情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h23.html
総務省から8月に情報通信白書が出ています。
特に「第1部 東日本大震災における情報通信の状況」では、23年5月までの状況をもとに、情報通信の状況を見ているのが参考になります。
以下、聴覚障害者と通信の関係で参考になりそうな部分を抜粋。
第1部 東日本大震災における情報通信の状況
■ICTインフラに対する甚大な被害
1)通信
・固定電話 最大約100万回線(NTT東日本)が不通 ※東北地方の回線契約数は約270万契約
・携帯電話・PHS 最大約29,000基地局(5社)が停波 ※東北・関東地方の基地局数は約137,500局
震災直後、輻そうが発生し、各社、通信規制を実施
2)放送
東北、関東地方で最大時120か所のテレビジョン中継局が停波
3)郵政
3県で最大583局が閉鎖 ※3県の郵便局数は1,103局
■ICTメディアの果たした役割
1)情報の流通手段が多様化
例・放送事業者のインターネット同時配信
・公共機関のソーシャルメディアによる情報発信
2)震災直後から情報が発信される
例 ・ソーシャルメディアを通じたリアルタイム情報発信
3)国民が情報発信主体となる
例 ・臨時災害放送局 ・各種連携による被災地支援プロジェクト
4)情報が抽出、整理され配信される
例 ・「まとめサイト」の登場 ・情報弱者向けの震災情報等の発信
■課題例
1)災害に強いICTインフラ
ICTを活用した様々な取組も、その多くが、ICTインフラ(及び電力)が使用できる環境がなければ、ポテンシャルを十分に発揮することは不可能。
2)デジタル・アナログの情報変換
安否情報など紙ベースのアナログ情報がデジタル情報に変換され共有された。しかし、デジタル情報をアナログに変換し、インターネットが利用できない人に対しても伝えるような取組は、十分ではなかった。
3)震災に関連したチェーンメールや悪質なメール等
東日本大震災に関連して、チェーンメールやミニブログ等で誤った情報が流された。
4)情報発信活動の周知
新たに様々な情報発信活動が立ち上がったが、それらが広く周知され、十分に有効利用されたとは言い難い面。
■被害状況の推移(地理的分布)
ドコモ、auの不通状況地図です。
画像はauのもの。左から震災後(3/14)、震災1ヵ月後、震災1.5ヵ月後で掲載されています。グレーが不通地域。
■福島民報による Twitter
福島民報は、震災の2日後にTwitterのアカウントを開設し、給水所や避難所、学校の休校情報など、生活情報を配信した。開設からわずか2日で6,600のフォロワーを集めており、地元住民にとって貴重な情報源となった。
■今回の震災では、テレビ電話や動画配信サイト等インターネットを活用して、震災報道が手話通訳された。またSNS内に情報弱者向けの被災者支援コミュニティが立ち上がった。
●遠隔手話サービス
特定非営利活動法人シュアールは、3月11日より被災地で手話通訳が必要な人に対し、Skype、MSN Messenger等のビデオチャット機能を活用して遠隔手話を提供するサービスを開始した。被災地にいる聴覚障がい者や、聴覚障がい者とコミュニケーションが必要な聴者が、スマートフォン、パソコン等を使って待機している手話通訳者にコンタクトをし、それに遠隔で対応する、というサービスであった。
また、3月23日には、ボランティアサークル「ニコ生企画放送局」が、ろう者・聴覚障がい者に向け、首相官邸会見の一部、東京電力や原子力安全・保安院の会見などをリアルタイムで手話通訳し、動画配信サイトで生中継をした。
(サイトから引用 小川)
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情報通信は聴覚障害者にとって命綱。被災時にはなおさらです。
白書でのまとめ、不十分ながらも10年前と比べ大きく改善されてきていると感じます。
しかしこれらのインフラの多くは、停電したら役に立ちません。最後に頼れるのはやはり人の力です。