夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

レゲエとハワイ

2015年04月21日 | 音楽


レゲエというリズムは永遠に続くグルーヴという快感を与えてくれるようだ。
ややもすると飽きてしまうが、身を委ねれば心地よいひとときを約束してくれる。

ハワイの人々がレゲエを好むのもなんとなくわかるような気がする。
陽気でいつまでも踊り続ける、それがフラであろうとなかろうと。

マナオ・カンパニーのサウンドを聴いていると、その心地よさの原点がリズムであることがわかる。
無条件にリズムがいい。

そしてコーラス。
何気なくハーモニーをつけているだけのように見えるが、その実結構ジャズコーラスみたいなことになっていたりする。

譜面を書いてきっちりキメキメでやるというのが日本人流だとしたら彼らは天性でできてしまうのかもしれない。
だからこそトロピカルな「ゆったり感」が出ると思う。

「らしさ」という概念が重要だ。

もうひとつ「かっこよさ」は、時代とともに変わること。
もちろん原点は変わらないと思うが、リズムやシャープネスみたいなものは変遷を続ける。

そこに神経が届くかどうかが「センスのよさ」につながる。
漫然とやっているだけでは「ベター」であって「時のベスト」には近づけない。

彼らを見ていると傲慢なくらいに我が道を行って自然体だ。










Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - Mana'o Company "Rocking Chair" LIVE

Hawaiian Airlines' Pau Hana Fridays - Mana'o Company "Ku'u Home" LIVE

Hawaiian Airlines' Pau Hana Friday - Mana'o Company "Moloka'i Slide" LIVE

20th KWXX Ho`olaule`a - MANAO COMPANY - "Drop Baby Drop"

エキゾチック・サウンド

2015年04月18日 | 音楽


鍵盤楽器は瞬時に和音が出せるメリットがある。
複数の弦を押さえて音を出す弦楽器に比べ、叩きさえすれば美しい和音も不協和音も出る。

どんな音でも出せるってことは、音楽理論を知らないと思い通りの音にならないとも言える。
ピアノが両手で簡単に発音できるのに対してビブラフォンやマリンバはマレットを使ってまるで別物の奏法にも見えて来る。

ニューヨーク出身のマーティン・デニーがアーサー・ライマンに出会ったのは1951年のこと。
ハレクラニホテルのクラークを務めていたアーサー・ライマンの演奏を聴いたマーティン・デニーは彼をミュージシャンとして招こうとする。
月給280ドルのクラーク勤務から週給100ドルのミュージシャンとなった彼はエキゾチック・サウンドへの道を歩むことになる。

ピアノの音は長い時間聴いていると飽きる。
ジョージ・ウィンストンが彼のコンサートの合間に、ハーモニカを吹いたりスラックキー・ギターを弾いたりするのはちょっとした息抜きになる。

マーティン・デニーが、ハワイという楽園でピアノに加えてビブラフォンの音の広がりを求めたのは当然の成り行きだった。
ハワイのホテルで演奏を続けるうちにバード・コールで鳥の鳴き声を出す演出を考えたのはアーサー・ライマンだったようだ。

ラテンパーカッションとバード・コール、ピアノとビブラフォンによってジャズコードをまぶした演奏はエキゾチックを感じさせるに十分だ。
高層ビルが並ぶワイキキのホテルのラウンジで、トロピカルのリゾート地にくつろぐ雰囲気作りに必要なサウンドだったのかもしれない。

