアトル・セーフコ・フィールドの名物が、今は遠い昔。「抜け殻」となった佐々木に多くを望むのは「酷」。かつての名ストッパー、牛島和彦監督が「介錯」を引き受けるべきだろう。

「先発転向」成功!(9日・甲子園)

2005-04-11 22:18:10 | Koushien Stadium
 先発転向の安藤優也。その一球一球に先発に適合できるのか否か、注目が集まる。初球は143㎞の速球で外角に「ストライク」。2球目も速球(144㎞)同じコースで「ボール」。3球目はカーヴ(110㎞)がすっぽ抜け気味。4球目は速球(147㎞)で内角を突いて、ボール「1-3」。嫌な予感が走る……5球目、逆球(134㎞)でストライク。勝負の6球目は「強気に」内角を速球(144㎞)で突いて、ボテボテのセカンドゴロ。ベイスターズの1番・石井琢朗から、まずは「1アウト」奪取。

 2番「クセ者」種田仁にも、初球(139㎞)内角を突いて、「ボール」。2球目(141㎞)でファウルを打たせて、3球目のスライダー(130㎞)は曲がりが中途半端で「ボール」。4球目(131㎞)も続けて、セカンドゴロ。3番・金城龍彦にも、初球スライダー(130㎞)でストライク。2球目(132㎞)も続けて、ファウルを打たせ、「2-0」から3球勝負のフォーク(133㎞)は「好調」金城が手を出さず。そして4球目(122㎞)を打たせて、ショートゴロ。

【2回表】先頭の4番・佐伯貴弘は初球(127㎞)を打って、サードゴロ。5番・多村仁には、初球(146㎞)外角で「ストライク」。2球目、キャッチャー矢野輝弘は内角高めにボール球を要求するが、投じたシュートは、バッター多村の右腕に直撃し、デッドボール。そんな細かなコントロールを安藤に要求するのは「酷」。策士・矢野、策に溺れた形だが、ランナー多村の盗塁を余裕の送球で刺して、面目躍如。安藤を助ける。6番「安全牌」ケヴィン・ウイットには「2-3」にしながら、「145㎞」渾身の内角(高め)ストレートで空振り三振!

【3回表】7番「1発のある」村田修一には、初球カーヴ(112㎞)で入って、外角にストライク。2球目は一転、外角に速球(133㎞)で空振り。3球目にスライダー(133㎞)を同じく外角に落として、「2-1」。4球目も同じくスライダー(132㎞)今度は「空振り」三振! 矢野の配球が冴え渡っている。それに応える安藤も「見事!!」。

 8番・相川亮二には、初球(136㎞)で体(内角)を起こして(突いて)、2球目(138㎞)に外角に配して、ストライク。3球目、矢野が内角に構えるが、逆球(145㎞)になって、ファウル。4球目、今度も逆球(145㎞)でファウル。5球目、今度は矢野が外角に構えて、その通りに速球(146㎞)が来て、3連続ファウル。粘る相川。こいつも「曲(クセ)者」の類。キャッチャー同士、策士同士の「読み合い」が続く。6球目は意表を突いて、カーヴ(116㎞)これを打たされた相川、サードゴロ。矢野の「勝利」。

【4回表】打者一巡。先頭の石井に「0-3」。先発の「疲れ」が多少出てきたか? 「2-3」まで給金するが、結局フォアボール(四球)。2番・種田がバントの構えから、ヒットエンドランを決めて、ノーアウト、一・三塁。本家「曲者」にやられた。3番・金城のショートゴロ併殺の間に、3塁ランナーが生還して、「0対1」ベイスターズが先制。

 しかし、その裏、4番・金本知憲の「300号」ホームランで逆転! 【5回裏】にも、3番・アンディー・シーツのタイムリー等で追加点。「4対1」。投げては先発・安藤が、4回以降も散発の4安打に封じ、【9回裏】からはクローザー、久保田智之。いきなり2連打を喫し、ヒヤリとさせたが、後続を遮断し、逃げ切った。勝ちゲームを2試合続けて落とし、重苦しいムードになっていたが、ようやく払拭できたか? 「先発転向」安藤の好投が大きい。

