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Hanshin Tigers Series 2024

重苦しさの連鎖…(8日・甲子園)

2005-04-10 23:18:30 | Koushien Stadium
 前夜(7日)に痛い逆転サヨナラ負け(「9-10X」)を喫し、移動日なしで、対横浜ベイスターズ3連戦の初戦。地元・甲子園球場に戻ってきたとはいえ、前夜の重苦しいムードを引きずってきたか? タイガース先発の福原忍、初回に1番・石井琢朗に「2-1」に追い込みながら、センター前にゴロで転がるヒットを許し、ノーアウト1塁。送り(犠牲)バントを決められた後、3番・金城龍彦にこれもセンター前にゴロで転がるヒットで、1点を先制される。初回から嫌なムード。重苦しさの連鎖は続く……

 重苦しさや連鎖を断ち切るのは、「4番」の仕事。【2回裏】金本知憲が、レフト線にツーベースで出塁。5番・今岡誠が「最低限」ランナーを進めようとするが、ベイスターズ先発・三浦大輔のシュートに詰まらされ、セカンドフライ。「選手会長」今岡。広島で痛いエラーをしているし、ここは何としても、金本に続きたかっただろうが……6番・今シーズン「初スタメン」桧山進次郎。

 今シーズン未だ2打席。未だノーヒット。「選手会長」の任を離れても、チームを思う気持ちは「人並み外れている」だろう。個人としても「結果」が欲しい。そのダブルの思いが、サード前ボテボテの当たりが内野安打になる。「1対1」同点。さらに【4回裏】に金本、今岡の連打で「2対1」。「主役」の活躍で、タイガースは試合を優位に進める。

 福原は2回以降、立ち直った。初回は心の隙を突かれたのかもしれないが、その後は安定したピッチング。その風格は正に「エース」。名目上の「エース」井川慶が、キャンプ・オープン戦の調整の失敗で、完全に出遅れている中、福原が「1年早く」名実共にタイガースの「エース」に君臨しそうだ。その期待感もあったのだろう。【8回裏】の打席でも代打が送られず、【9回表】のマウンドに上がった。しかし、これが裏目に……

 本来なら、クローザー久保田智之の投入だろう。それが「定石」。しかし、前夜サヨナラ負けを喫した「次の日」だけに、久保田は使いにくかった。そこまでの信頼感はまだ「ない」のだろう。「まだ若い…」と首脳陣は見ているのだろう。福原、続投。それは、ギャンブル。1アウトを取ったものの、そこから3連打を喫し、「2対2」同点に追いつかれる。どれも打ち取った当たり、総て投げ勝っていたのだが、ヒットは3つ連なった。これを「不運」と呼ぶべきか、それとも首脳陣のミスと……。「連鎖」は続いていた。

 延長【12回表】のマウンドには、口を真一文字にした久保田。前夜の悔しさ(「情けなさ」)、今日の大事な場面で起用されなかった悔しさ、総てをぶつけるように……初球はスライダー(137㎞)。気合が入り過ぎているであろう、久保田を諌めるように、キャッチャー矢野輝弘の要求はスライダー。そして2球目に152㎞(!)。3球目はスライダー(136㎞)でファウル。4球目もスライダー(139㎞)空振り三振! スイングした5番・多村仁が意外そうな顔で、マウンドを見やる。100%「真っ直ぐ」を読んでいたのだろう。

 続く小池正晃の初球にもスライダー(133㎞)を振らせ、2球目は一転、「144㎞」で空振り! 3球目(134㎞)4球目(136㎞)スライダーを続けて、「連続」空振り三振。真っ直ぐ狙いの打者の意表を突く、矢野の好リード、だ。7番・村田修一には、初球「152㎞」で突っ込み、「読んでいたであろう」2球目のスライダー(136㎞)を打たせて、センターフライ。3人でピシャリと抑えて、その裏の味方の最後の攻撃に望みを繋いだが……。

「2対2」日本プロ野球、ローカル・ルールにより、延長【12回】終了で「引き分け」。初戦で「連鎖」は断ち切れなかった。重苦しいムードは続く……。