アーサー・ライマン楽団は日系人ミュージシャンがいたこともあってか度々来日している。
当時の白黒TV番組にゲスト出演して演奏した映像の記憶が鮮明に残っている。

エキゾチック・サウンドはいつまでも気になる存在だ。
SL列車の中で食した日本各地のお弁当の思い出をいつまでも引きずるように時々引っ張り出したくなる。

ジャズのようでもあり、ポップスでもあり、BGMでもある。
そこにノスタルジーを感じさせる何かがあるから魅かれるのだろう。

ポリネシアは我々の同胞でありひょっとするとまるで別の進化を遂げたルーツかも知れない。



Arthur Lyman "Polynesia" 1965 STEREO Exotica Lounge LP FULL ALBUM

Ethel Azama "Exotic Dreams" 1959 STEREO FULL ALBUM Exotica Martin Denny

Martin Denny - Misirlou

スラックキーの魅力

2015年04月17日 | 音楽


「Hui Ohana」は歴史に残る名盤を数多く残した。
絶え間なく隙間を埋めるようなサイドギターとスケールを駆け巡るベースライン、そしてレッドワードのスラックキー・ギターとボーカル。

レッドワード、ネッドワードの双子の兄弟とデニス・パヴァオで編成されたトリオは、天分に恵まれたベストメンバーだった。
ネッドワードのベースもファンキーでなかなか真似できない。
ギブソンらしきセミアコベースはなんだろうと気になっていたが、どうやら日本製であるらしいとわかってから「そのメーカーはきっといい音がするに違いない」などという笑い話があった。

スラックキーに限らず、ギターの得意な人は演奏に特化して歌わない人が多い。
ギャビィ・パヒヌイなどどんな楽器も演奏してボーカルがまた素晴らしい人は稀だと思う。

「フイ・オハナ」は演奏しながら全員がファルセットで歌うことのできるグループだった。
残念ながら生のライブを見ることはできなかったが、後年のシリル・パヒヌイとのセッションを見てレッドワードの天分を納得させられたものだ。

スラックキー奏法は、チェットアトキンスのギャロッピング奏法に通じるところもあり、ギター一台でオーケストラという側面が着目される。
しかしオープン・チューニングのもたらす自由度は、演奏の滑らかさという最大のメリットを与えてくれた。
即ちスタンダード・チューニングにおけるコードの制約から解放されてスケールを自在に動き回ることの自由を得たと言えよう。

レッドの新旧映像を見ると、若い頃からその滑らかさは持っていたしグルーヴ感は変わらぬものを維持していることがわかる。
「レッド節」ともいえるスタイルを若くして確立して維持し続けている。

演奏をして歌って聴衆を沸かせることのできるミュージシャン。
本物のミュージシャンが少なくなってきた。

迎合したり独りよがりだったりと人の生き様は如実に音楽に現われるもの。
素直に音楽に入り込むこと、音楽をやること。
ウケたいとか、パフォーマンスをやりたいという初心の方にはこれを説いている。

いや初心者に限らず、本物をやるという信念が往々にしてブレる場合もある。
信念を貫いていい音楽をやるにはいいメンバーに恵まれることも必要条件だ。





Ledward Kaapana - Nani (HiSessions.com Acoustic Live!)


Ledward Kaapana - Maunaloa Slack Key (HiSessions.com Acoustic Live!)


Ledward Kaapana - Radio Hula/Yellow Ginger Lei (HiSessions.com Acoustic Live!)


Ledward Kaapana - Black sands & Ku'uipo ono ono 1987


Hui Ohana " Welcome To My World " Hui Ohana

ウクレレ、ビートルズ、ハワイ

2015年04月15日 | 音楽



ビートルズナンバーは世界中であらゆるスタイルでカバーされている。
楽曲に魅力があることと、売れるからという商品力もある。

ハワイでも古くは「The Waikikis」というグループがアルバムを出している。
いわゆるハワイアン・バンド・スタイルで、スティールギターがメロディをとるインストものだ。

彼らのボーカル・ハーモニーが難しいこと、アレンジが悩ましいことから過去にはインストもののカバーが多かったと思う。
ビートルズならではのリフを残すなどアレンジに限界があったのかもしれない。

Kさんのリクエストで「She Loves You」を取り上げることとした。
ハワイのボーカルユニット「Keahiwai」がオムニバス・アルバム「Let It Be Hawaiian Style」の中で歌っている。