 そういえば、今日の久保田は、最初に対した石井に全部ストレート。「151㎞」「150㎞」「152㎞」「153㎞」。最後は「2-2」からの5球目の「153㎞」を叩かれたが、変化球を多投した前夜(8日)から一転、強気の真っ直ぐ勝負だった。3点差の成せる業か? 2番・種田には「150㎞」の後、初めてスライダー(135㎞)を投げたが、3球目(136㎞)も続けて、4球目は「150㎞」でファウル。「2-2」にして、勝負球に「今度は」スライダー(138㎞)を選び、“曲者”にライト前に持っていかれた。

「一発で同点」の場面になったが、その後は3番・金城を速球(148㎞)で捻じ伏せ、ショートフライ。4番・佐伯をスライダー(132㎞)でファーストゴロ。最後は5番・多村をストライク先行で「2-0」に追い込み、3球目は「155㎞」の豪速球で1球外し、4球目は同じく外角に「153㎞」で空振り三振! 久保田もようやく「開幕」した。力で捻じ伏せて、最後を締めることが出来た。守護神(クローザー)も万全になった。「先発転向」安藤にも目途が立った。後は「エース」のみか……? 

重苦しさの連鎖…(8日・甲子園)

2005-04-10 23:18:30 | Koushien Stadium
 前夜(7日)に痛い逆転サヨナラ負け(「9-10X」)を喫し、移動日なしで、対横浜ベイスターズ3連戦の初戦。地元・甲子園球場に戻ってきたとはいえ、前夜の重苦しいムードを引きずってきたか? タイガース先発の福原忍、初回に1番・石井琢朗に「2-1」に追い込みながら、センター前にゴロで転がるヒットを許し、ノーアウト1塁。送り(犠牲)バントを決められた後、3番・金城龍彦にこれもセンター前にゴロで転がるヒットで、1点を先制される。初回から嫌なムード。重苦しさの連鎖は続く……

 重苦しさや連鎖を断ち切るのは、「4番」の仕事。【2回裏】金本知憲が、レフト線にツーベースで出塁。5番・今岡誠が「最低限」ランナーを進めようとするが、ベイスターズ先発・三浦大輔のシュートに詰まらされ、セカンドフライ。「選手会長」今岡。広島で痛いエラーをしているし、ここは何としても、金本に続きたかっただろうが……6番・今シーズン「初スタメン」桧山進次郎。

 今シーズン未だ2打席。未だノーヒット。「選手会長」の任を離れても、チームを思う気持ちは「人並み外れている」だろう。個人としても「結果」が欲しい。そのダブルの思いが、サード前ボテボテの当たりが内野安打になる。「1対1」同点。さらに【4回裏】に金本、今岡の連打で「2対1」。「主役」の活躍で、タイガースは試合を優位に進める。

 福原は2回以降、立ち直った。初回は心の隙を突かれたのかもしれないが、その後は安定したピッチング。その風格は正に「エース」。名目上の「エース」井川慶が、キャンプ・オープン戦の調整の失敗で、完全に出遅れている中、福原が「1年早く」名実共にタイガースの「エース」に君臨しそうだ。その期待感もあったのだろう。【8回裏】の打席でも代打が送られず、【9回表】のマウンドに上がった。しかし、これが裏目に……

 本来なら、クローザー久保田智之の投入だろう。それが「定石」。しかし、前夜サヨナラ負けを喫した「次の日」だけに、久保田は使いにくかった。そこまでの信頼感はまだ「ない」のだろう。「まだ若い…」と首脳陣は見ているのだろう。福原、続投。それは、ギャンブル。1アウトを取ったものの、そこから3連打を喫し、「2対2」同点に追いつかれる。どれも打ち取った当たり、総て投げ勝っていたのだが、ヒットは3つ連なった。これを「不運」と呼ぶべきか、それとも首脳陣のミスと……。「連鎖」は続いていた。

 延長【12回表】のマウンドには、口を真一文字にした久保田。前夜の悔しさ(「情けなさ」)、今日の大事な場面で起用されなかった悔しさ、総てをぶつけるように……初球はスライダー(137㎞)。気合が入り過ぎているであろう、久保田を諌めるように、キャッチャー矢野輝弘の要求はスライダー。そして2球目に152㎞(!)。3球目はスライダー(136㎞)でファウル。4球目もスライダー(139㎞)空振り三振! スイングした5番・多村仁が意外そうな顔で、マウンドを見やる。100%「真っ直ぐ」を読んでいたのだろう。

