深夜一時過ぎに我が家の極北の地?の二階の寝室へ上がった。お昼は西日が当って毎日布団干しが出来る程の暖かい部屋でもこの冬の寒さはこたえる。夜は風も凪いで窓を打つ音もなく静かだった。布団を首筋まで確りと掛けて、顔をもたげてベッドに立て掛けた本に老眼鏡のピントを合わせながら、猫背の背中を反り返すような姿勢で少し本を読む。背筋が伸びたようで気持がいい。子供のころは、本を下において俯いて読んでいて、近眼になるといって親によく注意されたものだった。10分もすると睡眠薬が効いて来たように睡魔が目蓋を引っぱりに来る。すかさず明かりを消して、体を布団の中でもがくようにして仰向きになった。すると暗闇の中で私の視界の広がりは、窓枠にはめ込まれた月と雲の世界にになってしまった。まるで宇宙空間に漂いながら寝そべっているような気分になった。しばらく大きく目を開いて空を仰いでいた。地上では風もないのに高い空では雲が動いて、寝ている自分が凄い速さで飛んでいるような錯覚を覚えた。何時の間にか寝てしまっていた。いい気分だった。ここは高台だから風がきつい。それを我慢すれば住み心地満点だ。晴れた夜には満天の星がある。ことに冬の夜空はいい。 台風シーズンはいやだけれど。
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