レゲエ風のアレンジが好きな世代らしく、ラテン風のくっきりしたリズムでコーラスを展開する。
このアルバムには盲目のミュージシャン「BBショーン」こと「Shawn Ishimoto」が「I Will」を歌っている。

映像をご覧になれば彼の両手の指先から出てくる音の正確さとグルーヴに驚かれるだろう。

ジェイク・シマブクロが「While My Guitar Gently Weeps」を取り上げたせいか、ウクレレでビートルズ・ナンバーを弾くパターンが多くなった。

もうひとつジョージ・ハリスンがハワイに住んだこと、彼がウクレレを愛したことも大きい。
「Concert for George」で盟友ジョー・ブラウンがウクレレを弾きながら歌った「I'll See You In My Dreams」は本当に涙を誘われた。

ジョン亡き後の三人が集う野外でのウクレレを弾くジョージのストロークの素晴らしいこと。
「Ain't She Sweet」は「トニー・シェリダンとビートルズ」と言っていた頃の作品だったのか。

さて悩ましいのは、ビートルズの味わいを残してどうトロピカルにするかだ。








I Will Beatles' tune Shawn Ishimoto John Valentine

"I'll Remember You", Performed By Shawn Ishimoto

Ain't she sweet-McCartney&Harrison on ukulele+Ringo(1994)

Ain't She Sweet - The Beatles

ファルセット

2015年04月15日 | 音楽


久しぶりにお会いした皆さん、随分長いことウクレレを楽しんでいる。
素朴で前向きで一生懸命、ハワイ音楽が好きだし、やりたいと聞いている。

最近のウクレレの先生はギター出身でハワイ音楽にあまりこだわらない先生が多い。
ある曲に関して「裏声で歌わないで地声で歌うように」との指導があったという。

「ハワイ音楽の魅力はファルセットによるところが大きいのに」と驚いてしまった。

詳細はわからない、ファルセットにはなりきっていなかったのかもしれないし、声量を大きくするために地声で歌うことを勧めたのだろう。
また曲調によっては地声の方が良い場合もある。

メリハリのある大きい声は望ましいけれど、「ハワイ音楽らしさ」も重要だ。

もう一つはリズムの訓練。
これには時間がかかる、キャベツの千切り(というのかどうか)を高速でできるようになるようなものかもしれない。


数年前のアロハ横浜イベントでお会いしたウルウェヒさん、「キパフル」がヒットして最初に聴いたとき女声かと思った。
当時親しくしていたO嬢の声がそっくりだったので、余計その印象が強かったのだろう。

当然のことながら、ファルセットで聴いているヴォーカル曲と地声とでは全く異なる。

地声が「直接的である種自然」というなら、裏声は「装飾的で華美、よそ行き」かもしれない。

ファルセットは、その昔教会への出入りを禁じられていた女性の代わりに男性が賛美歌を歌ったのが始まりという説がある。
ハワイのミュージシャンが、ライブで「G」から歌い始めて転調してキーを上げ、また転調する。
次々と転調して最終的にオクターブ上の「G」で歌い終わるなんて芸当ができるのは、こうした歴史があるゆえか。

ファルセットの魅力は、メロディを流れるように加速させ透明感のある音場を創るところにある。
発声練習の賜物ではなく、ハワイでいう「Mana(気)」によるところが大きいと思う。

さて先ほどの皆さんにアレンジ譜をプレゼントした。
彼女たちの元講師が音楽仲間であったことから他人事ではないという気がしたからだ。
一年後が楽しみだ。



Hawaiian Scenes

Pua Lililehua - Uluwehi Guerrero & Halau Kauluokala

Uluwehi Guerrero - Kipahulu

Uluwehi Guerrero & Aunty Genoa Keawe Performing Live PT 1

Uluwehi Guerrero & Aunty Genoa Keawe Performing Live Part 2