 続く小池正晃の初球にもスライダー(133㎞)を振らせ、2球目は一転、「144㎞」で空振り! 3球目(134㎞)4球目(136㎞)スライダーを続けて、「連続」空振り三振。真っ直ぐ狙いの打者の意表を突く、矢野の好リード、だ。7番・村田修一には、初球「152㎞」で突っ込み、「読んでいたであろう」2球目のスライダー(136㎞)を打たせて、センターフライ。3人でピシャリと抑えて、その裏の味方の最後の攻撃に望みを繋いだが……。

「2対2」日本プロ野球、ローカル・ルールにより、延長【12回】終了で「引き分け」。初戦で「連鎖」は断ち切れなかった。重苦しいムードは続く……。

広池、特攻!(7日・広島市民)

2005-04-08 14:30:44 | Hiroshima Carp
「2対2」の同点で迎えた【4回裏】バッターは5番・前田智徳。初球カーヴ(115㎞)がすっぽ抜け。2球目、ストレート(143㎞)を空振りした3球目。マウンド上には、タイガース先発「エース」井川慶。この空振りで自信(過信)を持った井川。同じコースにストレート(144㎞)。これを振り抜いた前田。打球はライトスタンドに一直線に飛び込む、勝ち越しのホームラン! 「2対3」。やはり、前田は「怖い」。ベテランの意地炸裂!! 地元で3連敗は何としても阻止する、という気迫が漲る。

 しかし、今年のタイガースはもっと「怖い」。【6回表】カープの先発・高橋建に2アウトを取られながら、この日「5打数1安打」だった6番シェーン・スペンサーが、この日唯一のヒットをレフトスタンドに放り込む! 「3対3」。尚も“新・恐怖の7番打者”鳥谷敬がセンター前(内野安打)にヒットを飛ばし、8番・矢野輝弘に「繋ぎ」、矢野が「2-2」からの高めの“クソボール”を振り抜き、打球はレフトスタンドへ! 矢野が「8番」に座っていることこそ、“恐怖”そのものだろう。「5対3」タイガースが逆転に成功!

「エース」井川が普通の調子なら、このまま逃げ切れただろうが、今日の井川は「普通」ではなかった。今シーズンは、と言い直すべきか? 【6回裏】先頭の新井貴浩に「0-3」にして、四球(フォアボール)。そこから、4番・嶋重宣、5番・前田、6番・木村拓也に3連打を浴びて、「5対5」同点。マウンドにいるのが「エース」でなければ、「交代」を命じられていただろう。球は走らず、変化球(チェンジアップ)は悉く高めに浮く。最悪のピッチング!! さらに「サード」今岡誠のエラーで「痛い」6点目を喫する。サード正面の何でもない、ゴロだった。恐れていたことが現出した!

 タイガースは尚も【7回表】にアンディー・シーツの2ランで勝ち越すが、その裏に藤川球児とジェフ・ウィリアムスの「共同作業」で1点を失い、「7対7」同点。【9回表】に「信じられないことに」再びシーツに2ランが生まれ、「9対7」。誰もが「勝利」を確信したが、【9回裏】緊迫した場面での抑えは、今シーズン初めてになる、クローザー久保田智之。此処は広島市民球場。2点差は「セーフティー・リード」ではない。しかも地元ファンの熱狂的な応援で異様なムードに包まれている。結末は……「9対10」サヨナラ負け!!

 久保田はオープン戦を無失点で切り抜け、地元【ABC】や【MBS】のアナウンサーや解説者がこぞって「絶好調!」と囃し立てていたが、決してそうは思わなかった。球は速いが、棒球気味だし、これが「怖いな…」と思っていたが、案の定だった。やられた。クローザーで試合を落とした。しかし、元はといえば、先発の「エース」が普通に試合を作っていれば、こんな試合展開にはならなかったのだが……しかし、カープの気迫も凄かった。【8回裏】にはピッチャーが2塁にヘッドスライディングして、盗塁を成功させていた。

 そのピッチャー=広池浩司。昨日(6日)に続き、今日(7日)も登板したが、シーツにこの日、2回目の勝ち越し2ランを喫した。【9回裏】のベンチで、タオルで顔を覆い、嗚咽していた広池。その広池をも救う、このカープのサヨナラ勝利。やはり「気迫」。それが大事。広島市民球場の熱狂的なムードが呼び込んだのか、それとも選手の気迫がスタンドに伝染したのか? タイガースは仕切り直し。明日(8日)からホーム・甲子園球場に帰って、「天敵」三浦大輔(横浜ベイスターズ)を迎え討つ。